時間がないのでざっくりとしたラフだけ。本編未収録のあーんするシーン。1話分の執筆より時間かからないのってびっくりです。
いや文書くのに冗談抜きで時間かかるだけですが。
タグに微ハーレムを追加しました。読めばわかります。怒らないでください。
ところで、皆さま。危機契約が始まりましたが、いかがお過ごしでしょうか。
私は期間中に跡地・等級10以上を目標にしようと思います。
8:00 p.m. 曇天
今日も今日とてリズと一緒に業務をこなしていた。日に数度しっかり休憩を取る生活スタイルにもだんだんと慣れてきて、それに合わせて業務の要領も少しづつ良くなってきている…と信じたい。
業務の終わりが見えてきたので、軽く伸びをする。
「…ん……しょっと。ふぅ、もうそろそろ今日の分は終わりそうだな。リズ、そっちはどうだ?」
「…こちらも、後10分ほどで終わると思います……」
「そうか。ならそれが終わったら、お茶でも淹れようか。あと少し頑張ろう」
今日も随分と手伝ってもらったし、気合を入れねば。
そうやって目の前の書類を片付けた後のことを考えていると、不意に執務室のドアがノックされる音が聞こえた。業務報告だろうか。
「…はい、どうぞ…ドクターはこちらに」
基本的に執務室に来るオペレーターの応対はリズにやってもらっている。そう彼女が声をかけると、少し控えめにドアが開かれた。
「ごきげんよう、ドクター、ナイチンゲールさん。狙撃オペレーター・アズリウスが加工所での業務報告に来ましたわ」
うちのオペレーターの中では割かし古参の、アズリウスである。
「こんばんはアズリウス、いつも加工所では助かっているよ。もうすぐで今日の業務が終わるから、少しだけ座って待っていてくれ」
目の前に終わりかけのものがあるとついついそちらを済ませてから別の事をしたくなる性分なので、少しだけアズリウスには待ってもらうことになるが、まあ許してもらいたい。
その旨をアズリウスに伝えると、彼女のその綺麗な碧の瞳がこれでもかというくらいに見開かれていた。
「ど、ドクター。今日は如何なさったのですか?」
「ん?どうもこうもいつも通りだと思うが…」
今日も倒れずに済んだし、なんならリズのおかげで以前よりもしっかりと休むことが出来ていて、正直な話助かっている。
「い、いえ。そうではなく……以前より明らかに声の調子がよろしいように聞こえるのですが…」
…あー。確かに執務室にアズリウスが来るのはそれなりに久しぶりだからな。リズとの件もそう言えば言ってなかったか。
「…アズリウスさん…後でドクターがお茶を淹れてくださるそうなので…そのときに、お話しいたしましょう…」
「ナイチンゲールさん?」
どう伝えようかと少し逡巡しているとリズがうまい具合にフォローしてくれた。
と同時に目の前の書類を終える。思ったよりもはるかに早く終わったな。アズリウスが来て気持ちが逸ったからなのか、軽い会話をしている間にも手が動いていたのだろう。
渡りに船だ、せっかくなので乗らせてもらうとするか。
「ああ、そうしようか。アズリウス、作業が早めに片付いたからその報告書をくれ。すぐに受理して茶を準備しよう」
***********
「さて、どこから話そうか。と言っても私も未だに全てを受け入れられたわけではないが…」
「……私から、お話いたしましょうか…」
執務室の隅にある休憩スペース(机を挟んでの対面ソファがある)にアズリウスとリズを座らせる。リズは食堂の時と同じように隣に座った。当然のように座るな君は。
「…ナイチンゲールさんからですの?わたくしはてっきりドクターからお話されるものかと…」
「…どうやら、リズの方が私のことをよく理解してくれているらしくてな…」
「…理解している……そう、ですね。そのように表現できますね……」
リズが心なしか神妙な顔をしていた。いや、むしろ以外にどういう捉え方だったのかが気になるが、始まってすらない話をこじらせるのはあまり宜しくないので特に訊ねることはしない。
「…それでは、あの日のことをかいつまんでお話いたしましょう」
**********
「……なるほど、そのようなことがあったのですね…ドクター、今まで気づかずに申し訳ありませんわ…」
