魔導物語 Seven Catastrophe 作:アヤ・ノア
召喚士を助けるため、アリアとベストールは洞窟に入る。
そこにいた魔物を倒しつつ奥に行くと、
カタストロファーセブンの一人、キラーが待っていた。
魔物を操るキラーに苦戦するが、アリア達は何とかキラーを倒すのだった。
「ふぅ~、疲れたぁ」
宿屋にて。
アルル、カーバンクル、セイバー、チコは、翌日に備えて休んでいた。
「今日は色々あったよねぇ。セイバーと出会って、チコと出会って、狂戦士の一人を撃破した」
「ええ……でも、世界はまだまだ平和じゃない……」
カタストロファーセブンの襲撃を受けてから、世界全体のバランスが崩れ始めていた。
魔物の大量発生、世界の一部の消滅。
あのトライブレードが動いたほどだから、史上最大の危機である事は間違いない。
「早く、平和になってほしいなぁ……」
「ぐぅ……」
「私達が平和にするんだからね。でも、気持ちが不安定だと難しい。
そのためにも、まずは一度、休んでおこう」
「そうだね、セイバー。こんな調子だと寝付けないけど……それでも、休まなきゃ」
「はい……。アルルさん、お休みなさい」
「お休み」
「ぐーぐぐ」
アルル達は明日に備えて、眠りについた。
翌日。
「んー、すっきりした! やっぱり寝たから気分が良いよ」
アルルが背伸びして起き上がる。
その表情に、昨日までの不安は無かった。
「おはようございます、アルルさん」
「おはよう」
「ぐぐぐー」
続けて、チコ、セイバー、カーバンクルが起き上がる。
ベッドから出たアルル達は、朝食を食べに向かっていく。
「「「いただきます」」」
この朝食を食べるのも、最後になるかもしれないという思いが、三人の中にはあった。
「このポトフ、温かくて美味しいね」
「食べやすい量で嬉しいです」
「これを食べて、英気を養おう。みんなが元気じゃないと、今の世界で生きられないからね」
「うん!」
「ぐー!」
それでも、今はこの平和を大事にしていこう。
三人はそう思いながら、朝食のポトフを食べるのであった。
「くっ、魔物がこんなにいるなんて!」
「力も数も今まで以上に多いぜ……」
その頃、外では青い髪の女性ルルーと、銀髪の青年シェゾが、魔物の群れと戦っていた。
「破岩掌!」
ルルーは掌底を勢いよくぷよぷよにぶつける。
ぷよぷよは身体を一時的に硬くして攻撃を受け流した。
「この、ぷよぷよの癖に生意気ですわね!」
「これも異変のせいなのか?」
「そうっぽいですわね。おっと!」
ルルーはキャリオン・クロウラーの触手攻撃をかわす。
「せやっ!」
シェゾは闇の剣でぷよぷよを真っ二つにした後、次のぷよぷよに魔法弾を放った。
「ったく、ちょこまかと! 草薙脚!」
「ぷよよよ~」
キャリオン・クロウラーの攻撃をかわしつつ、
ちょこまか動くぷよぷよを蹴って弾き飛ばすルルー。
続けて残ったぷよぷよを攻撃しようとするが、彼女の脇腹を何かが掠った。
「い、いたぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁい!!?」
ルルーは強烈な痛みに耐え切れずに蹲る。
彼女を攻撃したのは、鋭い牙が生えたハムスター、ヴォーパルハムスターだった。
先程の痛みは、ヴォーパルハムスターが身を隠してルルーに不意打ちをしたものだった。
「なんという痛みですの……!」
「ルルー! 回復できるか!?」
「それどころではありませんわ! 相手がすばしっこいですもの!」
ヴォーパルハムスターはルルーのパンチをひらりとかわし、その鋭い牙でシェゾに噛みついた。
「ぐあぁぁぁっ!」
シェゾはルルーと同じ痛みを受け、蹲る。
そこにキャリオン・クロウラーの触手をまともに受け、シェゾは麻痺した。
「くそ、まともに動けねぇ……」
「シェゾ、今回復しますわ!」
ルルーはバッグから薬草を取り出し、シェゾに使って体力を回復させた。
「ああ……だが、まだふらふらするぜ……」
「シェゾ、危ない!」
「こんな攻げk、うおぉぉっ!?」
シェゾは麻痺しているのか、キャリオン・クロウラーの触手攻撃を食らってしまう。
「ここは、私がやりますわ! 炎神掌!」
ルルーは前に出て、炎を纏った掌底を繰り出し、
ヴォーパルハムスターを炎で包んで一撃で倒した。
「うぅ……俺は、まだ……」
「ちょっとシェゾ、あんた麻痺してるんでしょ? 麻痺を治せないなら駄目ですわよ!」
「それなら自力で治せるぜ、コンディア!」
シェゾは麻痺を治す魔法で身体の痺れを取った。
