Wが出てモチベがアップしたのでこっちもまた書き始めました。
時系列に当て嵌めようとするとどうしても時間がないので、違和感は独自解釈で埋めて読んでください。
もぞもぞと毛布の中で何かが動いた感触に、深く沈んでいた意識が浮かび上がってくる。
「……ん、朝か」
一人用にしては大きすぎるベッドの上で伸びを一つ。未だ覚醒しきってない目をごしごしと擦れば、無意識に隣へ手を伸ばし、ベッドに潜り込んでいたらしいさらさらの髪を梳かすように撫でる。おや、誰だ?
「っ? ……あぁ、おはよう、マンティコア」
「うん…………おはよう……ドクター……」
くすぐったそうに身を捩る彼女が満足げな表情を浮かべたまま、毛布の中からするりと這い出て、自身の膝の上へ向かい合わせになるようにして腰掛けてくる。
ご機嫌です、と言わんばかりに発される微かな鼻歌に合わせてふりふりと揺れるラベンダー色の髪を掬い上げ、サイドテーブルに備え付けられている櫛を通していく。
「……ドクター」
「どうした?」
「今日の……護衛……」
「あぁ、今日は君か。了解した、宜しく頼むよ」
龍門をテキサスと歩いている際にシラクーザの残党を名乗る輩に襲われてからというもの、外を出歩く際にはレッドやマンティコアなど、個人の戦闘能力が高いオペレーターが護衛に付くようになった。
ただ、慣れたとはいえ朝ベッドに潜り込まれているというのは中々心臓に悪いため勘弁して欲しいものだ。
「ドクター? チェンさんがそろそろ到着されますよ」
「む、時間にはまだ余裕がある筈だが……分かった。すぐ行こう」
扉の外から不意に聞こえてきた声へ慌てて時計を確認しては、随分早い来訪に首を傾げる。が、来てしまったものは仕方がない。
ほんのりと不満げな色を見せるマンティコアに櫛を渡し、何時ものフード付きジャケットへと着替え、扉を開ける。いつの間にか並んで歩いていたアーミヤから資料を受け取れば、軽く目を通す。
「参加オペレーターはもう揃ってるのか?」
「えぇと、寝坊したカーディさんと、それに付き添っているA4のメンバー以外は全員訓練室へと移動してます。後は私とドクターだけですね」
くすくすと笑うアーミヤからロドスの誇るおてんば娘の様子を聞けば、今頃慌てているであろうA4のメンバーが思い浮かぶ。
半目開きのままごしごしと両目を擦るメイリィを必死に揺らし、用意をさせるメランサ、時計の針が進む度に顔色が青くなっていくスチュワード、全てを諦めた目で虚空を見つめるアンセル、メンバーの様子を楽しそうに見つめるアドナキエル……とりあえずメイリィは訓練が終わったら説教が決定した。まぁ、私がやらなくても教官が黙っちゃいないだろうが。
「……メランサ達には後で飯を奢ってやるとするか。と、着いたな」
ロドスの中でも一番の広さを誇る第二訓練室の扉を開ければ、胡座で座り込んだままカードゲームに興じているらしいペンギン急便の面々が声を掛けてくる。
「よっ、ドクターはん。警備隊の皆さんが待ちくたびれてまっせ」
「私らも暇すぎてトランプやってたよ? あ、今クロワッサンが3連敗中ね」
「……私が三連勝中だ」
「うっさいわ、ウチの真価はここからやで!」
「……待ち時間で遊ぶのは構わないが、程々にしといてくれよ。私は挨拶に行ってくる」
いつもの鉄面皮ながらも何処か満足げなテキサスに苦笑いを返せば、警備隊の前で腕を組んで仁王立ちしているチェンへと近付く。
流石に怒って……るな。
「相変わらず、緩いな……近衛局なら十分前には準備を終わらせているのだが。やはり集団としての能力はこちらが上らしいな?」
「個性が強い奴が多いからな。だが、総合的には全く劣っていないと私は思うぞ」
何処か勝ち誇ったような笑みを浮かべて背後、一糸の乱れもなく整列したままの警備隊をクイっと親指で指し示す彼女の自慢するような表情に同じ表情で対抗すれば、途端に渋い顔になった彼女が苦々しげに口を開く。
「君の仲間達は戦闘能力だけなら一級品だからな。……よーく分かっているさ」
ロドスへ出向している内に関わりでもあったのだろうか、壁に背中を預けたままじっとこちらを見ていたらしいスカジの方をちらちらと見た後、こほん、と咳払いする。
「まぁ、いい。今回は大人数による模擬戦だからな。個々人の戦闘能力の差など連携で埋めてしまえばいいだけの話さ」
「そこは私の腕の見せ所だな。……丁度こっちも揃った。始めようか」
