魔導物語 Seven Catastrophe 作:アヤ・ノア
魔導世界に戻ってきたアルルは、見習い巫女・チコと出会う。
襲い掛かる魔物に防戦一方のチコを助けたアルルは、セイバーと共に彼女を仲間にした。
魔導世界の魔物が強力になる中、
果たして、アルルはプリンプタウンに帰る事ができるのだろうか。
「いただきます」
宿屋に来たアルル、カーバンクル、チコ、セイバーは、昼食を食べていた。
アルル達はカレーを注文したが、チコはカレーが苦手なので代わりにパスタを注文した。
「いや~、まさかここでチコに出会うとはね」
「ぐっぐぐー」
「単なる偶然……かもしれませんし、精霊の導き……かもしれませんしね」
チコはパスタを食べながらアルルにそう言った。
「ところで、セイバーさんってこの世界に住んでるんですか?」
「うーん、正確に言うとちょっと違うかな」
「どういう事でしょうか」
「昔の魔導世界って言ったら分かるかな?」
「? ? ?」
チコは、セイバーの言葉に困惑した。
セイバーは「分かりにくくてごめんね」と謝りつつカレーを食べていく。
昼食を食べ終わった後、セイバーがこれから何をしようかを話し出した。
「この世界にカタストロファーセブンが来てる事は確実だから、討ち取るための準備をしよう」
そう言って、セイバーはぎゅっと剣を握りしめる。
「居場所は分からないけど……近くに魔物がいれば、そこにいる確率は高い」
「どうしてですか?」
「カタストロファーセブンは魔物を撒き散らしてこの世界を混乱に招いている。
その魔物の親玉が、カタストロファーセブンって事だよ」
「そうですか……」
なら、地道に探すしかないね……とアルルは思ったが、
その時、チコが精霊魔法を使える事を思い出す。
「そうだ、チコ! 精霊の力を借りて、どこにいるかを探す事はできる?」
「ええ、できますよ」
そう言うと、チコは目を閉じて精神を集中させた。
「万物に宿りし数多の精霊よ、我が声を聴き、
彼の者が探せし敵の居場所を今ここに指し示し、我に教え給う!」
すると、チコの周囲に精霊が集まり、彼女に「声」を届けている。
精霊の姿はアルルやセイバーの目には雲にしか見えなかったが、
チコにははっきりと見えるようだ。
「敵はここから東に行ったところにいるようですね」
「本当!? ありがとう、チコ!」
「ぐーぐぐぐーぐー!」
アルル、カーバンクル、セイバーは、チコの導きにより東に向かうのだった。
チコも杖を持って彼女についていった。
三人と一匹が東に向かっている途中で、セイバーはいきなり足を止めた。
「ど、どうしたのさセイバー」
「……一応、準備はしてきてるよね? らっきょとか、魔力を回復する薬とか」
「してるってば」
「ぐぐぐーぐぐ」
アルルは鞄を開けて、中身をセイバーに見せる。
その中には……ほとんど何も入っていなかった。
「……やっぱり、準備が必要みたいだね」
店に行って道具を購入したアルル達は、敵がいると思われる場所に向かった。
そこは、中から禍々しい気配が漂っている洞窟だった。
「なんか、いかにもって感じのダンジョンだね」
「ここに敵はいるみたいだ……みんな、行くよ!」
「うん!」
「ぐー!」
アルル達は、その洞窟に足を踏み入れた。
洞窟の中は暗かったので、アルルがライトの呪文を唱えて明るくした。
ある程度歩いていくと、毒々しい色合いの魔物が襲い掛かってきた。
「気を付けて、これはポイズンスネークだよ! 牙に噛まれると毒が身体に回るよ。弱点は寒さ」
「じゃあ、氷魔法だね! アイスストーム!」
アルルは吹雪を起こしてポイズンスネークを凍らせる。
「ぐぅっ!」
ポイズンスネークに腕を噛まれたセイバーの顔が青ざめていく。
セイバーがポイズンスネークが持つ毒に侵されたのだ。
「ピュリファ!」
「恩恵の雨!」
