魔導物語 Seven Catastrophe   作:アヤ・ノア

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最後のカタストロファーセブンとの戦いです。
スレイヤーはロマサガのワグナスを意識しています。


33「戦闘! スレイヤー」

「果たしてこの私を倒す事ができるかな? ヒートバリア!」

 スレイヤーは呪文を唱えて炎と雷に強くなった。

 元々、魔法で結界を張っているため、意味のない事だとスレイヤーは思ったが、

 遊ぶためにわざと使用したのだ。

「赤い結界は物理攻撃を弾くが魔法攻撃は吸収する。

 青い結界は魔法攻撃を弾くが物理攻撃は吸収する」

「どこまでもボク達をバカにして……! ダイアキュート、サ・サンダー!」

 アルルは増幅呪文を唱えた後、青い結界に向けて雷を落とした。

 だが、青い結界は強く光ってアルルの魔法を弾き返した。

「その結界にその攻撃は通用せんよ」

「キィーッ! 許しませんわ! 鉄拳制裁!」

 ルルーは赤い結界に鉄拳をぶちかますが、赤い結界は易々と鉄拳を弾いた。

「私の風魔法も通らないよ!」

 セイバーは呪文を唱えて風の衝撃波を飛ばし、スレイヤーを直接攻撃しようとした。

 だが、それも赤い結界が阻び、スレイヤーにダメージはなかった。

「この結界がある限り、私を攻撃する事はできない」

「だったら青い奴から壊してやる! フレイム!」

 シェゾは炎を青い結界に向けて放った。

 その威力はかなりのものであり、青い結界に僅かだが罅が入った。

「よっしゃ、罅が入ったぞ!」

「そこをさらに攻めるよ! ファイヤー!」

「アイスニードル」

 アルルは結界の罅が入った部分を炎魔法で攻撃しようとするが、

 スレイヤーの邪魔が入り魔法を打ち消された。

「君がそこを攻めるのもお見通しだ」

 どうやら、アルルの行動はスレイヤーに読まれていたらしい。

 セイバーはウィンドブレード、ルルーは風神脚で赤い結界を壊そうとしたが、

 僅かなダメージしか与えられなかった。

 その間にも、スレイヤーはルルーにストーンブラストを放って大きなダメージを与えた。

「きゃああ!」

 ルルーは何とか防御の姿勢を取って致命傷を防ぐ。

 アルルはすぐさま、ルルーにヒーリングをかけて彼女の体力を回復した。

 

