腐り目騎士の英雄譚   作:月村手毬ちゃん親衛隊

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8月になりとても暑くなりましたね。水分しっかりとって熱中症に気をつけてください。それでは前置きもこの辺にしてどうぞ!


綾辻絢瀬

 

 

 

 

 

 

 

「助けてくれてありがとう」

 

 

池に落ちてしまい失神してしまったところを助けられた女子生徒はベッドの上で目を覚ますと自身を医務室まで運んでくれた八幡達にお礼を言った。そしてその女子生徒は自己紹介をしようとするが顔を手で隠してすぐに下を向いてしまう。

 

 

「僕は、その・・・3年の・・・あのっ」

 

 

「どうかしました?」

 

 

「だって・・・男の子と、目を合わせるなんて・・・恥ずかしくて」

 

 

「随分シャイな先輩ねぇ」

 

 

「黒鉄をストーキングしていた人物がどんなやつなのか気になってはいたが、まさかこんな恥ずかしがり屋な女の子だったとはな」

 

 

一輝をストーカーするという行動力の高さとは正反対な性格に八幡とアリスが驚いている中、一輝はストーカーをしていた女子生徒に名前を聞く。

 

 

「それじゃあとりあえず、貴方の名前を教えてもらってもいいですか?」

 

 

「僕は3年1組の綾辻、絢瀬」

 

 

女子生徒の口から出た名字にどこか聞き覚えがあった一輝はどこでその名前を聞いたのか少し考える。すると脳裏に一人の人物が思い浮かんだ。

 

 

「綾辻・・・もしかして先輩は綾辻海斗さんにゆかりのある方ですか?」

 

 

「あ、綾辻海斗ならボクの父さんだけど?」

 

 

「やっぱり!その竹刀だこといいそうじゃないかと思ったんですよっ」

 

 

目の前にいる先輩が自分の尊敬している剣士の縁者だったことに興奮を隠しきれない一輝。その様子を見ていたステラは何故一輝があんなにも綾辻海斗の縁者に会えたことが嬉しいのかわからず近くにいたアリスに尋ねた。

 

 

「ねぇアリス。アヤツジ・カイトって?」

 

 

「さぁ?私は知らないわ」

 

 

しかしアリスも綾辻海斗という名前に聞き覚えはないようで首を傾げている。そんなアリスに代わって珠雫が綾辻海斗についての説明を行った。

 

 

最後の侍(ラストサムライ)と呼ばれた天才剣士ですよ。東西統一戦、天龍御膳試合、武蔵杯、十段戦などの名だたる全ての大会で優勝し、剣の世界で栄光を欲しいままにした達人です。伐刀者ではないので世の中ではあんまり知られてないんですけどね」

 

 

「俺や黒鉄のような剣客の中では知らない者はいないほどの有名な剣士で、剣の世界において最も伐刀者ではないことを惜しまれた人なんだよ」

 

 

まあ今の世の中は伐刀者に日が当たりやすいし、その伐刀者も大多数が武術を全く習得していないからな。知らない人が多くて当然だろ。

 

 

俺と黒鉄妹がヴァーミリオンと有栖院に綾辻海斗について教えている間、黒鉄は綾辻海斗に関する話を綾辻絢瀬にしていた。

 

 

「僕も子供の頃、海斗さんの試合映像を観て剣の勉強をしてたんです」

 

 

「本当!?」

 

 

「ええ、海斗さんの娘さんに会えるなんて感激です!」

 

 

そして一輝がとあることを聞いたところ絢瀬は僅かに顔色を暗くすると衝撃的なことを告げた。

 

 

「そういえば最近、お名前を聞きませんがどうされてるんです?」

 

 

「・・・試合中の事故で入院しているんだ」

 

 

「・・・そうでしたか・・・すみません、変なこと聞いてしまって」

 

 

「そんな!気にしてないよ。黒鉄くんみたいな凄い人が父さんを慕ってくれてたなんて嬉しいよ。ありがとう」

 

 

自分の父親が同じ剣士から高評価を得ていることを嬉しく思った絢瀬はさっきまでの暗い顔を笑顔へと変えた。

 

 

そのタイミングで黒鉄妹は黒鉄と綾辻絢瀬のせいで脱線してしまっていた話を元に戻す。

 

 

「そんなことよりお兄様をつけ回していた理由を聞かせていただけますか。どうせいやらしい欲望に滾った視線をお兄様に注いでいたんでしょうけど」

 

 

「そうなの!?」

 

 

「違うよそういうことじゃないんだ」

 

 

まあそうだろうな。さっきの雰囲気といいそんな浮わついた気分でつけ回していたようには思えないからしっかりとした理由があるんだろうな。

 

 

「黒鉄くんに剣術のヒントを貰いたかったんだ。一人で綾辻一刀流の修行をしててもどうにもスランプ気味で・・・けど知らない男の人になんて話しかけたらいいのかわからなくて。それで・・・」

 

 

「一週間も僕になんて話しかけるか考えてたんですか」

 

 

「お恥ずかしながら・・・」

 

 

「あらあら」

 

 

ストーカーをしていた理由を当てられたことに恥ずかしさを覚えた絢瀬は下を向いたまま頷く。そして自分が悪いことをした自覚のあった絢瀬はストーカーの被害にあった一輝に深く頭を下げた。

 

 

「本当にごめんなさいっ!」

 

 

「綾辻先輩も反省してるみたいだし許してあげてもいいんじゃねぇの?」

 

 

「許すもなにも怒ってないですよ。やましい理由で付けてたわけでもないみたいなので。それと綾辻さん、よかったら僕と一緒に剣術の修行をしませんか?」

 

 

「えっ!?」

 

 

なるほどそれはいい手だな。ここにいる中で一番剣術に精通しているのは恐らく黒鉄だし。そのことは綾辻絢瀬もわかっているだろうから間違いなく剣術の修行をすることになるだろうな。

 

 

「いいの?あんなに不義理なことをしたのに修行に参加させてもらっても」

 

 

「はい綾辻さん。さっきも言いましたけど全く怒っていないので。ねえ八幡」

 

 

「黒鉄がいいって言っているんで気にするなとは言わないですけど、ここは一旦不義理だとか難しいことは忘れてもいいと思いますよ」

 

 

「・・・わかったよ。それなら黒鉄くん、ボクに剣術の修行をつけてください。よろしくお願いします」

 

 

一輝の提案を絢瀬が了承したことで一輝と絢瀬によるマンツーマンの修行が決まるのだった。

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