魔導物語 Seven Catastrophe   作:アヤ・ノア

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~前回までのあらすじ~

ついにプリンプタウンに戻ってきたアリア、レイリー、ジルヴァ、カイン。
アミティと再会するはずだったが、アミティは呪いでゾンビになっていた。
リレシルによれば、呪いはシュッテン霊廟から現れているという。
アミティを助けるため、アリア達はシュッテン霊廟に向かうのであった。


29「呪われし霊廟」

 呪いを解いてアミティを助けるため、

 アリア、レイリー、ジルヴァ、カイン、リレシルはシャッテン霊廟に入った。

 アリアが入り口に足を踏み入れた瞬間、生暖かい風がアリアの頬を直撃した。

「う……」

「大丈夫か、アリア」

「はい、平気です。……やはり呪いというのは本当でしたか」

「呪い……やっぱり怖いのだ」

 屋内であるにも関わらず、生暖かい風が吹く。

 やはり、これも呪いのせいだと思うと、レイリーは少し震えた。

「もちろん、私は張本人を許すつもりなど微塵もありません。

 だから安心してください、レイリーさん」

「あ、ありがとう、なのだ、アリア」

 アリアに撫でられたレイリーは、顔を赤くした。

 

「分かれ道がありますね」

 左には休憩所らしき部屋が見え、右には大きな部屋がある。

「どっちから先に行くのだ?」

「右側でお願いします」

「分かったのだ」

 一行はレイリーを先頭にして、右の部屋に入った。

 部屋の壁にはいくつかの鎧が立てかけられている。

「鎧か……使えるものはあるかな?」

 カインが鎧を調べると、それは錆びていて防具としての価値はなかった。

 レイリーはそれ以外に何かないかを調べてみた。

「……うーん、何も見つからなかったのだ」

「あら、珍しい」

 シルヴァン族のレイリーの直感が珍しく働かなかったため、アリアは少し驚いた。

 レイリーは「こういうのもあるのだ」と言い、仲間と共に大きな部屋を後にした。

 

「次は、まだ調べていない左の部屋に行くぞ」

「はい」

 ジルヴァはそう言って、左の部屋に行った。

 部屋の隅には大きな暖炉があり、鎧などが置いてある。

 ここは、どうやら戦士達が眠る場所のようだ。

 ジルヴァが近寄ると、骸骨の戦士がむくりと起き上がった。

「……っ、敵か! 来るぞ!」

 ジルヴァは急いで弓を構え、

 アリア、レイリー、カイン、リレシルも彼に続いて戦闘態勢を取った。

 

