ナイチンゲールは支えたい   作:織部よよ

6 / 25
6月20日「お、赤評価バーになっている…UA数がもうすぐ1500か、伸びが早いな…」

6月22日「UA2800…2800?本当に?赤評価バーってすごい……」

6月26日(投稿日)「さて書き上げたし投稿しよう。お、UA4000超えてるじゃん……ん?4000???(思考停止)しかもアークナイツSSで評価平均トップ??」





と、いうわけで……赤評価バー(→現在評価平均1位(←!?))&3…4,000UA記念(←!?!?)。そう、番外編です。正直自分の妄想の垂れ流しをずるずる書いているだけなのでここまで伸びるとは思っていなかった。

さてその番外編は何か。タイトルからわかる通り、(実はこのシリーズを思い浮かんだ辺りからいつか書きたかった)「青く燃ゆる心(オブフェス編)」ですね。


ところで皆さん今一度リズの信頼200のボイス聞いてください。聞き直したらそれまでのボイスよりかすかにドクターへの信頼や気持ちが乗せられているようにしか聞こえなくてあまりの尊さに頭を壁にぶつけてましたやっぱリズは天使だわほら皆さん早くいかなる手段を以てしても聞いt



#4 OF-LPA1 ひと夏の始まり

「……観光都市シエスタ?」

 

「ああ。ここのところずっと忙しかったからな。私はあまり興味はないが、この際だ。休暇でも取るといい。お前に致命的な不調が生まれてはロドスにも少なからず影響があるからな」

 

 

ある日ケルシーに呼び出されたと思ったら、突然そんなことを提案された。

 

観光都市シエスタ。今の環境では珍しく移動都市ではない都市であり、活火山が近くにあって毎夏には「オブシディアンフェスティバル」と呼ばれる都市全体を以てミュージックフェスティバルを催す都市。ビーチと海(実際には巨大な湖らしいが)もあり、毎年たくさんの人が訪れる有名な観光地だと。

 

 

そんなシエスタが例年通りフェスを開催するらしく、それに合わせて観光してこいというのがケルシーからの提案(というよりほぼ命令)だった。

 

 

「いいじゃないか。オペレーターたちにもいい羽休めになるだろうし。ありがとう、ケルシー」

 

「待って!私も行きたい!」

 

「大人しくしておけブレイズ。まだ怪我の治療が済んでいないのだから」

 

 

うちの前衛オペレーター・ブレイズが傷だらけの体を無理やり起こして抗議してくるが、彼女の怪我はそれなりに深い。ブレイズには申し訳ないが、やめておいた方がいいだろう。

 

 

「まあ、ブレイズはまた別日にどこか連れて行ってやるさ。だから今は体を治すことに専念してくれ」

 

「む…ドクターまで。でもまあ仕方ないか…」

 

 

そんなこんなで、今年の夏はシエスタで思いっきり観光と羽休めをすることとなった。

 

 

 

 

 

*************

 

 

 

 

 

「…シエスタ……観光都市、ですか」

 

「お祭りやるんだ?楽しそうだね」

 

「そこに、ケルシー先生から暇のために行くように言われて、私たちにも話を?」

 

「ああ、是非皆にも一緒に来てほしいと思ってな」

 

 

ケルシー呼び出しから帰った後、リズ、プラチナ、アズに先のケルシーの話を聞かせた。流石に一人(アーミヤも来るらしいが)で行くのは気が引けるし、私だけではまともに楽しめるか怪しい。アーミヤが他のオペレーターにも声をかけるだろうが、私も私で普段からお世話になっている3人は誘っておきたいと思っていた。

 

特にリズはまともに外出が出来ていないから、この機会に少しでも外の世界に触れてほしいというのもある。プラチナとアズがいればちゃんとサポートしてくれるだろうし。

 

 

「どうだろうか。私一人ではどうにも不安でな」

 

 

そうやってお願いをすると、意外にも真っ先に反応したのはリズだった。

 

 

「……私は、少し行ってみたいかもしれません…今までは、気にも留めませんでしたが…今は、ドクターがいらっしゃいますから…」

 

「……リズ」

 

「私も行きたい。お祭りに興味があるっていうのもあるけど、やっぱりドクターが行くなら行かないわけには、ね」

 

「わたくしもご一緒させてくださいまし。ドクターに加えてリズさんとプラチナさんも同行するのなら是非とも、ですわ」

 

「プラチナ、アズ」

 

 

目の前にいる3人は、皆大なり小なり目に期待を孕んでいる。あのリズでさえだ。どうやら私の不安は杞憂だったらしい。理由も理由で、3人にそれなりに好かれていることに気が付き少し、貌が緩んでいるのを自覚した。

