腐り目騎士の英雄譚   作:月村手毬ちゃん親衛隊

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1話で戦いを終わらせようとしましたが文字数が多くなったので2話構成にしました。この作品で初めての武術戦で上手くできているかわかりませんが感想等いただけたら嬉しいです。

それではどうぞ。


剣士同士の戦い①

 

 

 

試合開始の合図と同時にまず動いたのは八幡だ。足に魔力を集中させると鷺沼に一瞬で接近し袈裟斬りを放つ。対する鷺沼は左の肩口から来る一撃を防御するとさらに連続で来る攻撃を同じように防御しながら隙を伺う。

 

 

そして連撃の一つを捌いたところで八幡に僅かな隙ができたため、鷺沼はこれを見逃さず振り下ろしの一撃を放つがその攻撃は八幡に命中することなく地面を叩く。その直後鷺沼に八幡の攻撃が襲いかかった。しかし鷺沼は相手に誘い出されたことに気づくとすぐに反転し、八幡の刀に斬撃をぶつけてなんとか攻撃を受けるのは避けた。

 

 

「鷺沼選手のカウンターが比企谷選手を襲うがそれを見事に回避!カウンターを仕掛けた本人が逆にカウンターをもらうという結果となりました~っ」

 

 

「ふむ、ギリギリで防御が間に合ったとはいえ今のは比企谷君が上手だったな。普通の伐刀者では気づかないような僅かな隙をわざと見せて相手に攻撃させ、攻撃を回避した直後に背後から斬りつける。流れは完璧だったが攻撃を回避するタイミングが早かった分カウンターを防ぐ時間を与えてしまったのが惜しかった。ギリギリまで引き付けていたら今回も一太刀で決まっていただろう」

 

 

解説の先生の言う通りほとんどの伐刀者は俺よりも大きく強さで劣るため、大きな隙でなければそもそも隙があることにも気づかない。しかし実力者は僅かな隙を突いて攻撃を仕掛けてくる。そこで敢えて普通の伐刀者では気づかないような僅かな隙を見せることで、自身の手によって作られた隙だと誤認させて攻撃を誘い込んだというわけだ。

 

 

「様子見とはいえ、よく今の攻撃を凌いだな。武術をある程度使えるくらいの実力であればさっきので仕留められたんだが」

 

 

「最年少の師範代を相手にその発言とは恐れ入る。だがその発言に見合うだけの実力があるのは確か。さて、ここからが本番だ」

 

 

鷺沼の言う通りここからが本当の戦いだ。どういった能力なのかはわからないがこれまで以上に激しい戦いになるのは確実だな。

 

 

一連の攻防が終わり距離を取って会話していた二人は互いに動き出し、先程以上の激しい戦闘が始まった。

 

 

「先程は先手を取られたが今度はこちらからいくぞ」

 

 

さっきとは打って変わって鷺沼から攻撃を仕掛けてきた。数歩で八幡との距離を詰めると剣を振り上げ、自身の体重を乗せながら剣を振り下ろす。その動きはやや大振りではあるものの、腕に魔力を込めている影響で剣速はかなりのものだ。

 

 

「はあぁぁぁぁぁっ」

 

 

「おっと」

 

 

しかし八幡は鷺沼の強力な一撃を刀の峰を持った状態で頭上に刀を構えて防いだ。そして鷺沼がこの後に放ってきた連撃は摺り足で後ろに少しずつ下がりながら捌いていく。

 

 

剣の振りは鋭く威力も充分あるしいい攻撃だが防げないこともないな。それにしてもさっきから相手の攻撃の威力を利用して後ろに下がりながら攻撃を受けているが、その度に後ろに下がる距離が段々と長くなっているな。だがこのくらいの攻撃力ならまだ斬撃を捌く余裕はあるからもう少し様子を見るか。

 

 

鷺沼の攻撃を捌きながら考え事をしていると八幡の意識が別のところを向いていることに気づいたのか鷺沼がフェイントを掛けてくる。しかし八幡は鷺沼の攻撃に悪意があまり込もっていないことに気付くと、攻撃が当たる瞬間に体の力を抜いて一撃目を柔らかく受け止め二擊目もしっかりと防いだ。

 

 

そして八幡と鷺沼の二人はそのまま鍔迫り合いとなった。

 

 

「戦いの途中で考え事とは随分と余裕だな」

 

 

「いや、それほど余裕というわけではないぞ。現に戦いは今のところ互角だしな」

 

 

八幡の言葉通り剣での戦いは互角と言えるだろう。しかし鷺沼は能力を使っているのに対して八幡は未だに一切能力を使っていない。そのため完全な互角ではなく全体で見ると八幡の方が有利だ。そのことを分かっていながら八幡は惚けるが鷺沼にはお見通しのようだ。

 

 

「互角とは謙遜か比企谷?どんな能力を持っているのか知らないが、まだ能力を使っていないだろう」

 

 

「能力を使っていないことはわかるのか。だが互角というのは本当だぞ、この試合では能力を一切使わないからな」

 

 

「・・・能力は使わない宣言か。それならば逆に能力を使わせたくなってくるというものだ」

 

 

「それなら俺に能力を使わせてみせるんだなっ」

 

 

八幡は鍔迫り合いの状態から鷺沼を弾き飛ばすと鷺沼から距離を取る。そして鷺沼は少し離れたところに着地すると先程までの戦闘によって乱れた息を整える。そして鷺沼は八幡に能力を使わせることを目の前にいる本人に告げた。

 

 

「言われなくともそうする」

 

 

鷺沼の言葉が終わると同時、数メートル程の距離が一気に詰められクロスレンジでの戦いが再開された。

 

 

三度目の攻防で始めに攻撃したのは八幡だ。足元で魔力を爆発させることで機動力を向上させると鷺沼との距離を一気に詰める。そして八幡が居合を放つが鷺沼には当たらず回避されてしまう。そこで自身の攻撃が当たらないことを予想していた八幡が鷺沼を追撃するものの、鷺沼も相手が追撃してくることを予想していたため八幡の攻撃を剣で防いだのだった。

 

 

 

そして鷺沼は八幡の攻撃が一瞬止まったところで八幡を力で押し返すと、体を遠ざけ空いた胴に横薙ぎを放つ。しかし鷺沼の攻撃は惜しくも八幡が刀を体の前に割り込ませたことで有効打とはならなかった。そして鷺沼が攻撃を仕掛けたことで攻守が入れ替わると鷺沼の猛攻が始まった。

 

 

まず始めに繰り出されたのは下からの斬り上げだ。先ほどの攻撃から繋ぐ形で放たれた斬撃が八幡を襲う。

 

 

対する八幡は鷺沼の攻撃を防ぎつつ攻撃の威力を利用して後ろに下がるがその動きを追って鷺沼が前進し剣を振り下ろしてくる。

 

 

斬り上げからの振り下ろしによる連続斬りできたということはここで勝負を決めに来たか。剣術においては振り下ろしが最も威力の出る斬り方だから、二撃目以降に威力のある攻撃を選択したのは悪くない判断だ。だが相手の体勢が崩れる前に勝負を決めにいくとは勝負を焦ったな。

 

 

八幡は今までの攻防から鷺沼がここぞという時に毎回振り下ろしの一撃を放っていることを看破していた。そのため振り下ろしの一撃直後の隙を狙うため鷺沼の攻撃を剣先で受け流す。そして鷺沼の背後に回り込んだ次の瞬間、八幡は自身の首に悪意を感じたため咄嗟に刀で首を守る。その直後に刀と剣がぶつかり合った。

 

 

 




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