魔導物語 Seven Catastrophe   作:アヤ・ノア

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~前回までのあらすじ~

並行世界のプリンプ魔導学校が、魔物に襲撃された。
アミティとエッジは援護をするべく、襲撃現場に突入する。
魔物を倒していくうちに、ある一つの脅威に出会う。
そう……カタストロファーセブンの一人、デストロイヤーだった。


17「狂戦士デストロイヤー」

「あなた達を宴に(いざな)ってあげましょう!」

 そう言って、デストロイヤーはさらに二体のピエロ人形を召喚し、アミティ達にけしかけた。

「牙を突き立てる! スピードファング!」

 エッジは素早く間合いを詰めてピエロ人形を斬りつける。

 剣はピエロ人形の急所を的確に突き、大ダメージを与えた。

「プロミネンス!」

 クルークは炎を発生させ、デストロイヤー目掛けて放つ。

 相手を火傷させて受けるダメージを増やす事を期待していたが、

 デストロイヤーは火傷を意に介さず行動する。

「ふふふ……私にそんなものが通用するとでも? マリオネット!」

 デストロイヤーは再び糸を伸ばして仲間を操ろうとする。

「させないよ! サイクロワール!」

 アミティは風の刃を放ってデストロイヤーの糸を切り裂き、攻撃を阻止した。

「ふ……しかしこれならどうですか? はぁあっ!」

「うわぁ!」

 デストロイヤーはピエロ人形を操ってアミティを引っ掻いた。

 アミティはそのスピードに反応しきれずに攻撃を食らう。

「でも、あたしは負けないよ! フレイム!」

 アミティは炎を放ち、エッジが大ダメージを与えたピエロ人形にとどめを刺した。

「おやおや……私の人形を破壊するとは、なかなかやりますね。

 しかし、私の人形はまだ残っていますよ。舞いなさい!」

 デストロイヤーはピエロ人形を操り、クルークに向かってナイフを飛ばす。

「こんなもの、かわしてやる!」

 クルークは身体能力が低いながらも、飛んできたナイフを何とか全てかわした。

「へっ、そんなものボクに当たるか!」

「果たしてそれはどうですか?」

「えっ?」

 すると、ナイフが急に曲がり、クルークの方向に飛んできた。

「くっ……! ネブラ・mうきゃーーーーっ!!」

 だが、詠唱が間に合わず、ナイフが全て命中しクルークはばたんきゅーした。

 

「クルーク!」

「まずは一匹、虫が消えましたか。お次はあなたですね!」

 デストロイヤーはピエロ人形を操ってアミティにナイフを飛ばす。

 アミティはクルークのようにはなるまいと、リフレクションを使ってナイフを全て弾き返した。

「よし、後はリザレクティアでクルークを復活させないと! リザレク……」

「させませんよ」

 デストロイヤーは糸をアミティに繋げてアミティを操作状態にし、詠唱を阻止した。

 再びアミティは操られてラフィーナ達を攻撃しようとする。

「助、けて、み、んな……」

「アミティー!」

「この、なんて卑怯な!」

「いいですよ、あなたのその言葉」

「だったら、あなたをぶっ潰して差し上げますわ!」

 ラフィーナはデストロイヤーの挑発に乗って彼を攻撃しようとするが、エッジが彼女を止める。

「何するんですの!」

「あの人形を操っているのはあいつだ。

 あいつが操らなきゃ人形は暴走して、さらに攻撃力が高くなる!」

「くぅっ……!」

 エッジの言葉に歯ぎしりを立てるラフィーナ。

 デストロイヤーはその様子を見て人形と共に壊れたように笑った。

 そんなラフィーナと倒れているクルーク、

 そして糸に捕まったアミティを見たシグのスイッチが入った。

「これ以上アミティを操るな。これ以上アミティを傷つけるな。これ以上アミティに触るな。

 アシッド、アシッド、シ・シ・シレスティアル!」

 シグは凄みのある表情で、増幅したシレスティアルを放った。

 赤と青の光は正確にアミティの糸とデストロイヤーだけを狙い、直撃した。

「う……あたしは、何を?」

「はやく、メガネを起こして」

「は……うん! リザレクティア!」

 糸から解放されたアミティは急いでクルークに近付いてリザレクティアを唱えた。

「ん、ここは……」

「クルーク、まだふらふらする?」

「ちょっとね」

「じゃあ、休んでる?」

「うん」

 アミティはクルークを安全な場所に置いた後、デストロイヤーと向かい合う。

「容赦はしない! アクセルスマッシュ!」

 エッジは剣に気を込めて振り下ろし、デストロイヤーを切り裂いた。

「ライトニングボルト!」

「セルリアン」

 アミティの雷とシグの青い光がピエロ人形に命中し、爆発する。

「覚悟! フォルト、フ・フー・ダルティ!」

 ラフィーナは太陽の気弾をピエロ人形に放つが、明後日の方向に飛んでいき、爆発する。

「くっ! この私が!」

「ではいきますよ、マリオネット!」

 デストロイヤーは大技を放って隙ができたラフィーナに糸を繋げ、操り人形にする。

「……こ、ろ、す」

「ラフィーナ!」

 エッジはいきなり襲い掛かって来たラフィーナの攻撃をかわす。

 そして飛び上がってラフィーナの糸目掛けて剣を振り下ろしたが、

 デストロイヤーはラフィーナを巧みに操って攻撃を回避した。

「ぬあああああ!」

 ラフィーナが飛び蹴りを繰り出し、目の前にいたシグを攻撃しようとする。

「ネブラ!」

「ぐ……!」

 クルークが直前で煙幕を発生させたため、

 ラフィーナは狙いを誤り地面に激突してダメージを受けた。

「よし、今だー!」

 シグは左手で思いっきりラフィーナの糸を引っ掻いて切り裂き、ラフィーナを正気に戻した。

「まったく、私を操るなんていい度胸ですこと」

「そうですねぇ……しかし私が人形だけを操れると思ったら大間違いですよ?