 

 

「…ありがとう、皆」

 

「それで、そのオブシディアンフェスティバル?のパンフレットとかあるの?やっぱり今から回るところはある程度考えておきたいよね」

 

「……事前に、訪れる場所を決めるのですか…?」

 

 

あ、そうか。リズは確かに記憶上ではこう言ったイベントごとは初めてだろうな。いやかく言う私も寸分違わず同じ境遇ではあるか。

 

 

「ああ、シエスタはフェスティバル中はかなりの人が集まるらしい。もちろん店とかも相応に多いだろうが、メインのミュージックフェスなんかもあるしある程度プランは組み立てておいた方が当日もぐだぐだしないで済むだろう。4人で行動することになるだろうしな」

 

「そうだね。やっぱりお祭りとなると全力で楽しみたいしそれがいいかな~」

 

「そうですわ、わたくしが皆さんの衣服をお選び致しましょう。こう見えてもわたくし、コーディネートは得意ですの。リズさんもうんと可愛くして差し上げますわ」

 

 

何それ見たい。おっと煩悩が。

 

 

「いいじゃないか。せっかくのフェスだ、いつもの服では観光だというのに気も詰まるものだ」

 

 

そう言うと、この場にいる私以外の人物が一斉にこちらに視線を向けてきた。何でしょう。

 

 

「…どうした?何かおかしなことを言っただろうか」

 

「いや……おかしいも何も、ブーメラン刺さりすぎだよドクター」

 

「……いつもドクターは、ロドスの制服ですから…ドクターも、たまにはただの『貴方』でいるのは、如何でしょう……?」

 

 

…ふむ、言われてみれば確かに、いつもロドスの制服のフードを被りマスクをしている。理由は私でも良く分からないが、何故だか普段から着用してしまうのだ。

 

だが…自らただの一個人であることを願ったリズにそう言われてしまっては頷くしかないじゃないか。よろしい。なれば私も、今回だけは。

 

 

「…たまには、私もドクターという立場を忘れて体を休めるのもいいかもしれないな。特に、リズにそう提言されては断る道理もない。当日は思い切って装いを変えていこう」

 

「…ドクター……」

 

 

思い切って宣言をすると、リズの顔が少し…いやそれなりに綻んだ。純粋な綻び具合(綻び具合とは)で言うならば過去最高かもしれない。それほど嬉しかったのだろう。見れば他の2人も似たような顔をしているし。

 

 

「期待してるからね、ドクター」

 

「記憶喪失なのだからあまり良く分からないことばかりだがな…まあ、頑張ってはみるさ」

 

 

 

 

 

*************

 

 

 

 

 

「…ごきげんよう……近頃は、あまりこうしてお話する機会も減りましたね……」

 

 

「…何か、嬉しいことがあったのか、ですか…?いつもより声音が弾んでいる……?」

 

 

「…そうですね…今度、ドクターやプラチナさん、アズさんと共に、シエスタという都市へ訪れるのです……ケルシー先生が、休暇にと…」

 

 

「…そこで、ドクターが『ドクターという立場を忘れて体を休める』と、仰いました……その一言が、私にとっては喜ばずにはいられないものなのです……」

 

 

「…あの方は、ずっと『ドクター』として周りに接していましたから…私と同じように、ただの一人として過ごすと、決めてくださったことは……本当に…」

 

 

「…私が、変わった…?前よりもずっと感情に富んでいる……?」

 

 

「…それはきっと、私がドクターのお傍にいると決めたから、でしょう…初めは、お傍にいて支えて差し上げたいと思っていましたが……最近は、ドクターといると胸に暖かみが差すことが増えました…シャイニングさんは、大切にしろと仰っていましたが…」

 

 

「…そうですか。貴方も、大切にすべきと仰るのですね…しかし、この暖かみが何なのか、貴方はご存じでしょうか……?」

 

 

「…自分で気付くもの、ですか…?そうじゃないと意味がない…?」

 

 

「……よく、わかりませんが…貴方がそう仰るのなら…」

 

 

「…はい。では、このあたりで……」

 

 

 

 

 

 

「……おやすみなさい、小鳥さん…」

 

 

 

 

 

*************

 

 

 

 

 

某日  10:00 a.m. 快晴

 

 

 

 

「…ずっと執務室に引きこもっていた身からすれば、この日差しと熱気と活気は慣れないものだな……」

 

「ドクター?どうかしたんですか?」

 

「ああ。フードとマスクを取るとどうにも落ち着かなくてな。だがまあせっかくの祭りなんだ、それ相応の装いをした方が、シエスタにもここにいる人たちにも失礼がないってものだ」

