魔導物語 Seven Catastrophe 作:アヤ・ノア
並行世界のプリンプタウンが、魔物に襲撃された。
魔物を操っていたのは、カタストロファーセブンの一人、デストロイヤーだった。
彼の操り人形戦術にアミティ達は苦戦するものの、
見事デストロイヤーを倒し、並行世界のプリンプタウンを救うのだった。
その頃、りんごとソードは、チキュウの公園で休息を取っていた。
「ふぅ~、生き返る~」
アクエ○アスを飲んですっきりするりんご。
「カタストロファーセブンを倒すためにも、まずは英気を養わなきゃ、ですね」
「そうよ~りんごちゃん、しっかり体力はつけないとね」
ソードはそう言って、りんごのものと同じアクエ○アスを飲んだ。
「……はぁ。果たして、私は本当にプリンプタウンに帰れるのでしょうか」
「せっかく故郷に帰れたのに、まだそれにこだわるのね」
「私の第二の故郷でもありますからね、プリンプタウンは」
りんごは、プリンプタウンに戻りたいという気持ちもあった。
今はまだ無理だと分かっていても、
またアルル、アミティ、アリアと一緒になりたいという願いが、彼女にはあった。
「だけど信じていれば、必ず夢は叶うわよ。だからそれまでは、アタシと一緒に頑張りましょ!」
「はい! 分かりました!」
こうして、二人が休息を取り、体力を十分に回復させた後。
二人は、公園を出ていき、次のダンジョンへ行くための準備をした。
「アタシは剣も使えるけど、アナタは魔法が主体だからね。魔力を回復する水は買いましょう」
「私もソードみたいに上手く武器が使えたらよかったのに」
「人にはそれぞれ得意不得意があるから気にしなくていいわよ。
アナタの良いところを伸ばさなきゃ」
ソードは自分の大剣をじっと見ているりんごを励ました。
「……そうでしたね。私には頭脳と魔法という最大の武器がありますからね!」
「そうこなくっちゃ! しょげてるアナタなんてアナタじゃないわよ!」
「で、カタストロファーセブンがいる場所ってどこなんですか?」
「ちょっと調べてみるわ。デ・ポプル・ラ・テラ・マ・ギ!」
ソードは魔力を感知する呪文、ディテクトマジックを唱えた。
すると、ソードの目が光り出す。
「あ、あっちに何かあるわ! 行きましょ!」
りんごがソードに手を引っ張られて辿り着いた場所は、非常に大きな建物だった。
3つの塔を集めたような形をしていて、見たところ、
最も大きな塔の入り口には何か文字が書かれている。
また、中に入るための入り口は最も大きな塔の正面にしか見当たらないが、
その入り口は鉄のシャッターで閉ざされているようだ。
「ここって……ショッピングビルディング?」
「知ってるの?」
「知ってるも何も、私はチキュウ人ですから」
りんごはさらに、鉄のシャッターは防火シャッターだと分かり、
さらに防火シャッターなら外からも開けられるような非常用開閉装置がある事を思い出す。
「どうやってシャッターを開ければいいのでしょうか……あ、ソード! 何かありましたよ!」
りんごとソードが入り口を探索していると、
透明な板のカバーの奥に手回し式のレバーを発見した。
「もしかして、このカバーを開ければいいんじゃ?」
「ちょっと待ってくださいね、サイン!」
りんごは透明な板を魔法で壊し、レバーを回した。
すると、鉄のシャッターが開き、建物の中に入れるようになった。
建物の床は土砂で埋もれており、テントや鉢植えなど野外で扱うものが散乱していた。
さらに、フロアの奥には羽の生えた小型の魔族と手足のあるキノコがおり、
それらは地面を掘り起こそうとしていた。
だが、彼らは二人の方を見ると攻撃を仕掛けてきた。
「ここのお宝は渡さないぞ!」
「世界のために、アナタ達を倒すわ!」
ソードは大剣を構えて、魔物に戦いを挑んだ。
「キキキッ!」
「わっと!」
りんごはインプの闇魔法をかわし、インプにコサインを放って攻撃する。
絶叫お化け茸はりんごに恐ろしい声で叫んだが、りんごはバリアで防御した。
「きゃ!」
「アンタのへなちょこな攻撃は通用しないわよ! せぇいやあっ! ……かわされた!?」
りんごは絶叫お化け茸の体当たりを食らってよろめいた。
ソードは大剣で絶叫お化け茸の攻撃を受け流し、インプに斬りかかったが攻撃をかわされる。
「ケケケ、大振りだなぁ!」
「すぐにその顔を泣きっ面に変えてやるわよ。ライトニング!」
ソードは大剣を構え直し、雷魔法を唱えて大剣にそれを纏わせる。
そしてすぐには撃たず、相手の隙を見計らう。
「そこね! ライトニングブレード!」
インプが短剣を持って突っ込んできたところで、ソードは大剣に封じた魔法を解放する。
鋭い雷が正確にインプを捉え、命中すると大爆発を起こした。
インプは鋭い叫び声と共にマナの塵と化して消滅した。
「まずは一匹倒したわ!」
残っているのは絶叫お化け茸のみ。
恐ろしい叫び声を除けば、体力は低く二人にとって大した敵ではない。
「声に気を付ければ余裕で倒せるわ。それなりに気を引き締めていきましょ」
「了解! ネオスペル、コ・コサイン!」
りんごは電撃を絶叫お化け茸に放ち、大ダメージを狙う。
