魔導物語 Seven Catastrophe 作:アヤ・ノア
テイルズオブリバースのユリス戦をイメージしました。
世界を滅ぼそうとする古のものとの決戦が、始まった。
「フェーゴブレイブ!」
アリアは炎の精霊フェーゴを召喚し、四人の攻撃力と命中率を上げた。
補助魔法により短期決戦に持ち込む作戦のようだ。
「キミの野望は、必ず食い止める! ファイヤー!」
「サイクロワール!」
「タンジェント!」
アルルは炎の弾を発射し、古のものを牽制する。
次にアミティが風の刃を次々と飛ばして古のものを足止めした後、
りんごが雷を落として大ダメージを与えた。
「汝らの命を食らう」
古のものは、開けば数mにも及ぶ巨大な顎で、手近な対象――アルルとりんごに噛み付いた。
「リバイア!」
「リフレクション!」
「シールド!」
「グランバリア!」
四人は防御魔法で攻撃を防ごうとするが、牙がバリアに命中すると砕け散り、
そのまま牙はアルルとりんごに突き刺さった。
刺さった部分から血が流れ出し、アルルとりんごは痛みに悶絶する。
「い、痛い……!」
「ただの中学生にはとんでもない痛みです」
「魔法が使える時点で『ただの』とは言い難いですが、まあいいでしょう。ヒーリングオール!」
アリアは光の精霊ルフィーネを召喚し、アルルとりんごの体力を回復した。
「汝らの力は、その程度か。もっと我に傷をつけるがいい」
「言われなくても……! アイスストーム!」
古のものの挑発に乗ったアルルは、吹雪を起こして古のものを凍らせようとした。
だが、古のものがバリアを張ったため、アルルの魔法は阻まれた。
「その程度の魔法、我には傷一つつかない」
「やってみなきゃ分からないでしょ! ブラストビート!」
アミティは風の塊を放ったが、やはり古のものにダメージは通らない。
「コサイン!」
「ミスティボール!」
りんごは電気を放ち、アリアは水の弾丸で古のもののバリアに攻撃する。
古のものは闇の波動により、アルル達の動きを止めた後、口から暗黒火炎のブレスを吐いた。
「「うわああああああ!」」
「「きゃああああああ!」」
四人はブレスに飲み込まれ、大ダメージを受ける。
一方、古のものの体力は、まだたっぷりと残っていて、余裕な態度を見せていた。
流石は神と呼ばれし古のものである。
だが四人も、世界や自身のためにも、負けるわけにはいかなかった。
「あたしは、キミに勝って、プリンプタウンに帰りたいんだ! アクセル、ブ・ブリザード!」
アミティは増幅呪文を唱え、猛烈な吹雪を起こし、古のもののバリアを剥がそうとする。
彼女の攻撃が功を成したのか、古のもののバリアが弱まっていった。
「タンジェント!」
「エアウィンド!」
さらに、りんごは古のもののバリアが剥がれた部分に雷の球を撃ち、
アリアは風の精霊エアを召喚して疾風により追撃していく。
「ダイアキュート、ダイアキュート、ブ・ブ・ブレインダムド!」
そして、アルルが増幅呪文を二段重ねしたブレインダムドを発動すると、
古のものを守っていたバリアが砕け散り、同時に古のものの体勢が崩れた。
「やったぁ! バリアを壊した!」
「ぐっぐー!」
バリアを破壊したため、アルルとカーバンクルは喜んだ。
古のものは体勢を整え直すと、不気味な声で四人に語りかけた。
「我の結界を崩したか……。ならば、汝らに手番を譲ろう。だが、次はこうならないと思え……」
四人は、次に来る事を察知して、ごくりと唾を呑んだ。
「何か、とんでもない攻撃が来るかもしれない……。でも、準備をしっかりすれば大丈夫だよ!」
「そうですね……ミスティプロテクション!」
アリアは水野精霊ミスティを召喚して、全員の防御力と魔法防御力を高めた。
「確実に当てるよ、マジックミサイル!」
