【TS】配信者やってると、こういうこともあるらしい。 作:16色のレイン・コーラス
ひどい目に遭った。
花袋先生に見守られながら(流石に個室までは入ってこないが)用を足すという特殊プレイを終え、待合室へ戻る。ちょうどそのとき、玄関口から一人の女の子がやってきた。
ものすごく見覚えがある。金色の特徴的なショートヘア―に、緑と紫が入り混じったようなグラデーションの瞳。特徴的過ぎて一度であったら忘れない。今は俺も同じくらい目立っているかもだけど。
この女の子は藤盛周辺に住んでいる三人の一般市民の一人だ。学生なのかな。花袋先生は一般市民かどうかわからないのでカウントしない。そんな氷蜂
「こんにちは」
先に挨拶されるとは。挨拶をどこから始めるかっていう距離感って悩まない?
「こんにちは」
「一人で来たの?」
「はい」
いつも以上に距離を詰めてくるな。年下相手だとこんな感じなのか? 丁寧語を使うだけで少女ロールプレイになりかねないから気をつけなければ。
「今日は風邪?」
「いや、身体の検査」
「そっか。ここへはよく来るの?」
「まあまあかな」
距離の詰め方がすごい。ほとんど無表情なのに会話好きなのか?
ぴりり、と氷蜂ちゃんの持つスマホが鳴る。
「ちょっとごめん」
そう言って氷蜂ちゃんがスマホを操作すると、独特なBGMが流れる。このゲームは……!
「
「やってるの?」
「うん」
ARCOIRISはスマホ向けのフィールドカードバトルだ。30枚で構成されるデッキからターンごとにカードを引いていき、ユニットを場に出して戦う。最終的に相手プレイヤーの体力を0にすれば勝ちというよくある対戦スマホゲームの一つ。ただしプレイヤー同士の間には将棋盤のようなフィールドが広がっていて、ユニットが相手プレイヤーを攻撃するためにはフィールドを進軍していかなければならない。めんどくさいけど面白いゲームだ。TCGだったらまずできないけど。
それはそれとして音声を流すのは勇者だわ。というかここは病院なんだが。
「対戦する?」
「えっ、でも病院だし静かにした方が」
「平気。普段は誰も来ないから」
「そう言うことなら……それは医者として大丈夫なのか?」
このときの俺はちょっと冷静じゃなかったので病院でゲームを始めてしまった。だって相手が女子学生っぽいし*1。
俺の北欧統一デッキが火を噴くかも。
「検査結果が出たよ、って氷蜂。君も来ていたのか」
カードバトルに白熱している所へ、花袋先生が戻ってきた。
「個人的な話になるから奥の部屋で話そう」
花袋先生は氷蜂ちゃんをちらりと見てからそう言った。
部屋へと向かうと実際のデータがモニターに延々と表示されている。見ても分からないが。
それで、結果はどうなりました?
「結論から言うと、慶くんの遺伝子情報と君の遺伝子情報は完全には一致しなかった。ただ、完全に無関係というわけでもなくて、
「いないですね」
「だよねぇ確か。前にそんな話を聞いた気がする。同一人物だって証明は難しいかな」
「そうですか」
遺伝学的に違うってもうどういうことだ。よくある感じで、俺は自分を湯川慶だと思い込んでいる一般少女だったり? いやそもそもいとこなんていないし。
「僕は信じるよ。君は嘘を言っていない。それに何よりも僕の作った嘘発見器を信じる」
「自分で作ったんですか……?」
それはすごいな。
と、そこで部屋の入り口からぬるりと頭を出した氷蜂ちゃんが参加してくる。
「信じるとか信じないとか、何の話? 気になる話が聞こえてきたんだけど」
「氷蜂、勝手に入ってくるんじゃない。慶くん、ちょっと待ってて」
二、三度言葉を交わしていたかと思うと、花袋先生がドアを閉めたあと鍵をかける。
「ジャズでもかけようか」
「理由は分かるけど意味が分からないです」
先生本当にかけ始めちゃったよ。
「それで、慶くんはこれからどうする? どうして性転換するようなことになったのかはわからなかったけど、今の慶くんは肉体的に非常に安定している。女性として生活していくにしても、まずは戸籍をどうにかしないといけない。内密に」
「内密なんですか」
「そう。あまりたくさんの人に知られたい話ではないだろう? 時間はあるからよく考えるといい」
戸籍の取り直し? その場合、
「そ・れ・よ・り、慶くん。明日服を買いに行こう!」
「えっ」
「お金は僕が出すさ。どうせ使いどころのないお金だからね。……女物の服なんて持ってないだろう? 持ってたら引くけど。そんな恰好で街を歩いていたら襲ってくださいって言っているようなものだよ。よく襲われなかったね」
「道中誰もいませんでしたよ。ありがたい話なのでお願いしていいですか。でもお金は自分で出しますから!」
「そう? まあこの近辺はね……。どうせなら今日はここに泊まっていくといい。お風呂での身体の洗い方だってわからないだろう」
教えてくれるって言うの? それはいろいろとヤバい。
「それはどうなの?」
「氷蜂! また勝手に。そうだ。明日はお前も付き合えよ。今時のJKっぽいファッションを見せるときだ」
「ふうん?」
やっぱりJKなのか。……今どこから入ってきたんだ?
「先生、俺は男ですよ!」
「
なんで英語。
大まかなプロットの他はライブ感でやってるから仕方ないんですけど、書いているとそもそも舞台が現代なのか分からなくなってきます。