一撃では倒せなかったが、絶叫お化け茸を瀕死の状態に追い込んだ。
「スピンスラッシュ!」
ソードは大剣を円を描くように振り回し、りんごが攻撃した絶叫お化け茸を倒した。
「後はこれで一気に終わらせます! ネオスペル、ネオスペル、マ・マ・マグマチュード!」
そして、りんごが増幅呪文を唱え、弱点の炎魔法を絶叫お化け茸に向かって放つ。
マグマは絶叫お化け茸を包み込み、跡形もなく灰に変えた。
「うん、これ以上敵はいないみたいね」
敵が全滅した事を確認したソードは、かちりと大剣をしまう。
床の土砂はほじくり返された跡が多数あるが、歩くには問題はなさそうである。
見たところ、上に向かう階段が2つ、下に向かう階段が2つ、
そして後ろに地図が書かれた受付らしい場所と、扉の閉ざされた小部屋がある。
だが、下への階段は土砂で埋もれているため、降りる事はできないようだ。
「まずは、左の階段から上りましょう」
「そうね」
りんごとソードは、左側の階段を上った。
このフロアには四角い紙製の箱やよく分からない衣装らしきものが散らばっていた。
奥には隣に通じる通路と、上に行く階段も見えた。
だが、ところどころで天井が崩れそうになっているため、移動には注意が必要そうである。
「慎重に調べましょう、りんごちゃん。天井が崩れたらおしまいだから」
「……分かりました」
りんごとソードは、天井に気を付けながらこのエリアを調べた。
すると、この部屋から麻雀牌を見つけた。
「あ、これは麻雀牌ですね。
使い物にはならないけど、売ったらお金になりそうですし持っていきますね」
りんごとソードは次に、A館の三階に向かった。
このフロアには、ベッドや箪笥といった大きな家具が置かれていた。
その箪笥を開いては中を確かめている魔族の姿が見えた。
「ここにも何もない……これじゃあ怒られそうだぜ、ギギッ」
魔族の傍には、倒れている紫の髪の少年と獣人がいた。
りんごは、二人に見覚えがあった。
「あ、まぐろ君にりすせんぱい……!」
りんごは魔族に聞こえないように小声で話す。
「どんな人なの?」
「私の友人です。かなり傷を負っていますね。
でも、まだ相手は気付いていません。奇襲ならチャンスですよ」
「ええ……分かったわ。行くわよ!」
「はい!」
「ギッ」
りんごとソードは勢いよく魔族の前に飛び出したが、魔族は二人の気配に気づいてしまう。
「しまっ……!」
「見つかった!?」
「ギギッ、こいつはいい。お宝見つからなかったのは人間のせいにしよう」
「しょうがない……正面から行くしかないわね!」
ソードは大剣を構えた後、魔族の剣士、デビルソードマンを斬りつける。
しかし、デビルソードマンはその硬質な皮膚で大剣を弾き返した。
「そんな攻撃が効くかよ!」
「うわっ!」
デビルソードマンは段平をソードに振り下ろした。
ソードは何とか攻撃を防ぎ、軽傷に抑える。
「武器がダメなら、これです! サイン!」
りんごは指から雷魔法を放つもデビルソードマンはそれをかわす。
「かわした!? 今度こそ! コサイン!」
りんごはゴブリンソードマンに向かって雷の球を放つ。
今度はクリーンヒットし、デビルソードマンは大きく吹っ飛ばされ箪笥に叩きつけられる。
その衝撃でデビルソードマンは嵌ってしまう。
「これで、とどめよ! サンダーストーム!」
ソードは異父兄弟のシェゾが使う雷の嵐で、デビルソードマンを倒した。
「やられた、ギ……ギ……」
そう言い残し、デビルソードマンは塵となった。
「大丈夫ですか、まぐろ君、りすせんぱい!」
「う……ここは、どこ……?」
「私は……何、を……」
「ちょっと待ってくださいね、応急処置しますから。ヒーリング!」
りんごは回復魔法を唱え、まぐろとりすくませんぱいの傷を癒した。
「ふぅ、助かったよ★」
「まさか、私達が魔族にやられるとはな。油断してしまった」
「という事は、まぐろ君もりすせんぱいも、あいつのせいでここに帰って来たんですね?」
「あいつ?」
「それについてはアタシが教えてあげるわ」
カタストロファーセブンについてソードが説明すると、二人は納得したように頷いた。
「そういえば、君は誰なんだい?」
「あぁ、まだ名乗ってなかったわ。アタシはソード、魔導剣士のソードよ」
「僕はささきまぐろ、よろしくね★」
「りすくまだ、よろしく頼むよ」
お互い、自己紹介をし合うまぐろ、りすくませんぱい、ソード。
「それにしても、こんなところで再会できるなんて思いませんでした」
「でもなんで、こんなに魔物が……」
「あれはカタストロファーセブンが蒔いた種なのよ。世界を終わらせるために、ね。
それを防ぐのがアタシ達、トライブレードの役目よ」
「へぇー。あ、でも、ちょっと待って。箪笥の中身を見てみようかな?」
そう言ってまぐろが箪笥の中身を見てみると、中は空っぽだった。
「……どうやら、みんなが探したいものはここにはないみたいね。別のエリアへ行きましょ」
「はい」
こうして、物理部の三人が揃うのであった。
~次回予告~
召喚士と別れたアリアは、プリンプタウンに戻ろうとしていた。
だが、魔物は容赦なくアリアに襲い掛かってくる。
その道中でアリアは、謎の少年と出会う……。