このカレイドなスレイヤーズに祝福を!   作:猿野ただすみ

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一時間遅れましたが、今年分最後の投稿です。他と違って推敲が出来てないので、誤字脱字や読みにくいところがあるかも知れません。


黒化英雄王

~イリヤスフィール~

「ここ、どこだ?」

 

ガウリイさんが言った。そう。城門を抜けたわたし達は、またもやどこかに跳ばされてしまった。しかも、せっかくみんな揃ったのに、またまた分断されて。

……ただ、ここには見覚えがある。雪が積もって見た目が少し違うけど、ここは…。

 

「……イリヤ。ミユ。二人は何か知ってるようですね」

 

並行世界の方でも、めぐみんさんはやっぱり鋭い。

 

「そうなのか?」

 

めぐみんさんに向かって言ったあと、わたしとミユ(こっち)へと視線を移すカズ…ううん、B作さん。

 

「うん。多分だけど、ここ、円蔵山の林の中だと思う」

「エンゾウ山?」

 

当然、円蔵山を知らないめぐみんさんはハテナ顔だけど、B作さんはギョッとしている。円蔵山の事、知ってるのかな?

 

「それって、柳洞寺のある御山の事か?」

「知ってるんですか?」

 

やっぱり知ってたB作さんに、わたしと同じ事思ったんだと思うミユが尋ねた。

 

「……ああ、そうか。あの時はまだ、二人ともいなかったもんな。ぶっちゃけると、俺は物語としてイリヤや美遊の事は知ってるんだ」

「ええっ!?」

『知っているということは、【Fate】シリーズが存在すると言うことですか?』

「ちょ、ルビー? 【Fate】シリーズって何のことーーー!?」

「ああ、あるぞ」

「B作さんんん!?」

 

頭がこんがらがるわたしは、助けを求めようとミユを見たけど。

 

「なるほど。なら、主役はイリヤ…」

『いえ、美遊さまも充分に主役を張る資格があるかと』

 

こちらもですかああああ!?

 

「あの、イリヤが物凄く困惑してるのですが。あと、ミユは驚かないのですね?」

 

見かねためぐみんさんが助け船を出してくれた。めぐみんさんも落ち着いてるけど、B作さんが「あの時は」って言ってたから、わたし達が合流する前に説明されたんだと思う。

でも、状況の説明をしてくれたのはB作さんではなくて。

 

「イリヤ。さっき、【リリカルなのは】や【スレイヤーズ】の話をしたのは憶えてる?」

 

そう尋ねてきたのはミユ。

 

「うん。わたしも会った事があるなのはちゃんは【魔法少女リリカルなのは】の主人公で、そっちのわたしが出会ったなのはちゃんの世界には【スレイヤーズ】があった…あ!」

 

そ、それってつまり!?

 

「気づいたみたいだね。つまりわたし達の出来事も、どこか別の並行世界では物語になってるかも知れないって事」

 

そう言ってからミユは、めぐみんさんへと顔を向けて。

 

「わたしが驚かなかったのも、そういう出来事を経験していたから」

「そういう事でしたか」

 

めぐみんさんも納得して頷いた。というか、めぐみんさんの理解力が半端ない。

 

「因みにさっきリナ…リナ子から聞いたけど、【カードキャプターさくら】にも会ったらしいぞ?」

「ええっ!?」

 

それはちょっと羨ましいかもっ。

 

『イリヤさん。そこは「ほえええっ」と驚くべきでしょう?』

「咄嗟にはでないよ!」

 

いや、まあ、今住んでるお屋敷を初めて見たときは、確かにそんな声上げてたけどっ。

 

「……なあ。こんな所で喋ってていいのか?」

 

突然、気の抜けたような声でガウリイさんが尋ねる。

 

「「「すみませんでしたっ!」」」

 

わたしとB作さん、めぐみんさんが土下座をして謝り、その様子をミユが驚いた表情で見ていた。

 

 

 

 

 

それからわたし達は、林の中を進んでいく。突然林の中に現れたことと雪景色のせいで、ちょっと自信がないけど、向かっているのは大空洞のある洞窟。何かあるとしたら多分そっちじゃないかと、わたしとミユ、B作さんの意見が一致して向かってるのだ。

