魔導物語 Seven Catastrophe 作:アヤ・ノア
アルカ遺跡でレイリーとジルヴァと再会したアリアは、
カタストロファーセブンを倒すべく、遺跡を探索する。
ナイアックの活躍もあって苦戦せずに進み、ついにイレイザーと出会う。
アリア達はイレイザーを撃破するが、ナイアックの正体が明かされる。
彼の正体は、なんと、人類最強の戦士カインだった。
「カイン……!? あなたは……ナイアックじゃ、なかったんですか……!?」
アリアが青ざめながらそう言った途端、ナイアックの身体が突然光り出した。
あまりの眩しさにアリア、レイリー、ジルヴァは目を覆う。
そして、光が消えると、目の前に鎧を着た大柄な双剣士が現れた。
「……そうだ。私が人類最強の剣士、カインだ」
そう、ナイアックの正体は、ソードマスター・カインだったのだ。
「あなたが……ソードマスターなんですか?」
「いかにも。セイバーは私の娘だ。……そして」
「そして?」
「ありがとう」
カインは屈むと、アリアの頭を撫でた。
「え……どうして……? 私、あなた達に感謝される覚えなんて……」
「私がナイアックに姿を変えていた時、人々は皆、私を疑っていただろう。
しかし、君達は私を疑っていなかった。それが、嬉しかったんだ」
「じゃあ、なんで偽名を使って姿まで変えていたんですか?」
「万が一娘と出会った時、私との関係がばれないようにだ」
カインの言う通り彼とセイバーは親子関係にある。
もしも出会ってしまったらセイバーは勇者の宿命に押され、しょげてしまうと思ったからだ。
幸い、今はセイバーとカインは別の世界にいるため、ここで変身を解いても平気なようだ。
「……今、忙しいところ申し訳ないのですが」
「なんだ?」
「私はアルルさん達が少し心配なんです」
アルル、アミティ、りんご、アリアはカタストロファーセブンのせいでバラバラになっている。
アリアは、それについて心配しているのだ。
「皆さんがカタストロファーセブンの力によって別々の世界に飛ばされてしまっているんです。
皆さんを集める方法はありませんか?」
「安心しろ。そのためにこれを持って来てある」
そう言ってカインが取り出したのは、キラキラと光る小さな石だった。
「これは?」
「次元を移動できる魔石『次元石』だ。これさえあれば、周辺の世界を自由に行き来できるぞ」
「本当か!? ちょっと貸してくれ!」
ジルヴァがカインの持っている次元石を取って掲げる。
しかし、次元石が僅かに太陽光に当たって光っただけで、何も起こらなかった。
「何も起こらないぞ! 不良品か!?」
「持っていく途中でカタストロファーセブンに襲われて魔力を奪われてしまってな。
彼らを倒して魔力を取り戻すしかない」
「はぁ……。私達には、戦うしか道はないのですね……」
やはり、カタストロファーセブンを全滅させるという目的は変わらなかったようだ。
アリアは落胆し、渋々戦いの準備をしようとした。
「はーい! ユウちゃんでーす!」
「レイくんでーす……」
その時、アリア達の前に、ユウちゃんとレイくんが現れた。
「ふ、二人とも! どうしたんですか?」
「聞いて聞いて、幽霊達からいい情報が入ったんだ」
「本当か!?」
どうやら、ユウちゃんとレイくんは幽霊ネットワークを通じて情報を収集したらしい。
ジルヴァは食いつこうとしたが、ユウちゃんは「ちっちっち」と指を振る。
「まぁまぁ、慌てない慌てない。『泡出ないシャンプーは役立たず』ってねぇ!」
「……」
「や、やめるのだジルヴァ!」
意外に短気なジルヴァは、懐から弓矢を取り出そうとした。
レイリーがジルヴァを制止した後、彼女は落ち着いて二人に話しかける。
「二人とも、すまないのだ。ジルヴァは短気なのが玉に瑕だからなのだ。