 

 

シエスタに来た私たちロドス一行は皆まとまって宿を取ったのだが、宿についた瞬間着替える暇もなくアーミヤに(半ば強引に)連れられて街中に来ていた。ここに来る前にロドスのパーカーとマスクだけでも外してきたが、それでもいろんな意味でアツいのはご愛敬というやつだろう。

 

 

「確かに珍しいですね、ドクターがマスクを外すなんて。日焼けするだとかで日差しが苦手だったはずでは?」

 

「…ま、ちょっとした気分転換さ。日焼けは日焼け止めを塗ればある程度は抑えられるが、今日くらいは相応の格好をして楽しんだ方が、その場の雰囲気を台無しにしてしまわないで済むからな」

 

 

まあ、リズたちとは午後から一緒に回ると取り決めているし、それまでに戻ればいいだろう。熱気にあてられたのか、自分でもわかるくらいにテンションが高い。これが人の活気の力か。

 

というよりアーミヤもロドス制服のままなんだな。

 

 

「…それじゃあ、一緒に見て回りましょう、ドクター」

 

 

 

 

 

*************

 

 

 

 

 

「…ドクター」

 

 

そうしてシエスタのストリートを回っている最中、不意にアーミヤから声をかけられた。

 

 

「どうしたアーミヤ」

 

「…最近、ドクターは変わりましたね」

 

 

…まあ、確かにリズやプラチナ、アズなんかのおかげでそこそこ良い感じに日々が回るようになってきたな。

 

 

「そうらしい。前よりずっと体も心も軽い」

 

「…何か、あったのですね……?」

 

 

アーミヤの顔は、この楽しい雰囲気にはそぐわない暗い表情を浮かべている。何かこちら側に問題でもあったのかと思ったが、思い返しても心当たりがない。その旨でも言った方がいいか。

 

 

「ああ、あったよ。以前よりも肩の力を抜いただけだが…そんなに暗い顔をする必要はないさ」

 

「…っ!そ、それはやっぱりもしかしなくてもナ「あれ、アーミヤちゃん、に……どちら様?」…!?」

 

 

アーミヤにいろいろ聞かれていると、聞き覚えのある声に話しかけられる。見ると、うちの補助オペレーターでペンギン急便のメンバーであるアイドル、ソラが困惑した表情で立っていた。この場に見合う夏の装いである。

 

 

「ソラ?こんなところで会うなんてな」

 

「まさかその声、ドクター!?いつものフードとマスクはどうしたの!?」

 

 

あー…やっぱりそういう反応になるか。わかってたとはいえ中々新鮮だ。

 

 

「また後で着替えるんだが……まあ、せっかくフェスを楽しむんだ、今くらいは私も羽目を外してみようと思ってな。その方がこの場にもこの活気にも合うってものだろう?」

 

「なるほど。ドクター、分かってるね!フェスに来ている客の人たちも皆熱に浮かされてるから、きっとそれくらいがこのフェスを楽しむにはベストだよ!というか、アーミヤちゃんはロドスの制服なんだね…?」

 

「…ソラさんおはようございます!!貴方がジャズのストリートにいるのは珍しいですね!もっと今時のポップな音楽のところにいるのかと!」

 

「アーミヤちゃん、怒ってる?」

 

「怒ってません!!」

 

「そ、そうなんだ……」

 

 

いや明らかに怒っているだろう、というツッコミはよしておいた。ソラでさえそれ以上深く聞くのをやめておくレベル。しかしまあ、私も何故こんなに目くじらを立てているのか分からないが。

 

 

「それで、私がここにいる理由だよね?そんなの決まってるよ!音楽に関してはどんなジャンルだろうと専門家なんだけど……実は、私の泊ってるホテルの近くで昨夜ライブがあって中々寝付けなくて。結局賑やかなままだから今日はここで休むしかないんだ」

 

「まあ、活気がある証拠だな」

 

「あはは、仕方ないよね。フェスだけじゃなくて海も結構な注目の的だし」

 

 

 

その後もソラと二、三言交わして彼女とは別れる。すると街全体に響くアナウンスが流れてきたので、二人して聞くことにした。

 

中身を要約すると、「シエスタは火山のおかげで観光都市として発展し、しかも火山から取れる黒曜石のおかげで鉱石病の感染率も低いから存分に楽しんでね」ということだった。その胡乱な内容の放送に、アーミヤと揃って首を傾げる。

 

 

「アーミヤ。今の放送だが、少し疑問点があったな」

 

