とある洋食屋の物語   作:ジャンパー

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投稿ペースが遅くなってすみません…。
ちょっと仕事の方が忙しくなり、当面は週1ペースを目標します。

感想やお気に入り登録、評価もありがとうございます。




今日は今度こそ紗夜のバイト独り立ちの日だ。

 

この前は色々あって流れたが、初めて葵のフォロー無しでホールを回してもらう事になる。

 

今日がうまくいけばこの事が自信になり、最終的にはサービスの向上にも繋がるだろう。

 

とりあえず紗夜を待ちながらコーヒーを飲んでいるのだが、正直この前より今日の方がそわそわしてしまっている。

 

理由はまぁ恥ずかしいので言わないから、察してくれるとありがたい。

 

現在時刻は16時。

 

おそらくそろそろ来るだろうって事で、いつものお茶セットを用意しておく。

 

あの大量のポ○リを消費しなければならないという事で、昨日今日で色々作ってみた。

 

ゼリー、シャーベット、フルーツポンチと作ってみたので、紗夜と葵の感想でいい物を大量に作ろうと思う。

 

シャーベットは少しだけはちみつを加えて、凍らせては混ぜての繰り返しでキメの粗いグラニテにし、フルーツポンチはシロップではなくポ○リで作ってみた。

 

ちなみに個人的にはシャーベットが一番好きだ。

 

 

それから少ししたら葵と紗夜が帰ってきたので、一通り試食してもらったのだが、葵はフルーツポンチで、紗夜はゼリー推しだった。

 

綺麗に意見が別れたから参考にならなかった。

 

 

 

 

そして時刻は16:55。

 

紗夜の単独ホール担当が始まる。

 

葵は後で様子を見にくると言っていたが、今は部屋に戻っている。

 

紗夜はとても緊張しているのか、さっきからずっと深呼吸を繰り返している。

 

ついでに言うと、なんか動きが固い。

 

 

「そんなに緊張しなくていいよ。紗夜のこれまでの仕事ぶりを見てたら問題ないだろうし、いざとなれば俺もフォローするからさ」

 

「大丈夫私は落ち着いてます。ええ、落ち着いてますとも。本当ですよ本当」

 

「いや、どう見ても落ち着いてないから」

 

 

 

妙な早口で捲し立ててくる辺り、明らかに普段と違う。

 

ふむ、このままでは良くないな…。

 

そんな時、ふと悪戯心が芽生えた。

 

うまく行けば荒療治にもなるだろうし、やってみるか。

 

 

 

「紗夜」

 

 

名前を呼び、抱きしめながら頭を撫でる。

 

 

 

「緊張するのはわかるけど、そんなに慌てなくてもいいよ。何かあったら俺が必ずフォローするから」

 

 

そう言うが、紗夜からの返事はない。

 

チラッと顔を見ると、真っ赤になっており、完全に固まってしまっていた。

 

どうやら逆効果だったらしい…。

 

まぁそんな気はしていたが。

とりあえずオープン間際だし、更に本当の荒療治を施行せざるを得ない。

 

 

 

「ていっ!」

 

 

そう言って紗夜の頭にチョップを入れた。

 

 

 

「きゃんっ!」

 

 

急に飛んできたチョップに驚く紗夜。

 

半泣きしながら恨みがましい視線を投げてくる。

 

 

「落ち着いた?」

 

「ええ、おかげさまで」

 

「それなら良かったよ」

 

「そうですね。まさか急に抱き締めてきた直後にチョップ入れてくるとは思いませんでしたが」

 

「それは紗夜が起動しないからだよ」

 

「それはそうかもですけど、上げて落とすのは酷いです」

 

「上がってたの?」

 

「…言葉の綾です」

 

 

 

まぁこれだけ普通に会話出来るなら問題ないだろう。

 

もうちょい弄りたいけど、時間もないし我慢しとこう。

 

 

「じゃあ落ち着いたところで、オープンしようか」

 

「はいっ!」

 

 

 

 

カランカラン

 

 

おっ、早速お客さんが

 

 

 

「お姉ちゃーん!! 来たよー!!」

 

 

 

思わず脱力した。

 

 

 

「日菜っ! なんで来たのっ!?」

 