「スレイヤー、随分と余裕だね」

 セイバーは剣を持ち直しスレイヤーを睨みつける。

 スレイヤーは2つの結界があるため、攻撃は自身に絶対に届かないと思っており、

 四人との戦いでも慢心していた。

 この結界を何とかしなければスレイヤーを倒せないが、絶対的な防御力の前に攻撃は阻まれた。

「ああ、余裕だとも。私に攻撃は『絶対に』通らないからな」

「その余裕、どこまで続くかな!」

 そう言って、セイバーは飛び上がってスレイヤーに剣を振りかざした。

 結界を飛び越えて、スレイヤーに直接打撃を与えるつもりだ。

「ダークバインド」

 しかし、スレイヤーはそれも見抜き、セイバーに闇の触手を放って束縛した。

「うぐぅぅっ! こんな触手くらい、私の手で……うあぁ、動けば動くほどきつくなる……!」

 触手がセイバーの四肢を締め付ける。

 セイバーは必死で触手を振りほどいていたが、

 彼女が動けば動くほど、触手は彼女をきつく縛っていた。

「フフフ……トライブレードとあろう君が、こんな触手で無力になるとは……。

 やはり、君も根は女の子なんだな」

「この野郎! “ヘンタイ”は俺一人で十分だ! ダイアキュート、フ・フレイム!」

 シェゾは、自身を“ヘンタイ”だと自覚した上でスレイヤーに炎を放ったが、

 赤い結界がそれを吸収する。

「なんとしてでも、この結界を壊しますわよ!」

「うん!」

 セイバーが動けないため、アルルとルルーが彼女に代わって結界を壊している。

 アルルは青い結界にファイヤーやアイスストーム、

 ルルーは赤い結界に破岩掌や風神脚を当てていた。

 何発も攻撃を食らったのか、結界に入った罅は大きく、数も多くなっていた。

「たとえ、どんなに罅が入ったとしても、この結界は壊せない。

 つまり、君達は絶対に勝てないんだよ」

「てめぇ……! だったら気合で破壊してやる!」

「やってみせよ」

 スレイヤーの挑発に乗ったシェゾは、闇の剣に自身の闇の魔力を最大まで込めた。

 1つでも結界を破壊しなければ、スレイヤーに倒されてしまう。

 だから、シェゾは今ここで、スレイヤーの結界を破壊したかったのだ。

闇の剣よ……切り裂けぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!

 シェゾの、渾身の力を込めた闇の剣の一撃が青い結界に命中すると、

 パリーン、という音と共に砕け散った。

 

「なっ! 私の結界を破壊した、だと……!?」

 スレイヤーは、その出来事に驚いた。

 この四人に結界は破壊できないはずだったが、シェゾがそれを破ったからだ。

 しかしスレイヤーはすぐに表情を戻し、呪文を詠唱する。

「ファイアストーム!」

「「シールド!」」

 スレイヤーは炎の嵐を起こし、ルルーとセイバーを飲み込んだ。

 アルルとシェゾは魔法でバリアを作り、ルルーとセイバーの攻撃を防いだ。

 バリアは炎の嵐を吸収して威力を削いだ。

「う、ぐ、負け、て、たまるか!」

「ダイアキュート、ラ・ライトニングボルト!」

「ぐああああああああ!」

 必死で触手を解こうとするセイバーに、無数の雷の矢が飛んできた。

 セイバーは避ける事ができず、全てまともに食らって叫び声を上げる。

「どうだ、セイバー。このまま死ぬがいい」

 セイバーはなすすべもなく、一方的にスレイヤーに攻められていた。

 自分は伝説の剣士のはずなのに、仲間達の方が活躍しているため、

 セイバーは悔しそうな表情であった。

 だが、セイバーは未だに触手に縛られていて動けない。

 このまま何もできずに終わってしまうのか……セイバーの心が折れかけた、その時。

 

ぐーーーーーーーーー!!

 突然、カーバンクルの額の宝石からビームが出て、セイバーを束縛していた触手を破壊した。

「カーバンクル!」

「今のはラッキーだよ、カーくん!」

 カーバンクルが放つビームは、邪悪を浄化する効果がある。

 しかし、いつビームが発動するのかはカーバンクルの気まぐれだ。

 だが、発動したという事は、形勢を逆転するチャンスが生まれたという事になる。

「よし! 一気に決めますわよ!」

「ふん……たとえ触手がちぎれても、私に勝てるはずがない」

「果たしてそうかしら? 真・女王乱舞!!」

 ルルーは構えを取った後、凄まじい連続攻撃を赤い結界に浴びせた。

 真・女王乱舞は壊滅的な威力の技だが、自分の身体にも負担がかかる諸刃の剣だ。

 ルルーはこの技によって赤い結界を破壊するつもりのようだ。

「これで終わりですわ!」

 そして、ルルーの最後の蹴りが赤い結界に命中すると、赤い結界は粉々に砕け散った。

 

「ぬおぉ……。私の結界を破るとは」

「私に屈辱を与えたお返し、させてもらうよ! イリュージョン・レイヤー!」

「アクアプロテクション」

 そう言って、セイバーは分身を作り出し、その分身と共にスレイヤーに斬りつけた。

 その攻撃を、スレイヤーは防御魔法で完全に防ぐ。

「くそっ!」

「駄目だな。全然駄目だ。……さて、そろそろおしまいにしようか」

 スレイヤーは、長い呪文の詠唱に入った。

 これで、アルル達を全滅させるつもりだ。

 この攻撃を阻止しなければ、アルル達の敗北は決まってしまう。

「まずい……! 早く止めないと……!

 ダイアキュート、ダイアキュート、ダイアキュート、ダイアキュート……」

 アルルも増幅呪文を唱え、自身の最大呪文を発動する準備に入った。

 スレイヤーとアルル……果たして、どちらが勝つのだろうか。

 ルルー、シェゾ、セイバー、カーバンクルは、固唾を飲んで見守っていた。

 

ジャッジメント!!!

