駄文ですが良ければ楽しんでください。
私には大好きな人がいます。
カッコ良くて、凛々しくて、素敵な人。
ーーーどうしたんだい?ロジェ。
その人の声を聞くだけで幸せでした。
ーーーロジェ、おいで。
その人の傍に居られるだけで幸せでした。
ーーーロジェは可愛いね。
その人に褒められることが何よりも幸せでした。
ーーーイチイバルさん、わたし……。
少しずつですけど、私は悪い娘になってしまいました。
最初は声を聞けるだけで良かったのに、イチイバルさんの傍に居たくて、もっと褒められたくなって…。
わたしは、本当に浅ましいです……。
イチイバル「イチイバルさんは魔性のオンナだからね。ロジェが惚れてしまうのも仕方ないよ。キラン☆」
ロジェ「ほ、惚れてるなんてっ!えと、その!」
イチイバル「ーーーいいんだよ、ロジェ。自分を偽る必要なんてない。ありのままのキミが、ボクは大好きだよ」
ロジェ「ーーー」
イチイバルさんはズルいです。
その優しい声で、柔らかな笑みで、いつもわたしをドキドキさせてきます。
「イチイバルさん、わたし……」
続く言葉は言えませんでした。でも……。
もっとイチイバルさんと仲良くなりたいな……。
やっぱりわたしは悪い娘みたいです。
・お近づきになる為に
ーーーイチイバルさんともっと仲良くなりたいです!
そんなことを直球で言う訳にもいかず、悶々とした毎日を過ごしていました。
ロジェ「イチイバルさんと仲良くなるにはどうすればいいと思いますか……?」
ニョイ子「ロジェちゃんは充分気に入られてると思うけど……。多分、素直に気持ちを打ち明けたら解決するんじゃないかな?」
ロジェ「それが…、ここ一ヶ月の間チャンスを伺ってましたけど、中々言えなくて……」
ニョイ子「あれ?ロジェちゃんずっと一緒に居た様な気がしたけど……」
ロジェ「イチイバルさんが素敵過ぎて、見惚れてる間にチャンスを逃しちゃってしまうんです、です!」
ニョイ子「そ、そうなんだ。じゃあこういうのはどうかな?」
ロジェ「これは……」
ニョイ子さんは可愛らしい便箋を私に手渡してくれました。
ニョイ子「これなら直接言わなくても想いを伝えることができるでしょ?」
ロジェ「あ、ありがとうございます!」
翌日。
イチイバル「ん……、ポストにロジェからの手紙が入ってる。随分と可愛らしい感じの封筒だけど、もしかしてラブレターだったりするのかな?ドヤッ☆………どれどれ」
ーーーイチイバルさんのことは尊敬してますけど、その口調はマヂでムリ。
イチイバル「…………」
ミュルグレスがイタズラでニセの手紙を擦り変えていたことに気付かないまま、イチイバルは手紙を封筒の中にソッと戻した。
・失恋
ロジェ「はぁ……」
ヒョウハ「おーい、どうしたんだロジェ?なんかヤケにヘコんでるけど」
ロジェ「それが……」
〜〜回想〜〜
ロジェ「い、イチイバルさんっ!あの、あのっ、昨日の手紙のことなんですけど…」
イチイバル「や、やあ…、ロジェ。イチイバルさんだよ、どゃ……、………。……何でもない。……ボクのこと、嫌いにならないで」
そう小さく言い残して去っていくイチイバルさんの背中は、なんだか物悲しげでした……。
〜〜回想終了〜〜
ヒョウハ「うはぁ…」
ロジェ「それからずっと、イチイバルさんから微妙に距離を置かれている気がします……。手紙にイチイバルさんの素敵なところを百個以上書いたのは、もしかしたらやり過ぎだったのかも……」
ヒョウハ「ロジェ……、それはあたしでもドン引きだぞ」
ロジェ「うぅ…、ヒョウハちゃん、どうにかなりませんか……?」
ヒョウハ「任せとけっ!……って言いたいけどさ。あたしもイチイバルとはそんなに仲が良くないからなぁ……」
ロジェ「そ、そんなことありません!イチイバルさんとヒョウハちゃんの気のおけない関係が、正直羨ましいぐらいです……」
ヒョウハ「そうかなあ?アイツ、いつもあたしのこと犬っころって呼んでくるんだぞ?」
ロジェ「それでもっ、距離を置かれるよりはずっと……」
ヒョウハ「ああぁ、もう!」
シュンとうなだれる私を見かねたのか、ヒョウハちゃんはガシガシと頭を掻いた後、私の手を取りました。
ヒョウハ「ロジェ、イチイバルに会いに行こう!」
ロジェ「えっ、ええぇ!?」
ヒョウハ「ちゃんと言葉にして想いを伝えよう!逃げてばっかじゃ何も変わらない。ロジェ、精一杯当たって行くんだ!」
ロジェ「あ、当たって砕けちゃったら……」
ヒョウハ「砕けないさ。あたしが知ってるアイツなら、きっとロジェのことを受け止めてくれる!イチイバルを信じようぜ」
ロジェ「……はい!」
数分後。
ロジェ「い、イチイバルさん!」
ヒョウハちゃんに傍で見守って貰いながら、私はイチイバルさんに声を掛けました。