ばたばたと慌ただしい靴音を響かせながら駆け込んできたA4の面子を見遣っては、お互いの部隊に指示を出し始める。
いつの間にか両部隊の間に立っていたクロージャが、旗をぶんと振り上げる。
「重傷判定が出た、もしくは本当に重傷になっちゃったら、端っこで控えてるうちの医療オペレーターの元へ這いずってでも行くこと! じゃ、開始〜」
「抜刀! 盾兵、前へ!」
「指示通りに。行くぞ」
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「ドクター。被害箇所が纏め終わりました。製造所でカバーできるものと、外部に発注するもので分けてくださいね」
「……………………ああ、わかった」
試合は終わり、メランサたちに昼食も奢り、ドーベルマン教官に正座させられるメイリィを眺め終われば、午後の仕事との格闘が始まる。
勝利に終わった模擬戦だったが、無事には済まなかった。主にスカジとイフリータのせいで。
一対一で戦ったホシグマの守りがあまりにも硬かったためか、少し本気を出したらしいスカジの攻撃の余波で吹っ飛んだ壁二枚。
興奮してきたイフリータの炎で焼けた擬似建築物と装甲板三枚。
「……ケルシーになんて言おう」
思わず突っ伏してしまっても仕方のないレベルであった。
暫くは財政が火の車になり、ケルシーにはゴミを見る目で見つめられるのだろう。
見えた未来に溜息を零しながら、書類を纏める。
「あの…………ドクター。お仕事がひと段落したら、私と二人でロドスの視察に……」
「アーミヤ……すまないが、どう頑張っても夕食まで仕事は終わらないだろう……」
「では、夕食の後に……」
「ケルシーに身体検査をするよう言われていて……」
「明日のお昼……」
「…………ソラのイベントが」
「あ、明日の午後なら……!」
「エンシオと、チェスの約束が……」
耳をへにゃりと垂らしてそっぽを向いてしまったアーミヤに土下座したい気持ちに駆られながら、機嫌を取る手段を模索する。すまない。ソラのイベントは月一だから外せないんだ。
私も好きで彼女の誘いを断っているわけではない。ないのだが……
「……今日の夜にドクターのお部屋へお邪魔させて貰うのは?」
「その時間であれば……空いてはいるな」
夜に一人で部屋へ来られるというのは他者に色々と勘繰られそうな気がするが……今更だろう。もう既に深い関係まで進んでしまっているのだから大丈夫なはず…………ケルシーにバレたら殺されかねないが。
一度アーミヤとの関係がバレた時のケルシーは怖かった。具体的には、養豚場の豚を見るような瞳が……
「じゃあ、お風呂が終わったら行きますから。待っていてくださいね?」
うってかわって元気になり、ぴこぴこと揺れる耳を尻目に書類へ視線を落とす。
マンティコアに夜離れて貰う口実を考えなくては。
嗚呼、仕事が進まない。
──────────ー
「あ、やっほードクター! 今日はグム特製のハンバーグ定食がお勧めだよ!」
「ああ、ならそれにしようか」
執務もひと段落し、疲れ切った身体に鞭打って食堂へと向かえば、こちらを視認したらしいグムの元気な呼び声に迎えられる。
促されるままにそれを注文すれば、手を振ってこちらを呼ぶフランカ達の元へとトレイを持って向かった。
「ドクター、元気……じゃなさそうね。はい、お水」
「こうも毎日仕事漬けだとな……ああ、ありがとう」
「全く。もう少し休みなさいよね」
「フランカは私に仕事を押し付けすぎだと思うけどね」
「やだ、また小言が始まっちゃったわ」
「っ……それは貴女がいっつも……!」
仲良さげに口喧嘩を始めたフランカとリスカムの微笑ましい風景を眺めながら、冷めないうちにハンバーグを一口。
旨味たっぷり、熱々な肉汁が噛むたびにじゅわっと溢れ、満足感と一緒に腹を満たしていく。
……ああ、もう食べ終わってしまったか。
「うん……美味い。久々に食べたが、前より美味しく感じるな」
「それはグムさんの努力の賜物ですよ」
あまりの美味しさに賛辞の言葉をぽろっと漏らせば、背後からすっと現れたエプロン姿のマッターホルンが食後のデザートらしいバニラアイスを配膳しながら教えてくれる。
「前にドクターがハンバーグは歯応えがある方が好きと言っていたので、グムさんがそれに合わせて作り方を変えてくれたのですよ。……後で、感想を言ってあげてください」
