魔導物語 Seven Catastrophe 作:アヤ・ノア
プリンプタウンの洞窟で、アリア達はカタストロファーセブンの一人、キラーと出会った。
召喚士を痛めつける彼女に、怒りが湧き出るアリア達。
キラーを倒して、プリンプタウンを魔物の脅威から救えるだろうか。
「行きなさい、ホブゴブリン!」
「ケケケケケーッ!」
「エアトルネード! フェーゴフレイム!」
アリアは風の精霊エアを召喚し、キラーが使役しているホブゴブリンをまとめて攻撃する。
続けて炎の精霊フェーゴを召喚してホブゴブリンを燃やす。
「ホブゴブリンはタフでとっても強いのよ。さぁ、こいつらを仕留めておやり!」
キラーがホブゴブリンに指示を出し、アリアに棍棒をブーメランのように投げつける。
「く……グランウォール!」
アリアはグランを召喚して攻撃を防御し、棍棒はホブゴブリンの手元に戻ってくる。
だが攻撃は通ったらしく、アリアはそこそこのダメージを受ける。
次に来るホブゴブリンの攻撃を、アリアはエアを召喚して受け流す。
「ラ・オシ・ド・スカト!」
「グオォォォォォ!」
「わぁぁ!」
キラーはホブゴブリンに強化呪文を使う。
攻撃力が増したホブゴブリンはベストールに近付いて思いっきり棍棒を振り下ろし、
ベストールを吹っ飛ばし壁に叩きつけた。
「いってぇ!」
「ベストールお兄ちゃん、今回復します! ルフィーネヒール!」
アリアは光の精霊ルフィーネを召喚し、傷ついたベストールの身体を癒す。
「ギスカン、こいつらを倒せ!」
ベストールはギスカンをけしかけ、瀕死の重傷を負ったホブゴブリンにとどめを刺した。
「フェーゴアタック!」
アリアはフェーゴを召喚し、炎によってホブゴブリンを焼き尽くした。
そして、ホブゴブリンを倒したフェーゴは、
その勢いで残ったホブゴブリンに突っ込んでとどめを刺した。
「ちっ、よくも私の魔物を! 次はこいつらよ!」
キラーが鞭を地面に叩きつけると、二体のスライムが現れた。
「これは……物理攻撃は通りづらそうですね」
「俺達の攻撃は魔法攻撃だから問題はないが、問題は酸の攻撃なんだよなぁ」
そう、スライムが飛ばす酸は、防御を貫通する効果があるのだ。
なので、なるべく攻撃を受けないようにしなければならない。
「敵から距離を取って……ギスカン!」
ギスカンは手から無数の弾丸を放ってスライムを撃ち抜く。
「ミスティレイン!」
アリアはミスティを召喚し、スライムに雨を降らせる。
集中できずに狙いを誤りそうになったが、その攻撃は何とかスライムに命中した。
「いきますよー、グランクエイク!」
アリアはグランの力を借り、地面を揺らしてスライムをよろめかせる。
「……ところで、キラーさんは戦わないのですか?」
「この魔物に勝てないようじゃ、私と戦う価値もないって事よ」
「ちっ、んじゃあ遠慮はいらないって事だな!」
言葉で分かり合えないと知ったベストールは、改めてキラーと全力で向かい合う事にした。
しかし、アリアの様子はどこかおかしかった。
「どうした、アリア」
「うぅ……ベストールお兄ちゃん、もう魔力が切れかけています……」
アリアは、何度も召喚術を使ったため、魔力が限界になりかけていた。
もしここで魔力が尽きれば、キラー側が圧倒的に有利になるだろう。
「仕方ねぇ……とっておきだが、タイムバック!」
ベストールが懐中時計を取り出して掲げると、アリアの表情が活気を取り戻した。
「ありがとうございます……今、何を?」
「この懐中時計を使って、俺とお前の時間を戻したんだ。
消耗が激しいから一発しか使えねぇが……これでもう大丈夫だろ」
「ありがとうございます。これで召喚術をまた思いっきり使えますね」
「ふん、どうやろうと結果は同じよ! 行け!」
キラーがスライムに指示を出すと、スライムが二人に粘液を飛ばしてきた。
ベストールは攻撃を回避し、ギスカンを突っ込ませてスライムを倒した。
「うおっ!」
だが、もう一発の攻撃をかわす事はできず、ベストールはダメージを受ける。
その後、スライムは自らの傷を修復した。
「こいつ、再生能力まであるんだな」
「油断はできませんね」
「ほほほ、そのまま消えなさい」
「へ……消えるのはお前の方だよ! 行けっ、ギスカン!」
ベストールはギスカンをキラーにけしかけるが、
スライムがキラーを庇って代わりにダメージを受ける。
「馬鹿な! スライムは知性が低いはずだぞ!」
「知性は低くても私の命令には従うのよ。分からないのね、お・ば・か・さ・ん?」
キラーに馬鹿にされたベストールが逆上しようとするが、
アリアに「落ち着いてください」と宥められる。
「そうか……逆上したら相手の思う壺だな。ああ、落ち着きを取り戻したぜ」
「そうですね……フェーゴボム!」
アリアはフェーゴを召喚し、フェーゴはスライムの前で爆発する。
「よし、このまま一気にいくぜ!」
ベストールがギスカンに指示を出すと、ギスカンはエネルギー弾を放った。
しかし、スライムはギリギリのところで回避し、エネルギー弾はあらぬ方向へ飛んでいった。
