【TS】配信者やってると、こういうこともあるらしい。   作:16色のレイン・コーラス

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 三人の会話の書き分けが難しいのでイメージカラーを考える。
 元々何も考えてなかったけど。
 主人公は信号機の赤かな。でも瞳は青。
 氷蜂は黄色。スズメバチ。瞳の色は緑と紫のグラデーション。早い話がオーロラ。北極の氷もイメージの一つ。
 先生はもみじだから赤でもいいんだけど、赤い医者は血濡れみたいで怖いので茶色の短髪。目は黒っぽい。もみじまんじゅうのイメージ。


そんな装備で大丈夫か

「ついたよー」

 

 車に乗ってから40分程度で、目的地へ到着。

 『ぽひゅう』と寝息を立てている氷蜂(ひばち)ちゃんを揺り起こす。

 

「ん? ついた?」

「うん」

 

 氷蜂ちゃんは首をぐるぐると回している。車で寝ると肩が凝るよな。運転しても凝るけど。

 

「どこから回る?」

「まずは靴だね」

「そう。慶、迷子にならないように手をつなごう」

「迷子になるほど子供じゃないけど」

「いいから」

 

 強引に手をつながれた。そんなに迷子になりそうに見える? どちらかと言えばさっきまで寝てた人の方が心配だが。

 こうして二人で手をつないでいたら百合にしか見えないと思う。少し気恥しい。

 

 氷蜂ちゃんも結構背が高いんだよな。

 昨日身長を測定したところ、現在の俺の身長は153センチだった。元々の俺の身長は179センチだったので実に26センチのマイナスだ。流石にモノの勝手が違って見えるわけだ。

 花袋先生は176センチらしい。氷蜂ちゃんは聞いていないが、だいたい今の俺と先生の中間くらい。

 

 身長の変化には花袋先生も興味深そうにしていた。『骨格がどうやって変化したのか』なんて、詳しく突き詰められても不安になるだけなのだが。

 まあ女子は中学に入ってからほとんど伸びないし、少し小柄なだけでは子供に見られることもないだろう*1

 

「仲がいいのは良いことだ。では行こうか」

 

 花袋先生は観葉植物のようにやわらかい笑みを浮かべていた。

 歩き始めると歩幅を俺たちに合わせてくれる。

 

 ショッピングモールの中は多くの客でにぎわっていた。藤盛からの落差……落差? 数値が跳ね上がった場合にはどう言えばいいんだろう。とにかく差がすごい。しかもちらちらとこちらへ向いている視線を感じる。そんなに赤い髪が珍しいか! そうかも。それでなくても花袋先生は大きいし氷蜂ちゃんはかわいいし、三人組だから目立ってるのか?

 

 俺が周囲の目を気にしていてもすぐに実害があったわけでもなく、無事に婦人用の靴が売っている店に辿り着いた。そういえば女子の履物って何? ハイヒールとか?

 

「まずは慶くんの足のサイズを測ってもらおう。店員さん!」

 

 花袋先生が呼び止めた女性店員さんに、特別な器具で足回りを測ってもらう。なんだか無駄に緊張する。男のときに足の長さ以外の情報なんて気にしたことがなかったから、足の形によって履ける靴のタイプが違うっていうのには驚いた。

 それにしても……。

 

「23センチだって」

「小さくてうらやましい。僕なんて6.5*2だからね。特注じゃないと履けるモノがなかなかなくて」

「それは男」

「花袋先生は身長がありますから」

 

 かなり小さいとは思っていたが、女子の足ってこんなに小さいんだな。

 花袋先生は……それでも男のときは僕の方が高かったのだが。

 

「普段履き用はスニーカーを選ぼう。ヒールに慣れてないし」

 

 いくつか試し履きしてみて、その中からあったものを選ぶ。

 

「うーん」

「どう?」

「一つ気になったんだけど、靴底厚くない?」

「そう? 普通だと思うけど」

「あまり走らないからね、男物と違うかも」

 