「いやいいさ、別に。さっき言った通り、私も未だにそこまで実感がないんだ。むしろリズが気づけたのが偶然とも言うべきか」
とりあえず一通り、アズリウスに事の仔細を話した。私が思った以上に使命感に囚われすぎていたことや、リズが私のことをなるべく近くで支えると決めたことなど。
それを聞いたアズリウスの反応は、まあ予想通りと言った感じ。特に彼女は私のことをある程度気遣っていてくれたらしく、話を聞いた彼女の目には薄く涙が溢れている。
「…むしろ、謝りたいのはこちらの方だ、アズリウス。今までの気遣いをどうやら無碍にしてしまっていたみたいで」
「…いえ、結果的にこうして憑き物の落ちたような元気なお姿を見られたのですから、それだけでわたくしは嬉しいですわ。同時にナイチンゲールさんにも感謝しないといけませんわね…本当に、ありがとうございますわ」
「…いえ、私はただ…気が付いたら体が動いていただけです……ですが、それでよかったと思っていますよ……ですから、顔を上げてください…」
相変わらずリズは無表情だったが、その声音は少し前とは違ってわずかに優しさが含まれているように聞こえた。
他人事のようだが、あの一件からリズは人間味を増したように思える。私がきっかけと言えばそうなのだが、いかんせん字面とは違って非常にマイナスな原因でこうなっているのだから、少しだけ申し訳ない。
だがリズにとっては間違いなくいい影響ではないだろうか。あの彼女が他人に気遣い動いている。それだけで彼女を秘書にしていてよかったと思ってしまう私がいるのもまた事実。
だからこそ私は、彼女に本懐を果たさせた方がいいのだろう。その方が私にとっても彼女にとっても決して悪いことではないと、なんとなく理解していた。
「…まあ、そういうわけであれからリズとはなるべく一緒に行動するようにしているんだ」
「…そういえば、ナイチンゲールさんの呼び方が変わっていますわね。それもその影響なのですか?」
「……はい。私がドクターに、本名で呼んでいただくよう頼んだのです……この人に対しては、オペレーターの一人としてではなく、何もない『私』としてお傍にいたいと……」
そう言ってリズは私の服の裾を掴んでくる。そういえば最近リズとの接触が増えたな。まあ嫌いではないので特に咎めたりはしていないが。
「…なるほど、そういうことでしたら、わたくしのことも他の呼称にしていただけないでしょうか。お二人のサポートをするにあたっての、心意気と言いますか」
「…アズリウス、君はそこまでしなくてもいいんだぞ?」
「いえ、これはわたくしがお二人にそうして差し上げたいのです。今の話を聞いて強くそう思いましたわ」
アズリウスの目には覚悟が見える。ずっと気遣っていてくれていたらしいから、やはり自分に出来ることをするのだろう。
……ふむ、そういうことならお願いしたいが、別の呼び方か……。
「…では、無難に“アズさん”で、どうでしょう……」
どうしようか悩み始める前に、リズが提案する。“アズさん”、いや私の場合は“アズ”になるのかね。
「いいじゃないか。ではこれからは“アズ”と呼ぶことにしようかな。どうだ?」
「アズ……とても素敵ですわ。是非お呼びくださいまし」
「決定だ。改めてよろしくな、アズ」
「…よろしくお願いいたします、アズさん……私のことも、是非“リズ”とお呼びください……」
「わかりましたわ、リズさん」
「はは、こうしてみると二人が姉妹みたいだな。二人とも丁寧な口調だし」
なんてゆるやかな会話を楽しもうとして、私達三人のカップのお茶がなくなっていることに気が付いた。
「二人とも、お茶がなくなっているな。おかわりはいるか?」
「……そうですわね、わたくしはいただこうかしら。リズさんは如何なさいますか」
「…私も、いただいて宜しいですか…せっかくなので、アズさんともう少しお話がしたいです……」
「……いいじゃないか。そういうことなら、茶だけでなく気合もいれて来よう」
そう言って一旦ソファから立ち上がってそこに置いてたトレーにカップを乗せようとしたとき、扉がノックされる音が聞こえた。二回目である。誰だろうか。時間的にもう皆は仕事を終えているだろうから、あるとすれば遊びに来たくらいか?
