というわけで今回はあずあず。実は挿絵は余力の関係で全力の4割くらいでしか描けていないのでいつか1回全力つぎ込んでみたい。ごめんなさい最近本当に時間がないんですわ…。
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文章力の著しい低下…。
「盟友よ、ナイチンゲールと何があった?」
……とうとう聞いてきたか。
リズとのことを話すにあたって1番躊躇を覚えているのは、目の前の男とアーミヤだ。正直な話シルバーアッシュは私に対してどういうスタンスで接してくるのかが未だにわかっていないし、アーミヤは時たまどす黒いオーラを向けてくる…気がするからだ。
だから今まで意図的に事情を明かさないように気を付けていたが、大方クーリエやマッターホルンあたりに調査させたのだろう、もう割れてしまったということか。
「はぁ……わかった。もう知っているんだろう、最近になって私の調子が明らかに良くなっていることを。あれはナイチンゲール、もといリズのおかげだ」
「具体的に何があったのだ。この私を差し置いて盟友の不調を改善するなど、到底彼女に実行できるとは思えないからな」
「…私も、それに関しては全面的に同意するが。そこも含めて、今から少し話を聞いてくれ」
*************
それから数十分かけてリズとの間に起きたことを話した。私の状況、使命感、それからプラチナとアズ含め私を普段から支えてくれるようになったこと、だいたいかいつまんで。
それを聞いたシルバーアッシュは、意外にも何か言ってくることはしなかった。正直いろいろ仔細を聞かれると思っていたばかりに、追及が止んだのはちょっと怖い。だがまあ嘘はついていないし大丈夫か。
今日は結構疲労が溜まっているので、すぐに風呂に入って寝ようか…明日もある以上ぐっすりと睡眠は取らないと、明日は2人に迷惑をかけてしまう。
シルバーアッシュとのあれ以上の会話もそこそこに、早めにベッドに入る。明日はどこに行こうかと軽く目安をつけながら、徐々に意識が落ちていった。
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8:00 a.m. 晴天
翌朝。
昨日プラチナと待ち合わせをした場所で、今日も同じようにアズを待っていた。
実は朝餉のときに既にアズと同席になり、そのときに待ち合わせ場所を取り決めたのだ。2人の姿が見えなかったのでどうしたんだと聞いてみると、今日の午前いっぱいはアズの時間だから敢えてアズとは時間をずらしたんだと。何もそこまで徹底しなくてもいいのにとは思ったが。
「お待たせしましたわ、ドクター」
「…おお……」
特有のアルトボイスが聞こえて横を見やると、普段のかわいらしい感じの印象がなりを潜め、よりカジュアルな装いに身を包んだアズが立っていた。戦闘服でも着用しているオーバーオールの形式を反映させつつ、半そでのシャツと麦わら帽子で夏らしさをぐっと引き上げている。風になびく帽子と桃色の髪が雰囲気を押し上げているのだろう。
「いつもと随分と雰囲気が違うな、だがこちらもかなり似合っていると思う」
「ありがとうございますわ。そう言っていただけると、わたくしも気合を入れた甲斐があるというものですわ……では、早速行きましょうか。時間は有限ですのよ?」
そう言って彼女はふわりと笑い、私の手を引っ張る。敵に見せるような挑発的なものでも、ロドスで見る礼儀正しいものでもなく、目の前にある未知のものを純粋に楽しもうとする無垢な微笑み。
「あ、ああ。行こう」
__2人目、アズとの街巡りが始まる。
*************
基本的には昨日と同じようにぶらぶらと回り、気になった店に入るシステムで巡ることにする。このシエスタ、毎年たくさんの観光客が訪れることを想定して様々な店があり、数も結構多いのだ。
「あら…?ここは、石鹸屋さんでしょうか。『Siesta Soap』という店の名前ですが…」
「どうやらそうらしいな。石鹸というのもあまり聞かない、珍しい専門店だが入ってみるか」
名前でそっち系の店かと邪推したことは口に出さず、2人で入店する。中はフローラルな香りが漂っており、こうやって入り口から見えるだけでもたくさんの種類がありそうだ。
