腐り目騎士の英雄譚   作:月村手毬ちゃん親衛隊

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次で決着とは言ったがあれは嘘だ。







すみません、今回で終わらせるはずが結局終わりませんでした。





剣士同士の戦い②

 

 

 

 

「おおっと危ない!比企谷選手、剣と自身の首の間に刀を割り込ませることで鷺沼選手の放った突きをなんとか防ぎました!」

 

 

後少し首を守るのが遅れていたら今頃俺の首は貫かれていたな。それにしても振り下ろしが囮で本命は下からの突きだったか。鷺沼から放たれた殺気のおかげで攻撃を間一髪で防ぐことができたが普通なら決まってたな。

 

 

鷺沼が放った攻撃が全く予想していなかったものだったため防ぐのがギリギリになった八幡は内心冷や汗をかく。

 

 

「今のは完全に決まったと思ったんだがこれでも防がれるというのか」

 

 

鷺沼は今の一撃のために散々布石を打ち、確実に決められるタイミングで攻撃を放った。にも関わらず八幡に攻撃を防がれたため、鷺沼は一旦八幡から距離を取ると信じられないかのように呟く。

 

 

「だが着実に比企谷に近づいているのは確かだ。だからこのまま攻め続けて攻撃の主導権を握ってやる」

 

 

しかしすぐに気持ちを切り替えると、鷺沼は自身の一番得意な攻撃である振り下ろしを一撃目に放った。対する八幡はその攻撃を後ろに下がり回避するとすぐさま刀を出して防御体勢に入る。そこへ鷺沼が八幡との間に距離があるにも関わらず下から斬り上げを放ってきた。斬り上げを放った際に削り取られた地面の欠片が礫となって八幡を襲うが、八幡は冷静に礫を全て叩き落とした。

 

 

しかし八幡を襲った礫は陽動だったようで、鷺沼は八幡が礫の対処をしている間に接近すると最後の礫を弾いた瞬間を見計らい攻撃を仕掛ける。

 

 

「はあぁぁぁっ」

 

 

鷺沼は気合いの声とともにがら空きになっている左の脇腹に斬り上げを放つが、八幡は声に反応して刀を右手から左手に持ち替えると鷺沼の一撃を防いだ。

 

 

「折角の奇襲も声を出してたら意味がないだろう」

 

 

「比企谷の言う通りではあるが声の有無に関係なくどんな不意打ちも対応していた以上意識外の攻撃は通用しないとみて間違いはないだろう?それならば比企谷の動体視力を上回る速さで攻めて防御を抉じ開けるまでだ」

 

 

「とはいえあんたの固有霊装は剣。加えて身体能力もこれまでの感じからBランクあるかないかだろう。それでは俺の動体視力を上回ることなど不可能だと思うが」

 

 

「不可能かどうかは自分の体で確かめてみるんだなっ」

 

 

八幡から大きく距離を取った鷺沼は両指を地面に付きクラウチングスタートの構えを取る。そして足元で魔力を爆発させると剣を前に突き出したまま走り出した。

 

 

目にも止まらない速さで駆け抜け突きを放つが、八幡は突きを刀の樋を利用して受け流した。そこで鷺沼は素早く反転しながらそのままの勢いで連続突きを放った。

 

 

「ここで鷺沼選手の攻撃が斬撃主体から突き主体へと変わりました!今のところは比企谷選手に突きが当たっていませんがこれは当たるのも時間の問題になりそうです!」

 

 

鷺沼が八幡の動体視力を上回るために選択した攻撃は突き攻撃だった。何回も高速の突きが八幡を襲うものの体を捉えることはできていない。

 

 

「これなら比企谷の動体視力を上回ることは可能だろう?さて勝負はまだ終わらないぞ」

 

そう言ってまず始めに鷺沼が放ったのは頭と腹部への連続突きだ。初速を出すために剣先を相手に向けたまま体を捻り力を貯めると、2連突きを放つが八幡によって二回とも弾かれてしまう。そこで今度は稲妻型になるように4連突きを放った。しかしこれも八幡には通用せず全て弾かれることになった。

 

 

そこで更に攻撃の速度を上げて連続突きを放ち続けるが中々当たらない。ただ連続突きの回転率を更に上げたことで八幡は段々と防戦一方になっていた。

 

 

そしてここで鷺沼は勝負を決めに来たようだ。ある一回の連続突きの最中に八幡の頭上を飛び越えると背後から頭部や腹部、心臓や両肩に六連突きを放ってくる。八幡はすぐに振り向き突きを弾くが、最後の突きを弾いた瞬間に一瞬鷺沼を見失うとその直後には真横から殺気を感じ横を振り向くよりも先に刀を振るった。

 

 

ガキィィィンッ!

