明智は公衆の面前でパンツを丸出しにされて恥をかき、カズマはパンツ脱がせ魔の汚名…いや実際にやってはいるのだが…を被るなど、誰も幸せにならなかったあの厄日から数日。
彼はどうにも暇を弄んでいた。クリスを訝しんではいたもののその件はパンツの件で頭の遥か彼方へと吹き飛んでしまっている。そして彼が目につけた物は『魔法』だった。
ペルソナを使えば上級の攻撃魔法のような物は行使できる。だが、書籍を読み漁った限りはこの世界では攻撃用、バフやデバフ以外にも現在習得した『潜伏』などのような特殊な用途のスキルがまだまだあるらしい。そこで彼はクリスを探しにギルドへと繰り出した。
〜*〜
ギルドの前に辿り着くと、あっさりとクリスの姿を見つけることができた。しかし、その近くにはあのサトウカズマの姿も。何やら話をしているようだが、またスティールで剥かれたらたまったものではない。彼はなるべくカズマの視界から逃れるような位置から見守る。
「どう、ゲームしない?君が私にスティールを仕掛ける。当たりはこのマジックダガー。売ったら40万エリスはくだらない代物だよ。ハズレはーーーこれ!」
「うわっ汚ねぇ!」
「フフフ、まぁ腕試しだからね。どう?乗る?」
ポケットに無数の小石を潜ませているクリスはとても自信に満ち満ちた得意げな顔をしている。どうやら負けるとはか程も思ってないらしい。
恐ろしく不利な賭けだが、何故かカズマはとても乗り気だ。
「『スティーーーール』!!」
彼の手から青白い光が放たれ、忌々しいあの魔法が発動される。そして光は収まり、彼女の腰には未だダガーが挿さっている。小石を入れているであろうポケットの膨らみも縮んでいない。ぱっと見は彼女に外観の変化はない…が、彼女は少しすると赤い顔でホットパンツを押さえて前屈みになる。
そして当のカズマはと言うと、この世の者とは思えないほどにゲスな顔をしていた。彼の手に握られていたのは白い綿のような生地に黒い小さなリボンがあしらわれた、子供のようなパンツだった。
「ーーーヒィィヤッハーーーーーー!!!当たりも当たり!!大当たりだああああああああああ!!」
「あたしのパンツ返してえええええ!!ちょっとアケチ君!見てるだけじゃないでどうにか助けてよおおおお!!」
少し離れたところから見物していたために巻き込まれることはないと思っていたがしっかりバレていた。…今思えば彼の格好はこの世界ではひどく目立つ。当たり前だ。
ただ彼は今彼女に頼みをしにきた立場。下手に断るわけにもいかず、嫌な顔をしながらもカズマに近寄る。
「…あのー、サトウさん。あまり女の子を虐めるものじゃないよ。それに下着を剥いで公衆の面前に晒すなんて、君への悪評がすごいことになるんじゃないかな。目先の幸福もいいけど、先の安定も見据えるべきだよ」
「ヒッ……す、すいませんでした…どうぞパンツです…」
以前に半殺しにした事が余程トラウマになっているのだろうか。限りなく優しく爽やかな声で話しかけた明智にカズマはひどく怯え、クリスに跪きながら両手にパンツを乗せて返上した。 しっかりと騒いだせいで周りの人間はドン引きし、どう考えても悪評が付くのは避けられないのだが、それは黙っておこう。
「……はぁ、助かったよ。ありがとうアケチ君」
「災難だったね、ご愁傷様。それで、少し用事があるんだけど、時間の方は大丈夫かな?」
「ん?君からだなんて珍しいね。それで何なの?用事って」
「君が習得してる魔法を色々教えてもらいたいなって。出来れば直接攻撃するような物じゃなくて少し特殊なものを」
「なるほどねぇ。そんな事しなくても君、十分強いと思うんだけどなぁ。でも分かったよ。それじゃどこか平原にでも行こうか」
〜*〜
クリスに連れられ、アクセルから少し離れた森へ到着した。