「ええ。黒曜石が鉱石病を防ぐなんて話は聞いたことがありません。それにあのクローニンという天災トランスポーターの話し方は、本当に気持ちの悪いものでした…」

 

 

何かきな臭いものを感じるな。一応警戒はしておくか。

 

 

 

 

 

*************

 

 

 

 

 

その後も、火山の調査にやってきたスカイフレアとしっぽ…もといプロヴァンスとばったり出会ったりした。スカイフレアの興味にプロヴァンスの仕事と2人とも目的が合致しており、スカイフレアに至っては「研究することが休暇」だと言っていた。彼女の熱心さには本当に驚かされる。今度アーツ学について話し合おうか。

 

彼女たちとも別れ、更に歩いてビーチの方へ向かうことにする。

 

 

「それで、アーミヤ。さっきはなんて言おうとしていたんだ?」

 

「…!そ、そうです!ですから、ドクターの最近の変化は、ナイ……あ。あれはグムさんでしょうか?」

 

「ん?あ……本当だな」

 

 

アーミヤが視線を向けた方を見やると、またしてもうちのオペレーターであるグムが水着を来てアイスクリーム系の屋台を営んでいた。まだ高校生なのに店を出す、その気概に驚かされる。

 

グムと言えば、少し前に彼女からケーキを貰ったことがあった。あのときは今よりもずっと私がやつれていたときであり、そんなときに食べたケーキは彼女の爛漫さとやさしさが如実に表れていてとても心に沁みた記憶がある。そういえばあれから忙しい日々が続いてまだお礼を言えていないな。この機会にでも言おうか。

 

 

「グムさん!」

 

「あれ、アーミヤちゃんに…もしかしてドクターなの!?おはよう!」

 

「おはよう。御存じ皆のドクターだ」

 

「おはようございます。こんなところで露店ですか?」

 

「そう!ビーチの辺りのグルメエリアは、観光客もお店を出せるようになってるんだ。主催者の粋な計らいだね。こんなチャンスは滅多にないし、これはもうウルサス特製アイススイーツを披露するしかないと思って!」

 

 

そう言う彼女は、朝から元気そうに店を切り盛りしているが、結構賑わっているようで、少し疲れているように見える。どうやら人手が足りていないらしい。ふーむ………あ。

 

 

「…そうだアーミヤ。グムの店を手伝ってみたらどうだ?」

 

「ドクター。ナイスアイディア!確かにアーミヤちゃんが手伝ってくれたら今よりも手が回って、なんとかお客さんを捌けそうだよ!」

 

「え、ええ!?私ですか!?で、でも私はドクターと……」

 

 

ふむ……アーミヤは戸惑っているようだが、しかしグムが見るからに忙しそうにしているのもまた事実。出来ることならケーキのお礼も兼ねて手伝ってあげたいが、平々凡々な私なんかよりもアーミヤのような可愛らしい子が手伝った方が人も来るというものだ。なれば私が後押ししようか。

 

 

「いいじゃないか。中々出来ない体験だろう」

 

「うんうん!それにアーミヤちゃんみたいな可愛い子に店を任せた方がお客さんもいっぱい来るよ!」

 

「か、可愛いだなんて、そんな……で、でもそこまで言うなら仕方ありませんね…わかりました、お手伝いします」

 

 

どうやら彼女も褒められてやる気になったようだ。

 

その後アーミヤは機械の使い方を教えられたり服を着替えさせられたりで店に留まることとなり、結果的に彼女とここで別れる形になった。

 

 

「それじゃあグム、アーミヤをよろしく。アーミヤも頑張って」

 

「まっかせて!絶対二人で捌ききって見せるよ!ドクターも楽しんでね!」

 

「ああ、それじゃ……あ、待ってくれ、グム!」

 

 

そうして別れを告げ、グムたちが厨房に戻ろうとして__ある重要なことを伝え忘れていることに気が付き、慌ててグムを呼び止める。

 

 

 

 

 

「先日もらったケーキ、涙が出るほど美味しかった。ありがとう…それじゃあ二人とも、また」

 

「…どういたしまして!またねドクター!」

 

 

 

 

既に疲弊の色が浮かんでいた彼女は、それでも満面の笑みをもって私の礼を受け取ってくれた。

 

…本当に、ありがとう。

 

 

 

 

 

「……ドクターにナイチンゲールさんとのことを聞くタイミングを逃してしまいました!!アーミヤ一生の不覚……え?あ、はい。ここを回して氷を削ると…ふむふむ、だいたい把握しました…いいでしょう、CEOの底力を見せてあげますよ!!」

 

 

 

 

 

*************

 

 

 

 

 