「…はい、どうぞ」
「こんばんはドクター、暇だったから遊びに……って、アズリウスさん?なんで…というか、お茶してたの?」
リズに促され入ってきた人物は、アズがいることに驚きを隠せなかったようで動揺しているように見える。まあ、確かに彼女がこんな時間までここにいるのは珍しいしな。
「遊びに来たのか?タイミングが良かったな、今ちょうど茶のおかわりを作ってこようと立ち上がったところなんだ。君も飲むだろう?プラチナ」
「飲むよ。当たり前だよね。ここで何を話していたのか、
さて、さっきのシーンの焼き直しと行こうか。
*************
「なるほどね~、ドクターの声ってなんでここでだとあんなに感情が籠ってないんだろうと思ってたけど、そういうことだったんだ。ドクターのことに気づいてあげられなかったのは悔しいけど…」
例の話を一通り聞いたプラチナの反応は、アズほどではないもののだいたい似たような反応をしていた。彼女はひどく気まぐれで普段から他人のことを気にかけるような性格ではないが、一応私のことはそれなりに思うところがあったらしい。私は私で、ここに来て少なくとも二人が“心から”私のことを心配してくれていることが発覚して現在困惑中なわけだが。
「なるほどね~……そっか、そういうことなら私も二人のサポートをしようかな。私としても、ドクターには万全でいてほしいし、そもそも……」
「……そもそも?」
「……いや、なんでもない。とにかく、私も個人的にドクターのことは心配してたから」
「……あ、ああ。ありがとう」
プルルルル……
「おや?電話がなっているようだな、少し待っていてくれ」
デスクに向かい受話器を取る。
「もしもし」
『もしもしドクター、フロストリーフだ。突然で悪いが少し検診してほしいオペレーターがいる。気になることが起きたのでな』
「リーフ?何があったんだ?」
『…………ああ。ポプカルが、昨日の戦術演習の周回のとき以降軽い頭痛が起きているらしく、1日経ってもひかないから不安だと。ケルシー先生は今は忙しいらしいくダメだったからドクターに連絡させてもらった。今大丈夫だったか?』
「いや、タイミング的には割と厳しいが、そういう事情なら仕方ない。すぐに向かおう。場所は…ポプカルがいるとなると3階の宿舎か?」
『そうだ、邪魔してしまったようですまないが助かるよ。彼女にもすぐにドクターが来ると伝えておこう』
「了解」
受話器をかける。そうか、ポプカルの症状は一応安定しているから戦術演習ごときで突然悪化する、なんてことはなさそうだが念のため検査した方が良いだろう。リズやアズ、プラチナともう少し談笑したかったが仕方ない。
「ドクター、何かあったの?」
「ああ、どうやらオペレーターの一人が軽い不調になっているらしい。私は今から宿舎に行って診てくるから、この機会に3人は交流を深めておくといい。もしお開きになったら、一応リズは私が帰ってくるまでここに残っていてくれ。食器等は放置でいい。では少し行ってくるよ」
まあ、大したことがなければいいな。
*************
「ドクターはああ言ってたけど、皆帰ってくるまで残るつもりでしょ?私としては、ナイチンゲールさんに聞きたいことがあるんだけど」
ドクターが去ったこの執務室には、女性オペレーターが3人。騎士殺しのアサシンであるプラチナ、毒使いの暗殺者であるアズリウス、そして鳥籠の天使であり現秘書のナイチンゲール。
この3人はいずれも現段階でドクターの異常性を把握している数少ないオペレーターである。アズリウス、プラチナ共にドクターに対して人並み以上の気遣いをしており、自分に出来ることはないかと日々頭を悩ませていた。そんな二人を差し置いて、異常な精神性の持ち主であり身体にいくつもの障害を抱えていた(と二人は認識している)ナイチンゲールがいつの間にかドクターに変革をもたらしているという事実に、彼女らは少なからず疑問を抱いていた。
アズリウスとプラチナはよく作戦で同じになることが多く、同じ狙撃オペレーターでもあるためよく会話をすることがあった。その流れでお互いがドクターの身を案じていることもなんとなく把握はしていたのである。
さて、ではその疑問とは一体何か、それは一人のオペレーターのプライド____
「……さて、ナイチンゲールさん、いやリズさんか。貴方は、ドクターのことをどう思っているの?」
____つまり、ドクターへの気遣いが
「……私、ですか?私は、ただ……」
一つだけプラチナに落ち度があるとするなら、それは彼女がナイチンゲールの異常性をまだよく理解していなかったことだろうか。
彼女が思うより、鳥籠の天使には人間味に溢れた複雑さがあるわけではない。
「……ただ、あの方を独りにさせたくないだけです……今現在あの方は、私と同じ境遇にいて…心が、使命感と自己犠牲に囚われている、と言いましたが……きっとそれは、そのまま止まることはないでしょう……ですから、私は…ドクターのお傍で、終わりが来るまで…」
「………そっか」