だから、もう少し落ち着いてから話すのだ」
「はーい!」
「はーい……」
ジルヴァが落ち着きを取り戻した後、ユウちゃんとレイくんは幽霊ネットワークを開く。
「というわけで【朗報】プリンプタウンとパラレルワールドが繋がりました!」
「どんどんどん!」
「ぱふぱふぱふ~」
「な、な、なんなのだ?」
パラレルワールドという言葉を聞いて、レイリーは首を傾げた。
「あ~、パラレルワールドっていうのは、似てるけど違うような世界の事です!」
「事で~す」
「そこにはなんと! アミティが飛ばされた、とパラレルワールドのアタシから聞きました!」
「!」
アリアは驚くと同時に期待感を抱いた。
アミティがパラレルワールドに飛ばされているという事は、
世界が繋がった今、再会できる可能性があるからだ。
「で~も~、あくまで繋がっただけで、そこに行くためのゲートはまだ開いてません!」
「開いてません」
「そう、なのだ……」
レイリーは残念そうに肩を落とした。
レイくんは彼女を慰めるためにそっと近づくが、レイリーは叫び声を上げて後ろに下がった。
「だ、だからわたしは幽霊が苦手だと何度言ったら分かるのだ!」
「ごめんね」
「ただ、幽霊達の情報によれば、ゲートの根源は隣町の魔導学校にあるそうで」
どうやら、隣町であるコメートに行けば、
プリンプタウンとパラレルワールドを繋げるゲートを開く事ができるらしい。
だが、そこに行くには広大なピット砂丘を越えなければならない。
「移動魔法が使えればいいのですが」
「私なら使えるが」
そう言って、立候補したのはカインだった。
「カイン?」
「確かに砂漠は歩きにくいが、フロートという魔法をかければ、地面に浮いて歩きやすくなる」
「本当ですか!? ありがとうございます!」
カインが助けてくれる事に喜ぶアリア。
「まぁ、魔法はこれくらいしか嗜んでないがな」
「それでも、歩きやすくなるだけで助かります」
長丁場が予想されるため、
回復アイテムは多めに用意しておいた方がいいと思ったアリアは、
おしゃれなお店で薬草などの回復アイテムをいくつか買った。
そして、アリア達はコメートに行く準備をした。
「コメートに行けば、アミティ達に会えるのだ。そして、必ず世界を救ってみせるのだ!」
「「「「おーーーーー!!」」」」
「お待ちなさい……!」
「ん?」
コメートに行こうとしたアリア達の背後から声が聞こえてくる。
振り向くと、そこにはラフィーナ、シグ、クルーク、リデル、タルタル、
そして担任のアコール先生、ルゥ先生が立っていた。
「プリンプ魔導学校の皆さんじゃないですか!」
「皆さん、世界を救うために必死なんですって?」
「はい……でも、どうして皆さんが私達のところに来たんですか?」
「あの黒い奴から情報を聞いたんだよ」
どうやら、ラフィーナ達はエコロから情報を貰って、ここに来たらしい。
「わたし達は何もできませんが、皆さんを待つ事だけはできます」
「オイは一生懸命におまえを応援するんだなぁ~」
「アミティさんがいなくて寂しいですが、貴方達の存在が、私達を元気づけます」
「必ず世界を、みんなを、守ってほしい」
「がんばれー」
ラフィーナ達は、四人の勇者を応援した。
彼らがついていっても、足手まといになるだけだ。
世界を救うのは勇者達に任せ、自身は彼らの帰りを待つ。
それもまた、ラフィーナ達の役目なのだ。
「それでは、行ってきます」
こうして、四人の勇者は、アミティと再会するために旅立った。
~次回予告~
アミティと再会するために、
アリア達はいよいよパラレルワールドのプリンプタウンに行った。
飛ばされた彼女は、隣町・コメートにいる。
ピット砂丘を抜ければ、ついにアミティと再会できるのだ……。