「とりあえず、順に見て回ろうか。お土産としての候補探しも兼ねて」
「それが良いですわ。ロドスのオペレーター全員がシエスタに来ているわけではありませんものね」
割かしメジャーな部類である花の香りがするものやそれの派生でアロマを利用したもの、他にもさまざまな種類が見受けられるが、しばらくするとこの店一番のおすすめ石鹸なるものを見つけた。
どうやらシエスタ特産の黒曜石を模して造られたもので、炭を用いてそれっぽく見せているらしい。割にはとても本物らしく見えるので製品としての完成度の高さが窺える。
「この黒曜石せっけん、えらい綺麗だな。まるで本物みたいだ」
「確かに……これにしましょうか。これならインテリアとしてもどこかしらに活用できそうですし素敵ですわ」
即決である。まあこんなものを見てしまったなら買わない選択肢はないだろう。ざっくりした計算をしておおよそ十数個ほど買っておいた。心配ない、金ならあるわ状態だからな。
実はあの騒動の後市長から謝礼をいただいたのだ。せっかくなので一部をロドス一行としての観光費用に使わせてもらい、残りを持って帰ってロドスの費用に充てたいと思っている。うちにはまだまだ成長途中のオペレーターがいっぱいいるから、資金繰りが大変なのだ。
「ありがとうございましたー!」
やけに元気のいい店員の声を受けながら店を出る。当然といえば当然なのだが、涼しいところから抜けてまた外に出ると一気に熱気がムワッと来るな…。おもわず顔をしかめてしまう。聞くところによると今日の最低気温の時点で既に27度ほどだったらしい。ロドスで住んでいると季節の感覚がなくなってしまうので耐性がないのである。
「本当に暑いな、シエスタは。この暑さこそ観光客がヒートアップする一助となっているのかもしれないが」
「メインのミュージックフェスの会場は空調が効いているでしょうし、今日みたいな天候では水辺に入るのも気持ちよさそうですわね。どこでも楽しめるのがシエスタの強みでしょうか」
「それにしても熱中症でぶっ倒れる人が多発しそうではある」
改めてシエスタの特異性についてあれこれ会話していると、ふととある店が目に入った。なにやらTシャツだけを取り扱っているところらしい。
「ここに入ってみないか?」
「服屋さん…でしょうか?その割にはTシャツしか見受けられませんわね…」
「それ専門の店らしい。こういうのも面白いだろう?」
「確かに。わたくしのセンスが問われるようなところですわね……」
先ほどのスッキリした店内だった石鹸屋とは打って変わって、こちらはいろんなTシャツ(流石にTシャツしか売っていないということはなかったが大半がそれだった)などがそこかしこに飾られていて路地裏の雑貨屋のような印象を受けた。逆にそれがインディー感を醸し出していて個人的にはとても好きなタイプの店である。仮眠室といいここといい、自分は案外狭いところに惹かれる性質なのかもしれない。
「これはシエスタの紋章のシャツか、普通にイイ感じではないか」
「こちらの『シエスタいいとこ 一度はおいで』という如何にも観光客向けのものも面白いですわよ。ご丁寧に達筆ですし」
「おお…こういう文字が入っているTシャツもあるのか…奥が深いな」
Tシャツをメインに取り扱っているだけのことはあり、さまざまなものが売られている。私が挙げたシエスタの紋章のものはまだしも、文字単体が柄になっているのはあまり…というよりも、1度も見たことがない。ロドスでは基本的に皆仕事服だからな。仕事服のわりにとんでもないデザインをしているものはたまにあるが。
その後は普通に品定めをしつつ歩き回り、私もアズも買うものを買って外に出ようとすると。
「ドクター…それに、アズリウスさん?」
「お二人の組み合わせは珍しいですね。こんなところで揃って…ドクターもやり手ですね?」
「ん?」
リズたちなど、いつもいる3人ほどではないもののよく聞き慣れた声が横から聞こえた。見やると、そこにはシエスタに来たオペレーターの中でも1番ガラッと印象が変わったサルカズの女性と、よく性別が間違われるコータスの男性が。
「シャイニングに、アンセル?珍しいのはこっちの台詞なんだが…」