何やら張り切っているのか、いつの間にか彼女はメガネをかけてまるで教師のように振る舞っている。上はスポーツブラのような物にスカーフ、下はホットパンツにブーツととても露出の多い格好でチグハグ加減が凄まじいことになっているのだが。
「ーーーさて、まずはそうだなぁ…これ!『トリックダガー』!」
そう言い彼女が何もない手をかざすと、その手には半透明の紫色をした小さなダガーが握られていた。
「こんな風に魔力を使ってダガーを作り出すの。投げたり斬ってもよし、咄嗟の防御に使ってもよし、簡単に出したら消したり出来るから名前通りにフェイントに使ってもよし。自分の魔力がある限り何本でも作り出せるし、中々に汎用性のある魔法だと思うよ」
「へぇ…そうだね。これは使えそうだ。習得することにするよ」
「よし、それじゃあ次!次はこれ、『エンチャント』!」
今度は彼女の腰に下がっているダガーを抜き、手をかざす。するとダガーの周りに何やら薄黒いモヤが纏われる。
「自分の持ってる武器に魔法や道具を使って追加効果を付与する魔法だよ。今これは『ポイズン』の魔法を使って毒を付与した状態だね。君、色々魔法使えるみたいだし便利なんじゃないかな?」
「なるほど…どんな物にでも付与できるのかい?」
「そうだね。ただ、武器によっては魔法に強くなるように対魔力がある事があるから、そういう武器にはちょっと普段より多く魔力を持っていかれたりするかな」
「ふむ…便利そうな魔法だ。いいね」
「それじゃ次。ちょっと待っててね」
そう言いダガーを少し遠目の木に投げつける。そして少し力を込めるような動作を取ると、目の前からクリスの姿が消えた。こういった物でどうなるかなんとなく想像はつく。明智が先程ダガーの刺さった木を見やるとそこにはクリスの姿があった。思ったより深くダガーが刺さってしまったらしく抜けなくて苦戦しているようだ。
「こ、これが…フッヌヌヌ……『シンプルテレポート』!キチンとした道具を使ったテレポートとは違って行ける範囲は狭いし……フウッ……!条件が面倒だけど、格段に簡単に発動できるテレポートなんだ……ぜ、全然抜けない…自分の魔力の込もった物の所にテレポートできるの!ただ簡易版とはいえテレポートだからちょっと魔力消費も多いけど……ワワッ!」
そう言い彼女がようやくダガーが抜けた反動で後ろに倒れる。都合よく受け止められるはずもなく頭を打って悶えるクリスを尻目に明智はこれらの魔法の使い道を考えていた。
(僕の魔法はどれもお世辞にも燃費がいいとは言えない…簡易的に攻撃の起点になる『トリックダガー』とその攻撃をより強化する『エンチャント』…それにこの『シンプルテレポート』………上手く使えればかなり戦略の幅が広がりそうだ)
「…っとと、どうする?まだ他にも見ていくかい?」
「そうだね、後2、3くらい見せて欲しいかな」
〜*〜
そんなこんなでクリスに様々な魔法を教えられて明智は結局スキルポイントの関係もあり、盗賊としての初期スキルと最初に教えられた3つの魔法を習得した。
日もすっかり落ちかけた夕方。2人はアクセルへの帰路に着いていた。しかしその途中で明らかに何か人工物のような石の祭壇を森の中で見つける。
「…これって…もしかしてダンジョンってやつかい?入り口は見当たらないけど…」
「そうだね。ただこのダンジョンはもう攻略されてる物だから、別に潜ってもモンスターに襲われるだけだし、日も落ちるから今日は帰った方がいいと思うけど…」
「…いや、少し腕試しをしてくるよ。君はどうする?無理についてこなくてもいいけど」
「んー…オーケー。君なら心配いらないだろうし、あたしは先に帰るね。少し明日は野暮用があるから」