アルルは動き回る古のものに攻撃を当てるために、
追尾魔法を唱え無数の魔法の矢を古のものに撃つ。
「エクリクシス!」
アミティは光の球を放ち、それが古のものに命中すると大爆発を起こす。
「インテグラル!」
「エアトルネード!」
さらに、りんごとアリアが次々と上級魔法を古のものに叩き込み、体力を大きく減らした。
「あと少しで古のものを倒せるよ!」
「世界はいよいよ、救われます……!」
「次はこうならないというのは、やっぱり嘘でしたか?」
アミティ、りんご、アリアは、古のものをもうすぐ倒せそうだ、と喜んだ。
(……? どうして、攻撃をかわしてないんだろう……)
しかし、アルルだけは、
古のものが防御も抵抗もせずに攻撃を受けているのに違和感を抱いていた。
アルルは古のものならば、魔法をかわしきった後に、
強烈な攻撃を叩き込んで瀕死にすると読んだ。
だが、古のものは攻撃をかわさなかった……そのためアルルの中にもやもやした何かが現れる。
「フフフフ……」
すると、古のものが不気味な笑い声を出した。
「な、何がおかしいの!?」
「我は、この時を待っていたのだ!」
古のものは巨大な顎を開き、魔力を吸い込んだ。
すると、空間全体が地震のように揺れ、古のものの周囲に強大なエネルギーが現れた。
「汝らが我に与えた攻撃魔法の威力を、全て我が魔力に変えているのだ」
そう……古のものが攻撃を避けなかったのは、大魔法のエネルギーを溜めるためだったのだ。
「させません!」
りんごが古のものに突っ込んでいくが、膨大な魔力に阻まれて吹き飛ばされる。
「ばよえ~ん!」
「そんなものか」
アミティが相手を感動させる魔法を使うも、古のものには効果がなかった。
「……何も、できないのですか……!?」
アリアは、ただ相手の様子を伺っていた。
「永遠なる世界となるがいい! エタニティワールド!!」
そして、古のものが口から魔力を吐くと、
莫大なエネルギーがビッグバンを思わせる大爆発を起こした。
攻撃が来る直前に、アリアが張ったバリアが四人の前に現れる。
しかし、あまりにも威力が桁違いだったため、バリアは砕け散る。
そして、全てのエネルギーが放たれると、この空間の中にいたのは、
宙に浮いた古のものと、致命傷を負ったアルル、アミティ、りんご、アリアになった。
「……」
四人は体力も精神力もボロボロになり、最早完全に戦意を失うのも時間の問題となった。
立ち上がろうにもできず、また、まともに魔法を使えない状況ではその行動は無意味だった。
「……ない……で……」
ふと、四人の目の前に、セイバー、エッジ、ソード、カインの幻影が現れる。
さらに、ルルーやシグなど、一緒についてきた仲間達の幻影も現れる。
(ああ、これが死ぬ間際に見る、幻なのかな……)
(シグ……みんな……ごめんね……。あたし、古のものに勝てそうにないよ……)
(このまま、世界は滅ぶのでしょうか……)
(でも……ゆっくり休むのも、悪くはありませんね……)
四人は永遠の安らぎに身を委ねようとした――
その時だった。
「諦めないで!!」
「み……んな!?」
なんと、八人の幻影が、実体と見紛うように鮮明な姿で現れた。
「大丈夫だ、魔物はみんな倒した」
「だから、アタシ達が力を振り絞って、向こうにいるアナタ達に思念を送ったわ」
「私達は君達を信じている。だから、君達も私達を信じてくれ」
トライブレードの表情は、今の絶望的な状況を打開するためか、希望に満ち溢れていた。
「アルル! しょ気てるんじゃないわよ! あんたが負けたら誰もあいつを倒せなくなるのよ!」
「アミティー、絶対にまけるなー。約束はちゃんと守れー」
「あっれ~? りんごちゃんはこんなところですぐに諦めちゃうのかな?」
「アリア! わたしはきみを信じているのだ!