 

「しかし、この景色を見ていると雪精退治を思い出しますね」

「やめろ。俺も少し前に思ったけど、いやなこと思い出すから口に出すな」

 

うん。わたしも冬将軍のことを思い出してしまった。というか、そっちのカズマ(B作)さんも、冬将軍に殺されちゃったって事か。

そんな会話をしていると、ガウリイさんがピタリと歩みを止める。

 

「ガウリイさん?」

「気をつけろ。殺気は無いが、誰かがオレ達を見てる」

 

え?

驚いたわたしは、B作さんを見る。

 

「敵感知には何も引っかからないから、ガウリイの言うとおりだと思う」

 

それを聞いて、少しだけ安心するわたし。もちろん、気を抜いたりはしないけど。

 

「へえ。なかなか鋭いお兄さんだね」

 

上から聞こえたその声。慌ててそっちへ顔を向けると、そこにいたの…は……!?

 

「ギルガメッシュ!」

 

ミユが声を上げる。

 

「おや? 僕は名乗った記憶は無いんだけど。ああ、そうか。並行世界のお姫様は、僕にとっても並行世界だったって訳か」

 

そう言ったその男の子は、八枚目のカードの英霊の、あの子だ。

 

「子ギル!? マジかよ!」

 

B作さんの言う子ギルってのはわかんないけど、どうやらこの子の名前はギルガメッシュって言うらしい。

 

「子ギルか。随分と変わった呼び名だけど、言い得て妙ではあるね。でも、出来たら親しみを込めて、ギルって呼んでくれると嬉しいかな?」

 

ニッコリと笑いながら言うギルガメッシュ…ギルくん。あの時、わたしとあんな戦いをしたとはとても思えない。

 

「それと」

 

そう言ってからわたしをじっと見つめる。何なんだろう?

 

「……うん。やっぱりお姉さんも、僕に勝ったみたいだね。色々と違いはあるみたいだけど」

 

えっ? どうしてそんなことがわかるの!?

 

「千里眼か…」

「千里眼? カズマと同じ…?」

 

B作さんの呟きに反応して尋ねるめぐみんさん。するとルビーが。

 

『いえ、今、和真さんが言われた千里眼は、過去や未来を見通す力、バニルさんと似た能力ですねー。和真さんが使う遠目や暗視とは、根本から違います』

 

そ、そうなんだ。よくそんなのと引き分けたなー、わたし。

 

「お姉さん、よく勝てたな、とか思ってるでしょ?」

「また読まれた!?」

『いえ、イリヤさんの表情に出ているだけですよー』

 

う。どうせわたしは、ポーカーフェイスが苦手ですよ。

 

「イリヤ。ギルガメッシュは普段、千里眼を使わないようにしているの。確か、未来がわかるとつまらないから、とか…」

 

ミユ、詳しいね?

 

「なんだい、君はそんなことも知っているのかい?」

「わたしがいた世界では、リナの正体を見通したときに彼自身が言っていたから」

 

へえ、そっちではそんなことがあったんだ。

 

「それで、お前さんは何だ? オレ達と戦う気は無いみたいだが」

「ええ、あなた方と戦う気はありませんよ。僕もある意味、あなた方と似た境遇なので」

 

ガウリイさんの疑問に恭しく答えるギルくん。というか。

 

「似た境遇?」

「ああ。僕は固有結界発動時に偶然取り込まれて、それに気づいた創造主が、結界内に創り上げたこの空間に閉じ込めたんだ。ここから出る手段はわかるんだけど、財宝の殆どをもうひとりの僕に持っていかれたから、対抗手段が無くて困ってたんだよ」

「なるほど。そこへ我らが現れたために、様子を覗っていたということですね」

「そういう事」

 

わたしが聞き返したことに答えてくれたギルくん。そして、その説明から状況を理解するめぐみんさん。

……あれ? ギルくん、固有結界に巻き込まれた? それに、このわたしも勝ったとか、もうひとりのクロの事とか。……まさか。

 

