腐り目騎士の英雄譚   作:月村手毬ちゃん親衛隊

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明けましておめでとうございます。今年も腐り目騎士の英雄譚をよろしくお願いします。


黒鉄一輝の目覚めと事情聴取

 

 

 

 

黒鉄を医務室に送り届けて自分の部屋で寝ていたところデバイスの着信音によって目を覚ました。デバイスを確認するとそこには黒鉄が目を覚ましたとの連絡が入っていた。

 

 

黒鉄が目を覚ましたようだな。確かあいつの試合は15時だよな?それで今の時間は・・・11時か。黒鉄のやつなんとか試合時間までに起きられたみたいだな。さて俺も黒鉄の様子を見に行ってくるとしますかね。

 

 

俺は制服に着替えると寮を出て黒鉄が休んでいる医務室へと向かった。そしてその途中で理事長の神宮寺黒乃に遭遇する。

 

 

「こんなところで何をしているんだ比企谷」

 

 

「いえ黒鉄の見舞いでもしようと思いまして」

 

 

「見舞いだと?いったいどういうことだ」

 

 

なんだ?黒鉄が医務室で寝てるの知らなかったのか?それならどうしてこっちに来たんだろうな。

 

 

「夜中に屋上から飛び降りた女子生徒を助けるために一刀修羅を使ってその反動で倒れてしまったんですよ」

 

 

「状況は分かったんだが何故そんな夜中に屋上にいるんだその2人は」

 

 

「理由は屋上にいた本人に聞けばいいと思いますけど」

 

 

「それもそうか。よしそれじゃあ私も医務室に向かうとしようか」

 

 

こうして黒鉄の見舞いに理事長の神宮寺黒乃が加わったのだった。そして俺と理事長は医務室の前にやってくると部屋に入る前にノックをした。

 

 

ちなみにノックの回数にはそれぞれ意味があり2回はトイレなどの在室確認、3回は親しい間柄の入室確認、4回はビジネスシーンなどの公的な場での入室確認だ。そして今回は黒鉄がいると思われる場所だったため3回ノックしたのだ。

 

 

その後中から入ってもいいと返事があったため理事長が先に部屋の中に入り、後に続いて俺が部屋の中に入った。

 

 

「ようやくお目覚めか黒鉄。お疲れのところ悪いが少し顔貸してもらうぞ」

 

 

「理事長その言い方はヤクザみたいだって・・・よう黒鉄調子はどうだ。大丈夫なら理事長室まで一緒に来てくれないか?黒鉄が医務室に運び込まれた件について話があるらしいぞ」

 

 

「わかったよ、詳しい話を聞きたいってことだよね。それならステラ達も話を聞きたいだろうし一緒に来る?」

 

 

心配してこの場所に集まってきてくれた人達に事情を話そうと黒鉄が声を掛けると医務室に運び込まれた理由が気になっていたステラ達は一緒に来ると即答した。

 

 

「アタシも行くわ。シズク達はとうするの?」

 

 

「私も行きます。どうしてお兄様が医務室に運び込まれたのか知る必要がありますので」

 

 

「あたしも行こうかしら。一輝と彼女の間でどんなやりとりがあったのか気になるから」

 

 

「よし、ここにいる全員が黒鉄の話を聞くということでいいんだな。それじゃあ行くぞ、ついてこい」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

新宮寺黒乃に連れられて理事長室の中に入ると神宮寺黒乃は自分の椅子、黒鉄は病み上がりのためヴァーミリオンが出してきたパイプ椅子に座り、他の4人は2人ずつで黒鉄の横に並んだ。そして話を聞く体勢を整えたのを確認すると理事長が話し始める。

 

 

「さっきここに来る途中で黒鉄が昨晩医務室に運び込まれたと比企谷から聞いてな。どうしてそうなったのか教えてほしい」

 

 

「今は詳しい事情は言えません。ですが後で必ず話すので今は目をつむってもらえますか?もし駄目なら相応の処分は受けます」

 

 

「ちょっとイッキ!?」

 

 

「ステラっ」

 

 

処分という言葉に過剰に反応し声を上げたヴァーミリオンだったが黒鉄の一声によって静かになる。そして黒鉄は今回綾辻先輩がどうしてあのような暴挙に出たのか知るために事情を知っているであろう理事長に尋ねた。

