とある洋食屋の物語 作:ジャンパー
感想、お気に入り、評価ありがとうございます。
今回のMorfonicaの新曲、めちゃくちゃカッコいいし、譜面も結構楽しいので飽きるまでずっとやってたい。
1日寝て休んで、すっかり風邪も治った。
全ての仕入れ先に連絡を入れ、魚河岸へと仕入れに向かう。
魚河岸でも心配されていたようで、やたらと労われた。
店の旦那が『これ持ってけよ!』と言って裏へ向かった時は思わずビクッとしてしまったが…。
貰ったのはポ○リではなく、サバだったのでちょっと安心した。
サバは通年、どの時期も親しまれている大衆魚だ。
サバにも色んな種類があるが、今回頂いたのはゴマサバという種類のサバ。
このサバはどの季節でもあまり味が変わらず美味しいが、強いて言えば夏が旬なので、今からがちょうど食べ頃だ。
旬のマサバに比べれば脂のノリは落ちるだろうが、この時期ならゴマサバの方が脂が乗って美味いだろう。
さて、どうやって食べようか。
ゴマサバはマサバに比べて身の水分量が多いからか、しめ鯖にするとうまくいかない事が多い。
無難に塩焼きか味噌煮か竜田揚げ辺りだろうか?
俺は旦那にお礼を言って、サバをどう食べるかを考えながら帰宅した。
ちなみに朝食は葵が作ってくれていたから、このサバを食うのも夜だな。
賄いの時にでも食おう。
そしていつも通り沙綾、はぐみ、ますきが仕入れの配達に来てくれたので昨日のお礼を言っておく。
その時に沙綾がポ○リ大増殖事件を知り、苦笑いしていた事をここに記す。
そんなこんなで朝は少しバタついたが、その後は仕込みをし、ランチオープンし、クローズしてからはコーヒーを飲みながら休憩をするという、何でもない1日を過ごしていたのだが…。
カランカラン
「うわああああああああああああああん!!!!悠介助けてええええええええええええええ!!!!!!」
俺の平穏な日常はこれにて終幕した。
「それで、一体何があったんだ?」
「ぐすっ…実は昨日…あの後に巴とモカとでラーメンとパンとケーキとコンビニを梯子したんだけど…それで…」
いや、もう聞かなくてもオチは見えてる…。
「モカが私に摂取したカロリーを全部送ってきたから太っちゃったのっ!!!」
「いや、それはない」
とんでもない現実逃避をしやがった。
いや、この前モカも同じ冗談を言ってたけどさ。
………冗談だよな?
「だから悠介っ!! なんかいいダイエット方法とか、ダイエットメニューとかないっ!?」
「ダイエットなぁ…」
まぁダイエット医学に関しては食事にも関わりがあるので調べた事はある。
しかし…
「ひまり、ダイエットについてはまだわからないんだ…」
「ええっ! 悠介にもわからない事があるのっ!?」
「いや、一体俺を何だと思ってるんだよ…。まぁわからないって言ったのは、ダイエット医学ってのがまだまだ解明されきってないからなんだが」
「えっ? でも野菜ばっか食べればいいとか、油とかのカロリーが高いのはダメとかよく聞かない?」
「その辺りも最近になって誤りなんじゃないかという研究結果も出ているらしい。昔の常識が今の非常識なんてよくある話だからな。今ではむしろ脂質を取れって言う意見もあるし」
「え…? じゃあ私が頑張って野菜を食べてたのは無駄だったって事…?」
「いや、それもまだはっきりとはわからないさ。野菜を先に食べたら血糖値が上がりにくいという研究結果があるのも事実だしな」
「よくわからないんだけど、血糖値って抑えないといけないの?」
「まぁ糖だってエネルギーになるから抑え過ぎはダメなんだろうが、上げすぎるとインスリンっていうホルモンがその分沢山出て、こいつが内臓脂肪を蓄えるんだよ。だから必要以上には上げない方がいいだろう」
「じゃあ結局何を食べたらいいのっ!?」
「あくまで現時点での話だが、米やパン、麺といった炭水化物を抜いて肉や魚、卵といったタンパク質を食べた方がいいと言われているな」
「そうなんだ…。…あれ? でもそれだとずっとパンを食べてるモカはなんで痩せてるの? ほんとに私にカロリー送ってるの?」
「これに関しては体質だと言われてるな。さっきも言ったインスリンっていうホルモンがあるんだが、これが生まれつき出やすいやつは太りやすい。逆に出にくいやつは太りにくいらしい」
