魔導物語 Seven Catastrophe 作:アヤ・ノア
ブレイカーがプリンプタウンに襲い掛かり、アルルは元の世界に戻ってしまった。
帰れたのはよかったが、アミティ、りんご、アリアとはぐれてしまう。
そして、アルルが元の世界で出会ったのは、少女剣士だった。
「……う、う~ん……。ここは、どこ……?」
アルルが目覚めると、彼女は塔の中にいた。
きょろきょろと辺りを見渡すと、カーバンクルがいない事に気づいた。
「カ、カーくん!? カーくんはどこ!? ねぇ、カーくん!!」
長年の相棒がいなくなった事により、アルルは一気にパニック状態になった。
そして、アルルが塔から出ようとすると、どこかから声が聞こえてきた。
「アルル、こんなところにいたんだね」
それは、自分を知っている少女の声だった。
アルルはますますパニックが治まらなくなり、何もできずに蹲ってしまう。
そして、少女の足音がどんどん近付いていく。
もう駄目だ、自分はここで殺されるんだ……アルルがそう確信した、その時だった。
「カーバンクルは、ここにいるよ」
その少女は、優しい顔でそっとカーバンクルをアルルのところに下ろした。
「ぐーーーーーー!」
「カーくん! 無事でよかったよ!」
相棒との再会に喜ぶアルル。
しかし、その喜びはすぐに一つの疑問に掻き消される。
「……でも、どうしてキミは、ボクの事を知ってるの?」
アルルは、カーバンクルを抱えていた少女の顔を見る。
すると、少女は当然であるかのようにこう言った。
「アルル、私達は親友でしょ? 覚えてないの?」
「ごめん、キミの事……ボクは知らないんだ」
「ええっ!? 嘘でしょ!?」
少女はアルルが自分を覚えていない事に驚いた。
「覚えてないの? 私だよ、トライブレードのセイバーだよ!」
「セイバーって……誰?」
「ま、まさか君、記憶喪失!?」
「ボクは元からキミの事を知らないってば! トライブレードって何? セイバーって誰?」
「え、えええええええ!?」
今度は逆にパニック状態になるセイバー。
しかし、親友にこんなかっこ悪いところを見せたくないと、
深呼吸をした後、落ち着いてアルルを見る。
「……ふぅ。やっぱり、君は私が知ってる『アルル・ナジャ』じゃないんだね」
「キミがそう言うんなら、そうだよ」
セイバーは、目の前にいるアルルが『アルル・ナジャ』ではない事を改めて確認した。
「……それにしても、ここはどこなの? 見たところ、未完の塔みたいだけど……」
「未完の塔? 違うよ、ここはサタンが二度目のぷよ地獄を開いた塔だよ」
「え……? じゃあ、もしかして……ボク、本当に元の世界に帰ってきちゃったの……!?」
そういえば、意識を失う直前に、ブレイカーが言っていた。
「お前を元の世界に返してやろう」と。
そしてブレイカーはそれを実行し、アルルを魔導世界に飛ばしてしまったのか。
アルルはショックのあまり、茫然自失としていた。
「ぐーぐー、ぐーぐぐーぐー」
「アルル、そんな目に遭ったんだね」
「……カーくん、セイバー……」
そんな彼女を、カーバンクルとセイバーが慰める。
「でも、安心して。私が一緒にいるから。絶対に、この異変を解決するよ」
「ぐーぐぐっ、ぐっぐぐーぐ。ぐぐぐ、ぐーぐ、ぐーぐぐー」
「……ありがとう……」
最愛の相棒と『親友』の少女剣士に、アルルはゆったりと身を委ねた。
「……例え君が別の存在だったとしても、君は私の知っているアルルだよ」
「……さて、少し落ち着いたかな? そろそろ、この塔を出よう」
「うん」
落ち着きを取り戻したアルルは、カーバンクル、セイバーと共に塔を出た。
外は一面緑が広がっており、一見すると平和なように思えた。
だが……。
「ギィィィィ!」
「キィィィィ!」
異変の影響で、魔物が凶悪になっていた。
普段は矮小なゴブリンも力が強く、より強靭な肉体になっている。
「うわぁ、なんでゴブリンがこんなにいるの?」
「ぐぐぐー」
「あいつらのせいだろうね……。これも世界のためだ、斬らせてもらうよ!」
「うん!」
「キィー!」
「うわっ!」
セイバーが剣を構え、アルルと共に戦闘態勢を取った瞬間、
ゴブリンがアルルに襲い掛かってきた。
「アルル!」
「平気だよ、これくらい……いたたっ」
アルルの傷を見たセイバーが剣を握る手を強める。
「せいやっ! つ……固い!」
セイバーの剣はゴブリンの固さに阻まれた。
「剣がダメならこれで! ファイヤー!」
アルルは炎を放ってゴブリンを焼き払う。
しかし、ゴブリンはそれを受けてもけろっとしていた。
「全然効いてない!?」
「タフで強くなったんだよ。だから、威力の高い攻撃を当てていかなきゃね!」
「これならどうかな? ファイヤーアロー!」
アルルは炎の矢を放ってゴブリンを攻撃した。
ゴブリンを倒すまでには至らなかったが、かなりのダメージを与える事ができた。
「強甲破点突き!」
セイバーは敵の武装を狙って、気を纏った剣で突いた。
すると、ゴブリンの武装が破壊され、ゴブリンが怯んだ。
「よし、今だ! アイスストーム!」
そこに、アルルの吹雪が入り、ゴブリンの群れが凍り付く。
「不動無明剣!!」
そして、セイバーが剣を振ると衝撃波が飛び、ゴブリンの群れを一撃で倒した。
これにより、アルル達を襲った魔物は全滅するのだった。
「……みんな、どこに行っちゃったんだろう」
「誰の事?」
「アミティ、りんご、アリアの事だよ。
未完の塔に行って、試練を受けようとしたら、
ブレイカーに邪魔されてバラバラになっちゃって……」
「ふーん。よく分からないけど、それも君の友達?」
「うん、異世界のね」
アルルは、セイバーにアミティ、りんご、アリアの事について話した。
「なーるほどね。この世界のアルルは、別の世界の人とも仲が良いのか」
「だから『この世界の』ってのはやめてよ……」
「ごめんごめん。じゃあ、元の世界……いや、君にとっての異世界に帰るために、私も戦うよ!」
「ありがとう、セイバー……」
第二の故郷へ帰るために、アルルは少女剣士・セイバーと行動を共にした。
~次回予告~
アミティが飛ばされた世界は、プリンプタウンだった。
しかし、そのプリンプタウンは、元の世界とどこか違っていた。
困惑するアミティの前に現れたのは、剣士だった。