だから、諦めるのは早いのだ! 希望の光は消えていないのだ!」
続いて、ルルー、シグ、まぐろ、レイリーが四人を励ます。
彼らは、アルル、アミティ、りんご、アリアが古のものに勝つ事を信じているのだ。
仲間達の表情を見て、アルル達の表情に明るさが戻ってくる。
「みんなが応援している……」
「あたしを信じてくれている……」
「こんな人の約束を破っちゃうなんて……」
「絶対、ダメ、です、ね……」
四人はゆっくりと身体を起き上がらせる。
すると、八つの幻影が光り出し、四人の中に吸い込まれていった。
「……これ、は……」
「体中の傷が治っていきます!」
「それだけじゃない、魔力と精神力も!」
「みんな……ありがとうございます……」
四人の傷と魔力は見る見るうちに回復し、さらに不安や絶望などの負の感情も消えていく。
八人の、アルル達を信じる思いが、彼女達の心身を完全に癒したのだ。
「……完全に回復したか。だが、それだけで我を倒せるとでも?」
「みんなで力を合わせてキミに勝つ! ジュゲム!」
そう言って、アルルは杖から光の弾を放ち、古のものに当てて爆発を起こす。
古のものは巨体を生かして爪を振りかざし、四人の身体を切り裂こうとした。
「リバイア!」
しかし、アルルが瞬時に周囲にバリアを発生させて攻撃を防ぐ。
「ガァァァァァァァァァ」
「アクティーナ!」
古のものは続けて大きく開いた口から暗黒のブレスを吐く。
その攻撃をアミティはかわし、光線を連射して古のものを貫く。
「我が風の津波を受けよ!」
「パーミテーション!」
「ルフィーネレイ!」
古のものは翼を大きく羽ばたかせ、それに呼応して風が四人に牙を剥く。
それに対し、りんごは花弁を散らす魔法で防ぎ、
さらにアリアが光の精霊ルフィーネを召喚して極太の光線を放つ。
「食らえ……」
「「ダブル・ばよえ~ん!」」
古のものが噛みつこうとすると、アミティが花弁を散らして動きを止めた後、
アルルがたくさんのおじゃまぷよを降らせ、とどめに太陽ぷよを落とし大ダメージを与えた。
「我が……押されている……?」
「ルフィーネジャッジメント!」
アリアは空中に浮き上がった後、天空から古のものに無数の光線を落とした。
「効かないな」
「果たしてそうですか? インテグラル!」
「ぐあぁぁぁ!」
古のものは光線を全てかわすが、かわした方向にはりんごがいて、
りんごは思いっきり本を古のものに叩きつけた。
すると、古のものの様子がおかしくなった。
「……見事だ……!」
古のものの姿が、人の形をした何かに戻っていく。
アルル達に追い詰められた事で、世界を滅ぼそうとする意志を失っていたのだ。
「……よし! 古のものは滅びの意志を失った。後は、ボクが何とかするよ!」
そう言って、アルルは古のものに近付いた。
すると、古のものは哀れむようにアルルに語り掛けた。
「待て」
「どうしたの? もうキミは、戦えないんだよ?」
「思い出せ……あの言葉を……」
「え……!?」
「ぐー!? ぐっぐぐーぐ!?」
古のものに言われ、アルルは思い出す。
そうだ……古のものを倒す事だけを考えていて、後の事は忘れてしまった……と気付く。
『だから、君達にできる事は2つだけ。
次元の裂け目に行って古のものを倒すか、古のものの支配を受け入れるかだよ』
『どういう事?』
『古のものを倒せば世界は解放される。
だけど、何か悪い事が起こっても二度と大いなる者は助けてくれなくなる。
古のものが支配すれば世界は平和になる。でも、それは偽りの神に全てを委ねる事になる』
「つまり……キミを倒したら、ヒトだけで生きていくって事なの……!?」
「左様。ようやく気付いたようだな。我の処遇で、この世界の未来がどうなるかを。
最後の最後だというのに……汝は、肝心な部分で愚かだな」
「あ……ああ……あ……」
アルルは、最後の最後で衝撃を受けた。
ヒトを信じるか、神を信じるか……その選択によって、未来は変わる。
どちらが最善か……それは、誰にも分からない。
「……ボク、は……」
果たして、アルルが選んだ「選択」は――
次回が魔導物語SCの最終回です。
二つの結末を描いた、この物語を見届けてください。