すぐにアルルとチコが回復魔法で毒を治療すると、
セイバーは剣を構え直してポイズンスネークに剣を振るがかわされる。
ポイズンスネークは攻撃をかわした後、再びセイバーに噛みついて重傷を負わせる。
「あうぐ!」
盾で防御した事により何とか毒は免れたものの、セイバーは重傷を負ってしまう。
「セイバーさん、無理はしないでください! ガイアヒーリング!」
チコはセイバーを下がらせた後、高位の回復魔法でセイバーを癒す。
「ふぅ……ちょっと無茶をしちゃったよ」
「当たり前でしょ、キミを死なせたくないんだから! ダイアキュート、ア・アイスストーム!」
アルルは増幅呪文を唱えた後、広範囲に吹雪を起こしてポイズンスネークを凍らせる。
「ガイアキューブ!」
そして、チコが地震を起こすと、ポイズンスネークは全滅するのだった。
「大丈夫だった、セイバー?」
アルルが疲れているセイバーを心配する。
体力自体は魔法のおかげで回復しているものの、
何度も毒を受けているためかスタミナが減少しているのだ。
「ちょっと疲れちゃった……。栄養剤でも飲んで、休もう」
そう言って、セイバーは休憩できる場所を探しに行った。
「ここなら安全だね」
アルル達は敵が入ってこない安全地帯を見つけ、セイバーは疲れを取るために栄養剤を飲んだ。
「ふー、生き返ったー」
「セイバー、世界を救いたいって気持ちは分かるけど、そればっかりに気を取られないでよ」
アルルの心配に対し「大丈夫だよ」と答えるセイバー。
やはり無理しているな……とアルルは感付いていたため、彼女の肩に手を置く。
「それが一番良くないんだよ、セイバー! キミが疲れてるの、ボク、お見通しなんだから!」
「あはは……友達の君にはバレバレか」
アルルの言葉にセイバーは苦笑しながら頭をぽりぽりと掻いた。
カーバンクルはな~に~? といった様子で首(?)を傾げている。
「友達、という事は……アルルさんとセイバーさんって、仲が良いんですか?」
「ボクはセイバーの事は全然知らないんだけどね、
無茶してるセイバーを見たら心配になっちゃって……やっぱりボクってお人好しだよね~」
「ぐーぐぐー」
お人好しなのは人間味があっていいじゃないか、というように鳴くカーバンクル。
楽しく会話をしている時に、セイバーの疲れは心身共に取れてきていた。
勇者としての使命、彼らならば共に請け負ってくれるかもしれない……と。
「じゃ、そろそろ休憩もおしまいにして、先に進もうか」
「ええ」
休憩を終えたアルル、カーバンクル、チコ、セイバーは、
魔物を倒しながら洞窟の奥に進んでいく。
暑かったり寒かったりと極端な気温の変化はなかったが、
辺りに漂う闇の影響で魔物が凶暴になっていた。
それでもアルル達は負けないように、魔物と、環境と、戦っていく。
「よし、これでこの辺にいる魔物は全部倒したね!」
ふぅ、とアルルが汗を拭うと、彼女の目の前に小さな鍵がからん、と落ちた。
「あ、これがもしかしてこのダンジョンの鍵なのかな?」
「そうみたいですね。あちら側から、邪悪な気配を感じますし……」
チコが指差した先には、灰色の、禍々しい気を纏った扉があった。
「あ! 本当だ! もしかしたら、この鍵を使えば……!」
アルルは扉に向かって鍵穴に鍵を差し込んだ。
すると、ガチャリと鍵が開き、ギギィと扉が重い音を立てて動き出した。
「さぁ、行くよ!」
「ぐー!」
「はい!」
「うん!」
アルル、カーバンクル、セイバー、チコは、この先にいる狂戦士を倒すため、
この先の地に足を踏み入れるのだった。
~次回予告~
カタストロファーセブンの一人と遭遇したアルル。
世界を滅ぼそうとする狂戦士と、世界を守ろうとする剣士は反りが合わなかった。
油断しては、カタストロファーセブンの野望を許してしまう。
アルル達は、この狂戦士を倒す事ができるのだろうか。