ソラが根城にしている廃墟はそこそこの大きさでした。元々は高ビルであったのか縦長であり幾つもの空き部屋があります。
しかし中には床や天井が崩落して使えない部屋が幾つもあります。それでも空き部屋は多くあり、尚且つ見晴らしの良いそこそこの高さの階をソラは丸ごと根城にしています。
以前であれば其処にはあるのはソラが作った生活必需品と集めたガラクタだけでした。しかし今は其処にソラの身体より大きな無人機がいました。
その数は三機、一機は原型を僅かに留める位に解体され今は邪魔にならないように部屋の隅に置かれています。もう一機は脚を折りたたんで廃墟の外を監視しており、最後の一機は駆動部を外された胴体部分だけの状態で部屋の中央に置かれていました。その達磨状態の機体にはコードが伸びており、それはソラの持つ端末に繋がっています。
「こんなものか?」
端末の画面には様々な物が表示されており、それを見てソラは別の端末に何かを打ち込んでいきます。そうして一つのプログラムを組み上げるとソラは目の前にある無人兵器に書き込んでいきます。新たなプログラムを加えられた兵器はそれに従って搭載されている観測機器を動かしていきます。そこから得られた情報は即座にソラの持つ端末の送られ表示されます。映し出された情報を見る限りプログラムは正常に作動しているようでした。
「あぁ~、漸く出来た……、そして疲れた……」
長く続いたプログラミング作業から解放されたソラは廃墟の床に大の字に寝そべります。その直ぐ傍では兵器が観測装置をシャカシャカとせわしなく動かしています。
どうしてソラがプログラミングをしているのか、それは無人兵器を鹵獲した日に遡ります。
最初の一機をハッキングしてからも荒野にソラは張り付きました。そして丸一日費やした結果として三機の無人機を鹵獲しました。
この成果はソラを高揚させました。何よりうれしいのが単純な戦力強化、ソラでは扱えない銃器も無人兵器ならば制約無く扱えます。日中は連れまわして護衛役、夜は廃墟の警備、疲れ知らずの機械にしか出来ない事です。
しかし世の中そう上手く事は運びません、隠された問題が直ぐに発覚しました。
手に入れた無人機を廃墟に連れ込んだソラは簡単な検査を兼ねて無人機の外装を外しました。その瞬間鼻に突き刺さるような焦げ臭い匂いが……、黒ずみ光沢を無くした駆動部が……、とにかく問題が山の様に出てきたのです。
見間違かと思ったソラは外装を閉じます。
そして深呼吸してからもう一度外装を外します。
結果は変わりませんでした。それが三機ともでした。
装甲版の劣化に弾薬切れ、武装モジュールの故障に駆動部分の摩耗……、回路の焦げ付きに一部部品の融解……、ソラの目の前にある無人兵器は頼れる戦力ではなくスクラップの一歩……、何とか言いつくろっても二歩手前の状態でした。
これでは戦力としても労働力としての使えません。それどころか何時壊れるか気が気ではありません。ならば比較的状態の良い機体を選別してハッキングするしかないのか、とソラは考えますが荒野で待ち構えるしかない時点で見つけられるのは今回の様なスクラップ手前の機体だけです。ピカピカの新品など手に入れられるはずがないのでした。
最初の当てが外れたソラは廃墟の床に両手を突きorz状態……、をする時間も惜しいとばかりにソラは鹵獲した無人兵器の修復に着手しました。
修復の知識が無い?技術が無い?そんな泣き言を言っている暇などソラにはありません。共食い上等、三機の中で状態の悪い二機は解体、残った一機を取り出した部品で何とか修復します。『ブリキのおもちゃ』と呼ばれている所謂雑魚の無人機ですがその設計は簡素かつ堅実なもの、全くの素人であるソラが端末に保存していある技術書を片手に整備できる程優れた設計をしていました。
そうして修復出来た無人機は元気に廃墟の中を動き回り、その無人機を見てソラは言いました。
「ダメだ!これでは只の動く的でしかない!」
修復した無人機は別名『ブリキのおもちゃ』、雑魚中の雑魚、紙装甲に貧弱火力、修復して弄ったからこそ分かってしまう重大な問題でした。ならばどうするか、ソラは考え、結論を出します。
「そうだ、改造しよう」
火がついてしまった男の子の心、極めて危険な生活を送っている現状、その二つが合わさり始まった改造。もう『ブリキのおもちゃ』なんて呼ばせないと燃え上がる情熱は止められませんでした。積載重量の許す範囲内での装甲、火力の増加、廃墟に貯めていた部品で別ものに変貌してく無人機にソラは『バーニー』と命名。
そして完成した改造無人機を目の前にソラは言います。
「一機だけじゃ不安だな」
そうして始まる改造の日々、バーニーを連れて荒野に行けば同じ機体を鹵獲してはscrap&build、端末片手、工具片手に学習と実践の日々。教材と化している無人機もこなれた技術である為、基礎を学ぶのに適していました。そのお陰で一足飛びのモノではないがソラの持つ技能は着実に向上していました。
「バーニー、倉庫にあるジャーキーとってきて」
バーニーに追加で付けた簡易補助腕が握ったジャーキーをソラに渡します。不味いワンコの肉で作ったジャーキー、その程よい不味さに顔をしかめながら再びソラは改造に取り掛かるのでした。