腐り目騎士の英雄譚   作:月村手毬ちゃん親衛隊

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遅くなってしまってすみません。今日はいつもより少しだけ長めです。それではどうぞ。


テロリストと占拠されたショッピングモール

あれから5人はモノレールに乗って覇軍学園の近くにあるショッピングモールへとやって来ていた。一輝と珠雫は手を繋いでステラの後ろを、その後ろをアリスと八幡が、ステラは前方を歩いている。

 

 

「ふーんこれが日本のショッピングモールかー」

 

 

そう言いながら後ろを振り返ったステラは一輝と珠雫が手を繋いでいることに気づく。

 

 

「・・・ってちょっと珠雫なにしてんのよ!」

 

 

「なにってごくごく一般的な兄弟のスキンシップですが?昔からよく手を繋いで歩きましたよねお兄様」

 

 

そういえば俺も昔は小町と手を繋いで歩いていたな。いつの間にかなくなったけど。

 

 

「あはは、まあそうだよね」

 

 

「だったらアタシも・・・」

 

珠雫の嬉しそうな声に一輝は肯定するとステラがもじもじしながら手を繋ごうとする。しかし珠雫は不思議そうにステラを見て笑った。

 

 

「あら?ステラさんはお兄様の下僕なんですよね?」

 

 

「・・・ッ」

 

 

「いえ、いいんですよ?手を繋ぎたければ繋いでも。でも、肉親でもない異性と手を繋ぎたいなんてまるで特別な感情があるみたいですよね?まさかステラさんは!?」

 

 

ステラに向けたのは笑顔は笑顔でも悪い笑顔だった。そしてステラは珠雫の言葉に顔を赤くする。

 

 

「う・・・そそんなことないわよ!アタシはイッキの下僕、ただそれだけよ!」

 

 

「なら手を繋ぐ必要はないですねー。さぁ、参りましょうお兄様」

 

 

「えっ?あぁうん」

 

 

珠雫はステラをあしらうと一輝と手を繋いだままステラの前を歩き出した。

 

 

「バカイッキ!シスコン!優男!女誑し!ヘンタイ!シスコン!」

 

 

色々悪口みたいなの出てくるなおい。ていうかシスコン二回言ったぞ、大事なことだから二回言いました的なやつか。

 

 

一輝と珠雫の後ろ姿を見ながら一輝に出来る限りの暴言を浴びせるステラであった。

 

 

その後、ショッピングモール内の店でクレープを食べた八幡たちはトイレに入るために男子グループと女子グループに分かれていた。八幡は先にトイレを済ませ外に出て行ったが、一輝とアリスはトイレに残って珠雫について話していた。

 

 

「それにしても驚いたよ。あの珠雫がアリスには心を許しているみたいだから」

 

 

「あら、そんなに驚くようなこと?」

 

 

一輝は蛇口を捻り水を止めると手を拭きアリスに体を向ける。

 

 

「繊細で人見知りで、そうそう他人に懐くような子じゃないんだよ。特に異性には」

 

 

「まあ、あたしは女だし?」

 

 

アリスは確かに生物学的には男なのだが、初対面の時から珠雫に対しても心は女性だと公言し、行動でも心は女性であることを強く表現していた。

 

 

「あははは、とにかくお礼を言いたくて。 珠雫と仲良くしてくれてありがとう」

 

 

アリスは一輝の言葉に驚き小さく声をあげると表情を和らげる。

 

 

「本当に、珠雫の言った通りの人ね。強くて、とても優しくて」

 

 

そこまで言ってアリスは言葉を切り、そして呟く。

 

 

「だけど・・・だからこそあなたは」

 

 

「ん?」

 

 

アリスの呟きが聞こえたのか一輝は戸惑いの声をあげた。しかし、なにを言ったのかは聞き取れなかったようだ。

 

 

「ううん、なんでもないの忘れて」

 

 

アリスは一瞬顔を下げ、すぐに顔を上げるがそこで表情が強ばった。一輝はアリスに話しかけようとするがアリスは一輝の口を塞ぎ身を寄せる。

 

 

