腐り目騎士の英雄譚   作:月村手毬ちゃん親衛隊

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サブタイトルを前編と後編にわけましたが前編は黒鉄くんの取材交渉になります。それでは遅くなりましたがどうぞ。


取材交渉 前編

二つ名が決まった次の日。俺は朝のホームルームの時間の直前に学校に来ると話す相手もいないため来て早々に机に伏せ寝たふりを始める。教室は先週の選抜戦のことで盛り上がっていている。俺は寝たふりをしたまま生徒の話を盗み聞きしてみると次のような話をしていることがわかった。

 

 

「選抜戦が4分の1終わったけど気になる人いた?」

 

 

「そうだなぁ~、黒鉄くんとか?Fランクなのにあんなに強くて顔もかっこいいしファンになっちゃったよ~」

 

 

「確かに~。でも私は凪様がいいなぁ。ミステリアスな感じがしてかっこいいし、休日に見た凪様は服装もかっこよかったなぁ」

 

 

俺のことは一切話題にはなっていないようだが、黒鉄や有栖院は強さに加えて外見のよさも相まって女子にかなり人気があるようだ。やっぱり人は外見が一番重要なんだな、再確認できたわ。実際日本に来てから何回も職質されたし。そんなことを考えていると聞き覚えのない声が俺の名前を呼んだ。

 

 

「・・・おはようございます。・・・比企谷君ですよね?」

 

 

聞き覚えのない声だな

 

 

「誰だよこんな学校来て早々俺に声をかけてきたのは。ホームルームも近いしそろそろ席つけよ・・・って誰?」

 

 

声をかけてきたのは今まで一度も見たことのない女子生徒だった。目の前の女子生徒はたどたどしい喋り方で名前と何をしに来たのか話す。

 

 

「・・・えっと・・・新聞部の漆原此花(このは)です・・・放課後に少しだけ・・・時間をいただきたいのですが・・・ダメですか?」

 

 

同じ新聞部の日下部とは正反対に大人しい感じだな。俺の目は怖い印象があるのは自分でもわかっているから怖がらせないようになるべく優しく話しかける。

 

「そうか新聞部か。ということは取材のことでいいのか?」

 

 

「・・・はい・・取材のことで・・・お話したくて」

 

 

やっぱり取材だったか。放課後は特に用事もないし取材を受けるくらいはしてもいいだろう。それに俺もAランクだしある程度は表に出る必要があると思うし。

 

 

「わかった放課後か。別にいいぞ。詳しいことはその時に話そうな」

 

 

俺が新聞部の取材を受けることを了承すると女子生徒は僅かに表情を明るくする。俺はそれを見て妹を思い出し、つい女子生徒の頭を撫でてしまう。

 

 

「・・・比企谷君・・・その手・・・」

 

 

「ん?あ、ああすまん、つい。初対面で頭触って済まなかったな。手離すから」

 

 

俺は頭を撫でていた手を離す。すると女子生徒は小さく声を漏らした。

 

 

「・・・あっ」

 

 

俺は別に主人公によくある難聴とかではないため女子生徒の残念そうな声が聞こえてしまったが聞こえないふりをしてやり過ごす。しかしその女子生徒との間で変な雰囲気になりお互いにフリーズしてしまう。このままフリーズしたまま数秒が経ったタイミングで朝のホームルームのチャイムがなったため二人のフリーズが解除された。

 

 

「・・・ということで放課後はよろしく頼む」

 

 

「・・・は、はい」

 

 

二人は一言だけ言葉を交わすと女子生徒は自分の席へ戻っていった。そして担任の折木有里が教室に入ってきてホームルームが始まるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

朝の一件から時間が経ち時は授業後。生徒達はこの後の予定について友達と話し合ったりして思い思いの時間を過ごしている。俺は生徒達の会話を耳に入れながら放課後にある用事について考える。

 

 

この後は放課後に新聞部の取材について話すんだったな。教室では一切話題にも上がらなかったが取材の交渉があるくらいだし知ってる人は知ってるって感じか。Aランクなのにまあまあ影が薄いとか喜んでいいやら悪いやらわからんな。

 

 

そんなことを考えていると教室の後ろが僅かに騒がしくなった。そのため俺は後ろを振り向くと後ろでは日下部の他に二人の生徒が黒鉄と話していた。話している雰囲気的にやましいことではないようだが黒鉄はなにやら困っているような顔をしていた。

 

 

「どうしたんだ黒鉄?なにか困っているようだが」

 

 

「あ、八幡。えっとね日下部さん達に剣術を教えてほしいって頼まれてね。さっきからステラがこっちを見てるからどうしようかって迷っていたんだ」

 

 

遠く離れている俺の席にも聞こえるくらいだしさらに近い場所にいるヴァーミリオンに聞こえないはずがないわな。ていうか自分の手の内に近いような情報を教えてしまっていいのかとは思ったがその辺は選抜戦の動画を見ればある程度はわかることだし、それほど気にすることではないのかもしれないが。

 

 

「そうだな、剣術を教えるのは別にいいと思うぞ。ただヴァーミリオンがこっちみてるってことは気になってるんだろうしヴァーミリオンも誘った方がいいんじゃないか?」

 

 

「そうだね、そうすることにさせてもらうよ」

 

 

俺が話しかけたことで日下部達は空気を読んで一旦外れていたようだ。そして日下部達は話の区切りができたタイミングで戻ってきたため黒鉄は先程の話の続きを始めた。

 

 

「わかった。そういうことなら教えるのは構わないよ」

 

 

「やったー!『突撃取材、無敵の無冠の剣王(アナザーワン)。黒鉄一輝の熱血指導に本紙記者も昇天!』次の一面は決まりね!」

 

 

「あれ?趣旨変わってる?」

 

 

「いいからいいから。じゃっ明日から始めるとしますかっ」

 

 

もう見出しまで決めてるじゃねぇか、気が早すぎだわ。それに反して漆原は同じ新聞部でもペースが全く違うな。漆原のあの感じだとゆっくり進んでくことになりそうだ。

 

 

「なにデレデレしてんだアイツ。目立ちやがって」

 

 

「調子乗るなよ留年(ダブり)のFランクがっ」

 

日下部や黒鉄が予定を立てている中、近くの男子達は黒鉄に対して愚痴のようなものを言っていた。あの様子だと当日はなにか問題が起きそうだ。

 

 

俺は黒鉄達の話や男子生徒達の愚痴を耳に入れながら当日に起こる厄介事を考えて溜め息を吐くのだった。




次の話は後編になりますが八幡の取材交渉回となります。
楽しみにして待っててくださいね
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