魔導物語 Seven Catastrophe 作:アヤ・ノア
スレイヤーはロマサガのワグナスを意識しています。
「果たしてこの私を倒す事ができるかな? ヒートバリア!」
スレイヤーは呪文を唱えて炎と雷に強くなった。
元々、魔法で結界を張っているため、意味のない事だとスレイヤーは思ったが、
遊ぶためにわざと使用したのだ。
「赤い結界は物理攻撃を弾くが魔法攻撃は吸収する。
青い結界は魔法攻撃を弾くが物理攻撃は吸収する」
「どこまでもボク達をバカにして……! ダイアキュート、サ・サンダー!」
アルルは増幅呪文を唱えた後、青い結界に向けて雷を落とした。
だが、青い結界は強く光ってアルルの魔法を弾き返した。
「その結界にその攻撃は通用せんよ」
「キィーッ! 許しませんわ! 鉄拳制裁!」
ルルーは赤い結界に鉄拳をぶちかますが、赤い結界は易々と鉄拳を弾いた。
「私の風魔法も通らないよ!」
セイバーは呪文を唱えて風の衝撃波を飛ばし、スレイヤーを直接攻撃しようとした。
だが、それも赤い結界が阻び、スレイヤーにダメージはなかった。
「この結界がある限り、私を攻撃する事はできない」
「だったら青い奴から壊してやる! フレイム!」
シェゾは炎を青い結界に向けて放った。
その威力はかなりのものであり、青い結界に僅かだが罅が入った。
「よっしゃ、罅が入ったぞ!」
「そこをさらに攻めるよ! ファイヤー!」
「アイスニードル」
アルルは結界の罅が入った部分を炎魔法で攻撃しようとするが、
スレイヤーの邪魔が入り魔法を打ち消された。
「君がそこを攻めるのもお見通しだ」
どうやら、アルルの行動はスレイヤーに読まれていたらしい。
セイバーはウィンドブレード、ルルーは風神脚で赤い結界を壊そうとしたが、
僅かなダメージしか与えられなかった。
その間にも、スレイヤーはルルーにストーンブラストを放って大きなダメージを与えた。
「きゃああ!」
ルルーは何とか防御の姿勢を取って致命傷を防ぐ。
アルルはすぐさま、ルルーにヒーリングをかけて彼女の体力を回復した。
「スレイヤー、随分と余裕だね」
セイバーは剣を持ち直しスレイヤーを睨みつける。
スレイヤーは2つの結界があるため、攻撃は自身に絶対に届かないと思っており、
四人との戦いでも慢心していた。
この結界を何とかしなければスレイヤーを倒せないが、絶対的な防御力の前に攻撃は阻まれた。
「ああ、余裕だとも。私に攻撃は『絶対に』通らないからな」
「その余裕、どこまで続くかな!」
そう言って、セイバーは飛び上がってスレイヤーに剣を振りかざした。
結界を飛び越えて、スレイヤーに直接打撃を与えるつもりだ。
「ダークバインド」
しかし、スレイヤーはそれも見抜き、セイバーに闇の触手を放って束縛した。
「うぐぅぅっ! こんな触手くらい、私の手で……うあぁ、動けば動くほどきつくなる……!」
触手がセイバーの四肢を締め付ける。
セイバーは必死で触手を振りほどいていたが、
彼女が動けば動くほど、触手は彼女をきつく縛っていた。
「フフフ……トライブレードとあろう君が、こんな触手で無力になるとは……。
やはり、君も根は女の子なんだな」
「この野郎! “ヘンタイ”は俺一人で十分だ! ダイアキュート、フ・フレイム!」
シェゾは、自身を“ヘンタイ”だと自覚した上でスレイヤーに炎を放ったが、
赤い結界がそれを吸収する。
「なんとしてでも、この結界を壊しますわよ!」
「うん!」
セイバーが動けないため、アルルとルルーが彼女に代わって結界を壊している。
アルルは青い結界にファイヤーやアイスストーム、