「えー? だってお姉ちゃんの制服姿が見たかったんだもーん。やっぱりお姉ちゃんすっごく似合ってるね! るんっ♪ときたっ!」

 

「もう…。ならこれで満足したでしょ? 早く帰りなさい」

 

「えー、でもあたし、まだお姉ちゃんにサービスして貰ってないし、ゆーくんのご飯も食べてないもん」

 

「もう…あまりわがまま言わないの」

 

 

 

なんか急激に仲良くなってるね、この2人。

 

 

「まぁまぁ、お客さんって言うんならちゃんと接客しないと。ほら、日菜ちゃんを席に案内してオーダー取って」

 

「…わかりました。どうぞこちらへ」

 

「はーい!」

 

 

 

席に向かう時、日菜ちゃんがこちらにウィンクをしてくる。

 

感謝の意なのだろうが、顔は紗夜にそっくりだからドキッとしてしまうのでやめてほしい。

 

まぁ紗夜の接客練習相手にはちょうどいいかと思っておこう。

 

そしてそのまま紗夜が日菜ちゃんにオーダーを取っていたら

 

 

 

カランカラン

 

 

 

「やっほー! 悠兄ぃ! 紗夜さん!」

 

「こんばんは〜! ってあれ? 日菜もいるじゃん!」

 

「一番乗りを逃したわね…」

 

「…氷川さんの妹さんなら…仕方ないですね…」

 

 

 

今度はRoseliaの面々、もとい練習相手その2がやってきた。

 

仲間に恵まれているようで何よりだな。

 

しかしその後も

 

 

 

「おっす、悠介! …あれ.、あこもいるのか?」

 

「というか、Roselia全員に日菜先輩までいるよ…?」

 

「今日は紗夜先輩の日なんですね!」

 

「ゆーくん、モカちゃんはお腹が空きました〜」

 

「…葵姉ちゃんじゃない…」

 

 

 

Afterglowのみんなが来たり

 

 

 

「悠介ー、ペペロンチーノ食べたいなー……って、どんな状況なの、これ…」

 

 

沙綾も来た。

 

 

 

みんな顔見知りの女子高生(あこを除く)とは言え、さすがにこれは忙しい…

 

 

そんなわけで

 

 

 

「葵ー!! ヘルプー!!」

 

 

 

保険を掛けといて良かったと心底思った。

 

紗夜も手際良く回しているが、そもそも1人で捌けるレベルを越えてしまったのだ。

 

ほぼ一斉に11人入るのは想定外過ぎる…。

 

時間をかければいけるのだが、初の1人回しでこれはきついだろう。

 

なんだかんだですぐ降りてきてくれた葵に感謝だ。

 

降りてきた葵はメンバーを見てビックリしていたが。

 

ちなみにオーダーは日菜ちゃんがオムライスとフライドポテト。

 

Roselia全員もオムライス。

 

君たち、この前食べたよね?

 

まぁまた食べたいって思って貰えるのは、街の洋食屋としてはとてもありがたいんだけどね。

 

Afterglowの面々もそれに釣られたのかオムライスにしていた。

 

ちなみにモカと巴は大盛りだったので、チキンライスが瞬殺されてしまった。

 

沙綾が流れでオムライスにしようか悩んでいたが、チキンライスが切れた事を告げるととても複雑そうな顔をしていた。

 

とは言え、元々ペペロンチーノって言って入ってきたんだからそっちにしてくれ。

 

沙綾の好きなチーズを多めに振り掛けておいたら、あっさり機嫌を治して食べていたからチョロいなと…

 

あと、紗夜は日菜ちゃんにフライドポテトを持っていく時にめちゃくちゃ目が泳いでいた。

 

食べたくて仕方なかったんだろう。

 

そして日菜ちゃんに『あ〜ん』をされた時は本当に食べそうになっていた。

 

結局皆の目があったからかギリギリで拒否出来ていたが、あれは2人しかいなかったら『仕方ないわね…』とか言いながら食べていたに違いない。

 

紗夜はなんだかんだでチョロいところがあるからな…。

 

そんなわけで

 

 

 

 

「紗夜」

 

「…? なんですか?」

 

 

紗夜を他人の目を欺きやすい死角へと呼び出して

 

 

 

「紗夜。はい、あ〜ん」

 

「なっ! 悠介さんっ!?」

 

 

 

当然のように困惑している。

 

そりゃそうだ。

 

俺からこんな事するのは初めてだからね。

 

『あ〜ん』してくるとは夢にも思ってなかったのではないだろうか?

