このカレイドなスレイヤーズに祝福を!   作:猿野ただすみ

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出逢いA(後編)

~稲葉リナ~

夢幻召喚を解除したイリヤとともに、少女二人…、めぐみんとゆんゆんへ向き直る。するとめぐみんが、真剣な眼差しであたし達を見つめ、口を開いた。

 

「リナにイリヤと言いましたか。貴女方は『リナ=インバース』という方と関わりはありませんか?」

 

……へ?

 

『おやまあ、またもやリナさん絡みみたいですねー』

 

いやまあ、ここまで来ると、何かの意思でも働いてるんじゃなかろーかと思えてくるわよ。……まさか[金色の魔王]って事はないわよね?

ま、ここはとりあえず確認を…?

 

「なななんですか、それはっ!?」

「杖が喋った!?」

 

……ああ。普通はこういう反応するもんよねー。

 

「なんかカッコいいです!」

「「「そこっ!?」」」

 

どうやらめぐみんの感性は、普通ではなかったらしい。

 

「えーと、ルビー(コレ)のことは置いといて。あなた達こそ、『リナ=インバース』とはどういう関係なの?」

「えっ? ……そうですね。時々、私達のパーティーと行動を共にする冒険者です。何でもエリス様に頼まれて、『魔族』と呼ばれる悪魔に似た存在を狩るために、異世界からやって来たと言ってますが」

 

なるほど、魔族絡みか。しかも異世界からやって来た、ね。

 

「とりあえず確認したいことが、……って、そういや一応名前はわかってるけど、まだちゃんとした自己紹介が済んでなかったわね」

 

自己紹介と聞いた瞬間、めぐみんはバッと立ち上がり、そして前のめりに倒れた。

 

「くうぅ、自己紹介もまともに出来ないとは、紅魔族にとって恥以外の何ものでもありません…」

「魔力切れじゃ仕方ないわよ。って言うか、めぐみんの自業自得でしょ?」

 

涙を浮かべ悔しがるめぐみんを、諭しながら煽るゆんゆん。よーわからんが、魔力切れで体を動かすのも儘ならないらしい。それなら。

 

「「ルビー」」

 

イリヤとハモる。どうやらおんなじ事を考えてたみたいね。

 

『やれやれ、ステッキ使いの荒い人達ですねー』

 

文句を言いつつもイリヤの転身を解き、ふよふよとめぐみんに近づくルビー。羽根の飾りでそっと涙を拭い、めぐみんに言った。

 

『ええと、めぐみんさんでしたか。私の柄を握ってください。そうすれば魔力の供給が出来ますよー?』

「ほ、本当ですか!?」

『ルビーちゃん、嘘つかない』

 

いや、アンタの場合、()()()()()()だけでしょうが。それに、ルビーの目的は多分…。

 

「信じますよ!?」

 

そう言ってルビーの柄を握った瞬間。

 

『コンパクト・フルオープン!

鏡界回廊最大展開!!』

 

ああ。やっぱり。涙を拭った辺りで怪しいとは思ってたのよねー。

めぐみんを覆う光が収まると、そこには。

白い袖無しのワイシャツの上に紅い袖無しの燕尾服。白いミニのフレアスカートを穿いて、白い長手袋に紅いロングブーツ。大きなリボンを蝶結びにして、中央に大きな宝石をひとつ着けたものが襟元に。髪の左右にはイリヤの時より大きめの羽根飾りで、イリヤ同様に小さなサイドアップを作っている。

まあ要するに、女性マジシャンのよーなカッコだ。

 

『カレイドルビー・マジカル☆めぐみん爆誕です!』

「めぐみん!?!?」

 

魔法少女姿になってポーズをつけるめぐみんを見て、半ばパニックに陥るゆんゆん。そして当のめぐみんは。

 

「フフフ…、ハァーッハッハッハァ!