ルルーは赤い結界に破岩掌や風神脚を当てていた。
何発も攻撃を食らったのか、結界に入った罅は大きく、数も多くなっていた。
「たとえ、どんなに罅が入ったとしても、この結界は壊せない。
つまり、君達は絶対に勝てないんだよ」
「てめぇ……! だったら気合で破壊してやる!」
「やってみせよ」
スレイヤーの挑発に乗ったシェゾは、闇の剣に自身の闇の魔力を最大まで込めた。
1つでも結界を破壊しなければ、スレイヤーに倒されてしまう。
だから、シェゾは今ここで、スレイヤーの結界を破壊したかったのだ。
「闇の剣よ……切り裂けぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!」
シェゾの、渾身の力を込めた闇の剣の一撃が青い結界に命中すると、
パリーン、という音と共に砕け散った。
「なっ! 私の結界を破壊した、だと……!?」
スレイヤーは、その出来事に驚いた。
この四人に結界は破壊できないはずだったが、シェゾがそれを破ったからだ。
しかしスレイヤーはすぐに表情を戻し、呪文を詠唱する。
「ファイアストーム!」
「「シールド!」」
スレイヤーは炎の嵐を起こし、ルルーとセイバーを飲み込んだ。
アルルとシェゾは魔法でバリアを作り、ルルーとセイバーの攻撃を防いだ。
バリアは炎の嵐を吸収して威力を削いだ。
「う、ぐ、負け、て、たまるか!」
「ダイアキュート、ラ・ライトニングボルト!」
「ぐああああああああ!」
必死で触手を解こうとするセイバーに、無数の雷の矢が飛んできた。
セイバーは避ける事ができず、全てまともに食らって叫び声を上げる。
「どうだ、セイバー。このまま死ぬがいい」
セイバーはなすすべもなく、一方的にスレイヤーに攻められていた。
自分は伝説の剣士のはずなのに、仲間達の方が活躍しているため、
セイバーは悔しそうな表情であった。
だが、セイバーは未だに触手に縛られていて動けない。
このまま何もできずに終わってしまうのか……セイバーの心が折れかけた、その時。
「ぐーーーーーーーーー!!」
突然、カーバンクルの額の宝石からビームが出て、セイバーを束縛していた触手を破壊した。
「カーバンクル!」
「今のはラッキーだよ、カーくん!」
カーバンクルが放つビームは、邪悪を浄化する効果がある。
しかし、いつビームが発動するのかはカーバンクルの気まぐれだ。
だが、発動したという事は、形勢を逆転するチャンスが生まれたという事になる。
「よし! 一気に決めますわよ!」
「ふん……たとえ触手がちぎれても、私に勝てるはずがない」
「果たしてそうかしら? 真・女王乱舞!!」
ルルーは構えを取った後、凄まじい連続攻撃を赤い結界に浴びせた。
真・女王乱舞は壊滅的な威力の技だが、自分の身体にも負担がかかる諸刃の剣だ。
ルルーはこの技によって赤い結界を破壊するつもりのようだ。
「これで終わりですわ!」
そして、ルルーの最後の蹴りが赤い結界に命中すると、赤い結界は粉々に砕け散った。
「ぬおぉ……。私の結界を破るとは」
「私に屈辱を与えたお返し、させてもらうよ! イリュージョン・レイヤー!」
「アクアプロテクション」
そう言って、セイバーは分身を作り出し、その分身と共にスレイヤーに斬りつけた。
その攻撃を、スレイヤーは防御魔法で完全に防ぐ。
「くそっ!」
「駄目だな。全然駄目だ。……さて、そろそろおしまいにしようか」
スレイヤーは、長い呪文の詠唱に入った。
これで、アルル達を全滅させるつもりだ。
この攻撃を阻止しなければ、アルル達の敗北は決まってしまう。
「まずい……! 早く止めないと……!
