転生してソルジャーになったけど、モブっぽくないのにゲームで見覚えのない男がいる。誰だコイツ?

ウボァーさん主催のFF7杯への参加作品です。

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 ローチェ
 リメイク版に突如現れた走り屋のソルジャークラス3rd。味方を巻き込みまくるので神羅内では嫌われている。(公式)

 ハーメルンの「原作:FF」の表記揺れが半端ないので初投稿です。



誰だこのソルジャークラス3rd!?

 

 

 俺だってゲームの名前なき群集に個性がないなんて思わない。「ゲームだから」なんて思考停止するよりも、ゲームの世界が本当にあってそこに住む「彼らにとっての現実もある」と思った方が人生楽しいんだ。

 

 

「さあ、同志の少年。今日こそ走りに行こうか!!」

 

 

 だけどミッドガルに転生してから、原作のメインキャラ以外を無意識に疎かにしていたことも確かだ。

 

 今頃一般兵に紛れてる主人公がいるのかなあ、とか。ウータイの小娘は今日もマテリアを集めてるのかなあ、とか。まあ会ったことないんですけどね。

 

 でも他の奴らも悪いと思うんだよ。そりゃ頭は守らないといけないけどさあ? 一般兵も先輩ソルジャーも基本顔隠れる装備だから、余計「背景に紛れる群衆感」が拭えない。

 

 

「バイクを己の一部とするまで乗り続けるといい。そうしてはじめて見える境地がある!」

 

 

 まあどうせプレジデント神羅だのハイデッカーだの上司はともかく、セフィロスは英雄だから遠目に見えればいい方で、スラムの人間に会うことなんてそうそうない。3rdといえど俺もソルジャーになったのだからザックスくらいは拝みたかったが、俺がソルジャーになった頃には全員いなかったからな……………………。

 

 ああ後悔先に立たず……。

 

 

「キミの新しい相棒(バイク)をそろそろ見せてくれてもいいだろう? なあ? 熱い夜を楽しもうじゃないか!」

 

「うるせえぞスピードジャンキーがよぉ! 仕事中だ!」

 

「見回りも立派な仕事だろう?」

 

「ソルジャーが出張るほど人手が足りてない事はないだろ?! そもそもアンタはバイクで走りたいだけじゃん!!?」

 

「当たり前だろう?」

 

「開き直るなローチェてめえ! あっちょっ、服を引っ張るなクソ、誰か! 誰かー!」

 

 

 叫んでも同じ詰所にいる一般兵もソルジャー仲間も助けてはくれない。なぜならこのはた迷惑な男、ローチェに関わりたくないからだ。俺も嫌だ。

 

しかし最悪なことに、やらかす迷惑度合いが高すぎて昇進出来ないだけでこの男、俺含めて他の3rd程度では歯も立たない。つまり誰にも止められない。

 

 こんな事ならバイクに興味あるなんて言うんじゃなかった! 

 

 というかお前誰だよ! FF7にいなかっただろ、モブソルジャーか? いや、こんなキャラクター性のやつがモブな訳あるか!!!! 

 

 

 

 

 

 

「ハッハ—————!!」

 

 

 引きずられてハイウェイ。テンションブチ上がったローチェを見失わない程度に速度を上げて食いつく。

 

 

「いやはやい速い!!」

 

 

 ローチェは俺がバイクに興味があるのを聞きつけるや否や、一緒に走ろうと誘って……いやむしろ強制してきた。バイク初心者だから教えてもらえる分には助かるとはいえ、俺は困った。

 

 奴が俺より先輩であるのはわかっているが、2nd上位くらいの強さを持っているのはわかっているが!! あまりにも唯我独尊すぎる。

 

 自分の楽しみの邪魔になる味方は意図的に攻撃するし、独断先行しまくるし。戦闘は必ずバイクありきだし仕事もそんなにしない(バイクを使える任務は別)。ただしやたら強い。鎮圧なんてお手の物だし逃亡犯の捕縛率はめちゃくちゃ高いのだ。

 

 常におちゃらけているが、やるときはやる男。悪いやつじゃない……というか、俺にソルジャーの戦闘指導したのはコイツだしバイク初心者として物を教えようとしてるのもコイツなのだ。嫌いにはなりきれない。

 

 でもやっぱ先輩として尊敬しろと言われても無理だ、俺には出来ない。ついタメ口をきくレベルだ。当たり前だろ、ここのところローチェの始末書書いてるの俺なんだぞ! いつかバイク破壊されてしまえ。

 