ちなみにインスリンの量が必要以上に少ないのは良くない。
そうなると糖尿病になりやすくなるからな。
「という事はモカはそのインスリンってのが出にくいって事…? でもそんなのどうやったらわかるのさっ!?」
「ふむ…。ちょっと待ってろ」
そう言って、ある物を取りに行く。
そしてひまりに渡す。
「これを食べて噛み続けてみて」
「これは…クラッカー?」
「そう。これを甘味を感じるまで噛み続けてみて」
「んー、わかったよ。はむっ!」
そう言ってバリバリとクラッカーをかじるひまり。
それからずっと噛み続けていたのだが…
「……悠介? これ甘くならないんだけど?」
「ふむ…。そうなると、ひまりはインスリンが出やすい体質なんだろう…。目安としてだが、インスリンが出にくい人は30秒以内に甘味を感じるようになるらしいからな」
確かちゃんとした因果関係があったはずだが、詳しくは忘れた。
昔の修行先でチラッと聞いただけだしな。
「えっっっ!?!? あー、なんか急に甘くなってきたするなー!」
「嘘つけ!」
あまりにも白々しすぎてついツッコミを入れてしまった。
デモ、オレ、ワルクナイ
「じゃあ私はどうすればいいのーっ!?」
まぁその気持ちはわかる。
だが、まずこれだけは確認しなければいけない。
「ひまり、先に1つ聞いておきたいんだが…。お前、そもそもなんで痩せたいんだ?」
「……え?」
「いや、理由だよ。着たい服があるからとか、かわいく見られたいとか、健康の問題とか、色々あるだろ?」
「あー…えっと…」
何故か言い淀むひまり。
「そ…その中だと…かわいく見られたいから…かな…?」
ほう、えらくかわいらしい理由が出てきたな。
あんなに小さかったひまりも、もうこんな年頃になったのか…。
俺も歳を取るわけだ…。
「そっかそっか。ひまりももうそんな年頃か。あ、ちなみに誰にかわいく見られたいんだ?」
「え”っっっ!?」
なんかめちゃくちゃびっくりしている。
「例えばクラスの女子からだとか、Afterglowのファンだとか、幼馴染みみんなからだとか、はたまた気になってる男からだとか。それによって目指す体型って変わるだろうしさ」
「えっと…えっと…」
なんかめちゃくちゃ混乱して俯いているひまり。
言いにくいって事は、誰か意中の相手がいるって事だろうか。
「まぁ言いにくいなら言わなくていいけど、正直俺から見たら、ひまりはダイエットなんか必要ないぐらいかわいいと思うんだけどな」
「今なんて言った?」
ほぼ間髪入れずに真面目な顔をして聞き返してくる。
あまりに急な雰囲気の変化にびっくりした。
「え、言いにくいなら言わなくても…」
「もっと先っ!!」
「ダイエットなんか必要ない?」
「もうちょいっ!!」
「かわいい?」
「そうっ! 悠介的には私ってかわいい?」
「そりゃかわいいだろ。ひまりを見てかわいくないと思うやつなんかほとんどいないと思うけど」
「そっかそっか! 私はかわいいかー!!」
なんか急にテンションが上がったというか…上機嫌になった。
「じゃあ悠介っ! 私、練習あるからそろそろ行くねっ!」
「えっ? ちょっとひまり?」
「じゃあねーっ!!」
そう言って颯爽と出て行った。
「………」
まぁ思う所は色々あるが…今はいいや…。
とりあえずコーヒーでも飲むとしよう…。
その後、間もなくして帰ってきた葵にダイエットしたいかと聞いてみたら大層怒られた。
うん、まぁ仕方ない。
晩飯はサバを使ってスープカレーにしといた。
スープカレーは小麦粉が入ってないトロミのないカレーであり、使われている唐辛子やクミンといった香辛料は代謝向上やデトックス効果があるという。
サバ自体もインスリンが出にくい食材だ。
まぁ葵も別にダイエットなんか必要ないだろうが、久々にダイエット医学の話をしたせいか、作りたくなってしまった。
ちなみに葵はサバとスープカレーから察してしまい、火に油を注ぐ形になってしまった事をここに記す。
つーか葵も詳しいな…。
今回は少し短めでした。
ダイエット関係は目まぐるしく研究が進んでる分野なので、もしかしたらここで書いた事も数年したら有り得ない事になってるかもですね…。
最近ひまりもかわいいなと思う今日この頃。