「デミルーン!」

 レイリーは小剣をブーメランのように投げ、スケルトンを攻撃する。

 スケルトンは盾で攻撃を阻んだが、その隙にリレシルが衝撃波を放ってスケルトンを切り裂く。

「せいっ!」

 カインは双剣を振るったが、骨の身体に剣は届かなかった。

「くっ、やはり剣は効果がないか」

「ラ・ステラ・ド・オヴァ・マ・ギ!」

 ジルヴァは呪文を唱えて光を発生させ、スケルトンに大ダメージを与える。

 アンデッドに光属性の攻撃は効果的なのだ。

「パーヴォ・エスクド!」

 骸骨戦士は剣を振り回してジルヴァとカインを斬りつけるが、

 リレシルがそれを防御魔法で防ぐ。

「エアカッター!」

 アリアは風の精霊エアを召喚してスケルトンを攻撃した。

 しばらくすると、スケルトンの体力が回復していった。

「こいつ、再生能力まで!」

「これもやっぱり、呪いのせいでしょうね」

 スケルトンに再生能力がついている理由を、リレシルが推測する。

 呪いのせいであるならば、アンデッドが強くなっているのも納得がいく説明だ。

「だが、倒してしまえばそれまでだ! 疾風剣!」

「骨には打撃が効果的、なのだ! リーボック!」

 カインは双剣からは無数の風の刃を放ち、スケルトンの体力を大きく減らす。

 とどめにレイリーが飛び蹴りを繰り出し、スケルトンをバラバラにした。

「魔神剣!」

 カインは双剣から衝撃波を放ち、スケルトンを牽制する。

 2体のスケルトンはカインとジルヴァを長剣で斬りつけた。

「エスクド!」

 リレシルは魔法で盾を作り攻撃を防ぐが、それでも相手の攻撃は止まない。

「雑魚の癖に……これでも食らえ! ラ・ステラ・ド・オヴァ・マ・ギ!」

 これでジルヴァの闘志に火がついたのか、光の魔法でスケルトンに大ダメージを与える。

「バタフライ!」

「フェーゴボム!」

 レイリーは回転しながらスケルトンを小剣で切り裂き、

 アリアが放った炎が爆発してスケルトンは倒れた。

「やったか!?」

「フラグですよそれは」

 アリアが突っ込みを入れると同時に、スケルトンはバラバラの身体を繋ぎ合わせて復活した。

「しぶといな」

「それがアンデッドモンスターの特徴だ」

 そう言って、カインは双剣に風を纏わせ、一閃してスケルトンを一撃で倒した。

「ムーンウォーク!」

「セイントアロー!」

「ミスティレイン!」

 レイリーの連続斬り、ジルヴァの聖なる矢、

 そしてアリアの水の精霊が出した雨がスケルトンに命中し、敵は全滅した。

 

「敵は何を落としていったのかな」

 ジルヴァが落としたものを確認すると、ヒールストーンと万能薬が落ちていた。

 ヒールストーンは、使うと全員の体力を回復するもので、貴重な全体回復手段の1つだ。

「おお、ヒールストーンだ! ありがたくちょうだいしよう」

 カインはヒールストーンと万能薬を鞄に入れた。

 もうこの部屋には何も残っていなかったため、アリア達は左の部屋を後にした。

「次は、真っ直ぐ行った場所にある、一番大きな扉を開けましょうか」

「一番目立つところだし、何か隠されていそうだし、ね」

 五人は、早速大きな扉に近付いてみた。

 しかし、扉には鍵がかかっていた。

「鍵がかかっているな。こじ開けられるか?」

「やってみるのだ」

 レイリーは扉の開錠に挑戦してみたが、失敗した。

「う~ん、ダメなのだ」

「よし、俺がやる……いくぞ!」

 ジルヴァは体当たりで扉をこじ開けようとした。

 だが、それでも扉は開かなかった。

 一行はどうするべきなのかを考えていると、リレシルは何か閃いたようで扉の前に立つ。

 リレシルが取っ手に手をかざすと、やっぱり、と確信するかのように頷いた。

「これは……魔法の鍵がかかっているみたいね。道理で普通に開かないわけよ。

 アンロックの魔法で開けましょう。それ!」

 リレシルがアンロックの魔法を扉にかけると、ガチャリという音がした。

 そしてアリアが取っ手に手をかけると、その扉はあっさりと開いた。

「リレシルさんの言う通りでしたね」

「うふふ、どういたしまして」

 

 五人が玉座の間に入ると、ゾンビの少女がいた。

「ひっ!? ゾンビは怖いのだ~!」

 ゾンビを見たレイリーは、震えながらアリアに抱き着いた。

「だ、大丈夫ですか?」

「大丈夫じゃないのだ! わたしはアンデッドが苦手なのだ!」

「……だが、このゾンビに敵意はないぞ?」

 カインの言う通り、ゾンビの少女に敵意はなく、玉座の近くをじっと見つめている。

 本当かどうか確かめるためにレイリーがじっと待っていたが、

 ゾンビの少女が攻撃する事はなかった。

「あ、本当だったのだ」

「もしかしたら、俺達が進む道を示してくれているのかもな」

「……ありがとうございます。では、早速」

 ゾンビの少女の案内に従って、アリアは玉座を調べた。

 すると、なんと隠し通路を見つけた。

「やっぱり! このゾンビは、私達の味方でしたね。皆さん、隠し通路が見つかりましたよ!」

「おお、あ、ありがとう、なのだ」

「魔物は悪い者ばかりではないのね」

 レイリーは震えながらもアリアに感謝した。

 リレシルは良い魔物もいるんだな、と知った。

 

