魔導物語 Seven Catastrophe   作:アヤ・ノア

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~前回までのあらすじ~

ナイアックの正体を知ったアリア、レイリー、ジルヴァ。
だが、その正体を知っても、三人は一人の人間として接した。
そして、ついにプリンプタウンとパラレルワールドが繋がった。
三人の目的地は隣町・コメート。
果たして、アミティ達に再会できるのだろうか。


28「再会のはずが」

 アリア、レイリー、ジルヴァ、カインは、アミティと再会するために隣町を目指していた。

 そのためには、非常に広大なピット砂丘を乗り越えなければならない。

「砂嵐が強いですね……。こうすれば平気だと思いますが……」

 アリアは、砂嵐を防ぐために、地の精霊グランを召喚して一行の目を膜で覆った。

「おお、痛くないのだ」

「まるでゴーグルのようだな」

「さらに楽に進める」

 四人が歩いていくと、ビッグスコーピオやサンドワーム、

 ブラックドッグなどの魔物の群れが現れた。

 アリア達は戦闘態勢を取って魔物を迎え撃つ。

「フレズノ!」

「ダブルスラッシュ!」

 レイリーが小剣を振ってビッグスコーピオに飛ばし牽制した後、

 カインは剣でビッグスコーピオを斬りつけてレイピアで甲羅の薄い部分を突く。

「水よ、ミスティレイン!」

「ふっ!」

 アリアが召喚した水の精霊ミスティが雨を降らせ、サンドワームを飲み込んで溺死させる。

 ジルヴァは矢に魔力を付与し、サンドワームを撃ち抜いた。

「うぐぅっ!」

 ビッグスコーピオが尻尾をジルヴァに刺す。

 ジルヴァは防御しようとしたが防御しきれず、ダメージを受け、顔が青ざめる。

「ぐ……毒、か……!」

「ジルヴァさん!」

「心配いらん……すぐにな……」

 ジルヴァが解毒魔法を唱えようとすると、ブラックドッグが炎のブレスを吐いてきた。

 彼はそれを避けるため呪文を中断する羽目になる。

「魔物は私達が食い止めます、ジルヴァさんは下がってください!」

「……ああ」

「エアトルネード!」

 アリアはジルヴァを下がらせた後、エアを召喚し広範囲に竜巻を起こす。

 魔物に攻撃の隙も与えずに薙ぎ倒す姿に、カインは少し感心した。

「君は、本当に優秀な魔導師なんだな」

「いえ、私は召喚士です。炎の精霊よ、彼の者に力を与えたまえ! フレイムパワー!」

 アリアは自身が魔導師ではない事をカインに告げた後、

 炎の精霊フェーゴを召喚してレイリーの攻撃力を高める。

「助かるのだ! バタフライ!」

 強くなったレイリーは小剣で舞うようにブラックドッグを斬りつける。

「私も援護します、ミスティレイン!」

 アリアは弱ったブラックドッグを弱点の水魔法により一撃で倒す。

 ブラックドッグがいなくなったのを確認したジルヴァは、アンチドートで自身の毒を解除する。

 そして、弓を構えて残りのサンドワームを撃ち、ピット砂丘にいた魔物は全滅した。

 

「ピット砂丘に、こんなに魔物がいるなんて……」

 本来はただ広いだけのピット砂丘に、たくさんの魔物がいる。

 カタストロファーセブンによる異変は、どの場所でも逃れられない事が分かった。

「……カタストロファーセブンめ。絶対に許さない……」

 カインは拳を握りしめ、歯を食いしばる。

 勇者の父親だけあって、カタストロファーセブンを強く憎んでいる。

「ええ、それは私も同じ気持ちです」

「わたしも、アリアに賛同するのだ」

「……平穏な暮らしを邪魔する者は、誰であっても容赦はしない」

 アリア、レイリー、ジルヴァも、カインと同じ気持ちを抱いている。

 それは、彼らもまた勇者の一員である事の証明だ。

「行きましょう。立ち止まってなどいられません」

「アリア。俺は最後まで、お前についていこう」

「ジルヴァ、『達』を忘れているのだ。わたし達はみんな、仲間なのだ」

「そうだな。一人だけでは、この異変は絶対に解決できないからな」

 

