魔導物語 Seven Catastrophe   作:アヤ・ノア

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~前回までのあらすじ~

魔物が大量発生している魔導世界で、
アルル、チコ、セイバーはその原因が潜むという洞窟の中に入る。
そこでカタストロファーセブンの一人、バスターと出会う。
世界を終焉に導こうとする彼に苦戦するアルル達だったが、
激闘の末、ついにバスターを撃破するのだった。


09「そこはプリンプだが、プリンプではない」

 プリンプタウンのパラレルワールドに飛ばされたアミティは、

 エッジと共に魔物を倒しながら元の世界に帰る方法を探していた。

 その途中、アミティは空腹になったので、この宿屋で昼食を食べているというわけだ。

「ここのハンバーグ屋さんって結構量が多いよね。あたし一人じゃ食べ切れないよ」

「ん、そうか? オレにとっては普通の量だが?」

「エッジ、そんなに食べるの……? まぁ、ルルーのお父さんだから、だよね」

 アミティがそう言うと、エッジは彼女の口に手を当てた。

「キミ、ルルーの前でそんな事を言ったら究極女王乱舞を食らうぞ」

「ご、ごめんなさい」

 今回は、ルルーがいなかったからよかったものの、

 いたら間違いなくエッジの言う通りになるだろう。

「それで、ここがパラレルワールドってのは分かったけど、具体的にはどんな場所なの?」

「それはまだ、キミに教えるべきではない」

「うん、分かった」

 意外にあっさりアミティが引いてくれたため、エッジはきょとんとしていた。

「何、聞かないのか?」

「言いたくないなら無理に言わなくていいよ。答えはあたし自身が見つけるんだもん」

 エッジはアミティの意志を見てうんうんと頷いた。

 そしてハンバーグを食べ終わった後、エッジはある提案をする。

「そうだ、アミティ」

「何?」

「後でパラレルワールドのみんなに挨拶しに行こう。

 キミなら、別世界の人であっても分かり合えるはずだ」

「うん、いいよ」

 アミティは喜んでエッジの提案を受け入れた。

 これからアミティが出会う人物は、

 彼女が今まで出会ってきた人物とは似ているようで別の存在である。

 エッジは、アミティが彼らと上手くやれるかどうか心配だったが、

 彼女の態度からそれほど心配する必要はないと判断した。

 

「じゃあ、行こうか」

「うん!」

 

 アミティとエッジが宿屋を出ると、二人の目の前にインプとスライムが現れた。

「……というわけにはいかないみたいだな」

「魔物が来たよ! 倒さなきゃ!」

「いくぞ!」

 エッジはスライム目掛けて剣を振り下ろしたが、衝撃を吸収してダメージを受けなかった。

「うわぁぁぁぁぁ! フレイム!」

 スライムが身体を伸ばしてアミティを丸呑みにしようとした。

 しかし、食われる直前でアミティが炎魔法を使ったため飲み込まれずに済んだ。

「子供に変な事はさせるなよ!」

「ライトニングボルト!」

 アミティは多少粘つきながらも何とか雷魔法を放ってスライムを一撃で倒した。

 スライムは物理攻撃に強いが、魔法攻撃には弱いのだ。

「おお、やるなアミティ」

「物理攻撃が効かないなら、魔法を試せばいいだけだよ」

「そっか……オレは魔法使えないしな、そっちはキミに任せるよ」

 エッジが剣を構え直すと、スライムがエッジに体当たりしてきた。

「援護するよ、フレイム!」

「助かるぞ、火炎斬!」

 アミティがエッジの剣に炎を纏わせると、エッジは勢いよくスライムを斬りつけた。

 炎属性に弱いスライムは一振りで蒸発した。

 

