皆さんは性的欲求が湧いた時どのようにして発散しますか?
いや、言わなくてもいい。なぜならここは18禁ではないですからね。なぜ唐突にこんな事聞くのか?それはチャリオッツの行動に関係している。
肉体的接触の究極、それは皆さんご存知の通りあれである。しかしそれを行うには相手を見つける他に様々な経験や知識を築く事で成り立つ。
何度も口にしてると思うがこの世界の住人は戦いしか経験がない。なんの知識もない状態である。
そんな中でも彼女たちの脳裏にはなんとなくではあるが『一つになりたい』という欲求自体はある。
そう、一つになりたい。
欲求は身体をくっつけることである程度は満たされた。ではその先は?
その答えこそ前回の通り、甘噛みである。
口という粘膜を相手に触れさせる。
それによってチャリオッツはこれまで以上の多福感に包まれた。
口に首を含んだまま目の前の相手に視線を向ける。初めて出会う自分たちとは違う何かは自分が口をつけた瞬間びくりと身体を震わせて顔を耳まで真っ赤にさせた。
そっと首筋に舌を這わせる。
それによってふるふると身体を震わせる。
歯を軽く当てる。
それによって甘い声を上げ自分の耳をくすぐる。
歯形のついた首筋を吸い上げる。
それによって自分を支える手に力がこもる。しかし決して不快ではない。
現在チャリオッツは形容し難い感覚に支配されていた。
目の前の自分とは違う何か。それがなにかをするたびに自分の中の何かを掻き立てる。
へたれこんだ何かを見下ろす。汗をかき、瞳に涙を浮かべながら身体を震わせる。そして頬をこの世界ではあまり見られない赤に染め上げ自分を見上げている。
視線がこちらを捉えていると分かった瞬間チャリオッツは自分の中で別の何かがゾクリと湧き上がるのを感じた。
その何かにしたがい目の前の身体を震わせた者の頬に手を当ててーーーーーー
瞬間横合いから突っ込んできた流星に貫かれた。
(・・・・・・殺すッ!!!!!)
その時チャリオッツは、生まれて初めて殺意を抱いたという。
轟音と共に先ほどまで手を這わせていたチャリオッツが吹っ飛んでゆく。
いきなりのことで混乱する頭をよそに、砲撃の犯人は自分の目の前にコツリと高い足音を響かせて着地した。
「え・・・黒岩さん・・・?」
その正体はこの世界で最初に出会った少女ことブラックロックシューター。爆風によってツインテールを揺らす彼女は砲撃の先から自分に視線を向け、それと同時にその動きを止めた。
「・・・・?あ、あぁ・・・」
改めて自分の格好を思い出してハイプリエステスは身なりを隠す。
現在彼は肩を裸させており、そこから見える肌にはうっすらと汗をうかばせている。瞳は涙を浮かべ息をあらくし、首筋は赤く腫れている。その腫れに視線を向けるブラックロックシューターの瞳は、無表情ながら動揺している事を伺わす。
(すごい格好を見せてしまった・・・。うぅ・・・急にあんなことするなんて)
ハイプリエステスは童貞である。まぁ前世も含めて彼はまだ10代前半ほどの年齢であるし、その年で未経験なのは珍しくはない。
そんな中で先程チャリオッツから受けた甘噛みは、これまで女の子と深く関わってこなかった彼からすれば刺激が強すぎた。
(チャリオッツちゃん吹っ飛んでいったけど大丈夫かな・・・。てかこれって助けに来てくれたってことかな?)
もしそうなのだとしたらなんだか申し訳ない気分になってくる。
せっかく助けに来てくれたのに肝心の自分は初めて出会う女の子と形容し難い行為をしている。
そんなの普通はイラっとする。作者だってイラっとする。
服を整えてブラックロックシューターに視線を向ける。
そしてその一瞬の間に浮かぶ疑問符。
(あれ?なんか黒岩さん動かない?)
そう、こうして複雑な衣服を治している間何故だかわからないがブラックロックシューターは動かずになぜかじっとしていた。
警戒している?
否
その考えは視線の先のブラックロックシューターの顔を見て覆される。
「え、え?!どうしたの?」
「・・・・・・・」
そうして視線を向けた先、彼女はツーと鼻血を流しながら固まっていた。思わず自分の服の裾で拭ってやる。
「い、岩でぶつけちゃったのかな?こ、これは酷い・・・」
「・・・・・」
幸い抵抗はされなかった。
さて、察しのいい方ならわかると思うが彼女はハイプリエステスの艶やかなその有り様を見て思わず血圧が上がってしまった。
本来興奮したからといって粘膜の毛細血管はそう簡単に破れない。ではなぜ鼻血を流すのか。
まぁ作者が興奮のわかりやすい描写が出来なかっただけだが。
ブラックロックシューターはハイプリエステスに鼻血を拭いてもらうと再び射線上の先にいるであろうチャリオッツに視線を向ける。土煙のたつ大地の向こう側、その中からたまに聞こえてくる機械音。
(なんとか無事っぽい?てかこのままだともしかして巻き添え?逃げるか隠れるかしたほうがいいかな・・・?)
