とある洋食屋の物語 作:ジャンパー
最近バンドリにハマり、皆さんのを読んでいたら挑戦してみたくなりました。
高頻度の更新にはならないと思いますが、気長に付き合って頂ければと思います。
「ありがとうございました!またのご来店をお待ちしております!」
最後の客が帰り、店内は俺と葵の2人だけになった。
葵が食器を片付けている音をBGMに軽く身体を解す。
ああ、申し遅れた。
俺の名前は東雲悠介。しがない洋食屋をやっている26歳だ。
こんな苗字だが、しののめって読むんだ。
そしてそこで器用にトレーに食器を積み重ねて運んでいるのは妹の葵。
花咲川女子学園っていう、近くの女子校に通っており、今年から2年生だ。
身内贔屓かもしれないが、これまた器量良しとして成長し、今となってはうちの看板娘だ。
まぁ他のスタッフはランチタイムの近所に住む主婦の方しかいないんだけどな。
早くディナータイムのバイトが見つかるといいんだが。
ちょっと前まで近くの大学生の子がバイトに来てくれていたのだが、卒業旅行前にやめてしまい、それ以来募集はすれども一向に希望の連絡は来ない。
たまに近くのお店の子達が手伝ってくれる事はあるのだが、まだ高校生の葵にずっと出てもらってばかりなのも…とは思っている。
ちなみに両親は俺が高校生の頃に事故で他界してる。
どこかの親族に引き取られる話も出ていたが、そうなると俺と葵は離れ離れになるしかなく、それがどうしても嫌だった。
そこで俺は元々親父がやってた店を継続してやる事でなんとか葵とも暮らせている。
いずれ親父の跡を継ぐつもりで料理の勉強しといてほんと良かったと思ったし、周りのお店の人達にも色々助けられてなんとか軌道に乗った形だ。
この店も俺が引き継いでからはもう少しで4年経つ。
葵のためにもなるべく早く開けるため、近場で死に物狂いで修行したもんだ。
「兄さん、片付け終わりましたよ」
身体を解しながら物思いに耽っている間に片付け終わってしまっていたようだ。
ほんと仕事早いな、こいつ。
「そしたらとりあえず飯にしようぜ。何食いたい?」
「そうですね…。今日は少しハードでしたし、ちょっと重ためなものが食べたいです」
「了解。何出来るかちょっと確認するわ」
そうして冷蔵庫の中を確認する。
「あー、唐揚げ、メンチカツ、フライドポテト辺りならすぐ出来るぞ?」
「それでお願いします!兄さんのフライドポテトはなんでかとってもおいしいですしね」
「特になんか特別な事してるわけじゃないんだけどな…。まぁいっか」
そんなわけでメニューも決まったし、準備していくとしますかね。
フライヤーに唐揚げを放り込み、フライドポテトとサラダの準備を始める。
フライドポテトは揚げ時間が他に比べて少ないから最後に作るとしよう。
ちなみにサラダはマストだ。
栄養価の問題もあるが、揚げ物ばっかりはさすがに俺の胃がもたん。
おっと、唐揚げも一旦上げとかないとな。
唐揚げは二度揚げすると表面はカリッと、中はジューシーになって美味いんだ。
そうこうしてるうちに晩飯が完成し、テーブル席に料理を運んでいく。
「葵ー!出来たぞー!」
2Fの自宅スペースに戻っていた葵を呼ぶ。
「はーい!今行きますー!」
そう言って葵が降りてくる。
「兄さん。あっくんの餌がもうちょっとで切れそうでしたよ。明日にでも学校帰りに買ってきますね」
「ありゃ、もうそんなに減ってたのか…。悪いがよろしく頼む」
あっくんとはうちで飼ってる猫の事だ。
ちなみに本名は曙(あけぼの)、略してあっくんだ。
なんでこんな名前かというと、俺たちの苗字の東雲から来てる。
どっちも同じ意味らしい。
「とりあえず唐揚げとメンチカツとフライドポテト。あと余ってたコーンスープとサラダな」
「うわあ!すっごく美味しそうです!それにこのコーンスープ、すっごく気になってたんですよ!」
ちなみにコーンスープも店で仕込んでた物である。
今日のはいつものとは違ったのだが、葵には見抜かれていたようだ。
「そいつは良かった。まぁ冷めないうちに食べようぜ」
「そうですね。じゃあ」
「「いただきます」」
とりあえず唐揚げから食うかと箸を伸ばし
カランカラン
扉が開く音がする。
ん?なんだ?
「すみません…。まだやっていらっしゃいますでしょうか…」
これが俺と彼女との初めての出会いだった。
バレバレかもしれませんが、ヒロインはまだ秘密です。
妹は敬語キャラにしましたが、特に意味はありません。