そう言い、クリスが石柱の一本に触れると床の石板が動き出して階段が現れる。地下の冷ややかな冷気が溢れ出し、肌を撫でてくる。まさしく文献にあったダンジョンそのものだ。
彼は僅かに好奇心を膨らませながらダンジョンへと歩を進めて行ったーーー
〜*〜
既に探索済み、アクセル近郊にあるということでなんとなく察してはいたが、あまり面白いものではなかった。出てくるモンスターもせいぜいがあのカエルより二回りほど小さいもの。剣を一振りするだけで悉くが沈んでいった。
薄暗い地下を『暗視』を駆使しながら進む。道中に幾らかの宝箱を確認したがそのどれもが開封された後だった。 もはや退屈に感じ始めたのか、大胆不敵を体現したかのようにズカズカと進んで行く。
そして行き止まりと例に漏れず開封済みのこれまでのものより少し豪華な宝箱。だが、ここまで来たんだと一縷の望みを求めて何かないかと周りを探し回る。
そこに彼の目に入ってきたのは絶対に見逃されてしまうであろうとても小さな違和感。奥の壁。そこの下の石に色の違う部分がある。自然由来や偶然のもののような点のものではなく、面で変色している。
岩壁を試しに斬りつけてみる。すると壁は崩れ、再び道が現れる。更にはこれまでの言ってしまえば粗雑なダンジョンとは違い、壁には既に消えてはいるものの、篝火台が設置されておりまるで奥へと誘われているかのような感覚を味わう。
進むとドームのように広く開けた空間に出る。こんな空間があったのも驚きだったが何より目を引くものが。中央に
翡翠の色をした全身を覆う外殻。そしてその隙間から覗かせる濃紫の皮膚と猛禽類を思わせるかのような鋭い爪。何よりこちらを見つめる黄金の瞳とニ対の角、顎の下から生える人間の髭のような見た目をした白い体毛。
読み漁っていた本の中に前回彼の倒した特別指定のモンスター。そのリストがあった。いつか見えるかもしれない強敵たちの情報は叩き込んでおこうと読んでいたその中に記載されていたモンスターの特徴と一致する。『エルダードラゴン』。毒と風を操るドラゴンだ。
「…手応えは欲しいと思ってたが…これは流石にハードそうだな」
そう呟き、改めて自分の幸運ステータスの低さに辟易する。そもそも特別指定のモンスターとの遭遇など自分から探しに行かない限りは冒険者人生で数回あるかないかというレベルだ。それを1ヶ月もしないうちに2体目など何か仕組まれてるのではないかと疑いたくなる。
「Graaaaaaaaaaaaaa!!」
辟易している明智にまるで喝を入れるかのようにエルダードラゴンが大きく咆哮する。並の冒険者であればそのまま戦意を刈り取られそうな咆哮だ。そしてそれは風を操るドラゴン。
咆哮に混じってほぼ不可視の風の刃が迫る。
だが彼も百戦錬磨の怪盗団。その程度ではやられない。 風の刃を剣の一閃で掻き消し高らかに叫ぶ。
「射殺せーーー『ロビンフッド』!!」
背後に大男が顕現し、ドラゴンに向けて光の矢を放つ。 しかしその巨躯には見合わないほどの回避行動を見せる。
「…デカいと思ってたが、どうやらその身体の体毛でそいつを助長してるのか…やりにくいな。どこを狙えばいいか掴みにくい」
先程と同じくドラゴンが風の刃を放つ。今度は3本同時だ。しかし、これにも彼は上手く回避して対応してみせる。
両者ともに有効打は未だなし。しかし、彼は今までの彼ではない。戦い方は大きく進化する。
「『エンチャント・スロウ』」
明智がドラゴンを囲うようにエンシェント・デイを連射する。あの分厚い外殻に光線銃は効果があるとは思えない。しかし、その銃弾は一定のところまで進むと、急激に速度を落としてまるで機雷の様に辺りに漂い始めた。
「『トリックダガー』」
そして四方とドラゴンの外殻に差し込む様にトリックダガーを放つ。当然ダメージにはならない。だがそんなのは百も承知。
