腐り目騎士の英雄譚   作:月村手毬ちゃん親衛隊

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最近また暑くなってきましたね。気温差が激しいので体調に気をつけてください。


それではどうぞ!


因縁の相手

 

 

 

 

 

初めて一輝と綾瀬の合同訓練があった日から2日後、今日の訓練が終わりお腹を空かせた八幡達は学園の外にあるファミレスにやって来た。そしてファミレス内の窓側の場所を選んで4人は席に座り今から食べるものを注文した。

 

 

「ボクの鍛練を見てくれてありがとう黒鉄君。おかげで初めの頃より大分矯正した動きに慣れてきたよ」

 

 

「それならよかった綾辻さん。こんなに喜んでくれるなら矯正した甲斐があったよ」

 

 

 

「だから今日は私の鍛練を見てくれたお礼に食事をご馳走するよ。三人ともなんでも好きなもの食べてね」

 

 

「ありがとう綾辻さん。・・・けどステラちょっとは遠慮した方が」

 

 

「仕方ないでしょ、これくらい食べないと身体が動かないのよ」

 

 

たくさん注文してパクパクと料理を食べ進めるヴァーミリオンに黒鉄が指摘するが今回に限っては綾辻先輩の顔を立てるためにもヴァーミリオンの遠慮なく頼む方が正解だ。最も当のヴァーミリオン本人には顔を立てるといった考えはなさそうだったが。

 

 

 

「あんなにたくさん食べてその括れってのは納得いかないけどね」

 

 

「そう?」

 

 

あれだけ大量の料理を平らげてなお、運動をすればそれ以上のカロリーを消費できるというヴァーミリオンを綾辻先輩が羨む。そんな二人の様子を見ながら俺と黒鉄は苦笑を浮かべていた。

 

 

 

「あはは・・・」

 

 

「ヴァーミリオン・・・」

 

 

栄養が一定の部分に集中しているのかエルギー消費量が凄いのか定かではないが凄い食べるな。一回ヴァーミリオンの食費がどうなっているのか知りたいくらいだわ。

 

 

「それにしても黒鉄君に教わるようになってから毎日が発見の連続だよ。少しずつ、本当に少しずつだけど父さんに近づけている実感もあるんだ。黒鉄君には感謝してもしきれないよ」

 

 

 

「全ては綾辻さんの努力があってこそだよ。それに綾辻さんならいずれ1人でも気づいていただろうし」

 

 

「いずれじゃダメだったんだ・・・奪われた物を取り戻すには・・・」

 

 

黒鉄の言葉に綾辻先輩がそう呟いたが、その呟きに俺は深い憎悪を感じ取る。そして綾辻先輩の呟きに違和感を覚えた黒鉄が言葉の意図を尋ねようとした時だった。

 

 

「おお、綾瀬じゃねぇか」

 

 

八幡達にとって聞き覚えのない声が割って入ってきたため声の聞こえてきた方向を見ると、一人の男が同じ制服の者達を何人も引き連れてこちらに向かってきていた。

 

 

着崩した制服に髑髏の刺青、サングラスをかけたあの男は中々やるようだな。一人だけ別格の雰囲気があるし実力者とみて間違いないだろう。

 

 

「あ~綾瀬ちゃ~ん。最近顔見せねえと思ったらおひさ~ってなぁあははははっ」

 

 

その他のやつらはどいつもこいつもサングラスの男と比べると大きく強さが劣るか。ただ黒鉄は今微妙な立場にいることで手を出せないし、いざというときにいつでも止められるように俺が準備しておかないといけないな。

 

 

「テメェ蔵人が話しかけてんのにシカトかぁ?」

 

 

「悪いけど連れが嫌がってる。離れてくれないか」

 

 

「ん~?なんだテメェは。ナマ言ってっと殺すぞコラァ!」

 

 

赤い髪の男が黒鉄に怒鳴るが黒鉄はそれを無視して、この中で一番の実力者と思われる蔵人という名の男だけに視線を向ける。するとその男は黒鉄のとある雰囲気を感じ取ったようで口を開いた。

 

 

「テメェ剣客だな」

 

 

「・・・・・・・」

 

 

「・・・ふっ」

 

 

男の問いに黒鉄が無言を返すとそれを肯定と取ったのか鼻で笑うと近くのテーブルの上にあるビールの瓶を手に取る。

 

 

「悪かったなブラザー、食事の邪魔してよ。懐かしい顔がいたもんでつい話しかけちまった。詫びの印だ受け取ってくれ」

 

 

そう言って男は黒鉄のグラスにビールを注ぐ。黒鉄がそれを手に取って飲もうとした次の瞬間俺は男から悪意を感じ取った。そのため男を止めようとしたが、残念ながら男の動きを止めることはできなかった。そして男は黒鉄の頭をビールの瓶で殴りつけた。

 

 

 

「ハッハッハッハッ剣客が油断してんじゃねぇよ!」

 

 

「イッキ!!」

 

 

「黒鉄くん!」

 

 

ガシャンと大きな音が響き渡りビールの瓶が粉々に割れるとその音を聞いた建物内の客たちが一斉にこっちを向く。そしてこちらの状況に気づくとパニックになって我先にと外に出ていった。

 

 

それをみながら取り巻き達は男の凶行を囃し立てる。

 

 

「さすが蔵人!」

 

 

「相変わらずブチキレてるぜ!」

 

 

取り巻き達の声に男はニヤリと笑みを溢すと黒鉄を挑発した。

 

 

「俺はよぉ、テメェみてぇな剣術小僧をブッ壊すのが大好きなんだ。さぁやろうぜ、持ってんだろう?デバイスを」

 

 

おいおいこんなところで始める気かよ。ていうか緊急事態でもないのに固有霊装を出すなよ。

 

 

これ以上話が進むとどちらも霊装を展開しそうだったため俺は双方を落ち着かせようと口を開くが、ヴァーミリオンが前に出てきて勝手に話を進めてしまう。

 

 

「こぉんのクソ野郎!!消し炭になる覚悟は出来てるんでしょうね!?」

 

 

「ステラ、少し彼の手が滑っただけだ。なにも喧嘩するようなことじゃない」

 

 

いや今のは完全に狙ってやっただろ。まあ、選抜戦をしているタイミングで大きな騒ぎを起こせば黒鉄の立場なら一発で退学だからそりゃあ止めるわな。

 

 

「な、なに言ってんのよ!?」

 

 

「ふっはっはっはっマジかよっ頭割られてヘラヘラしてやがるぜコイツ!」

 

 

「テメェキンタマついてんのかよぉ!」

 

 

「いくらぁ蔵人が怖いからってぇプライドなさすぎじゃあないですかぁ?」

 

 

「ウッフッフ、ダッサー」

 

 

黒鉄がなにも言わずされるがままにしているとヴァーミリオンの怒りのボルテージがどんどん上がっていく。そして男の方が黒鉄に唾を吐きかけたところで我慢の限界に達すると、ついにヴァーミリオンは霊装を展開しようとした。しかし黒鉄はヴァーミリオンの腕を掴んで霊装を展開しようとする動きを制する。

 

 

その一連のやり取りを見ていた男は黒鉄から視線を逸らすと歩き出した。

 

 

「・・・止めだ、こんなチキンに絡んだらこっちの格まで落ちちまうぜ。おい、いくぞてめえら」

 

 

そして男達と黒鉄達の睨み合いは終わり、ファミレス内の張り詰めていた空気は弛緩していった。

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