『……? イリヤさん、どうしたんですか? 顔色が悪いですよ?』

「ルビー…。ううん、確証があるわけじゃないから、今はまだ言えないよ。だから今だけは、モノローグ読むのはやめて。……ね?」

 

そう。まだ想像の範囲でしかない。推理と言うには、情報が足りない。

 

『……わかりました。マイ・マスター(わたしの主)

 

ルビーにしては珍しく、恭しく応えた。それだけわたしの想いを汲み取ってくれたって事かな。

 

「それでギルは、ここからの脱出方法を知ってるんだよな。それなら俺達にそれを教えてくれないか?」

 

B作さんが尋ねると、ギルくんはニッコリと笑い言った。

 

「ああ、それ自体は単純明快だよ。この先に元の…って言うのも変だけど、本来の固有結界内に繋がる扉があるんだよ。ただ、その扉を開けるには、強敵(門番)と戦闘をして勝利することが必須条件だけどね」

「強敵?」

 

ギルくんの説明に、とてもいやな予感がするわたしでした。

 

 

 

 

 

そして。

 

「何じゃこりゃあああああ!?」

 

B作さんは叫んだ。でも、それも仕方がない。何しろそこには、バカでっかい異形のものがいたんだから。

 

「これは僕という理性を失って肥大化した、僕自身だよ」

「僕自身って、それじゃあコイツもギルガメッシュって事かよ!?」

「その通りだよ、お兄さん。最も、この空間と同じで、創造主が創り上げた贋作だけどね」

 

そう言ったギルくんは、一瞬だけ鋭い眼差しになる。多分、自分の偽物に怒ってるんだ。

 

「それで、扉というのはどこにあるの?」

 

ミユが尋ねると、ギルくんはビシッと指をさして。

 

「僕の贋作の、その中央付近だね。扉自体は強固な概念で出来てるから、対界宝具クラスじゃない限り壊れる心配はないよ」

 

対界宝具?

 

『対界宝具って、あなたが使っていた[エア]や、それと撃ち合ったイリヤさんの多元重奏飽和砲撃(クヴィンテット・フォイア)クラスですよ? あんなもの、使える人なんてそうそういませんよー』

 

そ、それは、確かに。わたしの場合はインチキしたわけだし、その結果死んじゃったし。

 

「いや、この場にはいないけど、使える奴はいるぞ?」

 

え?

 

「リナ、だね。[金色の魔王(ロード・オブ・ナイトメア)]の力を借りた術、神滅斬と重破斬…」

 

あ。

 

「ああ、君の友達か。僕の知ってる君には、そんな人はいなかったけど。……なるほど、[金色の魔王]か。ちょっと興味深いね」

 

何だろう。ギルくんがしたり顔をしてるけど。

 

「それで、これからどうするんだ? あのバカでっかい虫みたいなの、倒さなきゃなんないんだろ?」

「虫みたいなの…」

 

あ、ギルくんの顔が引きつってる。でもガウリイさん、悪気が無いみたいだから、怒るに怒れないみたいだ。

 

「ま、まあ、そうだけど、うかつに近寄ると危な…」

「そうか。それじゃあ少し、様子を見てみるか」

 

ギルくんが言いかけている最中に、ガウリイさんはそう言って怪物のギルガメッシュに突っ込んでいった。って、ガウリイさああああん!?

 

「ちょっと、あのお兄さん頭悪いの!?」

「「そのとおり」です」

 

B作さん!? めぐみんさん!?

 

「でも、実力は超級。黒化したカードの英霊なら、セイバー…アーサー王相手でも凌駕する」

「えっ!?」

 

ミユの発言に、わたしは驚いた。いや、確かにアニメでは物凄く強かったけどもっ!

そう思ってガウリイさんを見ると、丁度そのタイミングで、あの武器の一斉掃射を始めた。ってまずい!

 

「クラスカード[アーチャー]、夢幻召喚(インストール)

熾天覆う七つの円環(ロー・アイアス)!」

 

わたしは熾天覆う七つの円環を投影して、みんなを守る。ガウリイさんは!?

……え?

 

キィン!

ギャキィ!