 こういうのは3rdも一般神羅兵もそう思っているし、問題を起こすたびにお上は頭と胃を痛めていることだろう。強いが素行が問題児。非常に扱いにくいソルジャークラス3rdを先輩に持てて俺も胃が痛いです。

 

 

「もうお疲れかな? まだ夜は長いぞ少年」

 

「誰のせいだとっ…………ハァ、ところでこんなに飛ばしていいんですかこの道」

 

「そんな事を考えるなんて余裕があるようだ。バイクと一体になる事だけ考えようか!?」

 

「………………」

 

 

 法定速度はご存知じゃないらしい。

 

 風をきるのに紛れてため息を付いた瞬間、ピピピッと神羅から通信が入った。

 

 

「……ローチェ、神羅ビルより連絡! 反神羅組織の構成員3名が逃亡とのこと!」

 

 

 ローチェはよく通信機をミュートにしているため、俺が内容を伝える。ヤツはこちらに無言で振り向き報告の続きを促した。大声で伝える。ローチェが重視するのはただひとつ。

 

 

「———バイク奪って、この先走ってるんだと!」

 

「……それは僥倖!」

 

「あっ待っ……」

 

「今日こそ私を楽しませて欲しいな!!」

 

 

 聞くや否や、ローチェはさらにギアを上げて1人で先に行ってしまった。そんなにスピード出す勇気、俺にないから置いてくのはいいんだけどな。どのみち近くにいたら俺も巻き込まれかねないし……。

 

 こういう時は、逃がさないように俺も速攻で行かなきゃいけない……のはわかってる。社内マニュアルでもそう聞いた。他の一般兵だってローチェほどとは言わないが迅速に追いつく。

 

 でもどうしても「安全運転」という単語と昔の常識が体を縛る。ソルジャーになっても染み付いた固定観念は消えず、それを打ち破る意思も足りない。モンスターや機械相手の成績はともかく人間相手の動きが悪いから、俺はきっと2ndにも上がれないだろう。

 

 そういう点では、ローチェのことがひどく羨ましかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「もう終わりかい?!」

 

「う……うわああああ!!」

 

 

 なんとか自分が許せる範囲で少しずつ飛ばした先、ギリギリ視認できるくらいのところで、レースは決着していたらしい。

 

 道中リタイアした逃亡犯を拘束しつつローチェの元までたどり着く。そこには余裕そうなソルジャークラス3rdが待っていた。

 

 しかしめちゃくちゃ楽しくなさそうな顔してんな、こいつ。そういえばサンダラの音はちょうど3回しか聞こえなかった。弱かったんだろうな。

 

 あっ、拘束した報告とバイクなんかの事後処理の要請はもうしました。俺出来る子。

 

 

「つまらなさそうだな」

 

「……まあ、バイク愛も全く足りていなかったからな」

 

 

 嘆かわしいとローチェは唸る。このスピードジャンキーはバイクがやたら好きだから、ただ乗るために使われるのは満足ならないらしい。

 

 そうやって俺にもいろいろ教えてくるのだが、こいつが満足するレベルには死んでもならないんだろうな、なんて思うと少し哀れに思う。ほんのちょっとソルジャーになるタイミングが早ければ楽しみがいもあっただろう。

 

 

「……いつかはイカしたバイクジャンキーと会えるだろ」

 

「私が手塩にかけるキミは()()ならないと?」

 

「自分の事は自分が1番わかってるからな」

 

「……そうか」

 

「でも俺の勘はかなり当たるぞ」

 

 

 俺の運ステータスはかなりお高めだぜ? 

 

 

「……ふふ、そうか、では魂で語り合う者が現れるのを待つとしようか! 早く巡り会うためにも、少年。もうひと走りしよう」

 

「いてえよローチェ」

 

 

 背中をバンバン叩くな。慰めた感じになったけど、ちょっとしんみりしてるスピード狂はなんか気が狂うだけだ。それに多分どこぞの元ソルジャークラス1st様とさえ出会えば自然愉しくなるだろ。多分! 

 

 今日は始末書も書かなくてすみそうだし付き合ってやるか……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 …………と思っていたが、この後逃亡犯を先に追跡していた兵士を巻き込んでいたらしいことが発覚し、連帯責任どうこうで俺も減給された。もちろんローチェも減給されてるし始末書も書いていた。

 

 なんか放置バイク多いと思ったら…………! 

 

 やっぱローチェと関わるとろくなことねえな!

 

 






 ローチェのことは好きです(半ギレ)

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