我が名はめぐみん! 紅魔族随一のアークウィザードにして、爆裂魔法を操る者っ!!」

 

自らも気取ったポーズをとり、高らかに名乗りを上げた。……どうやら素でもこういう性格だったようね。

 

『ダメですよ、めぐみんさん。魔法少女の口上の時は、もっとカワイイポーズをとらなければ!』

「カワイイポーズ…。では、こういうのはどうでしょうか!?」

 

そう言うと、右人差し指を頬に当て、左足の膝下を後ろに跳ね上げる。いや、それ、OVA版プリティサミーの決めポーズだし。

 

「め、めぐみん! 何馴染んでるのよぉ!?」

 

うむっ、ゆんゆんが正しいと思う。

 

「……ねえリナ。めぐみんさん? を見てると、リナの昔のお友達を思い出すんだけど」

「あ、やっぱり?」

 

そうなのだ。めぐみんを見てるとあたしの前世の旅仲間、アメリアを思い出す。方向性は違うものの厨二病なあの性格、丁寧な言葉づかい、そしてあの名乗り。あたしにとっては、結構懐かしいものがあったりする。

と、感慨に耽るのはここまで。今はまだ、話の途中である。

 

「ええと、それであなたは…」

「あ、私は…」

「ゆんゆん!」

 

あたしが促して答えようとするゆんゆんに、めぐみんがきつい声で口を挟んだ。

 

「いつも言ってますが、紅魔族たる者、きちんと名乗りを上げられなくてどうするんです!」

 

……ええと、つまり。めぐみんの言うことが正しいならば、紅魔族という人種は厨二病爆発的な名乗りを上げるのがデフォルトだと。そんな人種、なんかやだ。

ゆんゆんは恥ずかしそうにブツブツ言っていたが、やがて意を決してこちらを向き。

 

「わ、我が名はゆんゆん! アークウィザードにして上級魔法を操る者、やがては紅魔族の長となる者!」

 

名乗りを上げ、そして顔を赤くする。うーん、この子、その紅魔族の中では変わり者扱いされてたんじゃなかろうか。あくまでめぐみん基準だけど。

さて、それじゃあこっちの番ね。

 

「あたしは稲葉リナ。剣士にして天才魔道士よ!」

 

そう告げると紅魔族のふたりが、え? という表情になる。ま、そりゃそうか。でも、説明はあと。今は自己紹介が先だ。

 

「ええと、わたしはイリヤスフィール・フォン・アインツベルン。今、めぐみんさんが持ってるステッキのルビーに騙されて、魔法少女をやってます」

『ヒドいですねー。騙してなんかいませんよー? ただ、情報の一部を開示しなかっただけじゃないですかー』

「おまいはどこの中間管理魔族だ!?」

 

ハッキリ言ってやり口が、詐欺師のそれである。……いや、あたしもよくやるけど。

 

「……ったく、まあいいわ。

さて、話を戻すけど、ふたりに聞きたいこと、というか確認したいことがあるんだけど」

 

あたしはゆんゆんに視線を移す。

 

「さっき、イリヤの衣装を見て何か呟いてたわね。あれってなんだったの?」

「あ…、あの時の衣装が、私とパーティーを組んでいる人の衣装とよく似ていたので…」

 

イリヤ(キャスター)の衣装が!? それって、ひょっとして。

 

「えーと、その人ってまさか、シルフィール?」

「えっ!? シルフィールさんを知ってるんですか?」

 

やっぱり!

 

「もしかしてだけど、他にもガウリイ、ゼルガディス、アメリア、あと、ナーガっていたりする?」

 

あたしは恐る恐る聞いてみる。

 

「ナーガという方は知りませんが、他の三名はリナの知り合いですね。実際今回も、リナとガウリイ、あとゆんゆんのパーティーメンバーであるシルフィールとクエストをしている最中でしたから。

……まあ、残念ながら、ゼルガディスとアメリアは王都に用事があって参加は出来ませんでしたが」

 

めぐみんの回答に、あたしは驚きつつも納得した。

 

「ねえリナ。これってどういうこと?」

「ん。多分だけど、いわゆる異世界転移とか異世界召喚、神様転生みたいのじゃない?」

 

あたしの憑依転生や逢魔さんの、一般的に言う転生(うまれかわり)みたいなのがあるのだ。フィクションに出てくるようなパターンが他にあっても、おかしくはないと思う。美遊世界のあたし(ミリーナ)だって、神様転生みたいなもんだったし。やったのはゼロスだけど。

 

「……イナバリナ、貴女は何者なのですか?」

 

めぐみんが核心を突いてきた。まあ、ガウリイ達の名前まで出したんだ。気になるのももっともだ。

 

「……あたしは、別の世界に記憶を持ったまま転生した、リナ=インバースよ」

 