そんな事を考えながらも視線は離さない。
新たに人外として生まれ変わった彼とて、元は一般人。目の前で見目麗しい女の子が砲弾で吹き飛んだのだ。彼女達がいかに超人であろうとそんなものを目にして心配しない男はいないだろう。
しかしそんな彼の心情など知ったことかとばかりに自体は急変する。
「こ、これってまた⁈」
突然ハイプリエステスの体に鎖が巻きつく。
ブラックロックシューターもそれに気づいたのか大急ぎで彼に巻きついた鎖を切り裂こうとする。
一度見た技だ。2度も同じ手はくわない。そんな無意識の考えも、煙の中から巨大な蜘蛛型戦車メアリーに乗ったチャリオッツが登場した事で中断される。
ハイプリエステスとブラックロックシューターが飛ばされるのは同時だった。片やブラックロックシューターは戦車に引かれたまま彼方に飛んでゆき、片やハイプリエステスは鎖の主である少女の腕の中に収まる。
知的さを感じさせるメガネに黄緑を強調するウェディングドレス(あるいは喪服か)頭にはベールを被り、しかしてそれ以上に存在感を示す機械の角。とこどころにフリルやリボンが飾りつけられており、片手には巨大な鎌(デットサイス)を携える。
彼女こそ小鳥遊ヨミの思念体、デットマスターである。
「黒岩さん!」
彼女の腕の中に囚われたハイプリエステスは吹き飛ばされたブラックロックシューターに向けて声を上げる。
なんにせよわざわざ自分を助けに来てくれた恩人が彼方に飛ばされる光景を目にしてあせる。
(ど、どうしよう・・・!このままでは黒岩さんが・・・でも自分にはなにもできないしむしろ足手纏いに・・・)
そんな事を考えながらも、それでも今の状況をどうにかしようと身体を動かす。
「うぐぐ・・・!は、はなして!って、え?」
しかしそんな事を叫ぶ俺の予想を大きく外れ、デットマスターは意外にも簡単に鎖を解いてくれた。
「・・・・・・・」
「え、と・・・・」
簡単に話してくれたことに思わず呆気に取られるハイプリエステス。
そんな彼をデットマスターはこの世界では当たり前の無表情で見つめる。
ハイプリエステスが一歩前に出る。
それとは逆にデットマスターは一歩後ろに下がる。
「あ、これってもしかして・・・」
その様子にハイプリエステスは前世で見たアニメを思い出す。
彼女の本体、小鳥遊ヨミはブラックロックシューターの本体黒井マトと仲良しになろうとするが、二人の間には チャリオッツの本体こと出灰カガリが立ちはだかっている。カガリは何かとヨミを束縛し、 彼女に近づこうとするマトにマカロンと陰湿な言葉を用いた牽制を行っていた。
そしてそれと同じく骸の世界のチャリオッツもデットマスターを束縛して共にブラックロックシューターと戦っている。
(もしかして、怖がっている?)
そう、彼女はハイプリエステスを恐れていた。チャリオッツのお気に入りの自分たちとは違う存在。束縛され、支配下にあるデットマスターにとってハイプリエステスの機嫌を損ねることはチャリオッツの機嫌を損ねることにつながりかねない。
目の前の存在、私たちの何かを掻き乱す。
このせいで彼女や、自分の本体に何か影響があってしまったら?そんなことになればきっと自分は耐えられないだろう。
ほんの一瞬浮かべた悲壮の表情。
しかしそれを、ハイプリエステスは見逃さなかった。
正直言って、この世界に来てから自分はなんだかんだで美味しい目に合っている。美少女と言っても過言ではない女の子達から受けるアプローチ。そんな出来の悪いラブコメみたいな目にあう自分。
彼女達は二人とも無表情ながら、なんだか楽しそうにしていた。
しかし目の前の少女、デットマスターが一瞬浮かべたその表情にハイプリエステスが申し訳なさを感じさせるのは十分だった。
彼はデットマスターの瞳を見つめ、その言葉を紡いだ。
「ごめんね。急に大声出してびっくりさせちゃったね。でも、俺もう行かないと・・・」
そう言うとゆっくりと後ろに下がりハイプリエステスはやがて走り出した。その言葉に思わず目を見開いたデットマスターは走り去るハイプリエステスに手を伸ばそうとして、立ち止まる。
今あれはなんと言った?
ごめんと言ったのか?こんな目に合わせた自分に対して?
デットマスターの内心は困惑に埋め尽くされた。
彼女達は言葉は理解しているが喋ることというのはほとんどない。というのも彼女達は本体の負の感情を背負って戦う戦士である。そこに交わされる言葉はなくただ戦い続けるのみである。
故に彼から放たれたその言葉にデットマスターは驚愕したのだ。
ふわりとした雰囲気の存在である彼。初めて知るその存在に抱いた恐怖、そんなことはその瞬間頭から吹き飛んだ。
先程は言葉と語ったが訂正しよう。
彼女はその自分を気遣う(やさしさ)に、この世界では決して得られるはずのないその心に衝撃を受けたのだ。
そしてだからこそーーーーーー
「・・・・・・♡」
これはある意味必然だったのだろう。
総受け系サブカルクソ主人公め