魔導物語 Seven Catastrophe   作:アヤ・ノア

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~前回までのあらすじ~

ブレイカーがプリンプタウンに襲い掛かり、アルルは元の世界に戻ってしまった。
帰れたのはよかったが、アミティ、りんご、アリアとはぐれてしまう。
そして、アルルが元の世界で出会ったのは、少女剣士だった。


02「懐かしき故郷」

「……う、う~ん……。ここは、どこ……?」

 アルルが目覚めると、彼女は塔の中にいた。

 きょろきょろと辺りを見渡すと、カーバンクルがいない事に気づいた。

「カ、カーくん!? カーくんはどこ!? ねぇ、カーくん!!」

 長年の相棒がいなくなった事により、アルルは一気にパニック状態になった。

 そして、アルルが塔から出ようとすると、どこかから声が聞こえてきた。

「アルル、こんなところにいたんだね」

 それは、自分を知っている少女の声だった。

 アルルはますますパニックが治まらなくなり、何もできずに蹲ってしまう。

 そして、少女の足音がどんどん近付いていく。

 もう駄目だ、自分はここで殺されるんだ……アルルがそう確信した、その時だった。

 

「カーバンクルは、ここにいるよ」

 その少女は、優しい顔でそっとカーバンクルをアルルのところに下ろした。

「ぐーーーーーー!」

「カーくん! 無事でよかったよ!」

 相棒との再会に喜ぶアルル。

 しかし、その喜びはすぐに一つの疑問に掻き消される。

「……でも、どうしてキミは、ボクの事を知ってるの?」

 アルルは、カーバンクルを抱えていた少女の顔を見る。

 すると、少女は当然であるかのようにこう言った。

「アルル、私達は親友でしょ? 覚えてないの?」

「ごめん、キミの事……ボクは知らないんだ」

「ええっ!? 嘘でしょ!?」

 少女はアルルが自分を覚えていない事に驚いた。

「覚えてないの? 私だよ、トライブレードのセイバーだよ!」

「セイバーって……誰?」

「ま、まさか君、記憶喪失!?」

「ボクは元からキミの事を知らないってば! トライブレードって何? セイバーって誰?」

「え、えええええええ!?」

 今度は逆にパニック状態になるセイバー。

 しかし、親友にこんなかっこ悪いところを見せたくないと、

 深呼吸をした後、落ち着いてアルルを見る。

「……ふぅ。やっぱり、君は私が知ってる『アルル・ナジャ』じゃないんだね」

「キミがそう言うんなら、そうだよ」

 セイバーは、目の前にいるアルルが『アルル・ナジャ』ではない事を改めて確認した。

「……それにしても、ここはどこなの? 見たところ、未完の塔みたいだけど……」

「未完の塔? 違うよ、ここはサタンが二度目のぷよ地獄を開いた塔だよ」

「え……? じゃあ、もしかして……ボク、本当に元の世界に帰ってきちゃったの……!?」

 そういえば、意識を失う直前に、ブレイカーが言っていた。

 「お前を元の世界に返してやろう」と。

 そしてブレイカーはそれを実行し、アルルを魔導世界に飛ばしてしまったのか。

 アルルはショックのあまり、茫然自失としていた。

「ぐーぐー、ぐーぐぐーぐー」

「アルル、そんな目に遭ったんだね」

「……カーくん、セイバー……」

 そんな彼女を、カーバンクルとセイバーが慰める。

「でも、安心して。私が一緒にいるから。絶対に、この異変を解決するよ」

「ぐーぐぐっ、ぐっぐぐーぐ。ぐぐぐ、ぐーぐ、ぐーぐぐー」

「……ありがとう……」

 最愛の相棒と『親友』の少女剣士に、アルルはゆったりと身を委ねた。

 

「……例え君が別の存在だったとしても、君は私の知っているアルルだよ」

 

「……さて、少し落ち着いたかな? そろそろ、この塔を出よう」

「うん」

 落ち着きを取り戻したアルルは、カーバンクル、セイバーと共に塔を出た。

 外は一面緑が広がっており、一見すると平和なように思えた。

 だが……。

 

「ギィィィィ!」

「キィィィィ!」

 異変の影響で、魔物が凶悪になっていた。

 普段は矮小なゴブリンも力が強く、より強靭な肉体になっている。

「うわぁ、なんでゴブリンがこんなにいるの?」

「ぐぐぐー」

「あいつらのせいだろうね……。これも世界のためだ、斬らせてもらうよ!」

「うん!」

「キィー!」

「うわっ!」

 セイバーが剣を構え、アルルと共に戦闘態勢を取った瞬間、

 ゴブリンがアルルに襲い掛かってきた。

「アルル!」

「平気だよ、これくらい……いたたっ」

 アルルの傷を見たセイバーが剣を握る手を強める。

「せいやっ! つ……固い!」

 セイバーの剣はゴブリンの固さに阻まれた。

「剣がダメならこれで! ファイヤー!」

 アルルは炎を放ってゴブリンを焼き払う。

 しかし、ゴブリンはそれを受けてもけろっとしていた。

「全然効いてない!?」

「タフで強くなったんだよ。だから、威力の高い攻撃を当てていかなきゃね!」

「これならどうかな? ファイヤーアロー!」

 アルルは炎の矢を放ってゴブリンを攻撃した。

 ゴブリンを倒すまでには至らなかったが、かなりのダメージを与える事ができた。

「強甲破点突き!」

 セイバーは敵の武装を狙って、気を纏った剣で突いた。

 すると、ゴブリンの武装が破壊され、ゴブリンが怯んだ。

「よし、今だ! アイスストーム!」

 そこに、アルルの吹雪が入り、ゴブリンの群れが凍り付く。

「不動無明剣!!」

 そして、セイバーが剣を振ると衝撃波が飛び、ゴブリンの群れを一撃で倒した。

 これにより、アルル達を襲った魔物は全滅するのだった。

 

「……みんな、どこに行っちゃったんだろう」

「誰の事?」

「アミティ、りんご、アリアの事だよ。

 未完の塔に行って、試練を受けようとしたら、

 ブレイカーに邪魔されてバラバラになっちゃって……」

「ふーん。よく分からないけど、それも君の友達?」

「うん、異世界のね」

 アルルは、セイバーにアミティ、りんご、アリアの事について話した。

「なーるほどね。この世界のアルルは、別の世界の人とも仲が良いのか」

「だから『この世界の』ってのはやめてよ……」

「ごめんごめん。じゃあ、元の世界……いや、君にとっての異世界に帰るために、私も戦うよ!」

「ありがとう、セイバー……」

 

 第二の故郷へ帰るために、アルルは少女剣士・セイバーと行動を共にした。




~次回予告~

アミティが飛ばされた世界は、プリンプタウンだった。
しかし、そのプリンプタウンは、元の世界とどこか違っていた。
困惑するアミティの前に現れたのは、剣士だった。
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