 

「ねえ。あのお兄さん、本当に生身の人間? 本当は英霊じゃないの?」

 

ギルくんは、半ば呆れたように言った。うん。その気持ちはわかる。だって、飛んでくる剣を自身の剣で全て弾きながら、どんどん進んでくんだもん。素手との違いはあるけど、バゼットさん以上の実力だと思う。

 

「ギルガメッシュ。相手の武器は奪えないの?」

 

ミユが尋ねるけど、ギルくんは首を横に振った。

 

「無理だね。あの僕が本物なら、その武器を自分の宝物庫に収納できるけど、あれはあくまで贋作だ。幻想に過ぎない武器を奪い取っても、収納したそばから消失するだろうし、おそらくあれの武器自体、減ることはないんじゃないかな」

 

やっぱり、そんなに上手くはいかないよね。

 

「あと、気をつけてね。僕がいたあの世界には【スレイヤーズ】があるから」

 

え? それってどういう…。

疑問に思ったその時。

 

「ハアアアアッ!!」

 

ガウリイさんが気合いを込めた声を上げて、ギルガメッシュを斬りつけようとする。だけど。

 

キィィィィィン!

 

高い音が響き渡る。ガウリイさんの剣は、ギルガメッシュが出現させた剣で受け止められていた。

 

「おい、待てよ。斬妖剣は周りの魔力を吸収して切れ味に変える剣だぞ? 魔力持った武器なら、むしろスパスパ斬れるはずなのに、何でだ!?」

 

ガウリイさんの武器ってそういうものなんだ。でも、確かに何で?

 

『そういう事ですか』

「ルビー?」

『彼の宝具[王の財宝(ゲート・オブ・バビロン)]はおそらく、あらゆる物の原典を収納してるのです』

 

あらゆる物の原典?

 

『そしてその特性は、この人類史においてなら後の世に生み出された物でも、認識された時点でその原典となる物を収納してしまうんです!』

「待ってください。リナは【スレイヤーズ】という物語の主人公だと聞いてます。その【スレイヤーズ】がギルの世界にあるということは…」

「そのとおり。その物語に登場する武具の原典すらも収納してるってこと。そしてあのお兄さんの攻撃を止めた剣は、斬妖剣の原典ってことさ」

 

そ、そんな! それってまるで後出しジャンケンじゃない!

 

「……それでもまだ、希望の芽は潰えていない」

『美遊さま?』

 

それって一体…?

そんな中、ガウリイさんが敵の攻撃を上手く捌きながらこっちへ戻ってきた。

 

「すまない。上手く当てられなかった」

 

そんなこと言ってるけど、防がれたとはいえ、あんな攻撃の中で懐に入って一撃振るうだけでも充分すごいと思う。

 

「いえ、充分な成果だと思います」

 

え、ミユ?

 

「ガウリイさん。刀身を見せてもらえませんか?」

「ん? ああ、別に構わんが」

 

そう返したガウリイさんは、斬妖剣の刃をミユへ見せた。

 

「……やっぱり。刃こぼれひとつしていない」

 

刃こぼれしてないって、それがどうかしたの?

 

「敵の武器は斬妖剣の原典だった。本来なら概念的に原典がより強力であるはず。なのにガウリイさんの斬妖剣は無傷。つまりこれは、幻想故の閾値の限界ということ」

「……ごめん。ちょっと難しくて理解出来ない」

「おう、安心しろ。オレにもサッパリわからん」

 

いや、何となくはわかるからね、わたし。

 

「つまりだな、本当ならあの敵は同じ武器のより強力な物を持ってるハズなんだ。だけどあれは偽物で、持ってる武器も質が落ちてる。だからガウリイの剣が傷つくことはなかった。そういう事だろ?」

「うん。そしてそれは、他の宝具でも起きている。その証拠に、イリヤが展開している盾はクロの時と違って、まだ1枚も破られていない」

「あっ!」

 

そういえばクロの時は、それ程時間が持たずに1枚づつ破壊されていった。わたしの場合は[小聖杯EX]の能力で強化されてるかもしんないけど、それにしたって1枚も破られてないのはおかしい。

 

