魔導物語 Seven Catastrophe 作:アヤ・ノア
召喚士と別れたアリアは、プリンプタウンに戻ろうとするが、
暴走した精霊が彼女に襲い掛かってくる。
何とか精霊魔法で応戦するが、数は多く、アリアは追い詰められる。
絶体絶命の危機を救ったのは、謎の少年ナイアックだった。
魔導世界でルルーとシェゾと再会したアルル。
セイバーは強い絆で結ばれた三人を少し羨ましく思っていた。
「三人とも、私が入れる隙間がないくらい仲が良いよね」
「まあ、長く付き合ってる身だしね」
「その割に身体はまだちんちくりんのままじゃない」
ルルーはつんつんとアルルをつついた。
「う~、そりゃルルーと比べればだけど……せめて発達途上って言ってよ」
「ぐーぐー」
「世界を救うために、お前らが欲しい」
「お前ら『の力』ね」
アルルは、シェゾの言葉抜けを指摘した。
「ねえアルル、シェゾってこういう人なの?」
「見た目はかっこいいんだけどね、いつもこういう言葉使うから変態扱いされるんだよ」
「ぐぬぬ……遠慮なく言いやがって……」
遠慮なくシェゾの短所を言うアルルに、シェゾは握り拳を作った。
しかし腐れ縁だからこそ、アルルはこんな事を言えるのだ。
「まあ確かに、皆さんの力は必要ですね。
今は一人でも仲間が多くなければ、カタストロファーセブンに勝てませんから」
アルル、チコ、セイバーだけではパーティバランスが悪かった。
しかし、前衛で戦えるルルーとシェゾが入った事で、一気にパーティの安定感が増した。
これで安心して、カタストロファーセブンやそのしもべと戦えるだろう。
「だけど、戦ってばかりじゃ疲れちゃうよ」
「そうだね……でも、そうしている間にも敵の侵略は進んでいるよ」
「そうやって自分を追い詰めて、何が楽しいの?」
戦う事を優先するセイバーに、流石のアルルも呆れた。
「楽しくはないよ。だけど私達は、世界のために戦う存在。
君みたいに個人の目的では戦えないよ」
「セイバー……」
「君達がいなければ、私は壊れちゃう。どうか、勇者である私を支えてくれ」
「もちろん! だってキミは、ボク達の仲間だもんね!」
「ぐーぐ、ぐっぐぐーぐ、ぐぐぐ!」
「まったく、仕方ありませんわね……。乗らないわけがありませんわ。
セイバー、あなたも私と共に戦いなさい!」
「勇気のない奴は勇者とは言えない。勇気を失ったら勇者失格だぜ。あいつが泣いちゃうぞ」
「あなたは勇者である以前に一人の人間なんです。人間の心をずっと持っていてください」
「……ありがとう、みんな」
アルル、カーバンクル、ルルー、シェゾ、チコの励ましに、セイバーはニッコリと微笑んだ。
「それじゃあ、昼食を取りに行こうか」
「はい」
「いただきます」
この異変の中、まだ無事なレストランにて。
アルル、ルルー、シェゾはマーボーカレー、チコはスープスパ、セイバーはひやピリ中華、
カーバンクルは大盛マーボーカレーを食べていた。
「うーん、麻婆豆腐とカレーって、合うのかなぁ?」
「このお店だと定番らしいけどね」
セイバーによれば、マーボーカレーは普通のカレーと違うベクトルの辛さを味わえるという。
しかし、彼女にとってはゲテモノらしいので、代わりにひやピリ中華を食べている。
「好みは人それぞれだし、気にしない方がいいよ。
しっかり辛さと美味さを味わって、英気を養ってよね」
「うん。もぐもぐもぐ……ん~美味しいっ!」
「ぐ~ぐっ!」
マーボーカレーを嬉しそうに味わうアルルとカーバンクル。
ルルーとシェゾは、味を楽しみながら食べていた。
「本当に美味しいですわ。まるで、今起きている異変が嘘のように」
「このままずっと、平和だといいんだけどな……」
こうして、昼食を食べ終わり、レストランを後にしたアルル一行は……。
「ふぅ~、お腹いっぱい」
「ぐぐ~」
「みんな元気になってよかったね。この調子で、カタストロファーセブンから世界を解放しよう」
セイバーは剣と盾を構え直す。
その様子は、世界を救わんとする勇者そのものだ。
