魔導物語 Seven Catastrophe   作:アヤ・ノア

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~前回までのあらすじ~

レイリーとジルヴァと合流したアリアとナイアックは、
カタストロファーセブンを倒すため、アルカ遺跡に入る。
魔物が凶暴化している中、アリア達は知恵を生かして遺跡を冒険する。
そして遺跡の最奥で、四人はイレイザーと遭遇するのだった。


26「狂戦士イレイザー」

「はぁぁぁぁぁぁっ!」

 イレイザーは死霊を呼び出し、自分の体に憑依させる。

 彼の周りを不穏なオーラが覆い、アリア達は口を押さえる。

「ひぃぃぃぃぃぃ!」

 お化けが苦手なレイリーはアリアの背後に隠れる。

「お、お、お化けなのだ!」

「その娘は死霊が苦手なのか……ならば」

「うあぁぁぁぁぁぁ!」

 イレイザーは追い打ちをかけるようにレイリーに死霊をけしかける。

 レイリーは当然、避けられずに精神ダメージを受ける。

「な、なんて卑怯な……! レイリー、私が勇気を与えてあげますよ!

 炎の精霊よ、彼の者に勇気を! フェーゴブレイブ!」

 アリアは炎の精霊フェーゴを召喚し、レイリーに勇気を与えた。

 レイリーの青くなった顔が元に戻った。

「ふ、ふぅ……助かったのだ」

「ちっ、気を取り戻したか」

「今度はお化けに怯えないのだ! ジゴロ、ク・クリケット!」

 レイリーは魔法で自身の身体能力を上げた後、剣舞により、舞うように死霊達を攻撃した。

 彼女の小剣は魔法で強化されているため、

 物理攻撃が通らない死霊にも問題なくダメージが通った。

「ふん……ならばこれでどうだ。ファントムアタック!」

「そ、そうはいかないのだ!」

 イレイザーは死霊をレイリーに向けて飛ばした。

 死霊とは思えないほど素早かったが、レイリーは素早く飛び上がって攻撃を回避する。

 しかし、アリアの魔法で恐怖を克服したとはいえ、本能的な部分は治せず、少し体勢を崩す。

「や、やっぱりお化けは苦手なのだ……」

「レイリー、この戦いはすぐに終わらせる」

 ジルヴァは怯えるレイリーを優しく宥めた。

 彼女のためにも、イレイザーは片付けなければならない。

「双破連斬!」

 ナイアックはイレイザーに突っ込んで剣を振り、素早く左腕を動かしレイピアで急所を突く。

 死霊がナイアックに手を伸ばしたが、彼はそれを回避して反撃で斬撃を叩き込んだ。

「水の精霊よ……ミスティウェーブ!」

 アリアは水の精霊ミスティを召喚し、

 イレイザーとレイリーが倒し損ねた死霊をまとめて薙ぎ払う。

「ホーリーアロー!」

 ジルヴァは弓を引き絞り、聖なる矢を放ってイレイザーを刺した。

 彼には死霊が憑依しているので、聖属性の攻撃が有効だと考えた。

「うあぁぁぁぁぁぁぁぁ!」

 イレイザーは死霊ごと大ダメージを受け、苦しむ。

 さらに、憑依した死霊が身体を蝕み、イレイザーの体力が減少した。

「わぁっ!」

「マ・ギ・ド・スカト!」

 弓を持った死霊はイレイザーの敵と言わんばかりにレイリーを矢で射る。

 ジルヴァはレイリーに光の盾を張って矢を防ぐ。

 