「ごきげんよう。わたくしたちは、まあデートのようなものですわ。それはそちらも同じではなくて?」
同じ医療オペレーターである彼女らだが、私の知る限りでは二人きりで行動するシーンはロドスでは一度も見たことがない。そも私が執務室から外に出る頻度が低いのでなんとも言えないが。
ただアズの反応を見る限り、その推測があながち間違いではないことが窺える。アズは定期的に医療チームの研究に参加しているのでたいがいのメンバーとは面識があるのだ。それにしてもシャイニングがえらい複雑そうな視線を向けてきているがどうかしたのだろうか。
「…男女が共に外出をすることをそう呼称するのであれば、確かにデートですが……実際は、アンセルさんに私がついていっているのですよ」
「へぇ、そうだったのか。カーディか?それともメランサか?アンセルも隅に置けないなあ、このこの」
「ちょっ、からかわないでくださいよ…予備隊A4の皆にお土産をあげようと思っているだけです。ほかの皆は来られていないので。それで私一人では自信がないのでシャイニングさんにアドバイスをもらおうと思ったんですよ」
なるほど、そういうことだったのか。確かにうちの医療チームの中で今シエスタに来られているオペレーターは少ないし、その中で誰に相談するのが一番“丸い”かと言われたらシャイニングになるのは必然か。これは私が言っていいことではないだろうが、リズはそういうことに対して疎いし。
「それにしたって、アンセルがこんな時間に外にいるのも珍しいが。種族特性で夜の方がいろいろ捗ると言っていたような覚えがあるが」
「ええ、それはそうなのですが、生憎と昨日は忘れてしまっていて。昼はニガテでまだ朝のうちに行く方がいいかと思って、失礼を承知で来てもらっているわけです」
「そっか。お疲れ様。で、本命はどっちなんだ?」
「ドクター!」
さて、そろそろアンセルをからかうのも止めておこう。これ以上は流石に可哀想だし、他人の関係に私ごときが突っ込んではいけないってものさ。
「そうだ、私とアズも手伝おう。アズは服飾に関してのセンスは素晴らしいからな」
まあ、キューピッド役であれば喜んで引き受ける、どころか率先してやりに行くレベルだが。
*************
「アズリウスさん…これは一体?確かドクターは、リズと強固な関係を築いていると聞きましたが……その本人は何処へ?」
「今日はプラチナさんと一緒に宿の周りを散策しているはずですわ。それより、どこでそれを聞きましたの?」
「少し前、彼女本人からです。察するに、このことを知っているオペレーターは少ないようですね」
「そうですわね、大々的にに触れて回ることでもありませんから。それに当人たちがそうしていない以上、わたくしたちも無闇に言わない方がよろしいですのよ」
「ええ、そこに関しては大丈夫ですが…」
「?何か問題でもありまして?」
「…アーミヤさんとシルバーアッシュさんが、ドクターの最近の快調に著しく疑問を抱いているみたいで。昨日ご覧になったでしょう、アーミヤさんの動揺を」
「…なるほど、あの様子では、確実に何かに感付いていますわね…そういえば、宿の部屋割りでドクターはシルバーアッシュさんと同じだったような……」
「………」
「………」
「…もしかすると、もう割れていると思った方がいいかもしれませんよ」
「あり得ますわ。ドクターのことですから、ポロっと話してしまっている可能性もなくはありませんし。注意が必要ですわね…」
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「やっぱりナイチンゲールさんがドクターに影響を及ぼしていたんですね…シルバーアッシュさん、ありがとうございます」
だいたい同時刻。今日も今日とてドクターを尾行しようとしていたアーミヤ、シルバーアッシュ、グラベルは、昨日彼がドクターから聞いた真相の一部始終を話していた。
CEOの反応は、意外にも落ち着いたものだった。
「なんだ、アーミヤ。思ったよりも憤慨しないのだな」
「…ええ、昨日といい、前々からうすうす気付いてはいましたから。ただナイチンゲールさんが前にお話ししたときよりもはるかに人間らしくなっているのには、流石に天地がひっくり返るかと思いました__いえ、今もひっくり返ったままですが」