「つまりあの敵は、本来よりも弱体化しているということですか」

「弱体化という表現が的確かはわからないけど、そういう事。なら、戦略次第では倒すことも可能と思われる」

 

そうか。だからまだ「希望の芽は潰えていない」んだ。

 

「わたし達が戦ったギルガメッシュは聖杯を欲していた。ならここは、わたしが囮になって敵の隙を…」

「ダメだよ、ミユ」

「え、イリヤ?」

 

わたしが口を挟んだことで驚くミユ。

 

「今のわたしには、何となくわかってるよ。ミユにはもう、聖杯としての力は殆ど残ってないって」

「!!」

「だから、囮にはわたしがなる。今のわたしは、小聖杯の機能が復活してるから」

「え…」

 

ミユの表情が更に驚きのそれに変わる。多分もうひとりのわたしは、小聖杯が復活することはなかったんだね。

 

「B作…ううん。カズマさん」

 

そう言ってわたしはカズマ(B作)さんを見つめる。するとみんなも、カズマさんへと視線を向けた。

 

「……ああもう、しょうがねえなあっ!」

 

やっぱり、どっちのカズマさんもカズマさんだ!

 

 

 

 

 

「いくぞっ!」

 

B作さんが気合いを込めた声をかけるのに合わせて、わたしは夢幻召喚を解いて瞬時に転身、上空へと飛び立った。

 

極大の斬撃(マクスィマール・シュナイデン)!」

 

聖杯の能力を発動して放った斬撃は、ギルガメッシュが盾を出して防がれた。でもこれは想定済み。ギルガメッシュの視線がわたしに向くのを感じる。

 

「セイ…ハイ…」

 

贋作であるギルガメッシュは、どうやら妄執まで再現されていたみたいだ。作戦どおり、聖杯であるわたしを捕まえようと、意識をこちらに向けてきた。

 

「ギルガメッシュ! 簡単には捕まらないよ!」

 

そう言って、腕を伸ばして捕まえようとするギルガメッシュから逃げ回りながら。

 

収束砲射(フォイア)!」

 

魔力砲をちまちまと放つ。

 

『自分からちまちまって言うのも、どうですかねー』

「こんな時にモノローグを…!?」

 

突然ギルガメッシュから鎖が放たれる。()()()()()()

 

投影開始(トレースオン)!」

 

わたしは聖杯の能力で干将を投影すると、鎖に向かって投げつけて。

 

壊れた幻想(ブロークン・ファンタズム)!」

 

投影品が消える前に爆発させる。その直後に転移魔術でその場から移動すると、わたしのいた場所を鎖が通り過ぎていく。今の爆発じゃ、1秒もないくらいしか時間を稼げなかった。何なの、あの鎖!

でも同時に、ギルガメッシュに対しては時間稼ぎが出来た。

 

「『狙撃』っ!」

 

いつの間にか射程まで近づいていたB作さんが、()()()()()()()()()()()()弓で放った!

完全にわたしに意識が向いていたギルガメッシュは、防御することも出来ずに頭に食らう。

 

「■■■■■!?」

 

ギルガメッシュは不明瞭な叫び声を上げる。そしてB作さんへと腕を伸ばしたけど、その隣りにいたミユがB作さんの腕を掴み。

 

(ヴォイド)!」

 

空間渡りの術でその場から離脱する。

わたしから意識が逸れたギルガメッシュに向かって近づくわたし。気づいたギルガメッシュはこちらを見るけど、その時には既に目の前まで迫っていた。わたしはその目に向かって。

 

散弾(ショット)!」

 

魔力の散弾を放つ。さすがに目へのダメージはキツかったのか、わたしを見失ったらしい。その隙に、切れ味が良すぎて既に地面に落ちている斬妖剣を回収して、わたしは急速離脱する。

 

「今だ、めぐみん!」

「絶好のチャンス、ありがとうございます!

我が名はめぐみん! 今こそ、我が最強にして最大の攻撃魔法を食らうがいいっ!

『エクスプロージョン』ッ!!