「よし、スライムは全滅っと!」

「後はインプだけだな」

 インプはケケケと笑うとエッジに闇の魔弾を大量に飛ばしてきた。

「うあぁぁぁぁぁぁぁ!」

「エッジ!」

 それをもろに食らったエッジが重傷を負う。

「オレが魔法に弱い事を知って攻撃したんだな?」

「魔族は下級でもそれなりに賢いってあくまさんから聞いたんだよ。ブリザード!」

「メテオドライヴ!」

 アミティはインプ達を吹雪で攻撃し、

 エッジは飛び上がって落下エネルギーを加えた一撃を叩き込んだ。

「サイクロワール!」

「旋風斬!」

 アミティの援護を受けたエッジが風を纏った剣を振り下ろすと、

 鎌鼬が起こりインプはずたずたに切り裂かれた。

 インプはキィキィと鳴きながら短剣でアミティを攻撃し、続けてエッジに闇魔法を放った。

「くそっ! このままでは死んでしまう。アミティ、回復魔法は使えるか?」

「うん、ヒーリング!」

 アミティはエッジに向かって回復魔法を唱えると、彼が負っている傷が治った。

「ああ、助かるぞ」

「それほどでもないよ、エッジさん」

「さんはいらない。……さて、もうすぐ終わりそうだな。一気に片付けるか!」

 エッジは剣を構え直し、気を剣に込める。

 そして、エッジは剣をインプの群れ目掛けて振り下ろした。

「ブレードパルサー!」

 すると、気が衝撃波となって、その場にいたインプに一気に大ダメージを与えた。

 これによりほとんどのインプが倒されたものの、まだ一体だけ生き残っていた。

 インプは大急ぎでアミティとエッジから逃げ出そうとする。

「逃がすか!」

 エッジは素早い動きでインプに突っ込んでいく。

 逃げられたら、人里に被害が及んでしまうからだ。

 だが、インプの動きは予想以上に速く、エッジでは追いつけそうにない。

「く、どうすればいいんだ……」

「あたしに任せて! ライトアロー!」

 アミティは光の矢をインプ目掛けて放った。

 その速度はまさに光速で、逃げるインプを正確に追いかけて命中し、最後のインプも消滅した。

 

「これで、魔物はみんな全滅したね。さぁ、みんなに挨拶しに行こう!」

「ああ」

 

 アミティとエッジは、パラレルワールドのプリンプタウンに向かった。

 二人が最初に出会ったのは、ラフィーナだった。

「ラフィーナ! こんにちはー!」

「あら……あなたは、誰ですの?」

「えっ、アミティだよ! あたしだよ!」

 この世界のラフィーナが自分を知らない事にアミティは愕然とする。

「だから言っただろう、ここはパラレルワールドなんだ。

 ここにいるラフィーナは、ラフィーナであってラフィーナではない」

「よく分かんないけど……あたしの知ってるラフィーナじゃないって事?」

「そういう事だ」

「二人とも、何をおっしゃってますの?」

 アミティとエッジの会話にキョトンとするラフィーナ。

 だが、アミティにとっては、目の前にいる人物がラフィーナだという事実には変わらない。

 彼女はラフィーナの手を握ると、満面の笑みを浮かべてこう言った。

「じゃあ、よろしくね! この世界のラフィーナ!」

「……ええ」

 

 その後も、アミティとエッジは、この世界の皆に挨拶をしていった。

 アミティが元いたプリンプタウンとこの世界のプリンプタウンの違いの1つとして、

 魔法を学ぶ者の人数の違いが挙がる。

 前者は魔導学校に通えば誰でも魔法が使えるのだが、

 後者は素質がない者は魔法を使えない故に魔導学校に通わない……つまり、魔導世界と同じだ。

 さらに、人を襲う魔物も多くいるため、各地に兵士としての力をつける訓練所もあるという。

「なんか、あたし達の世界と全然違うねー」

「だろうな。……しかし、この世界にも奴らの脅威が潜んでいる。

 とっとと終わらせてやりたいところだ」

 エッジは青緑色の目で、遠くを鋭く見つめていた。

「うん……あたしも、早く元の世界に帰りたいしね」

 アミティがそう言った瞬間、空が揺れ、僅かに裂け目が現れた。

 それを見たエッジが真剣な表情になる。

「まずいな……こうしている間にも、世界はどんどん崩れていっている。

 いつ崩壊してもおかしくはないな」

「……そう、だね……」

 

 希望の世界か、世界の終焉か。

 それは、アミティ達の行動にかかっている。




~次回予告~

あんどうりんごとソードは、チキュウからプリンプタウンに戻ろうとした。
だが、二人には容赦なく魔物が襲い掛かってくる。
果たして、りんごは無事にプリンプタウンに帰れるのだろうか。
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