あべこべ世紀末、転生先は地獄だぜ   作:abc2148

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味方、ゲットだぜ!

世紀末の世界において危険とは身近なものです。暴走した殺人機械、見境なく暴れる生物兵器、突然変異の化物……、数えられない程の危険が世界には溢れ、油断すれば一瞬で命を奪われるという地獄なようなものです。

 

だからこそ文明を維持できた人間の集団は集い、力を合わせ、危険を排除し人間が生存できる環境を作り出しました。それが都市国家、都市を中心として人間の生存領域を築き上げることで今日まで人類は生存を続ける事が出来ました、めでたしめでたし──とは終わりませんでした。

 

人が二人集まると上下関係が生まれる、三人集まると意見の相違が生まれる、世界が破滅したとしても人間の性が変わることはありませんでした。故に都市国家同士で武力衝突が起こるのは当然の帰結ともいえるでしょう。食料、技術、土地、資源、相も変わらず人間同士で殺しあう戦争は日常に組み込まれてしまいました。

 

さて、そんな世紀末世界でありながら成り行きはともあれ都市国家の一つで短くもない時間生活していたソラ。しかし彼は何をトチ狂ったのか都市での生活を捨て再び廃墟に舞い戻りました。

 

都市に生きる誰もがソラの行いを知れば正気を疑う事間違いないですが、当の本人に至っては正気でした。そしてソラは嘗ての拠点に舞い戻ると直ぐに行動を起こしました。必要な道具を用意すると急いで廃墟から離れ、近くに広がる荒野に向かいました。そして自身が隠れられそうな大きさの物陰を見つけると其処に潜伏しました。

 

ここからソラの戦いが始まりました。それは銃弾飛び交う鉄火場ではありません、只ひたすらに荒野に生息する生物兵器、怪物などから身を隠し続けるものです。それは危険極まりないことであり、下手をすれば簡単に命を落とすでしょう。

 

もし隠れている物陰に近付いてきたら、隠蔽が不十分で遠目に見つかってしまったら……、そんな最悪の可能性がソラの頭の駆け巡ります。それでもコレは都市から離れ生きるのであれば、ソラが求める自由を得る為のは避けては通れない道です。

 

そして待ち続ける事半日、ついにソラが待ち望んでいた危機が訪れました。

 

「キタ!」

 

そう小声で口ずさんだソラの視線の先には小型の機械が荒野を移動していました。

 

大きな丸い胴体を持ち四足で移動、その胴体の上部には何らかの射撃ユニットが接続されている兵器。都市では『ブリキのおもちゃ』と呼ばれる雑魚扱いの無人兵器です。この兵器の特徴は弱さと数、都市の兵士であれば簡単に駆逐できる程の弱さでありながら、幾ら破壊しても減らない数の多さ。そのせいで都市の財政を地味に圧迫する嫌われ者です。

 

しかし今のソラにとっては待ち望んでいた存在、すぐさま持ち運んできた機械、端末を起動します。

 

「立ち上げ……、システム起動……、各種接続機器問題なし……、電波良好、機種特定、当たり!」

 

ソラの手元にある端末には様々な情報が絶えず表示され変化していき、その端末から伸びた配線は小型のカメラとアンテナ等に伸びています。それらが小さな駆動音を立てながら稼働していきます。そして端末に表示される全ての機能が正常に稼働していることを確認できたソラはシステムを起動させます。

 

「ハッキングモジュール起動!」

 

これがソラが新たに手に入れた手札の一つ、ハッキング。荒野を彷徨う無人兵器を捕獲、機能を侵食して管理者権限を書き換えて手駒とする技術。とはいっても専門的なハッキングの知識をソラは持っておらず、攫われて都市にいる短い間で習得できる程簡単なものでもありません。それでも長い間対峙し続けた一部の無人兵器に関しては先人達が多くの対抗策を残しています。ソラが起動させているシステムもその一つ、パッケージ化されたハッキングシステムは高度AIを搭載した無人兵器には無力ですが、最低限のAIしか積んでいないような雑魚には有効なものです。

 

そして変化は直ぐに訪れました。目の前にいた無人兵器は移動を停止、正面を向いていた銃器モジュールも糸が切れたかのように銃口が下がっていきました。

 

「えっ、もう出来たの?」

 

拍子抜けするぐらい簡単に無力化出来た事を訝しんだソラは端末の画面を見ますが100%と表示された侵食率があるだけでした。念のために暫く観察を続けたソラでしたが幾ら待っても兵器は動き出しません、無事にハッキングできたようでした。

 

「よっしゃー!」

 

最初で最大の関門を突破したソラは急いで兵器に近寄ります。すると遠目には見えなかった兵器を事細かく見る事が出来ました。しかし最初の関門を突破しただけでソラのやる事はまだ残っていました。

 

「えーと先ずは此奴の物理接続端子を探して……此処か、自動迎撃システムの完全停止、ここから権限の上書きして、後は各種認証を上書きして……」

 

無人兵器の上に載ってソラは完全な掌握に取り掛かります。画面に表示される兵器の様々な情報を読み取り、必要であれば情報を書き換え、権限を上書きしていきます。そして全てが終わるとシステムを完全終了させ─

 

「システム再起動!」

 

兵器から降りたソラが端末に表示されるYESを選択します。すると兵器からは駆動音と共に音声が再生されていきます。

 

「システム再起動、各種システムチェック……問題なし、武装確認……、操作用ケーブル断裂、武装使用不可、周辺環境スキャン」

 

機体に搭載された三つのカメラがそれぞれキュルキュルと音を立てながら周辺を確認し、それと同時に目の前にいるソラに一つのカメラが向けられました。

 

「生体反応確認、照合、個体名ソラ、間違いないですか?」

 

「うん、あってるよ」

 

「分かりました。所有者ソラ、命令を求めます」

 

「よっしゃー!」

 

ソラのハッキングは成功、兵器は書き換えられたデータを元に判断しソラを所有者だと認めました。その事実にガッツポーズをしてソラは喜び、しかし此処が危険な荒野であることに思い出すと急いで兵器の上に乗り込み隠れ家に向けて逃げ出しました。

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