イチイバル「ロジェ、どどっ、どうしたんだい?」
ロジェ「ご、ごめんなさい!私なんかがイチイバルさんに手紙を出して、そのっ…」
イチイバル「……ロジェは悪くないよ。悪いのは、オーディンの影響を受けてしまったボクの方さ」
ロジェ「ち、違うんです!そういう事が言いたいんじゃなくて……」
ヒョウハ「おーい、ロジェ」
振り向くとヒョウハちゃんが小さくガッツポーズをしていました。
ーーーあたしが知ってるアイツなら、きっとロジェのことを受け止めてくれる!イチイバルを信じようぜ。
ヒョウハちゃんが掛けてくれた言葉を思い出して、頭が落ち着いてきました。
ロジェ「私はただ…、イチイバルさんとヒョウハちゃんのように、もっと仲良くなりたかったんです……」
イチイバル「……ロジェ」
キチンと向き合って歩み寄ることが大事だと、ヒョウハちゃんが教えてくれました。
ロジェ「だから、お願いです。もしイチイバルさんさえ良ければ…、」
私も、ヒョウハちゃんみたいに……
ロジェ「私をイチイバルさんの犬にしてくださいっ!!」
イチイバル「………」
ヒョウハ「……………は?」
イチイバル「ロジェ、ちょっと待っててくれるかい?……おい、犬っころ」
ヒョウハ「いや、これはあたしのせいじゃないだろ!」
そうして何故かヒョウハちゃんがイチイバルさんに折檻されてしまいました。
あんなに仲良くして素敵……。
ヒョウハちゃんが凄く羨ましいです。
・因果応報
ロジェ「はぁぁ……」
ミュルグレス「ミュルの前でこれみよがしに溜息なんて吐かないでよ。陰鬱な気分がが移っちゃうでしょ」
ロジェ「ご、ごめんなさい。イチイバルさんと色々あって……」
ミュルグレス「ふぅーん?何があったの?」ニマニマ
ロジェ「実はイチイバルさんに手紙を渡したんですけど、何故か偽物とすり替わってたんです…」
ミュルグレス「へ、へぇー……」
ロジェ「あの寛容なイチイバルさんが絶対に許さないって怒ってました」
ミュルグレス「」ビクッ
ロジェ「私は誰だか検討がつかないんですけど、イチイバルさんはもう犯人の検討がついてるみたいで…」
ミュルグレス「」ダラダラ
事のあらましを説明し終えると、ミュルグレスちゃんは何故かダラダラと汗を流していました。
ミュルグレス「ろ、ロジェ。ミュルがイチイバルと仲を取り持ってあげる!」
ロジェ「え?い、いいんですか!?」
1時間後。
ロジェ「い、イチイバルさん!」
ミュルグレスちゃんに傍で見守って貰いながら、私はイチイバルさんに声を掛けました。
イチイバル「ロジェ、どうしたんだい?……おい、にゃんころ」
ミュルグレス「何があったかミュルには皆目検討つかないけどフォローはキチンとしたから!何があったか知らないけど!」
ロジェ「あのっ、わたし!イチイバルさんともっと仲良くなりたいです!」
イチイバル「……ロジェ」
ーーーロジェは難しく考え過ぎ。イチイバルが一番気に入ってるのはロジェなんだから、難しいこと考えずに気持ちを伝えればいいの。
ロジェ「イチイバルさんが猫派だって知らなくて、だからそのっ!私…」
ロジェ「イチイバルさんとニャンニャンしたいです!」
ミュルグレス「」
イチイバル「…………おい、にゃんころ」
ミュルグレス「いや、これはミュルのせいじゃない!」
そうして何故かミュルグレスちゃんもイチイバルさんに激しいスキンシップを受けていました。
あんなに仲良くして羨ましい……。
ミュルグレスちゃんもズルいです。
・その後
ロジェ「はぁぁ……」
イチイバルさんに近づく為に色々と頑張ってはみたものの、全部失敗してしまいました。
もっとイチイバルさんと仲良くしたいです……。
イチイバル「ロジェ、どうしたんだい?」
ロジェ「それが……、イチイバルさんと仲良くなりたいのに上手くいかなくて……」
イチイバル「ふぅん?」
ロジェ「………あれ?」
イチイバル「やあ、麗しの令嬢イチイバルさんだよ。キラン☆」
ロジェ「ふぇぇ!い、イチイバルさん!?あ、あのあのっ、今のは違くて!」
イチイバル「ロジェ、これを」
ロジェ「これは……」
イチイバルさんはわたしにチケットを手渡しました。
イチイバル「イチイバルさんからのお誘いだよ。ロジェ、デートしよう」
ロジェ「え、えぇ!?こ、これって…」
手渡されたのは遊園地のペアチケットでした。
突然のことに心臓がバクバクして頭がぐるぐるします。
ロジェ「わ、わたしなんかで、いいんですか……?」
イチイバル「勿論だよ。ロジェは可愛いからね。ボクに釣り合う娘はそうはいないよ」
ロジェ「あ、ありがとうございます!」
そうして私達は遊園地へ遊びに行きました。
わたしの欲しい時に欲しい言葉をかけてくれる、とっても素敵な人。
やっぱりイチイバルさんはズルいです。
fin