次の瞬間にはドラゴンの視界から明智の姿は消えていた。
直後、翼に鋭い痛みと衝撃。見ると、天井に刺さったダガーの周りに出現した明智が翼を大きく斬りつけている。
再び彼の姿は消えて今度は足元。次は尻尾。右翼。背中と捉える間もない程の連続した斬撃が押し寄せる。トリックダガーは自身の魔力で形成される。それを利用してテレポートの行き先を至る所に配置。それにより彼は高速で巨大なドラゴンの全身を切り刻むことに成功した。 更に怒り暴れれば、身体を大きく動かすために先程の銃弾が自らのせいで着弾し、炸裂する。
完全に彼の術中に踊らされていた。しかし、ドラゴンもこれで終わる様であれば特別指定なぞされていない。
「GAAAAAAAAAAAAAAAAAA!!!」
特大の咆哮と共にハリケーンの様な風圧を辺りに撒き散らす。仕掛けられていた銃弾やトリックダガーも全て霧散し、再び両者睨み合いの態勢に戻る。
「思ってたよりも上手くいったな。さてもう一度…ッ!?」
瞬間彼の視界は霞がかかった様にボヤけ、同時に全身に倦怠感、痛みが襲いかかり、喀血する。
その隙をもちろん見逃されるはずもなく、太くしなやかな尻尾が彼の身体を打つ。大きく吹き飛ばされ、ダメージを受けながらも手をついて立ち上がる。そして新しい戦術のために忘れていたこのドラゴンの毒も操るという特性を思い出す。
(我ながら馬鹿だったな…恐らくこれまでの攻撃全てに気づかれないほどに希釈された毒の霧が撒き散らされてたんだろう。だから効くまでにも時間がかかった…だが……)
「
目の前で心なしか得意げな顔をしているように見えるドラゴンに明智がそう言い放つ。
言葉通り彼の手に剣は握られていない。それはーーードラゴンの頸にあてがわれている。先程のラッシュ時に背中に魔力で刻印を付け、テレポートで剣を転移させていたのだ。そしてエンチャントで『ファスト』を付与。剣は射出され、頸から喉仏を穿つ。幾ら強大な力を持とうと生物だ。当然呼吸を断てば後はゆっくりと死を待つのみとなる。しかし彼はダメ押しにーーー
「『コウガオン』」
無数の光の矢が無慈悲に弱った全身を貫く。 全身に大きな穴を開け、巨躯が霧散する様に崩れる。
魔法を使った新しい戦術。それがこれまでの効果を発揮したことで彼は少しばかりダメージも忘れるほどの高揚を覚えていた。
一息つき、何となく辺りを見渡す。すると最初にドラゴンが眠っていた所の更に奥に古びた宝箱を見つける。これまでダンジョンで見かけたどの宝箱よりも古びているが、それが逆に一層の期待を煽る。
中にはまるで女神の様に美しい…と思ったが女神に関して彼はロクな思い出がないため…オーロラの様に美しい、白から紫のコントラストがかかった羽のような鉱石が出てきた。
思いがけない戦闘と収穫を胸に、彼はダンジョンを後にした。
〜*〜
ダンジョンから抜け出す明智。そしてその明智を付ける影が1つ。先程帰ると嘯いていたクリスだ。 普通の尾行であれば間違いなく彼に気取られるのだが、この世界の魔法と彼女の高ランクの『潜伏』により彼が彼女に気づくことはついぞなかった。
彼の先程のエルダードラゴンとの戦いぶり。あぁ、自分はえらいことをしてしまったなと彼女は深く考え込んでいた。まさか教わったばかりの魔法を活用してここまでの戦術を生み出すとは。
そして違和感も1つ。凶暴性こそ今回は鳴りを潜めていたが、少しばかりこれまでの彼より好戦的なように見えた。 本当の彼はどっちなのだろう。そして、その
そんな思いが彼女の中で渦巻いていたーーー
〜*〜
ギルドに帰還した明智。また騒ぎになるかと杞憂していたが、あのエルダードラゴンの死体をギルドに回収させ、その素材をもらうために仕方なく報告することにした。
「…これ、お願いします」
