信頼度300%   作:スイヨウ

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アズリウスさんに膝枕されながら耳かきされたい人生だった




アズリウスの場合

 

 

 

「はい、ドクター。あーん?」

「む……あーん……」

 

 ……うん、美味い。しっとりとしたスポンジに、程良い甘さのビターチョコソースがよく絡んでいる。実に自分好みの味だ。

 また、甘味としては満足できる味の強さで、夕飯に差し支える程の重さではないのも非常に良い。

 

 

「流石はアズリウスだな。今日のケーキも絶品だ」

「ふふ、嬉しいですわ。残りのお仕事が終われば夕飯をお作りしますから、そちらも期待していてくださいね?」

 

 

 おっと、今日は夕飯もアズリウスなのか。最高だ。既に私の好みは知り尽くされているらしいから、きっと大好きな肉系が来るのだろう。ハンバーグかステーキか、それとも唐揚げか……ああ、一気にお腹が空いてきた。早くこの仕事を終わらせなくてはならな「もう一口、どうぞ」あーん。うまい。

 

 

「……ドクター、何かおかしいと思います。なんでナチュラルに食べさせて貰ってるんでしょうか。アズリウスさんに甘えすぎでは?」

「ん……アーミヤ、居たのか」

「居ましたよ!? 〜ッ、ああもう、怒りのあまりソウルブーストが漏れてしまいそうなんですが!!」

 

 

 何時の間にか部屋へと侵入していたアーミヤが、前髪の隙間から青筋を覗かせながら両腕を組む。ソウルブーストは私が死ぬからやめてくれ。

 さて、私には心当たりが全く無いが、何か怒らせるような事でもしただろうか…………うーむ…………

 ……………………あ、なるほど。分かったぞ? 

 

 

「アーミヤもアズリウスのケーキが欲しかったのか。仕方ないな、私もまだ食べたいから一口だけだぞ?」

「違います! 確かに美味しそうですけど違うんですっ!!!」

「待つんだ、机に当たらないでくれ。備品を壊すと私がケルシーに叱られるんだ」

 

 

 カルシウムが足りていないのだろうか。ぷんすこと擬音が付きそうな程顔を真っ赤にしながらバンバンと机を叩き彼女へ呆れた視線を送りながら、最後の書類に判を押す。

 

 

「……問題なさそうだな。アズリウス、終わったぞ」

「うふふ、偉いですわね。では、腕によりをかけて作ってきますわ」

 

 

 柔らかく微笑んだ彼女が厨房の方向へと歩いていくのを確認すれば、書類を素早くファイルへと纏め、机の上を整理していく。

 食堂のメニューでも無いのに、席を奪ってしまうのは申し訳ないという事から彼女が料理をした時は執務室で食べるようにしているのだ。ただ、一度書類の上へソースを溢してしまってからは今まで以上に整理へ気を使うようになった。

 

 

「ねぇ、どくたー……無視ですか? 無視なんですか?」

「? どうしたんだ、そんな弱々しい声を上げて。話ならさっき終わったじゃないか」

「勝手に終わらされてる……っ!」

 

 

 心なしか萎んで見える耳が重力に負けて垂れ下がっている。先程から随分と彼女の様子がおかしいが、さっぱり原因は分からなかったので、とりあえず元気になるようケーキの残りを一口分差し出す。甘いものを食べれば私は元気が出るし、これでいいだろう。

 

 

「確かに美味しいですけど……うぅ、これじゃ勝ち目なんてないじゃないですか!」

 

 

 元気になった……が、また怒り出したな。訳が分からん。どうも最近、アーミヤは様子がおかしい。私がアズリウスと一緒に居るだけで理不尽にキレ散らかすようになった。勿論、彼女が言う通り、私もアズリウスに甘えているという自覚はある。しかし、どうやら彼女自身もそれを楽しんでくれているようなのだ。なら良いじゃないか。何故アーミヤが怒るんだ。

 

 結局、フォークを掴んだままドンドンと地団駄を踏み、アーツで扉を吹き飛ばして泣きながら走り去っていった後ろ姿は哀しみに満ちていた。後で扉の代金絶対請求する。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ────

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……うふふ」

 

 

 二人分の食事が載せられたトレイを運んでいる最中、丁度入れ違いに走り去っていった少女の方にちらと視線をやっては、くすくすと笑う。嗚呼、こんなにも私は独占欲が強かっただろうか。

 

 

「……どれだけアプローチしても、もう無駄ですの。彼は特効薬なんて存在しない、私という毒に浸されているんですから」

 

 

 そう、既に彼は私の物なのだ。まだ正式な言葉は貰っていないけれど、ミッドナイトやシルバーアッシュへドクターが贈り物の相談をしていた事も知っている。それが、私宛だという事も。

 後は、彼との幸せを何時も通り続けていくだけでいい。それだけで目的は達成される。

 

 

「……と、考え事は良いですが、料理が冷めてしまうのは良くありませんね」

 

 

 彼の好物であるハンバーグの皿、そこから伝わる熱にふと意識が現実へと戻ってくれば、先程より早足に歩く。

 それ程時間は掛からず着いた部屋の扉を開けば、マスク越しでも分かるほどにパァッと表情を輝かせたドクターに、笑みが溢れる。愛おしい。

 

 

「来る途中で熱は大分逃げましたから、猫舌のドクターでもすぐに食べれますよ? ……さ、召し上がれ」

 

 

 フードとマスクを外し、私の言葉に頷いては、早速好物を口いっぱいに頬張るドクターの姿を見る度に、決意が深くなる。

「毒物」である私を、ありのままの私を受け入れてくれた、あの掌。何よりも愛おしいそれを握っているのは、私でありたいのだ。

 だから、手加減はしない。前のように遠慮する事もない。ドクターを手に入れることができるなら、何でもしよう。

 

 

「────愛していますよ、ドクター」

 

 

 

 

 

 




スペクターさんが昇進2したら書くと言ったな。あれは嘘だ。
アズリウスは絶対どろっどろに甘やかしてくるタイプ。私も甘やかされたい。

各オペレーターの第二話以降をでRー18版を書いてみるのはアリかナシか

  • 正座待機(アリ)
  • 煩悩を捨てよ(ナシ)
  • NLなら許してやろうじゃないか
  • 百合ならいいゾ
  • や ら な い か(男同士なら)
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