思いがけず1人になってしまったので、もうしばらくビーチに留まろうと思いそこいらの店のテラス席に座っていると、1人の見知らぬ美女が相席してきたではないか。

 

あまり女性をじろじろ見るのはいただけない気がするが、目立つ格好なためについ目が引かれる。ほとんど水着ではというくらいの布面積の上下の服に、一見すると雨合羽のように透けている羽織りもの。ここまでは、まあフェスのことを考慮するとそこまでおかしいわけではない。

 

異質なのは、その背に背負っている矢のケースと、手に持っているコンパウンド式のボウガン。明らかに物々しい雰囲気を漂わせていて一目で只者ではないと判別できるだろう。

 

そんなどこからどう見てもやる気満々な格好の女性と席を共にしているため、気まずくて会話しようという気力が湧かないでいた。

 

 

「こちらウィスキーでございます。ごゆっくり」

 

 

どうしたものかと悩んでいると、いつの間にかウェイターがウィスキーをグラス2つ分持ってきていた。おそらく無料のものだろう、特に何か言うわけではなく届いた酒を一口煽る。

 

 

「…………」

 

「…………」

 

 

それでもまだ私たちの間には沈黙が流れ続けている。正直もう席を立ちたいが、もったいない酒の楽しみ方をするわけにもいかず、未だに腰は上がらないでいた。

 

 

「貴方の服、白衣ですか?観光客としては少々変わっていますね…?」

 

 

話しかけられた。

 

 

「…実は、着替える暇もなく連れに引っ張られてね。まあ、その連れも別の用で別れたが」

 

「それにしても、その白衣は暑いのではありませんか?」

 

「まあ、日焼け止めを塗るまでの辛抱だ。日差しが苦手だから丁度いい」

 

「それなのに、わざわざここに?本当に変わった人ですね」

 

「……」

 

「…そうえいば、私も大概な格好でしたね。すみません、そのウィスキーは奢らせていただきましょう」

 

 

…このウィスキーは無料で飲めるものじゃなかったのか…。一応ある程度金は持ってきているから払えないということはないのだが、ここは素直に奢られておこう。その方が向こうの気も済むだろうし。

 

 

「それじゃあ、遠慮なく」

 

「…ところで、この新興都市はお好きですか?私は愛しているのです、あどけないながらも元気よく育つ姿を」

 

「地元の人か?」

 

「いえ、出身は別ですが、私にとっては第二の故郷のようなものです。此処を守るのなら私の全てを賭けますよ。そういうものでしょう?」

 

「__リーダー。クローニン先生があなたを探しています」

 

 

やり手であろうフェリーンの女性と他愛もない話をしていると、黒服を着た褐色の男性がこちらに__正確には彼女の方に__来ていた。リーダーという呼び方や彼の服装から察するに、この女性はボディーガードや護衛のような団体の指揮官なのだろう。

 

 

「…分かりました」

 

 

そう男性に告げると、彼女は立ち上がり机にお金を置いた。奢りの話はナシではないらしい。

 

 

「それでは、私はまだ仕事があるのでお先に失礼します、見知らぬ人。貴方がこの町を好きになれるよう祈っています」

 

 

そうして彼女は足早に去っていく。

 

……それにしても、不思議な人だったな。もちろん雰囲気だけでなく格好も含めて、だが。

 

 

 

しばらく1人で残ったウィスキーを飲んでいると、不意にポケットの通信機が震えているのを感じた。誰からの連絡だ?

 

 

「もしもしドクター、聞こえてる!?」

 

「プロヴァンスじゃないか。一体どうした?」

 

「その前に、周りに人はいないよね?ちょっと大事な話だから!」

 

「ああ、1人で寂しくテラスにいるから大丈夫だが。妙に焦っているが本当にどうした?」

 

「この話は……下手すればこの都市の存亡に関わってくるかもしれないんだ……」

 

 

………神様は、私を中々休ませてはくれないらしい。どうやらこの夏はひと悶着ありそうだな。

 




6/26 「青く燃ゆる心」編、開幕。サイトのシナリオ翻訳とつべのストーリー動画を併用して参考にしているのでたまに名前がごっちゃになることがありますがご了承ください。こちらも気をつけます。



活動報告を書き始めました。活動報告(≒日常ツイートのようなもの)です。思いついたことをそのときに書くので活動報告(進捗の報告なども含む)です。リズが愛らしい話だったり原作との解離性だったり本当にいろんなことを思いつくままに書いているので良ければそっちも見てやってください。ゆるりと感想も待ってます。特に最新の活動報告は見て(切実)。

感想等ばしばし送ってきてくださいね。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。