腐り目騎士の英雄譚   作:月村手毬ちゃん親衛隊

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できました、では第10話です。どうぞ!


魔力制御の鍛練

「それ以上はダメだろ。怪我人が出るぞ」

 

 

八幡はそう言って間に割って入ると二人の霊装をそれぞれ掴む。

 

 

(八幡は本当に影薄いなぁ。それに炎とか氷が出てる霊装を素手で掴んでる)

 

 

一輝は驚いた顔で八幡の方を見る。その驚きは霊装を掴まれているステラと珠雫も同じなようだ。

 

 

「なにするんですか、離しなさいっ」

 

 

「ちょっと、なんで止めるのよ!」

 

 

誰が掴んでいるのかすらわかっていないまま邪魔をされて腹を立てている二人。

 

 

「なんでって指定された場所以外での霊装使用は校則違反だからに決まってるだろ」

 

 

八幡は腹を立てている二人に対して冷静に校則違反であることを告げる。

 

 

「うっ」

 

 

「あっ」

 

 

ステラと珠雫は校則のことを完全に忘れていたようで小さく声を上げる。

 

 

「それに、俺達伐刀者の力は人を簡単に殺すことができる。だから伐刀者の力を振るうなら責任と覚悟を持てるようになってからにしろよ。なにかあってからでは遅いんだからな」

 

 

八幡の言葉にその場にいた者達が同意の頷きをする。

 

 

「それでさ八幡。霊装掴んだままで熱かったり冷たかったりしないの?」

 

 

八幡の言葉が終わった後、一輝は八幡が剣を掴んだままであることを指摘するとようやく二人の霊装を離す。

 

 

「あ、すまん忘れてた」

 

 

「えっ・・・忘れてたって本当に熱くなかったのね」

 

 

「私の霊装掴んで冷たくないって・・・」

 

 

八幡の言葉に絶句する二人。しかしすぐに頭を切り替えて謝ろうするが珠雫は名前を知らず言葉が詰まる。

 

 

「すみませんでした。えっと・・・」

 

 

「比企谷くんだよ珠雫」

 

 

そんな珠雫に一輝は八幡の名字を教える。

 

 

「すみませんでした。比企谷先輩」

 

 

「悪かったわ、ヒキガヤ」

 

 

珠雫は敬語で、ステラは敬語こそないもののしっかりと頭を下げて過ちを認める。

 

 

「まあいい。怪我人はいないみたいだしな。これから気を付ければいい。それと、先輩はいらん。実は俺も留年してるからな」

 

 

「えっ?なぜ比企谷先輩・・・あ、比企谷くんは留年してしまったのですか?」

 

 

留年という言葉を耳にした珠雫が思わず理由を尋ねる。

 

 

「授業に出てなかったからな。それにランクだけ見て人を判断するような教師の多い学校の授業なんて聞きたくないしな」

 

 

 

「そうだったんですか。お兄様との会話を聞いていたところお知り合いのようなので、お兄様のことよろしくお願いします」

 

 

「あー、気が向いたらな」

 

 

「ありがとうございます」

 

 

暗に断ったのだが、珠雫は了解したと思ったようで八幡にお礼を言った。

 

 

「・・・とりあえず今回の件は理事長に報告することになるからな」

 

 

そのため八幡は指摘するのを諦め珠雫とステラの処遇を理事長に委ねることを伝える。そして八幡はその場を離れると理事長室へ向かうのだった。

 

 

そしてその後理事長に判断を仰いだ結果、八幡が止めたことで周囲に被害が出なかったことからステラと珠雫は一週間の間、学園の女子トイレ全ての掃除という処分になった。

 

 

 

 

 

 

その後八幡は自身の寮に戻った。寮の同居人である東堂刀華は戻ってきていなかったため、日課である魔力制御の練習をしていた。

 

 

八幡が行っているのは伐刀者が纏っている魔力を知覚し自身の好きなところに集中させることだ。八幡は身体全体に流れている魔力の全てを一ヶ所に集め、一つずつ場所を変えていく。そして次に魔力を集める場所を一ヶ所ずつ増やしていき、最後に両目と両手両足に均等に分ける。そして再び身体全体に回したところで後ろに振り向く。

 

 

「帰ってきていたんですね東堂先輩」

 

 

気づいていたことに驚く刀華だったがそれを表に出さず八幡がやっていることを尋ねる。

 

 

「ついさっきね。それで比企谷くんはなにをやってるのかな?」

 

 

「魔力制御の鍛練ですよ。身体に巡っている魔力を操作しているんです」

 

 

体内の魔力を操作することは魔力制御に自信がある者であればこれくらいのことはできるだろう。しかし、身体全体に纏っている魔力を好きな場所に好きな比率で分配できるのはおそらく八幡だけだろう。

 

 

「すごいですね比企谷くんは。私も魔力制御の鍛練で部分的に魔力を集中させようとしていたんだけど全然上手にできなくて諦めちゃったんです。私が諦めたのってこの鍛練方法だけなんですけどね」

 

 

意外だな、生徒会長の東堂先輩が諦めたのって。まあ、実際難しいからな。俺もできるようになるまでに1年かかってるし。

 

 

「あれは無意識に身体全体に回っている魔力を意識的に身体を動かす部分だけに回すようにするんです。東堂先輩の能力で例えるなら体内に流れる電気を、動かす身体の部分のみに集中させるようにするといいですよ」

 

 

刀華は八幡のアドバイスの通りに魔力を右腕のみに回す。

 

 

「こうかな?・・・うーん、前やったときよりはできてるかな」

 

 

「そうですね、中々いい感じにできてると思いますよ」

 

 

刀華の魔力の流れを能力で確認する。魔力はしっかりと右腕に集まっていて他の箇所と比べると明らかに多く集められている。

 

 

「これからも続けていけば魔力制御もうまくなりますよ」

 

 

八幡がそこまで言ったところで八幡の生徒手帳にメールが入ってきた。八幡がメールの機能を開くと一輝からだった。

 

 

 

「すみません、知り合いからメールが来たので確認してもいいですか?」

 

 

話の最中だったため刀華に一言声を掛けると一輝からのメールを見る。そこにはステラや珠雫達とショッピングモールに行くためステラの護衛をしてほしいときていた。

 

 

はぁ、休日はゆっくり寝れるなって思ったらこれか。ステラの護衛の任務があるから仕方ない、行くか。

 

 

八幡は一輝の生徒手帳にステラの護衛に向かうことを了承する連絡を入れると手帳をしまった。

 

 

「土曜日はショッピングモールに行くので一日中ここにはいません。なので自由に使ってください」

 

 

「わかりました。楽しんできてくださいね」

 

 

ステラの護衛としていくことになっているため楽しむことはあまりできないのだが、八幡は頷くと明日の準備をして早めに寝るのだった。




次の話はお出掛け会となります。すぐに投稿できると思うので少しの間お待ち下さい。
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