忙しそうに厨房で駆け回るグムの方を見つめながら微笑むマッターホルンにどこか母親のような雰囲気を感じた私は悪くないだろう。
なお、感想を伝えたグムが浮かべた満面の笑みは仕事で疲れた心をとても癒してくれたことをここに明記しておく。
──────────────
「ふむ……大きな変化は無い。だが、前に比べ随分と肥えたな」
「そう、か……」
夕飯が終わり、その足で向かった診察室でケルシーに言われた言葉が頭の中で響く。
肥えた……肥えたか。思い当たりが有りすぎて困る。
グムが来てからは毎日三食たっぷり食べ、マッターホルンが来てからはそれに加えて三時のおやつに夜食すら食べている。その上事務仕事ばかりで、最近指揮をしていないとなると太るのも仕方がないだろう。
食べ続けてしまう美味しい食事が悪いなどと言い訳を脳内で並べ立てながらもダイエット方法を考える私に行き違いがあったことを気付いたのか、ケルシーが呆れた様子でぽつりと零す。
「……ちなみに言っておくが、今でようやく成人男性の平均体重だぞ」
考えていたことが吹っ飛ぶ。
「前が栄養失調同然の衰弱状態だったからな。それに比べたら随分と肥えただろう」
「せめて、健康的になった、とか。別の言い方をして欲しかったものだ……」
溜息と共に文句を投げかければ、自覚があるのかふいとそっぽを向くケルシーにもう一つ溜息を吐く。
続く言葉が無さそうな様子に立ち上がると、詳しい結果が書かれた診断書をデスクの上へと置き、出口へと身体を向ける。
「まぁ、問題が無いなら良い。……では、私はこれで」
「……ああ。アーミヤは随分寂しがっていた。君のせいでな。その埋め合わせはしっかりやれ」
思わず足が止まる。
振り向けば、心底呆れたといった様子のケルシーの表情が見えた。
「……やはり、その様子だとアーミヤが向かったのは君のところか。最近元気が無かったのが今日だけやけに機嫌が良さげだったからな」
「ぐ……そんなに、か」
「そんなに、だ。オペレーター達と親交を深めるのもいいが、近しい者を軽んずるのは感心できないぞ。……マンティコアは私の方から任務を言い付けておいてやる」
「……すまない、助かる」
「……全く。世話の焼ける奴だ」
──────────────ー
「ぁ、ドクター……待ってましたよ」
執務室の戸締りを終わらせ自室へと戻ってくれば、既に寝間着へと着替えたアーミヤがベッドに腰掛けていた。
「……待たせたか、すまない」
「いえ、私もドクターの部屋を満喫できたので気にしないでください」
いや気にするが、と言いかけて止める。
ケルシーからも聞いた通り、彼女に寂しさを与えてしまっていたのは私である。
執務室で毎日会っていた、というのは言い訳にならない。
新しいオペレーターと円滑な連携を行うため、というちゃんとした理由があったとしても、彼女を軽んじた事は事実だからだ。
「……ドクター。あまり構ってくれなかった分は、今構ってくれればいいんですよ?」
苦悩を見抜いたのか、優しげな表情になるアーミヤに、心底敵わないと思いながら隣へ腰掛ける。
寄り掛かるようにして身体を預けてきたアーミヤの頭を撫でていれば、上目遣いにとろんとした瞳が見上げてくる。
「今日は、一緒に寝てくれますか?」
「……あぁ、もちろん」
アークナイツ完結してない上にストーリーで隠された部分が多い、かつストーリーがごく短期間のうちに起きてる出来事のせいで非常に日常編が書きにくいという事実に悶え苦しんでた。
各オペレーターの第二話以降をでRー18版を書いてみるのはアリかナシか
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正座待機(アリ)
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煩悩を捨てよ(ナシ)
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NLなら許してやろうじゃないか
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百合ならいいゾ
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や ら な い か(男同士なら)