「はい!討伐報告ですね!ーーーエッエッエルダー…どらごん……?ごほん、すいません、取り乱してしまいました。前回の初心者殺しの際に少し騒ぎを起こしてしまってすいませんでした。またその時その……嫌そ〜な顔されてたので…今回は内密に処理させてもらいますね」
「…あはは、僕そんなに嫌そうな顔してましたかね。でも、ありがとうございます。助かります」
〜*〜
後日、彼の元にエルダードラゴン討伐の報酬金、およびその素材が届けられた。その額なんと5000万エリス。なんでも特別指定のモンスターの中でも特に情報やその素性が知れず、それで報酬も釣り上がっていたらしい。
そんなこんなで彼は一軒家を建てられるほどの貯蓄を手にした。そのため、建築業者の斡旋の依頼も兼ねてギルドへ足を運んだのだが、どうにも依頼が少ない。
話を聞く限りではどうも魔王軍の幹部が近隣に住み着いてしまい、それに怯えたモンスター達がなりを潜め、すっかり依頼の数も減少して残っているのも高難度のものばかりらしい。
そもそも何故こんな駆け出しばかりの街に、その割には何か直接的な被害なども出ているわけでもないなど、分からないことが多すぎるのだがーーー
「ーーーやぁアケチ。今日も精が出るな」
「ーーーッ!!お、おはよう…ダクネス…さん…」
瞬間、背筋に悪寒が走った。この感覚に襲われる原因はいつも決まっている。あの変態だ。 今すぐにでも逃げてしまいたい衝動に駆られるが、多数の冒険者の見ている手前、会話を続けるしかなかった。
「エルダードラゴンを討伐したらしいじゃないか、すごいな君は!そこで頼みがあるんだが、私のトレーニングに付き合って欲しい。フィジカルもメンタルも両方鍛えられる画期的なものなんだが、君には腕立てをしている私の背中に乗ってあの目と心のない罵倒を私に浴びせるんだ。『おい、ペースが落ちてきているぞ。こんなんじゃ豚と変わらないな』ーーと!!!くううぅぅー!!ーーーーーーあ、あれ?どこぉ……?」
夢中で恐ろしく早口になって語り始めたため、これ以上聞くに耐えない醜い妄想から逃げるために彼はそそくさと逃げ出した。
〜*〜
簡単な昼食を済ませ、変わらず知識欲と暇潰しのためにこの世界についての本を読み漁っていると、突然けたたましいサイレンの音が辺りに鳴り響く。
その後に響いてくるのはあの栗毛の受付嬢の声。声はひどく焦り、何か相当逼迫した状況を嫌が応にでも感じさせる。
『緊急指令!緊急指令です!街の全ての冒険者達は直ちに正門に集合してください!!』
正直彼にとって危機がどうだのはあまり興味がない。だが、ここまでの緊急事態を起こすほどの元凶ーーー十中八九近隣に住み着いた魔王軍の幹部のことが気になっていた。自分の一応の目標である魔王討伐。その幹部ともなれば実力を見ておくべきだ。
そして彼は本を閉じ、宿を飛び出したーーー
〜*〜
正門には既にまばらに冒険者達の人影が集まっていた。当然最前列にサトウカズマ達の姿も後ろから確認することができた。
そしてその更に奥、平原の少し高くなっているところにそれはいた。
中世の騎士を思わせるような物々しい甲冑、馬と両刃の大剣。それらは全て黒く染まり、見て取れるほどの凶兆を孕んでいる。しかし、それらよりも特徴的なのが本来あるはずの頭部がそこにはなく、代わりに小脇に抱えられていることだ。兜からは人の意思など簡単に砕いてしまいそうな赤い眼光が覗かせている。
「…俺は先日この辺りに越してきた魔王軍幹部の者だが……毎日毎日、俺の城に爆裂魔法を撃ち込んでくる頭のおかしい奴はどぅこだああああああああああああああ!!!」
めっちゃキレてた。なんか普段は厳かな口調とかしてそうなのにそれも忘れてめっちゃキレてた。
ちなみに描写してない(忘れてた)けど明智は戦闘前にヒートライザの腕輪使ってます