「でも、全然敵の様子が見えないよ?」
「それが敵の狙いなんだよ。奴らは正面から向かっては来ない、私達の隙を伺っているのさ」
「なら、警戒が必要だな」
そう言って、シェゾは前に出て警戒を強める。
隙を見せないように、いざ敵が来ても備えられるように。
「ウガァァァァァァァァァッ!!」
「ぐっ、敵か!?」
その途中、突然、シェゾの目の前に血の気のない肌をした男が襲い掛かってきた。
シェゾは攻撃を紙一重でかわしたが、男が正気を失っている事は分からなかった。
「何故、いきなり襲い掛かってきた!」
「シェゾ、相手をよく見て。どう見ても正気じゃないでしょ」
「そっか、言われてみれば……。とりあえず、気絶させるしかなさそうだな」
「先手必勝! ファイヤー!」
アルルは手から炎を放ってハンマーを持った男を燃やした。
「草薙脚!」
ルルーはアルルが攻撃した男に素早い蹴りを放ち、動けなくした。
もう、この男を助ける事はできないようだ。
「ニグヲヨゴゼエェェェェェ!!」
「うわっ、今度はたくさん来たよ!」
男が倒れた途端、先程の男と同じような様子の男や女がアルル達に襲い掛かってきた。
「やっぱり油断大敵だったみたいだね。ファストブレード!」
セイバーは素早く剣を振り、魔物化した女魔導師を斬りつける。
「俺もただ、魔法を使えるだけじゃないってところを見せてやるぜ! ダークスラッシュ!」
シェゾは闇の剣を構えて女魔導師を真っ二つに切り裂いた。
彼は魔法だけでなく、剣の腕もなかなかなのだ。
「やるね、シェゾ」
「ああ、お前の剣もなかなかの腕前だ」
「ウオオォォォォォォォォ!」
「ぐぁっ!」
「カウンターアタック!」
魔物化した戦士がシェゾとセイバーに向かってハンマーを振り下ろす。
セイバーは盾で攻撃を防いだ後、反撃で戦士を斬りつける。
「夢幻の天!」
「ウオオオオォォォォォォォ!」
チコと女魔導師が魔法を撃ち合う。
杖から光の矢と氷の矢が飛び交い、ぶつかると派手な爆発が起きる。
「理性がない以上、全力でやるしかないようですね……」
手加減をしていては、いずれこちらがやられる。
チコは攻撃魔法は苦手ながらも、一生懸命に女魔導師と戦っている。
「ウオオオオオオオオォォォォォォ!」
「……きゃぁ!」
「危ない、チコ!」
チコは戦士の叫び声で竦んでしまい、女魔導師の攻撃を食らいそうになる。
その直後にセイバーが盾で攻撃を防ぎ、剣で女魔導師を斬りつけた。
「カタストロファーセブンめ……罪のない奴をこんな目に遭わせるなんて、許せない!」
セイバーの目に熱い炎が宿る。
彼女は、弱き者を魔物に変えたカタストロファーセブンを許せないのだ。
「今すぐに倒れろ! ソニックブラスト!!」
そう言って、セイバーは剣を振り、大きな衝撃波を飛ばした。
その衝撃波は魔物化した者達を真っ二つにし、一瞬で戦闘が終了した。
「……これで終わりだね」
セイバーは剣をしまい、魔物化した人間がいた場所を見る。
死体は赤い霧となり、空の彼方へ消えていった。
「こんな事までするなんて……なんて酷い奴だ!」
「カタストロファーセブンは、無力な人達の事を何も考えていないのですね……。
本当に、何もできない私が、恨めしいです……」
「本当に最低ですわね。私自身で叩き潰してやりたいですわ!」
シェゾとルルーは、カタストロファーセブンに対する怒りに満ちていた。
チコも、無力な自身を恨んでいた。
「……行こう、みんな。私達は絶対に負けないって事を、あいつらに教えてやる!」
「そうだ! こんな小物なんかにボク達が住む世界を潰されてたまるか!」
「ぐー! ぐっぐぐーぐ!」
これ以上の犠牲を生まないためにも、カタストロファーセブンは倒さねばならない。
アルル、ルルー、シェゾ、チコ、セイバーは改めて決意を固めるのであった。
~次回予告~
アミティとエッジは、次に何をするべきかを考えていた。
だが、時には休息も必要である事を知った二人は休息を取る事に。
そこで何故か、単独のレイくんと遭遇するのだった。