プラチナ、アズリウス、その他秘書に任命されたことのあるオペレーターたちも、かつてドクターに「どうしてそこまで働くのか」と聞いたことがある。当然その時もドクターにはぐらかされたのだが、皆してそこで引き下がってしまった。ここで踏み込むべきではないと。
ただしナイチンゲールは別だった。その精神はひどく破滅的かつ純粋で、故に自分の思うように行動することとなった。そのドクターに対しての、ある種の裏表のなさが彼の心を繋ぎ止めかけている。
が、ナイチンゲールは自分の環境と状況をよく理解している。この身も心も使い物にならない自分では、せいぜい傍にいるのが精いっぱいだと。
だから、彼女の次の言葉はプラチナとアズリウスを大きく困惑させることとなる。
「……そこで、貴方がたにも協力していただきたいのです……一緒に、ドクターを支えていただけないでしょうか…?」
「……うん?いやだから…」
「わたくしたちは、元より貴方がたお二人のことはサポートするつもりですが……」
「…いえ、私達ではなく、ドクター一人に注力していただきたいのです……私はこの通り、自由に動けるわけではありません…私一人では、些か力不足かと思われます……ですから、私が出来る範囲、以外のところで…貴方がたにお力添えを願いたいのです………」
ナイチンゲールの言葉は、プラチナとアズリウスに彼女の本質を理解させるには十分だった。
「…わかった。そういうことなら、私も本気を出すよ。カジミエーシュ無冑盟所属のアサシンと、乙女のプライドにかけて、ドクターを支える」
「わたくしも微力ながらそうさせていただきますわ。わたくしに触れてくださって、些細な夢を叶える機会まで与えてくださったんですもの。そのお礼として精いっぱい頑張りますわ」
「え、アズさんって触ってもいいんだ。今まで勝手にダメそうと思っててごめんね。それならこれからは遠慮なくからかおうかな」
「ふふ、お手柔らかにお願いしますわ」
「…私も、アズさんに触ってもよろしいでしょうか……その、首の鱗が、とても綺麗ですから……」
「構いませんわ、リズさん」
そうして、険悪になるかと思われたドクター不在のお茶会は予想外の形に収まることとなった。
*************
結果から言うと、ポプカルの病状は進行していなかった。どうも最近訓練に精を出しているそうで、その疲れが回ってきたのだろう、という話に落ち着いた。リーフも「それなら良かった。全く、ちゃんと休むべきときは休むものだぞ」と安心したようだ。今となってはその言葉が軽く私にも刺さったわけだが。
リーフに「ドクター、いつもより幾分か調子が良いようだが何かあったのか?」と聞かれたので、かいつまんで伝えておいた。まあ私の把握している情報をざっくりとまとめただけだが。
その話を聞いた彼女はとりあえずは納得してくれたみたいだ。この調子で行くと執務室でオペレーターと話すたびに聞かれそうだが…わざわざ全員に一斉に伝えるほどのことではないだろうから都度話すつもりでいるが。
「さて、もうすぐ執務室に帰り着くが、おそらく狙撃勢は帰ってるだろうな」
そんなことを考えているうちに執務室が見えてきた。灯りはついているから少なくともリズが残ってくれているのは確定だ。
どうやって労おうかと頭を巡らせていると、一人しかいないであろうその部屋から話し声が聞こえた。それも複数。
おや?これはつまり…
扉を開ける前に、少しだけ聞き耳を立ててみる。
『へぇ、アズさんって料理が得意なんだ。じゃあ食の方面は担当できそうだね』
『そうですわね。頑張りますわ』
『私はあんまり得意じゃないから助かるね、リズさんは?』
『…記憶がないので、過去にどうだったかはわかりませんが…今のこの体では、少し難しいですね……ですので、アズさんにはこれからお世話になるかもしれません……』
『わたくしの部屋はこのフロアですので、作りに来ましょうか。せっかくならお二人もいかがですか?リズさんは現在の秘書ですから、この隣だと思いますが…プラチナさんは如何でしょう?』
『実は私、秘書用の部屋の3つとなりなんだよね。ドクターのとこに遊びに行きたくてちょっといろいろ手を回したんだ。それより、私もいいの?』
『もちろんですわ。これもドクターのためになるでしょうし。あ、でもドクターからお許しを頂けるかどうか…』
『まあ、ドクターなら大丈夫でしょ~』
…なんだか、この短時間で3人とも仲良くなっていないか?何があったんだ?
まあでも、リズが他のオペレーターたちと仲良くしているのはとても嬉しい。せっかくだし、私も話に混ぜてもらうとするか。
私は嬉しさと温かさで少しだけ軽くなった心のままに、未だに花が咲いている執務室へと勢いよく入っていった。
ごめんなさい。何故かこうなりました。反省はしていません。
メインはやっぱりリズなのでそこは悪しからず。
良ければ感想評価等、是非。
ところで全然関係ない話なんですが、局所的に流行っている机の上アズ&机の下フィリオとかいう脳破壊シチュ、ネタとわかっていてもめっちゃ好きなんですよね。本編には全く関係ないですが。