 

めぐみんさんの爆裂魔法がギルガメッシュに直撃する。その威力で、胴体(?)の半分が吹っ飛んだ。だけど。

 

「な…、これでも倒しきれませんか!?」

 

突っ伏して顔だけ上げためぐみんさんが、悔しそうに言う。

 

「ううん、ありがとう。これなら多分いける。ミユ!」

「うん」

 

わたしとミユがステッキを重ねると、共鳴を始めた。

 

『並行世界とは言えど、わたし達はやっぱり姉妹ですね。サファイアちゃん』

『はい。姉さん』

 

うん。だからこそ、再びアレが使える。

 

「「並列限定展開(パラレル・インクルード)!!」」

 

複数展開される、セイバーの宝具! その名も…!

 

「「約束された勝利の剣(エクスカリバー)!!」」

 

同時に放たれた光の奔流が、ギルガメッシュに直撃した!

そして。

 

「うそ…」

 

あの巨体は、確かになくなったけど。そこには鏡面界で見た、あの時の姿のギルガメッシュがいた。その後ろには、ギルくんが言っていた物だろう、1枚の扉が立ってる。

ギルガメッシュは例の空間から、あの剣を…エアを取り出した。

……でも、B作さんが立てた作戦はまだ続いてる!

 

「うおおおおおおおっ!!」

 

ガウリイさんは、わたしが回収した剣を携えてギルガメッシュに突っ込んでいく。ギルガメッシュはエアを構えようとするけど、わたしはその腕に物理保護壁を展開して拘束した。

 

「ハッ!!」

 

気合いと共に、ガウリイさんが剣を振り下ろして。それは見事に、ギルガメッシュを左右に切り裂く。

 

「■■…■…」

 

そしてギルガメッシュは、小さく声を漏らして消滅していった。

 

 

 

 

 

「はあぁぁぁ…。生きた心地がしなかった」

 

B作さんが、盛大なため息を吐いてから言った。でも、それはわたしだっておんなじだ。

 

「あ。サンキュー、ギル。これ、役にったったよ」

 

そう言ってギルくんに渡したのは、1本の長い布。

 

「いや、なかなか面白い物が見られて満足だよ」

「身隠しの布、だったか。俺の《潜伏》だと、姿は消せなかったからな」

 

そう。B作さんはその布で姿と気配を消して、ギルガメッシュに近づいた。お陰で、気付かれることなく矢を射ることが出来たんだ。

 

「それにしてもまさか、最後の手段までいくことになるとはな。それだって、イリヤがフォローしてくれなきゃ危なかったし」

「ううん、たいしたことじゃないよ。前に戦ったときも同じ事したから」

 

あの時は今回のガウリイさんの様に、バゼットさんが突っ込んでいったのを援護したんだったよね。

 

「……あの、安堵するのはわかりますが、いい加減私を何とかしてください」

 

あ。めぐみんさんの事忘れてた。と、そのタイミングで。

 

ガチャリ

 

扉から鍵の開くような音が聞こえてきた。

 

「どうやら条件を満たしたみたいだね。ねえ、僕も連れて行ってくれないかな。元の世界に戻るまでは、味方って事で」

 

めぐみんさんを背負おうとしているB作さんに、ギルくんは言った。

 

「……ま、俺は構わないけど」

「私も構いませんよ」

 

B作さんとめぐみんさんは即決だった。

 

「オレにはよくわからんけど、味方なら構わないと思うぞ」

 

ガウリイさんはよく考えもせずに答える。

 

「……わたしもいいよ」

『わたしはイリヤさんの魔術礼装ですので、イリヤさんに従いますよ』

 

ルビー、ありがと。

 

「イリヤがいいなら、わたしも…」

『当然私は、美遊さまに従います』

 

というわけで、全員の賛同は得られた。

 

「皆さん、ありがとう。短い間だと思うけど、ヨロシクね」

 

ニッコリと笑顔でお礼を言うギルくん。

 

「じゃあ、話もまとまったことだし、行くとするか」

 

そう言うとB作さんはドアのノブを握り、勢いよく戸を開いたのでした。




因みに子ギルとしては自分を倒した時点で、相手が死んでいようが勝ちと思っての発言です。
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