魔導物語 Seven Catastrophe 作:アヤ・ノア
レイリーとジルヴァと合流したアリアとナイアックは、
カタストロファーセブンを倒すため、アルカ遺跡に入る。
魔物が凶暴化している中、アリア達は知恵を生かして遺跡を冒険する。
そして遺跡の最奥で、四人はイレイザーと遭遇するのだった。
「はぁぁぁぁぁぁっ!」
イレイザーは死霊を呼び出し、自分の体に憑依させる。
彼の周りを不穏なオーラが覆い、アリア達は口を押さえる。
「ひぃぃぃぃぃぃ!」
お化けが苦手なレイリーはアリアの背後に隠れる。
「お、お、お化けなのだ!」
「その娘は死霊が苦手なのか……ならば」
「うあぁぁぁぁぁぁ!」
イレイザーは追い打ちをかけるようにレイリーに死霊をけしかける。
レイリーは当然、避けられずに精神ダメージを受ける。
「な、なんて卑怯な……! レイリー、私が勇気を与えてあげますよ!
炎の精霊よ、彼の者に勇気を! フェーゴブレイブ!」
アリアは炎の精霊フェーゴを召喚し、レイリーに勇気を与えた。
レイリーの青くなった顔が元に戻った。
「ふ、ふぅ……助かったのだ」
「ちっ、気を取り戻したか」
「今度はお化けに怯えないのだ! ジゴロ、ク・クリケット!」
レイリーは魔法で自身の身体能力を上げた後、剣舞により、舞うように死霊達を攻撃した。
彼女の小剣は魔法で強化されているため、
物理攻撃が通らない死霊にも問題なくダメージが通った。
「ふん……ならばこれでどうだ。ファントムアタック!」
「そ、そうはいかないのだ!」
イレイザーは死霊をレイリーに向けて飛ばした。
死霊とは思えないほど素早かったが、レイリーは素早く飛び上がって攻撃を回避する。
しかし、アリアの魔法で恐怖を克服したとはいえ、本能的な部分は治せず、少し体勢を崩す。
「や、やっぱりお化けは苦手なのだ……」
「レイリー、この戦いはすぐに終わらせる」
ジルヴァは怯えるレイリーを優しく宥めた。
彼女のためにも、イレイザーは片付けなければならない。
「双破連斬!」
ナイアックはイレイザーに突っ込んで剣を振り、素早く左腕を動かしレイピアで急所を突く。
死霊がナイアックに手を伸ばしたが、彼はそれを回避して反撃で斬撃を叩き込んだ。
「水の精霊よ……ミスティウェーブ!」
アリアは水の精霊ミスティを召喚し、
イレイザーとレイリーが倒し損ねた死霊をまとめて薙ぎ払う。
「ホーリーアロー!」
ジルヴァは弓を引き絞り、聖なる矢を放ってイレイザーを刺した。
彼には死霊が憑依しているので、聖属性の攻撃が有効だと考えた。
「うあぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
イレイザーは死霊ごと大ダメージを受け、苦しむ。
さらに、憑依した死霊が身体を蝕み、イレイザーの体力が減少した。
「わぁっ!」
「マ・ギ・ド・スカト!」
弓を持った死霊はイレイザーの敵と言わんばかりにレイリーを矢で射る。
ジルヴァはレイリーに光の盾を張って矢を防ぐ。
「グググ……ナゼダ、ナゼタオレン」
気迫を失わないジルヴァ達を睨むイレイザー。
死霊をたくさん使役しているのに、諦めない事がイレイザーには理解できなかった。
それに対し、アリアは真剣な表情でこう言った。
「これは、私達には負けられない戦いなのです。
あなたが世界を破壊するのならば、私達は世界を再生しましょう!」
「ラ・オシ・ド・スカト!」
ジルヴァは身体能力を強化する魔法をナイアックにかける。
「こんな雑魚なんか、わたしがやっつけちゃうのだ! アイソレーション!」
レイリーは弓を持った死霊を舞うように切り裂く。
「行くぞ! 剛・魔神剣!」
ナイアックは大きな衝撃波を飛ばし、相手の攻撃範囲外から安全に攻撃した。
「グ、グヌゥゥゥゥ……」
「諦めるんだな、イレイザー」
「オノレ! キサマハコウシテヤル! ファントムアタック!!」
挑発するジルヴァを見たイレイザーは、身体を震わせて大量の死霊を飛ばした。
ジルヴァもこれはかわせる……と思ったが、死霊の不規則な動きを見極められずに命中する。
「ぐああぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
「サッキマデノイキオイハドウシタ!」
肉体的ダメージよりも精神的ダメージの方が大きかったらしく、
ジルヴァはレイリー同様にふらふらしながら立ち上がった。
イレイザーはこうして、精神が限界に達するまで攻撃していくらしい。
魔法を使っても精神力を少し消費するため、アリア達は徐々に追い詰められていた。
「精神力をさらに消耗しますが……。倒れるよりはマシです。ルフィーネヒール!」
アリアは光の精霊ルフィーネを召喚し、全員の体力を回復する。
光の精霊が発動する回復魔法は、今のアリア達を全快させるには十分であった。
「ワタシノダメージヲムニシタダト!?」
イレイザーは、自身が与えたダメージが無意味になった事に驚くも、
すぐに体勢を整え直し死霊を使役する。
「そんなもの、効かないよ! 双刃突穿撃!」
ナイアックは死霊の攻撃をかわし、
剣でイレイザーを突いた後、レイピアでイレイザーの胸を刺した。
「ぐあぁぁぁぁぁぁ!」
攻撃は両方ともイレイザーの急所に当たり、イレイザーの体力が残り僅かになった。
アリアはとどめを刺すために、魔力を溜める詠唱をする。
「今だ、アリア!」
「はい! ……狂戦士イレイザーよ、この世から跡形もなく消えなさい。
ル・ル・ル・ルフィーナレイ!」
「グアアアアアアアアアアアア!!」
そして、アリアが呪文詠唱と共に杖を振り下ろすと、眩い光の柱がイレイザーを包み込んだ。
イレイザーは死霊に完全に飲み込まれており、最早完全に死霊そのものと化していた。
そのため、浄化の力には耐える事ができなかった。
「カインヨ……ワタシヲタオシタクライデ……イイキニナルナヨォォォォォォォ!!」
そして、イレイザーがそう言い残すと、光の柱と共にこの世から完全に消え去った。
「よし、後は雑魚死霊だけだな」
イレイザーが消えた以上、残っている死霊は雑魚同然であり、アリア達の敵ではなかった。
「……これで、カタストロファーセブンは」
「あと二人……」
残るカタストロファーセブンは、クラッシャーとスレイヤーのみ。
不思議と、厚い雲も晴れてきたような気がした。
「帰りましょうか」
「そうだな」
「……うっ!」
アリア達が帰ろうとしたその時、ナイアックが頭を押さえた。
「……ナイアック……!?」
「……」
ナイアックの様子がおかしくなったため、アリアは彼の顔色を覗き込んだ。
すると、ナイアックがぽつりと口を開いた。
「……僕は……いや、私は、ナイアックではなく、カインだ……」
~次回予告~
謎の少年・ナイアックの正体は、カインだった。
人類最強の剣士である彼に、アリア達は驚きを隠せなかった。
そして、プリンプタウンとパラレルワールドが繋がり、
アリア達はいよいよ、プリンプタウンに戻ろうとする……。