 そういうものなのか。

 結局、無難な色のスニーカーを一つ選んで購入した。表面が布みたいなやつ。防水性はなさそうだ。

 

 ◇ ◇ ◇

 

 次は下着の調達。上下一式。

 

「ブラだよブラ。実際にカップ数がどんなものか計ってもらおうじゃないか」

 

 先生、気にしてたんですね。でも外では言わないでほしい。セクハラです。

 

「85のCでした」

「もみじより大分あるね」

「胸囲自体は僕の方があるから」

「意味ある?」

 

 店員さんにはさらしを巻いていることに驚かれたけど。

 女性下着について長々と語りたくはないので割愛。

 黒下着は使わないって。

 

 ◇ ◇ ◇

 

 普段着を選ぶ。ここでは氷蜂ちゃんと花袋先生にされるがまま。

 二人がいろいろな服を見繕って来るので、それを着せ替え人形のように着替えるだけだったのだが。

 

「ねえ、もみじ」

「やっぱりそう思う?」

 

 何事かを話している二人。聞けば、赤い髪が強烈すぎて何を合わせてもコスプレに見えるらしい。それは俺も思った。

 

「黒染めした方がいい?」

「それは」

「だめ」

「せっかくきれいな赤なんだから」

「それを染めるなんてもったいない」

 

 そっか。二人同時に喋るな。びっくりしたわ。

 

「あっ、これなんかどう? ちょっと大胆だけど」

 

 先生のおすすめ、服の種類を説明してもらえるのはありがたいんだけど、何を言われても耳に入ってこない。知ってる言葉で話して?*3

 何にしてもお勧めされたら着てみるまで。

 Vの字……。大胆といえば大胆な開襟。胸が見えそう。でも中に何か着るわけでしょ? ならこれも買い。

 

「こっちもどう」

 

 赤系統、チェックのワンピース。髪の毛の赤に寄せつつも違いがはっきりと分かるくらいには白が強い。

 どうなんだろうか。どう?

 

「慶、かわいい」

「かわいいかわいい」

 

 ひゃあ、照れる。そんなに言われたら買うしかないな。自分のファッションセンスより人のセンスの方が信用できる*4。女の子ってこんなに簡単にかわいいって言うの? ……男子でも言うわ。主に配信のコラボ相手に。こんな風に見えるのか、ちょっと自重しようかな。腐りしもの達が湧く。

 

 ◇ ◇ ◇

 

 次はズボンとかスカートとか。絶対ズボンがいい。

 

「そうはいってもスカートも必要だよ」

「えっ、先生もスカートを履くんですか?」

「うん?」

 

 何でもないです。

 しかしどれも一緒に見えるんだが。なるべく長めのやつを。

 

「上下の兼ね合いもあるから。買ったモノに合わせるとこれがいいと思う」

「もうお任せします……」

 

 買い物をする女の子ってパワフルだよな。俺のために親身になってくれてるんだから自分でも考えないといけないとは思うんだが。

 

 最終的にはソックスを買ったり、それに女物のハンカチまで買って、衣類で車のトランクがパンパンになるくらいだった。

 

 ショッピングセンターを出た後は近くのパスタ屋でランチ。

 買い物でお昼の時間を過ぎていたことには全然気がつかなかった。元々時間感覚なんてあまり持ち合わせていないが。

 パスタはナポリタンが美味かった。先に入れたらウェストがきつくなってたかも。

 帰りはそのまま自宅まで送ってもらうことに。

 

「花袋先生、今日はありがとうございました」

「僕も楽しかったよ。またいつでも連絡してくれ」

「氷蜂ちゃんもありがとう」

「うん。また来る」

「本当にありがとうございました。それではさようなら」

「Bye」「またね」

 

 疲れた。

 結構いろいろあったと思うけど、全部終わってもまだ午後三時くらいなんだよな。

 配信するか。

*1
それ以上に童顔なのと声が原因

*2
26.5センチ

*3
ここではリントの言葉で話せ。

*4
母親は除く

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