「よし、これで大丈夫だぜ」
「さぁ、行きますわよ!」
「あぁ!」
キャリオン・クロウラーが頭の触手をルルーとシェゾに伸ばしてきた。
二人は麻痺毒を受けないように動き回り、キャリオン・クロウラーを剣や拳で攻撃する。
「鉄拳制裁!」
最後にルルーが強烈なパンチを放つと、キャリオン・クロウラーは吹き飛んだ。
「うぅ……流石にもう、きついですわ……」
「誰か、助けてくれ……」
「まずは、どこで異変が起こってるのかを探さなくちゃね」
外に出たアルル、カーバンクル、セイバー、チコは、まず、辺りを見渡した。
すると、向こうに女性と青年の姿が見えていた。
アルルは、二人に見覚えがあった。
「待って、セイバー。人がいるよ」
「あ、本当だ!」
「その前に、そっちの方に行くからね」
アルル達がその方向に行くと、ふらふらとしている女性と青年がいた。
二人はある程度進むと、アルルの前に倒れ込む。
その顔は、かなり疲労していた。
「ルルーに、シェゾじゃない! どうしたの?」
思わぬところで、腐れ縁の二人と再会するアルル。
「ま、魔物、が……」
「い、まし、た、わ……」
「魔物!? くそ、ここにも来ていたのか!」
二人の言葉を聞いてセイバーはぎりりと歯ぎしりを立てる。
「……ど、うし、ました、の……?」
「まずは、キミ達を安全地帯に運んでからにするよ」
「そ……れが、いい……」
アルルはルルーとシェゾを安全地帯に運んだ後、チコと共に回復魔法をかけていた。
「うん、これで大丈夫かな。おーい、二人とも起きてー」
アルルが軽く二人に声をかけると、ルルーとシェゾはむくりと起き上がった。
「その声は……」
「アルルじゃない! やっと会えましたわね!」
「ずっと戻ってこなかったから心配したんだぞ」
意識を取り戻したルルーとシェゾは、すぐにアルルに近寄った。
「本当によかったよ、キミ達とまた会えるなんて」
「えー、なんで喜んでるんだろうね?」
アルルはルルーとシェゾとの再会に喜んだ。
セイバーは自分とアルルが出会った時は最初は困惑していたのに、
何故二人と出会った時は喜んだのか疑問に思ったためアルルに聞いた。
「まぁ、腐れ縁っていったところかな。
ボクに迷惑をかける時があるけど、今のボクが一番信頼している二人だよ」
「「迷惑を、ってねぇ……」」
アルルはルルーとシェゾにずばっと正論を言った。
しかし、そんな事を言えるのは、アルルが二人を強く信頼している証なのだ。
「……もしかして私って、置いてけぼり?」
「いえ、セイバーさん。アルルさんはルルーさんやシェゾさんと、一番仲が良いんですよ。
あなたをおざなりにしたわけではありません」
置いてけぼりになったセイバーを、チコは優しく宥めた。
「で、早速再会したところ申し訳ないんだけど、少し休んだらまた、異変解決に行こうか」
「どうしてですの?」
「今も、この世界は終焉に近付いているからだよ。魔物が大量発生しているのも、その結果だ」
「う~ん、確かに」
先程、ルルーとシェゾはキャリオン・クロウラーやヴォーパルハムスターなど、
強力な魔物に襲われた。
ぷよぷよも、いつもより硬く、強くなっていた。
魔物の力が強くなっている証拠だ。
「だから、君達も一緒に私と協力してくれないかな。大丈夫、決して妬んだりはしないよ」
「それなら一安心ですわ。私、アルルは放っておけませんもの!」
「俺達の強い絆は永遠だって事を、あの魔物どもに教えてやるさ」
セイバーの提案を、ルルーとシェゾはあっさりと受け入れた。
「アルル……こんな友達も、君にはいたんだね」
「まぁ、友達っていうよりかは、腐れ縁なんだけどねぇ」
「ぐー」
あははとアルルは笑う。
「……腐れ縁、か……」
セイバーは、アルル、ルルー、シェゾの腐れ縁トリオを少し複雑な目で見ていた。
腐れ縁、それは良くも悪くも強い絆で結ばれているという証だ。
アルルが二人を信頼しているのも、それが理由だ。
「やっぱり、あの三人には、勝てないなぁ……」
セイバーは三人に完敗したのか、ふぅ、と溜息をついた。
だけど、とセイバーはアルルの方を向いて、彼女に聞こえないように小さくこう言った。
「それでも、私は君を、友達として、仲間として、ルルー達と一緒に支えていきたいよ。
それもまた、私の望みだから」
~次回予告~
アミティがいる世界の魔導学校が、魔物に襲撃された。
見た事のない異形の生物に立ち向かう生徒達だったが、徐々に押されていく。
そこにアミティ達が現れて、助けに向かった。