魔導物語 Seven Catastrophe 作:アヤ・ノア
プリンプタウンには、たくさんの魔物がいた。
アリアは召喚術を使って応戦するが、魔物の数は増えるばかりである。
倒されようとしたその時、同じ召喚士のベストールが現れ、アリアの窮地を救う。
アリアはベストールと共に、いなくなった召喚士を探しに行くのだった。
ブレイカーの妨害によって魔導世界に帰って来たアルルは、
セイバーと共にプリンプタウンへ戻るための方法を探していた。
だが、手掛かりは一切見つかっておらず、ただ時間だけが過ぎ去っていた。
「……そもそも、ブレイカーって一体何者なの?」
「カタストロファーセブンっていう、世界を滅ぼそうとする七人の狂戦士の一人だよ。
私達とは決して相容れぬ存在なんだ」
セイバーからカタストロファーセブンについて説明してもらうアルル。
アルルは「へぇー」と感心しつつ、どうすればプリンプタウンに行けるのかを考え続けていた。
セイバーはどうしたんだろう、とアルルに声をかける。
「……アルル、プリンプタウンって場所にまだ執着してるの?」
「うん……だって、ボクの第二の故郷だもの。そりゃあ、ボクは元の世界が好きだよ。
でも……ずっとプリンプタウンに住んでるうちに、捨てたくなくなっちゃって……」
「ぐーぐー、ぐっぐぐぐー」
アルルとカーバンクルは寂しそうな目で空を見つめていた。
それは、いつか戻りたい第二の故郷、プリンプタウンを見ているようだった。
セイバーはそんな彼女の様子を見て、納得したかのように頷いてにこう言った。
「ここもプリンプタウンも好きだって事は分かったけど、
やるべき事をやらなきゃいけない事は変わらない。
まずはこっちの異変を解決してから、プリンプタウンに回ろう」
「そうだね、セイバー!」
その頃……。
「あぁ……どうしましょう……」
赤い髪を三つ編みにした少女のチコが、おろおろしながら魔物と戦っていた。
「こんなに魔物が来るなんて、信じられません。今まではこんな事、なかったのに……」
チコは杖から光の矢を放ち、魔物を攻撃する。
彼女はあまり攻撃は得意ではないらしく、攻撃魔法も弱い魔物にしかダメージを与えられず、
強い魔物には防御魔法での対抗が精一杯だった。
「うぅ……攻撃魔法は持ってはいるのですが、強力なものは魔力を多く消費しますし……
そもそも私は支援魔法の方が得意なので……」
何とかチコは魔物相手に防戦しているが、彼女の体力ではもつかどうか心配だ。
「こんな時に、都合良く援軍が来る展開になるわけ……」
「あるんだよ!」
「アイスストーム!」
そう言って、セイバーはチコの前に現れ、目の前にいる魔物を剣で切り捨てた。
アルルも彼女の後ろを追いかけながら氷の嵐で魔物を氷漬けにする。
「あっ、アルルさん……と、あなたは?」
「私はセイバー、通りすがりの剣士だよ」
チコはセイバーの顔を見てきょとんとするが、
セイバーは自分の名を名乗った後にアルルとチコを守るように前に出る。
「私が前に出るからアルルと君は後方支援を頼むよ」
「はい……分かりました!」
チコはセイバーの後ろに下がり、なるべく攻撃を受けないようにした。
「ファイヤー!」
アルルが襲ってくるコボルドを炎魔法で攻撃する。
コボルドはそれを受けても倒れなかったが、チコが光の矢を放った事により倒した。
「せいや!」
セイバーが剣を持ってコボルドに斬りかかる。
その時、コボルドリーダーがチコを棍棒で殴ろうとしたが、セイバーが盾で受け止める。
「セイバーさん!」
「君は前だけ見て。私が守ってあげるから」
「分かりました……抱擁の風!」
チコは風を起こして味方を守りつつ、夢幻の天や魅惑の月でコボルドを打ち倒す。
「ダイアキュート、サ・サンダー!」
アルルは増幅呪文を唱えた後、雷を大量に落としてコボルドの群れを一掃した。
「凄いですね、アルルさん」
「いやぁ、ボクもまだまだ見習いだよ」
「私も、アルルさんやセイバーさんに後れを取りたくありません! 太古の神よ、我に力を!」
チコは神に祈りを捧げ、杖から雷の光線を放ってコボルドリーダーを貫く。
それによりコボルドリーダーは一撃で倒れた。
「や、やりましたぁ」
「まだまだ! 敵は多いよ!」
コボルドリーダーを倒したが油断はせず、セイバーは剣と盾を構え直す。
「ラウンドスラッシュ!」
「アイスストー……うわぁ!」
セイバーは剣を振り回し、周囲にいるコボルドを全て斬りつけた。
そこにアルルが氷魔法でとどめを刺そうとするが、コボルドの数の多さに詠唱が中断される。
「アルルさん!」
「油断しちゃったよ……もうちょっとで終わるところだったのに」
「大丈夫です、後は私がやります。大地の神よ……ガイアキューブ!」
チコは大地の神に祈りを捧げ、地震を引き起こしてコボルドの群れを攻撃した。
全員、地に足を付けているコボルドはこの地震に耐えられず、大地に飲み込まれ、倒れた。
「……はぁ、ちょっと疲れちゃいました」
チコが杖を持ちながらはぁはぁと息を切らす。
魔物の数は予想以上に多かったらしく、それが彼女の体力を削っていたという。
「どうして、こんなに魔物がいたんでしょうか……。セイバーさん、何か知っていますか……?」
チコが息を切らしながらセイバーに質問すると、彼女はチコに今の状況を説明した。
「カタストロファーセブンっていう狂戦士集団が、
世界を滅ぼすために各地に魔物をばら撒いているの。それがこっちにも飛び火したんだよ」
「うぅ……そのためだけに私達を苦しめるなんて、何という外道な集団でしょう」
「そのために私達トライブレードが、色んな世界に赴いているわけ。
あ、私の仲間には後、エッジとソードがいるよ」
セイバーはエッジとソードについてチコに簡単に紹介した。
エッジはルルーの父親で片刃剣を使い、ソードはシェゾの異父兄弟で大剣を使う、と。
「皆さん、個性的なんですね。会ってみたいです」
「ふふ、期待するといいよ」
セイバーがにっこりと微笑むと、腹の虫がぐきゅるるると鳴った。
「……あ、その前にお昼を食べなくっちゃね」
「そうだね! じゃあ、近くにある宿屋に行こう! ……今は無事かどうか、分からないけど」
「ぐーぐ、ぐっぐぐーぐ!」
そう言って、アルル、カーバンクル、セイバー、チコは、疲れを取るために宿屋へ向かった。
しかし、そんな三人と一匹を見ている影が一つあった。
「……ふふふ。世界滅亡のカウントダウンは、もう始まっているぞ……」
~次回予告~
アルル、カーバンクル、チコの二人と一匹は、セイバーの目的を果たすため、洞窟に向かった。
だがそこにも、凶悪な魔物は多数おり、アルル達に襲い掛かってくる。
果たしてアルル達は、目的を果たす事ができるのだろうか。