「ちっ、悪運の強い奴め。だが、これでとどめだ!」
ベストールはもう一発、エネルギー弾を放った。
今度はまともに命中し、スライムを倒す事に成功した。
「……やるじゃないの」
キラーは、スライムとホブゴブリンが全滅したのを確認すると、
羽の生えた小型の魔族を引き連れてアリアとベストールの前に現れた。
「どうやら、私も本気を出すしかないようね。特別に、私が直々に引導を渡してあげるわ」
そして、キラーはインプと共に、アリアとベストールに襲い掛かった。
「ポイズンリキッド!」
キラーは毒の体液を分泌させ、鞭に塗った。
それは、彼女が人ではない事を証明するものであった。
「これで、おしまいよ」
「それはこっちのセリフだ! ギスカン、弾をばら撒け!」
「エアウィンド!」
ベストールの指示でギスカンが弾をばら撒いて、インプの群れを攻撃する。
続けてアリアがエアを召喚して鎌鼬に変え、インプを一体切り裂いて撃破した。
「よくもやったわね! スピンウィップ!」
キラーは毒を塗った鞭を振り回してアリアとベストールを攻撃した。
「ぐぅっ!」
「きゃっ!」
攻撃は命中し、アリアとベストールの身体に毒が回る。
「そのまま悶え苦しみなさい」
「誰が悶え苦しむものか……!」
「私達は……あなたに、絶対に負けま……せん! ルフィーネヒーリング!」
アリアは光の精霊ルフィーネを召喚し、二人のダメージを全回復した。
だが、回復したのはダメージだけで、毒までは治せなかった。
「うぅ……辛いぜ……」
「今、解毒をしますから!」
「そうはさせないわよ! やっちゃいなさい!」
「「キキィーッ!」」
アリアが毒消しを使って毒を治そうとしたが、インプの魔法攻撃に阻まれる。
「解毒できないなら……とっとと片付けてから解毒するぜ!」
「そうですねっ!」
ベストールは震えながらギスカンをけしかけてキラーを集中攻撃する。
アリアも、威力が高いフェーゴを召喚して火柱に変えて燃やした。
「あちちち!」
「このまま一気に攻めますよ。フェーゴブラスト!」
「きゃぁぁぁ!」
「エアポゼッション!」
アリアはフェーゴを爆発させた後、エアを自分の身に宿して杖を槍に変える。
「とどめは任せたぞ!」
「はい! さよなら……大人しく消えなさい。トルネードランス!」
「ば、馬鹿なぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
そして、アリアは槍を持ってキラーに突っ込み、彼女に槍を突き刺すと竜巻が起こる。
竜巻に飲み込まれたキラーは、大きく空に吹っ飛び、地面に叩きつけられて戦闘不能になり、
その後、マナとなって消滅した。
「ギィィィィィィィ!」
「キィィィィィィィ!」
キラーが消滅したと知ったインプは、すぐさま魔界へと姿を消した。
「ピュリファ! ……よし、解毒は終わったぜ」
「……後は、倒れている皆さんを治すだけですね」
アリアとベストールは解毒を終えた後、倒れている四人に回復魔法をかけた。
「……ん」
「あれ……」
「ここは……」
「どこだ……?」
ティルラ、マーベット、ローゼマ、アルガーがゆっくりと起き上がる。
四人はばたんきゅーしただけで死んでいなかったため、
アリアとベストールは「よかった」と安堵した。
ローゼマとアルガーは素直に二人に感謝し、マーベットは「良い展開になったっス」と言った。
しかし、ティルラだけはどこか悔しそうな表情をしていた。
「私があんた達に助けられるなんて屈辱だわ」
「そんな、屈辱だなんて……」
ティルラの言葉に対しアリアは困った表情になる。
ベストールはアリアをフォローするために彼女にこう言った。
「ティルラはあまり仲間との協力を好まない性格だから、ああいう事を言ったんだ」
「そうでしたか……」
「失礼ね、冒険を通して少しは学んだわよ」
そう言って、ティルラはベストールに軽く拳骨を浴びせた。
「そういえば、キラーを倒しましたので、その後はどうしますか?」
「しばらく、あなた達と一緒にいますよ。レイリーとジルヴァが見つかるまでね」
「レイリーとジルヴァって、誰っスか?」
マーベットは二人の名前を知らないようで、アリアがその二人について説明する。
「私の仲間ですよ。今ははぐれていますがね」
「じゃあ、その二人が見つかるまで、わたし達と一緒って事ですか?」
「……まぁ、そういう事になりますね」
「ありがとうございます! あの……名前を教えてくれませんか? わたしはローゼマです」
「アリアです」
喜ぶローゼマに、アリアはあの「愛を語る少女」を一瞬だけ思い出すのだった。
「では、そろそろ洞窟を出ますか」
「やっと明るい場所に出られるぜー」
「これでまた一歩、小説を進められるっスね」
「帰ったらコマーナの料理、食べましょうね」
「はいはい」
「みんな、本当に無事でよかったぜ……」
召喚士達は、意気揚々と洞窟を出るのであった。
~次回予告~
プリンプタウンに帰るため、アルル達は魔導世界で冒険をする。
だが、魔導世界にいたのはアルルだけではなかった。
その人物と出会う時、アルルの運命が動き出す……。