 こうして、四人は魔物に遭遇し、何度か野宿を繰り返しながら無事にコメートに辿り着いた。

「久しぶりにコメートに着きましたね」

「やっぱり、広いし、建物が大きいのだ……」

「シュルッツ以上に都会と言える場所だな」

「ここが、プリンプタウンの隣町、コメートか……」

 コメートは、プリンプタウンやシュルッツと比べてかなり近代的な町である。

 魔導で動く機械もいくつかあり、文明の発達度もかなりある。

 ふと、アリアは中央にある大きな建物を見た。

 あれが、コメート魔導学校だろう。

 

「こことゲートが繋がって、アミティさんがいるのですね」

「早く行くのだ!」

「待ちなさい、レイリーさん!」

「え?」

 レイリーがコメート魔導学校に行こうとした時、正気を失った人々の群れが襲ってきた。

 腐臭も漂っており、ゾンビである事は誰が見ても明らかだった。

「何故こんなにゾンビが……」

「不死者に良心を見せるのは白魔導師ではない。仕留めるぞ、セイントアロー!」

 ジルヴァは矢に聖なる力を纏わせ、ゾンビの群れに向かって放つ。

 聖なる矢が全てのゾンビに命中し、そのままゾンビは塵となって消えた。

「こっちだ、急げ!」

「はい!」

「ゾンビの群れを相手にしている暇はないからな」

 

 ジルヴァの導きによって、アリア達はコメート魔導学校に辿り着いた。

 しかし、アミティの姿はどこにもなかった。

「あれ……? アミティさんは……?」

「残念ながら、戦える状態じゃな・い・わ」

 すると、長い紫の髪にリボンをつけた、ゴスロリ服を着ている小柄な少女が現れた。

 彼女の名はフェーリ、コメート魔導学校の生徒だ。

「フェーリさん」

「レムレス先輩がいない間、アタシは魔導守護隊と一緒にここを守っていたんだけど、

 アミティが『あたしも戦う』と聞かなくて……」

「魔導守護隊?」

「その名の通り、防御術に優れた魔法部隊よ。

 彼らがいるおかげで、このコメートは魔物が寄り付かないのよ。

 なのに、これだけ魔物がいるという事は、それだけ魔物の数が多かったって事よ……」

 魔導守護隊の力でも、魔物の群れを阻止する事はできなかった。

 フェーリは、その事実に落胆した。

 

「……そういえば、アミティの様子はどうなのだ?」

「アミティは保健室にいるわ」

 

 アリア達はフェーリに保健室に案内してもらった。

 すると、そこには羽のついた帽子を被った桃色の髪の女性と苦しそうな様子のアミティがいた。

「うーーー、がーーー、うーーー」

「……アミティさん……」

「アミティは今、ゾンビ化の症状を自分の意志で抑えているわ。

 でも……そう長くはもたないみたい」

「彼女は?」

「あら、名前を名乗るのを忘れていたわ。私は魔導守護隊の戦士、リレシルよ。

 ここにあるシャッテン霊廟から出た呪いで町の人達がみんなゾンビになっちゃったのよ。

 それで、アミティって子がゾンビに噛まれちゃって……」

 リレシルと名乗った女性は、現在の事情をアリア達に話した。

 ゾンビに噛まれ、死んだ者はゾンビになるというのは、アリアには既知の事だったが、

 まさかアミティが犠牲になるとは思えなかった。

「でも、呪いだとするなら、発生源を断ち切れば元に戻るだろうな」

「だったら、シャッテン霊廟に急ぐのだ! みんな、一緒に来てくれるのだ?」

 レイリーがフェーリとリレシルを誘うが、フェーリは首を横に振った。

「アタシはアミティを看病するために残るわ」

「そっか、残念なのだ……。じゃあリレシル、一緒についてきてくれるのだ?」

「ええ」

 リレシルは、防御術に優れている。

 派手な容姿ながらもその実力は侮れないのだ。

 

「それじゃ、よ・ろ・し・く・ね」

「はい!」

 アリア、レイリー、ジルヴァ、カイン、リレシルは保健室を後にし、

 アミティを助けるためにシャッテン霊廟に向かうのだった。




~次回予告~

アリア達は魔導守護隊の一人、リレシルと共に、
アミティにかかった呪いを解くためシャッテン霊廟に向かった。
アンデッドが無数にいるダンジョン、そこは恐怖の地だった。
しかし、アリア達はアミティを助けるためにも、諦めるわけにはいかなかった。
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