「グググ……ナゼダ、ナゼタオレン」

 気迫を失わないジルヴァ達を睨むイレイザー。

 死霊をたくさん使役しているのに、諦めない事がイレイザーには理解できなかった。

 それに対し、アリアは真剣な表情でこう言った。

「これは、私達には負けられない戦いなのです。

 あなたが世界を破壊するのならば、私達は世界を再生しましょう!」

「ラ・オシ・ド・スカト!」

 ジルヴァは身体能力を強化する魔法をナイアックにかける。

「こんな雑魚なんか、わたしがやっつけちゃうのだ! アイソレーション!」

 レイリーは弓を持った死霊を舞うように切り裂く。

「行くぞ! 剛・魔神剣!」

 ナイアックは大きな衝撃波を飛ばし、相手の攻撃範囲外から安全に攻撃した。

「グ、グヌゥゥゥゥ……」

「諦めるんだな、イレイザー」

「オノレ! キサマハコウシテヤル! ファントムアタック!!」

 挑発するジルヴァを見たイレイザーは、身体を震わせて大量の死霊を飛ばした。

 ジルヴァもこれはかわせる……と思ったが、死霊の不規則な動きを見極められずに命中する。

「ぐああぁぁぁぁぁぁぁぁ!」

「サッキマデノイキオイハドウシタ!」

 肉体的ダメージよりも精神的ダメージの方が大きかったらしく、

 ジルヴァはレイリー同様にふらふらしながら立ち上がった。

 イレイザーはこうして、精神が限界に達するまで攻撃していくらしい。

 魔法を使っても精神力を少し消費するため、アリア達は徐々に追い詰められていた。

「精神力をさらに消耗しますが……。倒れるよりはマシです。ルフィーネヒール!」

 アリアは光の精霊ルフィーネを召喚し、全員の体力を回復する。

 光の精霊が発動する回復魔法は、今のアリア達を全快させるには十分であった。

「ワタシノダメージヲムニシタダト!?」

 イレイザーは、自身が与えたダメージが無意味になった事に驚くも、

 すぐに体勢を整え直し死霊を使役する。

「そんなもの、効かないよ! 双刃突穿撃!」

 ナイアックは死霊の攻撃をかわし、

 剣でイレイザーを突いた後、レイピアでイレイザーの胸を刺した。

「ぐあぁぁぁぁぁぁ!」

 攻撃は両方ともイレイザーの急所に当たり、イレイザーの体力が残り僅かになった。

 アリアはとどめを刺すために、魔力を溜める詠唱をする。

「今だ、アリア!」

「はい! ……狂戦士イレイザーよ、この世から跡形もなく消えなさい。

 ル・ル・ル・ルフィーナレイ!」

「グアアアアアアアアアアアア!!」

 そして、アリアが呪文詠唱と共に杖を振り下ろすと、眩い光の柱がイレイザーを包み込んだ。

 イレイザーは死霊に完全に飲み込まれており、最早完全に死霊そのものと化していた。

 そのため、浄化の力には耐える事ができなかった。

 

「カインヨ……ワタシヲタオシタクライデ……イイキニナルナヨォォォォォォォ!!」

 そして、イレイザーがそう言い残すと、光の柱と共にこの世から完全に消え去った。

 

「よし、後は雑魚死霊だけだな」

 イレイザーが消えた以上、残っている死霊は雑魚同然であり、アリア達の敵ではなかった。

 

「……これで、カタストロファーセブンは」

「あと二人……」

 残るカタストロファーセブンは、クラッシャーとスレイヤーのみ。

 不思議と、厚い雲も晴れてきたような気がした。

「帰りましょうか」

「そうだな」

「……うっ!」

 アリア達が帰ろうとしたその時、ナイアックが頭を押さえた。

「……ナイアック……!?」

「……」

 ナイアックの様子がおかしくなったため、アリアは彼の顔色を覗き込んだ。

 すると、ナイアックがぽつりと口を開いた。

「……僕は……いや、私は、ナイアックではなく、カインだ……」




~次回予告~

謎の少年・ナイアックの正体は、カインだった。
人類最強の剣士である彼に、アリア達は驚きを隠せなかった。
そして、プリンプタウンとパラレルワールドが繋がり、
アリア達はいよいよ、プリンプタウンに戻ろうとする……。
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