 イリュージョンアロー!」

 デストロイヤーは手から幻の光弾をエッジに向けて撃ち出した。

 光弾は障害物をすり抜けてエッジに着弾しようとする。

「させるか!」

 エッジは武器に気を込めて魔法を受け止め、ダメージを最小限に食い止める。

「ねぇ、エッジさん、ちょっと離れてくれる?」

 そう言うアミティの手は、白く光っていた。

 エッジは魔法を発動させるとすぐに理解した。

「ああ、分かった。それと、さんはいらない」

「あ、はーい」

 エッジは攻撃を食らわないよう一旦横っ飛びする。

 そして、効果範囲内に味方がいないのを確認したアミティは、勢いよく腕を振り下ろす。

「エ・エ・エクリクシス!」

「うあぁぁぁぁぁぁぁぁ!」

 次の瞬間、聖光が爆発してピエロ人形とデストロイヤーを巻き込んだ。

 ピエロ人形とデストロイヤーはかなりのダメージを受け、さらに目が眩んで動けなくなる。

 その隙にシグとエッジは突っ込んで爪と剣でピエロ人形を真っ二つにして破壊した。

 

「後はお前だけだな」

 そう言って、エッジはデストロイヤーに近付いた。

「ま、ま、待ってください! ほら、私の人形はもうなくなりました!

 だから、命だけは助けてください!」

 瀕死の状態にあり、しかも人形を全て失ったデストロイヤーは必死で命乞いをした。

 しかし、エッジは冷酷な表情で剣を突きつける。

「黙れ! その手には乗らないと言っただろう! お前はオレ達トライブレードが倒すべき敵。

 だから、ここで死んでもらう! 世界のために、な!」

「あぅ……っ」

 そして、エッジがデストロイヤーの胸に剣を突き刺すと、

 デストロイヤーは呻き声と共に消滅した。

 

「あっ……!」

「魔物が消えていくよ!」

 デストロイヤーが消滅すると同時に、アコール先生達が相手をしていた魔物が消えた。

「まさか、魔物の元締めを倒したのか?」

「そうじゃないと多分あり得ないよ。ねぇ、アポロ?」

「ああ……そうだな」

 

 こうして、プリンプ魔導学校が魔物の脅威から救われた後、

 アミティ達は魔物を相手していたアコール先生達と合流する。

「貴方達のおかげで、プリンプ魔導学校は魔物から守られました」

「しかし……」

 校内は、魔物によって半壊状態になっていた。

 人的被害は無かったが、ロッカーや机は壊れ、道具はバラバラになっていた。

「見ての通り、校内は悲惨な事になっているよ」

「うわぁ……」

 当然、このままでは授業ができない。

 アコール先生は、生徒達に優しくこう言った。

「学校は、私達が責任を取って直します」

『お前達はよく頑張ったニャ。後始末は先生の役目だニャ。ゆっくり休むのニャ』

「分かりましたわ、アコール先生。今日は休ませていただきます。

 ほら、皆さん、そろそろ帰りますわよ」

「はーい」

 ラフィーナは丁寧にお辞儀をした後、生徒達を連れてプリンプ魔導学校を去っていった。

 残ったアミティとエッジも、彼女の後を追うように外に出た。

 

「……これからどうするの、エッジ?」

「どうするもこうするも、オレに迷いはない。この世界のために、戦うだけだ」

「ねぇ、エッジ。世界世界って、自分よりもそっちの方が大事なの?」

「その通りだ」

「そんな……」

 自分や他人よりも世界を優先させるエッジに、アミティは不安になった。

 エッジは表情を変えずにアミティにこう言った。

「……オレ達トライブレードは、世界の危機以外では動けない。

 世界のためにしか動けない運命なんだよ……」

 半ば諦めたように言うエッジ。

 そんな彼を、アミティはアミティらしく心配する。

「キミはどうして、その運命に抗おうとしないの?」

「できないからだ。強大な力を得た以上、この運命からは決して逃れられない」

「……でも! あたしはそんな運命を乗り越えられるって信じてるよ!

 キミは絶対に運命なんかに縛られない! キミはキミだよ!」

「子供だな」

「そんな……そんなのって……」

 トライブレードは世界のために動かなければならない。

 しかしアミティは、まだ大丈夫だという可能性を信じていた。

 そんな彼女の単調で素直過ぎる「子供な」考えが、「大人」のエッジはどこか羨ましかった。

「……キミは子供だ。だが、今の世界には、キミのような考えの奴も必要だと理解した。

 ……ありがとう、アミティ」

「どういたしまして!」

 エッジがにかっと歯を見せたため、アミティも釣られて笑みを浮かべた。

 

「アミティ。これからも、オレ達のために笑顔でいてくれないか?」

「もっちろんだよ!」




~次回予告~

なおもチキュウを脱出できず、りんごとソードは途方に暮れていた。
すると、りんごとソードは、謎の建物を発見した。
果たして、そこには一体何が隠されているのだろうか。
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