 

 

八幡は金属音を鳴らしながらギリギリで頭への突きを弾くことに成功する。そしてすぐに体を真横に向けると肩と足への4連突きを全て弾いた。

 

 

攻撃方法が突きに変わってから明らかに攻撃の密度が増しているな。確かにこれならやがては俺の動体視力を上回るかな・・・っと。

 

 

考え事をすることすらも許さないとばかりに攻撃が激しくなり、連続突きを放ちながらも鷺沼は八幡に隙ができるのを今かと待っていた。そしてとある一撃が八幡の制服を僅かに貫き、剣を引いたタイミングで体勢を崩させる。

 

 

あ、これはマズイ。今から回避するのでは間に合わないから防御するしかないができるか?

 

 

そして次の瞬間鷺沼は背後に回り込むと気合いの声と共に突きを放った。

 

 

「うぉぉぉぉぉぉっ」

 

 

気合いの声とともに放たれた連続突きを八幡はその場に留まって弾いていく。しかし11回目の突きを弾いたところで次の攻撃を防ぐことができないことに気づいた八幡は全力で後ろに跳ぶ。そしてなんとか攻撃を回避して着地するとさっきまで八幡がいたところに大きなクレーターが残っているのだった。

 

 

「おおっと比企谷選手!鷺沼選手が放った怒涛の連続突きと振り下ろしの一撃を見事乗り切りました!!」

 

 

今のは本当に危なかった。だけどあれで鷺沼の能力は完全に把握できたな。さて、答え合わせでもしようかねぇ。

 

 

「今の攻撃は本当に見事だった、後少しで押し切られるところだったからな。だがあれのおかげで能力がわかった。鷺沼の能力は威力の累積だな?」

 

 

「・・・正解だ。なぜ俺の能力が威力の累積だとわかったのか聞かせてもらおうか」

 

 

八幡が鷺沼の持つ能力を暴くと鷺沼はなぜ自分の能力を暴くことができたのか尋ねてきた。そこで八幡はその理由を詳しく説明する。

 

 

「攻撃を何回も防御している中で気になったところはいくつかあったが、決め手になったのは最後の一撃だ。試合開始直後の攻撃でできたクレーターと最後の攻撃でできたクレーターを比べたところ、後にできたものの方が遥かに大きかったため鷺沼の能力を完全に把握したというわけだ」

 

 

「なるほど、地面に残されていた攻撃の痕から俺の能力を見破ったというわけか。戦闘中から感じていたがやはり中々良い観察眼と頭のキレを持っているな」

 

 

「まあ観察眼と思考力は俺の専売特許だからな。敵の能力を暴くことくらいは簡単にできる」

 

 

八幡から能力を暴くことができた理由を聞いた鷺沼が八幡の洞察力の高さを称賛すると、八幡は鷺沼に対して肯定の言葉を返す。そしてさらに八幡は鷺沼に称賛された特技を生かして鷺沼の身体の状態を言い当てる。

 

 

「それと体力の回復は終わったのか?隠しているつもりなのだろうが息が荒いぞ」

 

 

「・・・心配ない、体力の方は大体回復した。だから次の一撃で決める」

 

 

度重なる能力の使用で魔力のほとんどを消耗した鷺沼は次の攻撃で確実に勝負を決めようと剣を構える。それを受けて八幡の方も腰を落とすと柄を握って構えた。そして一瞬の静寂の後、魔力で身体能力を強化した鷺沼と身体能力を強化していない八幡は同時に動き出した。

 




今度こそ次回決着です。
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