 

 

「理事長にお聞きしたいことがあります」

 

 

「ん?なんだ?」

 

 

「3年1組の綾辻絢瀬さんについてです」

 

 

理事長は綾辻先輩の名前を聞いて黒鉄が何を聞こうとしているのか察すると煙草を一本吸ってから綾辻先輩のことを話し始めた。

 

 

「調べればすぐ分かることだしな・・・2年前だったか。彼女の父親、最後の侍(ラストサムライ)こと綾辻海斗氏は2度と剣を取れぬ身体となった」

 

 

「···っ」

 

 

「···」

 

 

「どうしてそんなことに」

 

理事長の話に驚愕した俺と黒鉄は言葉を失くす。そんな俺達の代わりにヴァーミリオンが理事長に理由を尋ねると理事長はこう答えた。

 

 

「道場破りとの1対1での決闘に敗北した結果だ。戦った相手は」

 

 

「貪狼学園、剣士殺し(ソードイーター)こと倉敷蔵人ですか?」

 

 

綾辻先輩の様子から正体を推察した黒鉄が答えると理事長はそうだと肯定した。

 

 

綾辻先輩の様子があんな風になっていたらそりゃあ気づくだろうな黒鉄なら。だがそもそもなんで綾辻海斗は決闘を受けたんだ?あの人は道場破りはおろか他流試合も全く受けなかった筈。それなのになぜその時だけ決闘を受けたんだろうな・・・いや、大体の想像は付くか。何かしらして決闘を認めさせるように仕向けたんだろう。

 

 

「決闘前に両者の交わした取り決めに従い綾辻家の土地、建物は全て倉敷のものになってしまっている」

 

 

道場破りとの戦いに敗れると道場は土地と看板を奪われ道場の運営ができなくなる。そして奪われた看板等を取り返すには再び道場破りと戦い勝利する必要がある。

 

 

しかし一番強かった道場主は意識不明の重体となり今では道場主よりも実力が劣る者しかいない状態となっていた。そのため道場を取り戻すために実力を上げようとして黒鉄に声をかけたのだろう。だが黒鉄との鍛錬を続けていればその内実力がつくにも関わらず、なぜ自分から黒鉄との関係がなくなるようなことをしたのかは現時点では分からなかった。

 

 

「それで今海斗さんは?」

 

 

理事長の話を聞いて黒鉄は道場で起きた出来事のその後を知っていると思い理事長に綾辻海斗の様子を尋ねた。

 

 

「この2年間ずっと意識不明だそうだ」

 

 

2年間意識不明ってことはちょっと危険な状態だな。いつ亡くなってもおかしくない。そうなるとなるべく早く道場を取り戻さなくてはいけないから形振り構わなくなったのだろう。

 

 

「そうだったんですか・・・それで綾辻さんがあんなに勝つことに執着していたんですね」

 

 

「そのようだな。だが腑に落ちないな」

 

 

「どうしたの八幡」

 

 

「綾辻先輩はどうしてわざわざ七星剣武祭の方で倉敷蔵人と戦うことを選んだんだろうな。一刻も早く道場を取り戻したいなら七星剣武祭に出場し勝ち上がるなんて遠回りしないで直接道場に乗り込めばいいのに」

 

 

俺が疑問に思っていたことを口に出すとここにいる全員も同じことを思っていたようで揃って頷いていた。しかしなぜなのかは誰一人として予想できていない。

 

 

「確かにそこは気になるけど今はこの後にある綾辻さんとの試合について話さないといけないと思うんだ」

 

 

「確かにその通りだ。それで綾辻先輩は勝つためにどんな手を使ってくると思うんだ?」

 

 

「どんな手を使うかまではわからないけど確実に反則をしてくると思うよ。今年が七星剣武祭に出ることができる最後のチャンスだからね」

 

 

「わかっているならいいが」

 

 

そして俺はもし反則が確認できた場合どんな対応をするのか理事長に尋ねた。

 

 

「それで綾辻先輩の反則が確認できた場合どんな対応を取るんですか?」

 

 

「その試合は没収試合になってその後の試合からは抽選から外されることになるな」

 

 

理事長から反則がわかった場合の対応を告げられた。すると黒鉄から想定外の言葉が飛び出すのだった。

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