そしてアリスは短剣型の霊装を呼び出すと男子トイレに霊装を突き刺し影でできた穴を作る。そして一輝と共に中に入ると穴を閉じた。その直後、男子トイレの扉が開き覆面の男二人が入ってくる。そして銃弾を全て撃ち尽くすと男二人はトイレから出ていった。

 

 

影から出てきたアリスと一輝は周囲を見渡し誰もいないことを確認するとトイレの床に降りた。床には発射薬を詰める薬莢が落ちていて一輝はその薬莢を手に取る。

 

 

「あいつらは一体・・・」

 

 

「少なくとも善人じゃなさそうね。ひょっとするとこのモール・・・」

 

 

「占拠された?」

 

 

「かもね。確かめに行く?」

 

 

そう言うとアリスは手に紫色の魔力を溜め短剣型の霊装を呼び出した。

 

 

「それが君の固有霊装(デバイス)・・・」

 

 

展開された霊装を見ながら呟く一輝にアリスは自身の霊装について教える。

 

 

「そう、黒き隠者(ダークネスハーミット)。影を操ることができるの・・・影の中を移動することもね」

 

 

アリスは壁に向かって短剣を振るい影を作り出し、一輝に中に入るように促す。

 

 

「行きましょう、珠雫達が心配だわ」

 

 

「わかった」

 

 

一輝は先に影の中に入り、その後をアリスが続く。そして一輝とアリスは状況を把握するために移動を開始したのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

一方その頃、先にトイレを済ませていた八幡はステラと珠雫が待っているフードコートに戻っている途中だった。人混みというものがあまり好きではない八幡は人混みから逃れて気力を回復させるために人通りの少ないところを歩いていた。

 

 

しかしそこへ、複数の足音とガチャガチャ音が耳に入ったため刀型の固有霊装を展開し周囲を警戒する。そこへ銃を持った覆面の男達が現れる。

 

 

「おい!あそこに刀を持ったやつがいるぞ!間違いない、あれは伐刀者だ!撃て!!」

 

 

覆面の男の一人が指示を出すとその声に続いて他の者達が銃を乱射する。

 

 

弾丸の数は多いが狙いは結構バラバラだな、普通にしてても当たらないやつが結構ある。当たるとまずいのはせいぜい数十発だな。

 

 

「比企谷流剣術第5秘技崩剣」

 

 

弾幕の隙間に刀を差し入れ軌道を反らしつつ自身の足元から立体化させた影を数十本出し、男たちを縛り上げた後、刀の柄で打撃を加えて男たちを気絶させる。

 

 

よし、これでいいか。

 

 

仕事を一つ終えた八幡は護衛対象であるステラの元へ戻ろうとしたその時だった。

 

 

「・・・っ!」

 

 

自身に悪意を向けられたのを感じ大きく後ろに下がると先程までいた位置に鉄の円柱が飛び出てきた。八幡は体勢を整えると悪意を感じた方向に視線を向けた。

 

 

「おいおい今のを避けるかよ・・・完全な不意討ちだと思ったんだがな」

 

 

そう言いながら現れたのは金髪で中肉中背の男だった。その男はポケットに手を突っ込みながら歩いてくる。雰囲気からは強者特有のものは感じられないが、武術を嗜んでいることがわかる体捌きと歩き方だった。

 

 

雰囲気と動きが噛み合っていないし、大方雰囲気を偽っているってところか。まあ、武術の心得があるなら動きから実力を判断できるだろうけどな。

 

 

「ボッチは視線に敏感でな。覆面の男達が出てきた辺りからずっと視線が突き刺さってたことはとっくに気づいていたぞ」

 

 

「ボッチとやらがなにかは知らんが気づいていたなら仕方ない。人を殺すのは俺の主義に反するから殺しはしないが腕や足の1本は覚悟してもらう」

 

 

男はポケットから手を出すと手袋を着けた手を前に出し構える。すると男の体から隠していた気配が解き放たれ、体を銀色の魔力が覆った。

 

 

そして八幡は腰の鞘に刀を入れると柄に手をかける。そして足を開き腰を落とすと魔力を解放した。八幡から放たれた魔力は黒色で、刀は黒色を纏い目の濁りは濃さを増す。男は八幡から放たれる魔力に目を細めるとその数秒後に両者は同時に動き出した。

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