()()()のあたし達がどの程度説明してるのかもわからないので、こんな感じで言ってみたんだけど…。

 

「別の世界への転生!?」

「そ、それじゃあ貴女は、リナさんが生まれ変わって…!?」

「ああ、いや…。ええと、並行世界…、って言ってもわかんないか。

そっちのあたしとは別の可能性の世界のあたし、って言えばわかるかな? あたしには、あなた達と過ごした記憶なんてないし」

 

正確に言えば、あたしとは別の可能性のあたしが、めぐみん達の世界に行ったってのが正しいんだろうけど。まあ、大体のニュアンスが伝わればいいので割愛しとこ。

 

「可能性の世界、ですか。つまり、(われ)が爆裂魔法を極めし世界というのも存在するかも知れない、ということですね?」

「私に友達がたくさんいる世界も…」

「それはありえませんね」

「なんでよおぉぉぉ!」

 

とりあえず、ふたりの理解が早くてありがたい。どうやら言動に拠らずこのふたり、なかなか賢いみたいだ。

 

「ええと、ところでめぐみんさんは、なんで魔力切れなんて起こしてたの?」

 

おおっと、そうだった。イリヤが尋ねなきゃ聞きそびれるとこだったわ。

 

「おお、聞いてくれますか!

実は先程、瘴気を撒き散らす真っ黒なドラゴンが現れたのです! そこで私は必殺の、爆裂魔法をお見舞いしてやったのですよ!!」

 

……瘴気を撒き散らす、黒いドラゴン? まさかそれって、魔王竜(デイモスドラゴン)じゃ…。

 

「でも、魔法って一回しか使ってないんでしょ?」

「……爆裂魔法は一日一回が限度の、魔力食いのネタ魔法です。しかもめぐみんは、爆裂魔法しか覚えてない上に全て威力上昇に注ぎ込んでるから、魔法を使ったあとはさっきみたいになってしまうんです」

 

なによそれ。全然ダメじゃない。

 

「……今、なにを考えているのか、当ててあげましょうか!?」

「多分、アンタのそーぞーどおりよ」

 

言って、ニッコリと満面の笑みを浮かべるあたし。すると、ビクリと肩をふるわせるめぐみんとイリヤ。いや、アンタまでビクつくことないでしょ。

 

「めぐみんを軽くあしらった!?」

「ゆんゆんは知らないのです! あの笑顔を浮かべたときの、リナの恐ろしさを!」

「そうだよ! 怒りを隠した上辺だけの笑顔! こういう時のリナは容赦がないんだから!」

 

いやまあ、確かにそのとおりではある。でも、さすがにこうもハッキリと言われると、我ながら悲しい気分になってくるんだけど…。

 

「……ま、まあ、怒っちゃいるけど。その、自らの危険も省みない魔法の覚え方がね」

 

強力な魔法に対してロマンを感じてるのかもしんないし、それは個人の自由ではあるけど、魔力切れでぶっ倒れる上にそれしか覚えてないなんて、問題外である。

 

「……こちらのリナにも諭されましたが、駄目なのです。私には、爆裂魔法しかないんです!」

「え、ちょっと…」

「『あの人』に憧れて、それでもパーティーのために諦めようとした私を、カズマが後押ししてくれたんです! だから、私には爆裂魔法しかないんです!!」

 

……ハァ

 

ひとつ、ため息を吐く。

 

「わかったわよ。ちゃんとした覚悟を持ってのワガママだってのは。悪かったわね」

 

あたしは素直に謝った。めぐみんは全てのリスクを踏まえた上で、敢えてその道を進んでいくと決めたんだ。

それでもパーティーの迷惑にならないよう、その道を閉ざそうとした彼女を踏み止まらせたのが、そのカズマという、おそらくはパーティーメンバーなのだろう。

……ん? カズマ? なんだか日本人みたいな名前ね?

 

「あの、私からも聞きたいことがあるんですが…」

「ん? ゆんゆん?」

「えっと、ここってどこなんですか?」

 

ゆんゆんの言葉に、あたしはイリヤと顔を合わせる。そーいや、この状況については一切話してなかったっけ。

あたしはひとつ咳払いをして、憶測ではあるものの、この状況についての説明をするのだった。




とりあえず、「Fate/Kaleid caster ドラまた☆リナ」と「この素晴らしい世界にドラまたを!」のネタバレが激しいですね。
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