ダイアキュート、ダイアキュート、ダイアキュート、ダイアキュート……」
アルルも増幅呪文を唱え、自身の最大呪文を発動する準備に入った。
スレイヤーとアルル……果たして、どちらが勝つのだろうか。
ルルー、シェゾ、セイバー、カーバンクルは、固唾を飲んで見守っていた。
「ジャッジメント!!!」
「ジュ・ジュ・ジュ・ジュ・ジュゲム!!!」
アルルは大爆発をぶっ放し、スレイヤーは裁きの光を解放し、押し合いになる。
「はぁぁあああぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
「うおおぉぉぉおおおおおおおおお!!」
お互いの、全力を尽くした魔力が、それぞれの魔法に混ざり威力が上がる。
アルルが押し、スレイヤーが押し……そんな展開が、何度も何度も続いていた。
魔力はスレイヤーの方が多かったが、アルルは気合は負けていなかった。
そして数分後――塔全体を覆うほどの大爆発が、この場で、起こった。
「ぐぅ……うぅぅぅぅぅ……っ」
大爆発が治まった時、スレイヤーは膝をつき、アルルは彼を見下ろすように立っていた。
この戦いは、アルル達の勝利に終わった。
「スレイヤー……」
セイバーは、スレイヤーの傍に寄った。
スレイヤーはここまでか、というような表情をしていた。
「……」
「え?」
スレイヤーの小さな声に、セイバーが首を傾げる。
「そこの……青い髪の、女、が、魔王、に、口づけ、を、すれ、ば……封印、は、解け、る……」
そう言って、スレイヤーは目を閉じる。
スレイヤーの身体は、光の粒子となって消滅した。
「要するに、私がサタン様にキスをしろって事ですの!?
そ、そんな、私、恥ずかしいですわ……」
「でも、こうしなきゃサタンの封印は解けないよ?」
「ぐぐぐーぐ?」
「で、ですけど……///」
ルルーは、サタンの封印を解く方法を聞いて赤くなった。
何故こんな方法にしたのかは不明だが、とにかく、サタンの封印を解かねばならない。
シェゾとセイバーはサタンのレリーフを運ぶ。
「じゃあ、キスしろよ」
「わ、分かりました、わっ……!」
そう言って、ルルーはサタンの頬にキスをした。
すると、レリーフがみるみるうちに解けていき、中から生身のサタンの姿が現れる。
レリーフが解け切ると、そこには生身のサタンが立ち尽くしていた。
「はっ!? 私は……」
「サタン様!」
低い声が聞こえると、ルルーはいてもたってもいられずにサタンに抱き着いた。
「ああ……助かった。スレイヤーに不覚を取ったとはいえ、
私が助けられるとは……感謝の言葉はたくさんありすぎて、何を言えばいいか分からない」
「サタン様がこんな事を言うなんて、あり得ませんわね」
ルルーはサタンの感謝の言葉に、プライドを捨てたのか? と思っていた。
しかし、アルル達にサタンが助けられた、という事実は変わっていない。
「……塔から邪悪な気配が漂わない。本当に、カタストロファーセブンを全員倒したんだ……」
サタンの塔から、邪悪な気が消えていくのをセイバーは確認した。
アルル達はようやく、カタストロファーセブンとの戦いが終わった事を実感した。
「……そうだな。残っているのは、古のものだけだ」
「古のもの……」
「そいつを倒せば、世界は平和になる。……当然、お前は放っておくわけにはいかないだろう?」
そう言って、サタンはセイバーの方を振り向いた。
「な、なんで私の事を知ってるのかなぁ。私は君を知らないはずなんだけどなぁ」
「何故って……私は『サタン様』だからだ! フハハハハハハハハハハハ!!」
サタンは立ち上がった後、腰に手を当てて高笑いした。
それを見たアルルは「やっぱり、いつものサタンだな」と思ったのだとか。
「さあ、もう私がいるからには大丈夫だ! みんな、プリンプタウンに戻るぞ!」
「「「おーーーーっ!!」」」
「……プリンプタウンって、どこ?」
こうして、アルル達はカタストロファーセブン最後の一人、スレイヤーを倒しサタンを救出した。
これで、プリンプタウンに皆を呼ぶ事ができる。
アルル達は意気揚々と、塔を降りるのであった。
……セイバーはプリンプタウンを知らなかったが。
次回でついにあの四人がプリンプタウンに再会いたします。
そして、ラストダンジョンへ突入する準備をします。