信頼度300%   作:スイヨウ

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シルバーアッシュ信頼度マックス記念。
※一部独自解釈あり


シルバーアッシュの場合

「変わりは無いか、我が盟友よ」

 

 

 聴き慣れたその言葉に、睨み合っていた書類から顔を上げる。彼がロドスに所属して以降、会う度に放つその台詞。既に日常の一部と化しているそれにマスクの下で緩やかな笑みが浮かぶのを感じながら、片手を挙げて返事を返す。

 

 

「体調面はアーミヤに管理されているからな。仕事で死にかけているのと、理性回復剤をガブ飲みしている以外は至って問題ない」

「……その二つがお前の身体を大きく害しているのだがな」

 

 

 否定できない言葉に無言で視線を逸らしては、口元のマスクを捲って彼の差し入れである珈琲を傾ける。おや、何時もの物より美味しい。

 

 

「良い豆でも使ったのか? 普段の奴より随分と味も香りも違うが……」

「昨日、マッターホルンの奴が私の行動に気付いたらしくてな。私自身の仕事を終わらせた時には二人分、既に入れ物に詰めて用意されていたよ」

「優秀な部下をお持ちで……っと、この言い方は良くないか」

 

 

 この言い方は自身の部下達に失礼だろう。オペレーターの面々は軒並み優秀ではあるのだ。シルバーアッシュの部下であるマッターホルンやクーリエの様な、気遣いのできるスパダリ人材が居ないだけで。

 

 

「あのコータスの少女はどうなのだ。随分と懐かれているようだったが」

「アーミヤの事か? 彼女も、仕事に追われているからな……」

 

 

 自分程では無いものの、彼女もケルシーからかなりの量の仕事を渡されているのだ。そこに己の世話までさせるのは酷だろう。

 ただ、彼の部下達を見ていると羨ましくなってしまうのは事実だ。隣の芝は青いという諺の意味がよく分かる。

 

 

「戦闘面での人材は持て余す程に揃えているというのに、事務処理ができる面子は各隊長と幹部のみ。……本当に、よくお前無しで回っていたものだと感心するよ」

「私が居ない間は龍門幣の大半を事務処理の人員雇用に回していたらしいからな」

「……今はお前が居るから雇うつもりは無いと。ふざけた話だ」

 

 

 頭痛を堪える様に眉間を押さえる彼に苦笑いしか返せなかった。実際何故雇わないのだろうか? そうすればかなり仕事が楽になるというのに。龍門幣が足りないなどという理由ならば喜んで貨物輸送の仕事を請けまくるんだが……うむ、今度ケルシーに相談してみよう。

 

 

「……やはり、盟友。お前は私の所へ来るべきだ」

 

 

 考え事をしている間に、やけに真剣な表情をしたシルバーアッシュがソファを離れデスクの前へと移動していた。此方を覗き込む鋭い眼光に、頷いてしまいそうな全開のカリスマ。ここ最近、昇進を告げてからよく見るようになった姿を訝しみつつも、ゆっくりと首を横に振る。

 

 

「知っているだろう。私は此処でやらねばならない事があるんだ。……そして何より、アーミヤを置いていくことはできないよ」

「……そうか。だが覚えておくといい。お前の抱える問題を解決できるのは私だけだ」

 

 

 荒々しい靴音が響く扉の向こうを一瞥し、強い語気で言い切る彼が出口へ足を向けるのと、勢いよく扉を開いたアーミヤがこちらへ駆け寄って来るのは殆ど同時だった。

 

 

「……友よ。私はお前の味方だ。何かあれば遠慮なく頼るといい」

 

 

 含みのある言い方を残して去っていくシルバーアッシュ。私よりも質が数段上の思考回路を持つ彼が言うのであれば、何かは起きるのだろ「ドクター? 随分と楽しそうにお話されてましたが……まさか、私に言えないような事じゃありませんよね」…………嗚呼。

 友よ。今頼りたい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ────

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 人気の無い廊下、冷たい床の上を二人分の硬質な足音が跳ねる。

 

 

「ここ最近、毎日のように通っておられますが。首尾はどうでしたか」

「はっきりと断られた」

「……にしては、随分と上機嫌ですね?」

 

 

 目の良い部下の問い掛けに、くつくつと喉奥で笑いが漏れ出す。

 

 

「友と逢えれば誰しも嬉しいという感情を持つだろう。ましてやそれが、最も親しい友人であるならば」

「……御友人ですか。僕はてっきり、初めて同程度の能力を持っている相手に出逢ったシルバーアッシュ様側が一方通行のライバル視をしてらっしゃるのかと」

「それも確かにある。だが、一方通行ではない」

 

 

 そういえば、クーリエを戦略会議の場に連れて行った事はなかったか。

 私が提示した作戦の概要を語る時にだけ見せるギラつき。全てを喰らい尽くして自分の物にせんとするあの視線を受ければ、否が応でも意識せざるを得ない。

 

 

「ですが、それならば何故勧誘を? 僕の知る貴方なら、むしろドクターとの戦いに惹かれると思ったのですが」

「……奴と然るべき場で戦うというのは、想像だけで血が沸き立つ様な気持ちになる。だが同時に、奴を、ドクターを、傍に置きたいという感情もあるというだけの話だ。何、戦いに勝ち、奴の身柄を奪えば両方の目的を果たせよう」

 

 

 言葉に籠る熱が暴れ出てしまうのを抑えるように、ふっと息を切る。見つめる先は虚空の彼方、何時かは必ず来る結末。己と友だけが脳裏に描いているだろう未来。

 

 

「……嗚呼、だが、友よ。もし、お前が勝ったのなら────」

 

 

 




今回は友愛…のつもりだったんだ。シルバーアッシュが最後に何を言ったかは脳内補完してください。
書いててドクターとの温度差すごいと思った(他人事)

各オペレーターの第二話以降をでRー18版を書いてみるのはアリかナシか

  • 正座待機(アリ)
  • 煩悩を捨てよ(ナシ)
  • NLなら許してやろうじゃないか
  • 百合ならいいゾ
  • や ら な い か(男同士なら)
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