 

でも、俺だって紗夜のかわいいところが見たいのだ。

 

今思えば俺もかなり暴走していた気もするが、一度沸いた欲というものはそう簡単には収まらない…。

 

そして紗夜も戸惑いながらも

 

 

 

「はむっ!」

 

 

 

ポテトの誘惑に負けていた。

 

ゆっくり咀嚼し、嚥下する。

 

とても至福の表情だ。

 

 

 

「悠介さん…。もっと下さい…」

 

「紗夜、それはズルい」

 

 

 

そういう事は他の人にやってはいけないよと教え込みつつ、紗夜にポテトを更に与える。

 

紗夜はそのポテトを美味しそうに、そして何故か艶っぽく食べる。

 

あ、ダメだ。

 

これは新しい扉を開いて……

 

 

 

「…兄さん?」

 

 

 

その瞬間、空気が凍った。

 

 

 

「あ…葵…?」

 

「…兄さん、そういう事は他の人の目がない所でお願いしますね…?」

 

 

 

顔は笑ってるが、目は笑っていない。

 

というか、気付けば店内の皆がこちらを見ていた。

 

 

「お姉ちゃん…すっごくかわいいっ! るんっ♪ってきた!」

 

「悠介…? いつの間に紗夜先輩とそんな関係に…?」

 

「お〜、ゆーくんも大胆だね〜」

 

「あはは…。まさか紗夜が一番最初に大人の階段を登るなんてね…」

 

「悠介ー!! 私にもやってよ!!」

 

「ねぇ、りんりん? 大人の階段って何?」

 

「えっ!? あ…あこちゃんには…まだ早い…かな…?」

 

 

 

あとのみんなは顔を真っ赤にして俯いている。

 

やば…ひょっとしなくても…やらかした…?

 

この状況、どうやって収束させれば…

 

 

 

 

カランカラン

 

 

 

 

「おお、何やら今日はすごく混み合ってるね…。しかも女の子ばかりで…。もしかしていっぱいかね?」

 

「村松さんっ! 大丈夫ですよっ! ほら紗夜、案内して」

 

 

 

渡りに船とはこの事だ。

 

これで追求を逃れられ…

 

 

 

「悠介? あとでちゃんと説明してね?」

 

 

 

とても笑顔なのに、目は全く笑ってない沙綾だけは回避出来なかった。

 

というか、沙綾ってこんな子だったっけ…?

 

もう1人の当事者の紗夜は村松さんと話し込んでいる。

 

葵は湊さんと猫談義をしており、うちの猫を見る為に2Fへと上がっていった。

 

それを追い掛けるように蘭も上がっていく。

 

日菜ちゃんはるんっ♪って来たって表情でこちらを見ているし、ひまりはなんか半ベソかいてるし、他のみんなは苦笑いって感じだ。

 

あ、あこは多分わかってない。

 

あれ? これもしかして味方がいない…?

 

結局何故か沙綾にお説教され、ひまりと一緒にやけ食いと称してシャーベットとフルーツポンチとゼリーを大量に食べて帰っていった。

 

おかげであれだけあったポ○リもかなり消費できたのは僥倖だったが、なんか妙に疲れたな…。

 

そして閉店までずっと居座った湊さんと蘭、それに日菜ちゃんと今井さん。

 

日菜ちゃんはずっと紗夜が働いてるところを見学しながら今井さんと話をしていた。

 

今井さんは湊さん待ちのようで、『猫が絡んだ時の友希那はいつもこうだから』と慣れた感じだった。

 

そして日菜ちゃんは何やら決心したようで

 

 

「ゆーくん!! あたしもお姉ちゃんと一緒に働きたいっ!!」

 

 

なんて宣ったのだった。

 

え、もしかしてまだバイト増える?




そんなわけで日菜も正式にバイトします。
紗夜日菜てぇてぇ
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