ジュ・ジュ・ジュ・ジュ・ジュゲム!!!

 アルルは大爆発をぶっ放し、スレイヤーは裁きの光を解放し、押し合いになる。

はぁぁあああぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!

うおおぉぉぉおおおおおおおおお!!

 お互いの、全力を尽くした魔力が、それぞれの魔法に混ざり威力が上がる。

 アルルが押し、スレイヤーが押し……そんな展開が、何度も何度も続いていた。

 魔力はスレイヤーの方が多かったが、アルルは気合は負けていなかった。

 そして数分後――塔全体を覆うほどの大爆発が、この場で、起こった。

 

「ぐぅ……うぅぅぅぅぅ……っ」

 大爆発が治まった時、スレイヤーは膝をつき、アルルは彼を見下ろすように立っていた。

 この戦いは、アルル達の勝利に終わった。

「スレイヤー……」

 セイバーは、スレイヤーの傍に寄った。

 スレイヤーはここまでか、というような表情をしていた。

「……」

「え?」

 スレイヤーの小さな声に、セイバーが首を傾げる。

「そこの……青い髪の、女、が、魔王、に、口づけ、を、すれ、ば……封印、は、解け、る……」

 そう言って、スレイヤーは目を閉じる。

 スレイヤーの身体は、光の粒子となって消滅した。

 

「要するに、私がサタン様にキスをしろって事ですの!?

 そ、そんな、私、恥ずかしいですわ……」

「でも、こうしなきゃサタンの封印は解けないよ?」

「ぐぐぐーぐ?」

「で、ですけど……///」

 ルルーは、サタンの封印を解く方法を聞いて赤くなった。

 何故こんな方法にしたのかは不明だが、とにかく、サタンの封印を解かねばならない。

 シェゾとセイバーはサタンのレリーフを運ぶ。

「じゃあ、キスしろよ」

「わ、分かりました、わっ……!」

 そう言って、ルルーはサタンの頬にキスをした。

 すると、レリーフがみるみるうちに解けていき、中から生身のサタンの姿が現れる。

 レリーフが解け切ると、そこには生身のサタンが立ち尽くしていた。

 

「はっ!? 私は……」

「サタン様!」

 低い声が聞こえると、ルルーはいてもたってもいられずにサタンに抱き着いた。

「ああ……助かった。スレイヤーに不覚を取ったとはいえ、

 私が助けられるとは……感謝の言葉はたくさんありすぎて、何を言えばいいか分からない」

「サタン様がこんな事を言うなんて、あり得ませんわね」

 ルルーはサタンの感謝の言葉に、プライドを捨てたのか? と思っていた。

 しかし、アルル達にサタンが助けられた、という事実は変わっていない。

「……塔から邪悪な気配が漂わない。本当に、カタストロファーセブンを全員倒したんだ……」

 サタンの塔から、邪悪な気が消えていくのをセイバーは確認した。

 アルル達はようやく、カタストロファーセブンとの戦いが終わった事を実感した。

「……そうだな。残っているのは、古のものだけだ」

「古のもの……」

「そいつを倒せば、世界は平和になる。……当然、お前は放っておくわけにはいかないだろう?」

 そう言って、サタンはセイバーの方を振り向いた。

「な、なんで私の事を知ってるのかなぁ。私は君を知らないはずなんだけどなぁ」

「何故って……私は『サタン様』だからだ! フハハハハハハハハハハハ!!

 サタンは立ち上がった後、腰に手を当てて高笑いした。

 それを見たアルルは「やっぱり、いつものサタンだな」と思ったのだとか。

 

「さあ、もう私がいるからには大丈夫だ! みんな、プリンプタウンに戻るぞ!」

「「「おーーーーっ!!」」」

「……プリンプタウンって、どこ?」

 

 こうして、アルル達はカタストロファーセブン最後の一人、スレイヤーを倒しサタンを救出した。

 これで、プリンプタウンに皆を呼ぶ事ができる。

 アルル達は意気揚々と、塔を降りるのであった。

 

 ……セイバーはプリンプタウンを知らなかったが。




次回でついにあの四人がプリンプタウンに再会いたします。
そして、ラストダンジョンへ突入する準備をします。
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