「彼女、いつの間にあんなにかわいらしくなったのかしらね?今の話を聞く限りだと、ドクターが何かしたわけではなさそうだけれど……」
3人は鳥籠の天使へと疑問を巡らせる。
下半身の不自由な医療オペレーター。記憶その他の身体機能も一部喪失しているロドス屈指の重症患者。戦場に立つのも危ういはずなのに卓越した能力を持つ者。ほとんどの人から畏怖の眼差しを向けられている心のわからない女性。これらすべてロドス内でのナイチンゲールの評価であり、誇張なしに彼女という人物を表した言葉の数々だ。
そんな彼女が秘書になったくらいでドクターに対して献身的になるなど__ましてや他のオペレーターも頼るなど__やはり、アーミヤら3人には未だに全く想像がつかないでいた。
……ちなみに、現在もドクターを尾行している最中である。
「なんにせよ、ナイチンゲールにも詳しい事情を聴かねばならぬようだな」
「昨日の情報だけでは何もわからないわよね。私もちょっと気になるし…」
「私はロドスのリーダーとしてオペレーターたちを把握しておく必要がありますからね」
そのときシルバーアッシュがアーミヤの方をちらりと一瞥したことに、彼女は気が付かなかった。
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「さて、そろそろ時間ですわね。お土産類はわたくしが持って帰りますから、ドクターは例の場所で待っていればいいと思いますわ」
「ああ、わざわざありがとう」
シャイニングとアンセルのお土産選びに(半ば行きずりで)付き合って別れた後もしばらく街を見て回ったが、そこで目安の時間である12時手前になってしまった。今日はここでアズとの時間が終わり、トリであるリズと巡る時間がやってくる。
他の2人には少し申し訳ないが、個人的にはリズとこそシエスタの空気を楽しみたいと思っている。
彼女は記憶喪失を患ってからまともに外出できるような精神状態ではなかったが、最近はそれもある程度改善されてきたように思える。それは私やプラチナらへの態度からも明らかだ。
そんな彼女に、そろそろ外の人間の活気を見てほしい、肌で感じてほしいと思っていたのだから、この観光はまさに棚から牡丹餅だったのだ。楽しみじゃないわけがない。
「それにしても、本当にそんな安めのアクセサリーで良かったのか?もう少し質の高いものでもいけたが…」
「大丈夫ですわ、思い出に物の値段は関係ありませんから。それにドクターから頂けるものであればどんなものでもうれしいものですのよ」
「そうか…それなら、まあいいのだが」
せっかくシエスタに来たのだから、記念にと思いアズにイヤリングを買ったのだ。純度の低い黒曜石を用いたもので値段もあまり張らないものだったから少し不安だったが、どうやら十分に喜んでくれている。
「それじゃあ、また後で」
「ええ、また後で、ですわ」
そう言って、彼女は宿へと歩みを進めていく。対する私は、前の2人と待ち合わせた場所と同じ場所で本命を待つ。外はかなり暑いが日陰に入っているので肌が文字通り焼けるほどではない。どっちかというとリズの方が心配でさえある。
しばらく待っていると、さまざまな匂いが混在しているこの場所でかすかに覚えのある香りを感知した。字面だけ見ればかなり気持ち悪いのは自覚しているが事実なのだから仕方がない。
「お待たせ、ドクター」
「…お待たせしました」
____まだ今日は始まったばかりだ。
ちょっと巻き気味。何故なら早く本編に戻りたいから。いや結構忙しくてなかなか時間が取れないだけなんです信じて。
次でオブフェス編は終了です。早くサルカズの話書きたい…。
ちなみにリクエストは感想欄ではダメらしいです。
そろそろUA10000行きそうなので
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記念の話がほしい(作者に任せる)
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記念の話(リクエストは活動報告で)
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特にいらない