腐り目騎士の英雄譚   作:月村手毬ちゃん親衛隊

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最後まで書くと3000文字を越えてしまうので途中で切りました。ご了承ください。


落第騎士VS紅蓮の皇女②

 

 

 

『Let′s Go Ahead』

 

 

電子音が試合開始を告げると同時に動き出したのはステラ・ヴァーミリオン。剣から炎を出して纏わせると一輝に斬りかかる。一輝はそれを剣で受けようとするが途中で受け止めるのを止めて回避する。

 

 

「いい判断ね。アタシの妃竜の息吹(ドラゴンブレス)は摂氏3000度。まともに受けたらただじゃすまないわよ!」

 

 

炎を噴出する剣で果敢に攻めるが一輝の防御を中々破ることができない。

 

 

「あーあ」

 

「やっぱりねー」

 

 

二人の攻防をみている観客のほとんどは一輝が攻め込まれていると思い込み予想通りの展開になったと納得の声を上げているが、一部の実力者たちはFランクがAランクの攻撃を防ぎ続けていることに違和感を覚えていた。

 

 

「黒鉄のやつ、ヴァーミリオンの攻撃を受け流してるな」

 

 

その一部の実力者の中の一人である八幡は違和感はおろか、一輝の行っていることを理解していた。

 

 

ステラの攻撃の一つ一つが高ランク者であってもおいそれと受けてはならないものであることは一回目の攻撃で吹き飛んだ瓦礫を見れば一目瞭然だ。しかし、そのステラの攻撃を下半身を使って攻撃の威力を外に完全に受け流しているのを見た八幡は一輝の体術のレベルがとても高い水準にあることを理解した。

 

 

「そうですね。皇女殿下の実力を見るつもりで来ましたが、面白いものも見れたので来た意味がありました」

 

 

八幡の呟きに隣に座る東堂が反応する。八幡の呟きに反応した東堂だったがその目は目の前の戦いをしっかり観察していた。八幡も東堂から視線を外すと一輝とヴァーミリオンに視線を戻したまま近くにいる人に話しかける。

 

 

「ところでいつの間にここに来ていたんですか?理事長と夜叉姫さん」

 

 

 

「ありゃりゃ、気付かれちゃったねぇ。これでも気配を完全に消していたつもりだったんだけど」

 

 

「完全に消しているからこそわかったんですよ。ある場所だけ全く気配を感じられなかったらそこに誰かいるって言っているも同然ですよ」

 

 

「へぇ、そうなんだ」

 

 

夜叉姫と呼ばれる少女・・・否、女性は感心したように目を細める。

 

 

「おいおい二人とも。ここでバチバチするなよ」

 

 

魔力こそ放出しないものの二人の間に火花が散っていたため、仕方なく理事長が二人を宥める。

 

 

「それにしても八坊もしばらく見ない間に急激に力が増したねぇ。これほどまでになれば七星剣武祭優勝も余裕じゃないかい?」

 

 

「余裕ではありませんよ。噂によるとあの風の剣帝が参戦してくるみたいですし、他にもうちの学園からは雷切、他の学園からも爆炎の女帝や現七星剣王もくると思いますので激戦は必至です」

 

 

八幡が挙げた名はいずれも学生騎士としてトップクラスの実力を持つものたちで、中でも風の剣帝は日本の学生騎士として二人しかいないAランクの一人だ。その名を挙げても負けるとは言っていないあたり勝つ自信がないというわけではないようだ。

 

 

「話はこのくらいにしてそろそろ状況が動くようですよ」

 

 

八幡が闘技場に視線を移すと理事長と夜叉姫も闘技場を見る。

 

 

(なに、これ?)

 

 

一輝に連撃を加えながらステラは内心で首をひねる。ステラが使う皇室剣技は相手に反撃の隙を与えず一方的に攻撃し続ける技で、ステラの力も相まってこの剣技は圧倒的威力となって相手に回避を許さず押し潰すはずなのだ。にもかかわらず目の前の男は潰されることなくステラの攻撃を防ぎ続けている。

 

 

(まさかアタシの剣を受け流してるっていうの!?)

 

 

そして、一輝が自身の攻撃を受け流していることに気付いたステラは一旦一輝を弾き飛ばして距離を取る。

 

 

「逃げるのだけは上手いじゃないの」

 

 

「いや、ギリギリさ。ステラさんが磨きあげてきた剣術。感じるよ、才能だけじゃない、すごい努力だ」

 

 

一輝がステラから感じられる努力した跡を褒めるとステラは軽く驚くが、それを表には出さずに剣を相手に向けた。

 

 

「なかなか目がいいのね。でも、あんたに見切れるほどアタシの剣はお安くないわよ!」

 

 

「いや、もう見切ったっ」

 

 

その言葉と同時に攻守が入れ替わり、一輝が先に動き出す。

 

 

一輝はステラに接近し唐竹割りで攻撃を仕掛ける。その攻撃はさきほど使われたステラの攻撃と同じような軌道をしていた。

 

 

「アタシの剣、どうしてあんたがそれを?」

 

 

ステラは攻撃を防ぐと後ろへ飛んで間合いを開ける。

 

 

「まさか、この試合中に盗んだっていうの!?」

 

 

構えを一旦解くと信じられないかのように叫ぶ。実際斬り結びはじめてから数分でステラの剣を盗んだのだ、信じられないのも無理はない。

 

 

「僕は昔から誰にも教えてもらえなかったから、こういうことばかり上手くなっちゃってねっ」

 

 

一輝は自身の霊装を見ながらステラに言うと再び接近し攻撃を仕掛ける。ステラはなんとか一輝の猛攻をしのぎ続けるがこれでは完全に黒鉄のペースだ。

 

 

なるほどな。こりゃ剣を使う者からしてみればこれほど嫌な相手はいないな。今まで長い時間をかけて築いてきた技をたった数分で盗んだ挙げ句、弱点を克服した技に昇華させてしまうんだからな。

 

 

そして一輝がステラから盗んだ剣技を上から振り下ろすとステラは防御を止めて後ろへ回避した。

 

 

「これが僕の剣術、模倣剣技(ブレイドスティール)

 

 

(見切ったですって?ならフェイントで!)

 

 

ステラは攻撃するフリをして攻撃を誘うと一輝の攻撃をしゃがんで避け、横薙ぎを放つ。

 

 

「太刀筋が寝ぼけているよ」

 

 

しかしその攻撃は一輝の刀の柄によって止められた。

 

 

「なっ!?」

 

 

「そんなのは君の剣じゃない。この曲げた一撃は致命的だっ」

 

 

柄で受け止めた攻撃を弾いて体勢を崩させると刀を上から振り下ろした。

 

 




次で模擬戦が決着!
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