 ゾンビの少女に案内されてやってきたのは、無数の死霊と、

 それらを従えるようにして立っている黒い鎧の男と、彼らと戦っている魔導守護隊の姿だった。

「くっ……持ちこたえていろ、みんな!」

 隊長のアージスが隊員達に指示を出しながら自身も防御魔法で攻撃に耐えていたが、

 攻撃は激しくなり、バリアに罅が入っていた。

「ダークスラッシュ!」

「ぐああぁぁぁぁぁぁぁぁ!」

 そして、男の剣が一閃し、ついにアージスが張ったバリアが砕け散った。

「隊長!」

「アージスさん!」

「アージス!」

 テラ、フェーン、セリティが急いでアージスを助けようとするが死霊が彼女達の行く手を阻む。

「無駄だよ……このクラッシャー様の前に、おまえ達は皆、死ぬ運命なのさ」

 

「待ちなさい!」

「ターンアンデッド!」

 その時、アリア、レイリー、ジルヴァ、カイン、リレシルがクラッシャー達の前に入ってきた。

 ジルヴァが死霊に退魔魔法を使って全滅させ、テラ、フェーン、セリティの退路を作った。

「救援か!?」

 アージスが突然の救援にそちらを振り返る。

「こんなところにいたのね、みんな」

「ああ……。ん、リレシルじゃないか」

「うふ、久しぶりね♪」

 リレシルがウィンクしながらアージスに挨拶する。

 だが、悠長に話している暇などなかった。

「……やはり、魔導守護隊をこうした相手はカタストロファーセブンだったか」

 クラッシャーの姿を見たカインが目を光らせる。

「ああ、そうだよ勇者様! 俺はクラッシャー! この世界を終わらせるために来たのさ!」

 クラッシャーが勝ち誇ったように言う。

 魔導守護隊相手に一方的に戦ったため、かなり余裕そうな表情だ。

「……その慢心も、そこまでだ。と言ったら?」

 ジルヴァはクラッシャーに矢を射る態勢に入る。

「もちろん、力ずくでも殺すさ」

「……一応聞いておくけど、あなたがシャッテン霊廟に呪いをかけたの?」

「それがどうしたんだ?」

「本当?」

「……ふん、教えるわけないだろう」

 リレシルがクラッシャーに呪いについて問うが、クラッシャーは恍けた表情をしていた。

 彼女は諦めずにクラッシャーに質問するも、やはり答えは返ってこなかった。

「……倒すしかないようね」

 リレシルは戦闘態勢を取った。

「魔導守護隊のみんな! 戦ってほしいのだ!」

「わたしは疲れたから……無理」

「ふぇ~ん、ぼくもう魔法使えませ~ん」

「俺も、流石に連戦続きで無理だ」

「みんな魔力が切れてるから、このまま戦っても負けるだけにゃ」

「残念なのだ……。じゃあ、わたし達が代わりに戦うのだ」

 レイリーが魔導守護隊に一緒に戦うように言う。

 だが、皆魔法を使いすぎて魔力が切れているため、この状態では戦闘に参加できない。

 レイリーは仕方なく彼らを下がらせた後、小剣を抜いて彼らの前に立つ。

「女が三人もいるじゃないか。俺の敵じゃないな」

「……私達、強いですよ?」

「舐めたら困るのだ」

「私を侮った罰を受けてもらうわよ」

 アリア、レイリー、リレシルがにこりと笑う。

 だが、その目はクラッシャーに馬鹿にされたため、全く笑っていなかった。

「おまえら全員、切り殺す!!」

 そう言って、クラッシャーは魔力を使って大剣を生成した。

 カインも双剣を抜き、戦闘態勢を取った。




~次回予告~

シュッテン霊廟にいたのは、カタストロファーセブンの一人、クラッシャー。
死霊を操る攻撃に、アリア達は苦戦する。
だが、アミティのためにも、ここで勝つのがアリア達の目的だった。
果たして、狂戦士に勝つ事はできるのだろうか。
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