魔導物語 Seven Catastrophe 作:アヤ・ノア
バラバラになった召喚士を探すため、アリアとベストールは冒険していた。
魔物が強力になる中、二人は召喚術を駆使して魔物を倒していく。
果たして、召喚士は見つかるのだろうか。
アリアとベストールが洞窟の中腹まで来ると、
そこは広い空間になっていて、魔物がたくさんいる。
魔物は二人に気づくと、一斉に武器を抜いた。
「来ますよ!」
「ああ! 蹴散らしてやろうぜ、アリア!」
「はい!」
アリアは地の精霊グランを召喚し、地震を起こしてコボルドの群れを攻撃する。
続けて、ギスカンがコボルドに体当たりしてダメージを与える。
ゴブリンソードマンが剣を振り回してアリアとベストールを攻撃したが、
グランが変化した壁に阻まれて攻撃が届かなかった。
「エアウィンド!」
アリアの声と共に風の精霊エアが現れると、機敏に動き回ってコボルドの群れを翻弄した。
その隙にギスカンがベストールの指示によってコボルドの群れを攻撃して倒していく。
「ギスカン!」
ベストールのギスカンがオーガを攻撃し、大ダメージを与える。
だが流石にタフなオーガ、それだけでは倒れなかった。
オーガはベストールを集中攻撃していくが、アリアがグランを召喚して防御する。
それでもダメージは蓄積していき、ベストールはふらふらしていた。
「くそ……アリア、頼めるか……!? 俺はもう、限界に近い……」
「分かりました、ミスティ! 彼らを流しなさい!」
アリアはベストールの前に立ち、水の精霊ミスティを召喚する。
ミスティは広範囲を攻撃できるが、その分、威力は低めなのだ。
「えぇいっ!」
アリアの援護を受け、ミスティが魔物の群れを大波で流す。
魔物が波に飲み込まれた隙にアリアは風の精霊エアを召喚し、一気に切り裂いて攻撃する。
「そこから、竜巻を起こしてください!」
そして、エアが竜巻を起こした後、魔物は全て一掃された。
「まったく、手ごわい魔物だったぜ」
鞄に入っているポーションを飲みながら、ベストールが不満を漏らす。
「そりゃ当然ですよ……今、世界はおかしくなってますから。
ベストールお兄ちゃん、洞窟の壁を見てください」
「ん? ……うわ!」
ベストールが壁を見てみると、そこにぽっかりと黒い穴が開いていた。
「な、なんで穴が開いてるんだよ……」
「世界が崩壊しかけている証です。
このまま崩壊が進めば、いずれこの洞窟も消えてしまうでしょう」
「……お前、本当に14歳なのか?」
「14歳ですが何か?」
未成年(この世界では16歳が成人)とは思えない発言に、ベストールはたじたじとなった。
なんだかんだで、アリアとベストールは洞窟の奥までやってきた。
奥には真っ黒な穴が開いており、
そこを守るように屈強な肉体を持つトロールと半身半蛇のラミアが立っていた。
「なんだ? あそこにある穴は……」
「また、世界が滅んでいるのでしょうか? でも、魔物がいるという事は……」
「ソウダ! コノサキハ トオサナイ!」
「おほほほほほほほほほほ!!」
トロールは片言の蛮族共通語で話し、ラミアは蛮族共通語で高笑いした。
「……これは、倒すしかなさそうですね。相手は魔物ですし、遠慮はいりません!」
そう言って、アリアは杖をトロールとラミアに向けた。
「もちろん、俺とその相棒もだぜ!」
ベストールも、ギスカンを召喚して戦闘態勢に入った。
「まずは魔法が使えるラミアから仕留めるぜ!」
「フェーゴボム!」
ベストールはギスカンをけしかけ、ラミアの急所を突いてダメージを与える。
アリアは炎の精霊フェーゴを召喚してラミアを燃やした。
「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
「敵を減らせば被害も減ります、厄介な敵から倒すのも戦略なのです」
「ウオォォォ! コロス!」
トロールはアリアに突っ込んで拳を振り下ろした。
「く……!」
アリアは地の精霊グランを召喚して防御するが、
その攻撃力はかなりのもので、グランの力では防ぎ切れなかった。
「燃えな!」
「うわっと!」
ラミアはアリアに火炎弾を放つが、アリアは前転して攻撃をかわす。
「ギスカン、次はトロールだ!」
ベストールはギスカンにそう命じると、
ギスカンがトロールに張り付き、至近距離から電撃を食らわせる。
「私も援護します! フェーゴボム!」
アリアは炎の精霊フェーゴを召喚し、
トロールにけしかけるが、ラミアの援護魔法によりかわされる。
しかし、その後ろにあった壁にフェーゴが弾かれ、攻撃に移ろうとしたトロールに当たる。
ベストールがアリアの周囲をよく見ると、彼女の近くに光の精霊が浮かんでいた。
「ルフィーネ……ありがとうございます」
トロールは炎に包まれ、そのまま跡形もなく焼失した。
「……後はお前だけだな、ラミア」
ベストールは冷たい目でラミアを睨みつける。
ギスカンはラミアに突っ込んでダメージを与える。
ラミアは高笑いした後、無数の魔法弾を放った。
「グランウォール!」
アリアはグランを召喚し、グランが変化した巨大な壁を作ってダメージを最小限に抑える。
その隙にミスティを召喚して癒しの滴で体力を回復する。
「後は一気に攻めるだけです! エアストーム!」
「ギスカンアタック!」
ベストールはギスカンを、アリアはエアをラミアにぶつける。
まだラミアを倒すまでには至らなかったが、かなりのダメージを与える事ができた。
ラミアはベストールに絡みついた後、噛みついて彼の血液を吸って体力を回復する。
「ぐえぇ! こいつ吸血種かよ! ふらふらするぜ……」
「でもあと少しです、頑張ってください!」
「おうよ!」
瀕死のラミアはベストールとアリアに魔法弾を放つが、
ベストールとアリアは軽々と攻撃をかわす。
ベストールとアリアは精霊を強化する呪文を唱え、ギスカンとフェーゴの攻撃力を高める。
そして、電撃と火炎がラミアを包み込むと大爆発を起こした。
「これで魔物は全部倒しましたね」
「……この先に、ティルラ達がいるんだな」
ベストールは真っ黒い穴を真っ直ぐに見据える。
この空間の中に、恐らく召喚士達はいるだろう。
「早く助けに行きましょう。死んでいたら……元も子もありませんから」
「ああ……入るぜ」
そう言って、アリアとベストールは黒い穴の中に入っていった。
その頃……。
「く……! なんて強さなの……ぐふっ」
「あ~、残念ねぇ」
青い髪をポニーテールにした金色の瞳の女性が、鞭を持って倒れたティルラ達を見ていた。
四人を倒したにも関わらず、女性は不満そうな表情をしていた。
「ここにいる男は一人、しかもまだガキ。
いたぶれそうな男が一人もいないじゃな~い……あ~、ホントに残念だわ!」
「どこが……だよ……!」
「でも、安心しなさい、ボウヤ」
そう言って、女性はアルガーの傍に寄って鞭を叩きつける。
「後で私が、あの世に送ってあ・げ・る・か・ら!」
「ティルラ! アルガー!」
「マーベットさん! ローゼマさん!」
その時、アリアとベストールが、黒い穴を通って洞窟の奥にやって来た。
「! 誰なの?」
女性は声のした方を向くと、ベストールに気づいたのかすぐに彼に駆け寄る。
「……ってアンタ、かな~りイケてる男じゃない。ちょっと、私と遊んでいかない?」
「断る、俺はこういうふしだらな女に付き合うつもりはないのでな」
「ふしだらな女ですって!? 私はカタストロファーセブンが一人、キラーよ!」
キラーと名乗った女性は、アリアとベストールに大きく鞭を振り下ろした。
彼女こそ、世界を終焉に導こうとするカタストロファーセブンの一員なのだ。
「せっかくいたぶれそうな男を見つけたのに……私に付き合わないなんて、最低な男ね」
「最低な女……あなたよりはマシだと思いますけど」
アリアは笑顔で杖をキラーに向ける。
もちろん、その目は笑っていなかったが。
「ふん、蛆虫のように汚い小娘だこと……今すぐに消え失せなさい!」
そう言って、キラーは魔物を呼び寄せ、ベストールとアリアに襲い掛からせた。
今ここに、狂戦士と召喚士の戦いが始まった。
~次回予告~
ついにカタストロファーセブンの一人、キラーと遭遇したアリア達。
美しい容姿とは裏腹にサディストなキラーは、魔物を操る能力を持っていた。
アリア達はキラーを倒す事ができるのだろうか。