起きたら虚無の申し子   作:一億年間ソロプレイ

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ファフナーを一気見したので初投稿です
文字を書くのも初めてですが
それでもよろしければ見てやってください


第1話 目醒めた

 目を開けている筈なのに何も見えない。見えなくて真っ暗で静かな空間に響くのは波の音。それから、潮の匂いがひっそりと漂っている。複数の男女の声と、何も見えない筈なのに金色に光っていると分かる物体。自分の体を動かしてみたが、体は何かが生えているように動かすことが難しかった。

 

 <あなたは、そこにいますか>

 

 女性の声で問われたそれ。

 その問いに答えられるものを、未だ自分は持っていない。

 

 

 

 

 

 

 すっと、眠気が冷めていくように瞼が開いた。人の騒ぐ声や怒号やらで騒がしい、視界にはちらちらと人が忙しなく動いている。寝ぼけた目で見ていくと、目の前には黒い人型のロボットが威圧感を放っていた。

 

 (なんだこれ…)

 

 そのロボットにはたくさん人が集って何かをしている。そこから視線を外して周りを見る。俺が今いる場所の壁はSFモノとかでよく見るような白くて無機質な感じで、ロボットの目線の高さ辺りにガラス越しの場所がある。そこには白衣を着た人物と黒いスーツを着た男がいた。そいつらがコンソールのようなものを手早く入力している。

 

 何だか背中がむず痒い、そこだけ穴が開いてるような違和感がある。背中の方で何が起こっているのかと自分の体を見ても服に穴が開いてる訳でもない…。ロボットの方では背部のパッチが開かれて、たくさんのコードやらなにやらが露出していてツナギを着た人たちが何らかの作業を行っている様だった。ペンチやドライバーを持っている様子から、このロボットのエンジニアらしい。

 

 (あー…なるほど。どうりで自分の背がぱっくり開いた感じが……。)

 

 いやちょっと待て。普通に受け入れているが、普通におかしい。なんであの機体が自分ってナチュラルに考えてやがる。

 第一、自分は人間だった筈だ。確か、こうなる前は何かに疲れ果てて眠っていた筈だ。そして起きたらいつの間にかこんな場所にいて、かつ目の前のロボットが自分だと認識している。

 …エンジニアの人、とても忙しそうだけどちょっと聞いてみよう。

 

「すいませんここってどこです…」

 

 か。とは言えずに、訪ねようとした整備士は俺の存在に気付かず俺の体をすり抜けていった。

 

 まって、本当にどうなってるんだ。

 

 恐る恐る自分の体を見つめてみる。どこか透けた感じがある自分の体だ。でも本来、人の体は透けない。

 

 (ゆ、幽霊だ…これ…)

 

 

 

 

 

 

 

 

 状況を整理しよう。目が覚めたら、ロボットだった。ちょっと翼が生えて黒がベースでかっこいい感じだ、うん自画自賛だな。背中のむず痒さも整備士が背中のハッチ閉めたら収まったし、そのせいで自分があの機体兼幽霊なのも納得してきた。目の前で整備されている自分を動かそうとしても動かない、ロックが掛かっているようだ。

 それから俺の名前を思い出そうとすると機体コード:マークニヒトと出てくる。俺、そんなカタカナの付いた名前じゃなかったぞ、絶対に。いくら飲んだくれでもろくでなしでも自分の名前くらい覚えてる筈だ。でもマークニヒトという単語しか出てこないので俺の今の名前はマークニヒトなんだろう。

 それに、名前だけでなく眠る前までの記憶がほっとんど無い。何かキーワードがあれば思い出せそうな気もするが、大体俺は男で、ロボットになる前は寝ていたってことしか思い出せない。

 

 どういうことだよと考えて、漫画やアニメを嗜んでいた自分から出たのは転生と憑依の文字。整備されてるニヒトの機体も自分だけど、今浮遊しながら上下に回りながら考えてる幽霊のような俺も俺だ。体が二つあるといえばいいのか、不思議な感覚だ。

 ちなみにこれが夢だという考えはすぐ消えた。いくら頬をつねっても俺(ロボットの方)を蹴ったら足の親指と蹴った箇所がめちゃくちゃ痛くなった、それでも醒めなかった。現実は無常だ。 

 

 

 

 うっ

 

 

 

 ちょ、待って、何か脳に繋がれてる感覚がする!ぞわぞわする、とてもぞわぞわする!

 

 

  ジークフリート・システム ファフナー 同化現象 変性意識 シナジェティックコード計測 フェストゥム

 

 

 頭にパッと知らない単語が浮かんでくる、それと同時に説明も入ってくる。なるほど、情報の入力だったのか。知らない単語の筈なのに、でも何処か馴染みのある単語のような、そうでないような…。

 脳のぞわぞわも落ち着いたようだから、入力されてきた情報を見ることにする。何かしらの単語が記憶を思い出すきっかけになるかもしれない。

 

 

 さっきまでロボットって言ってたけどファフナーって言うのか。しかも世界に二つしかないザルヴァートル・モデルとやら。設計思想は【より多くのフェストゥムを倒す】。見ていろ日野洋治、…最後のは私怨じゃないのか?

 フェストゥムってなんだ、そんなに殺したい生物?人?種族か民族の名前?

 

 フェストゥムは…金色の体をしたケイ素生命体。特徴的なのは同化現象と読心、ワームスフィア現象。常に学習し進化するので厄介と。とりあえずコアを潰せば活動は停止すると。問い掛けにもあまり答えない方がいいのか。

 ファフナーはフェストゥムに対抗できる有人兵器。ファフナーのパイロットは機体と一体化して戦う。その際に変色体に変異が起きてしまい、寿命を縮めるのが主な特徴。もうちょっとマシな武器は開発できなかったのか…。しかもそのパイロットの条件も限られてるようだし、適性の持ったパイロットがうじゃうじゃいるのか?と思ったがこのザルヴァートル・モデルや他のモデルが特殊なだけで、軍で使用されているモデルではそうではないようだ。リスクを持った分だけ攻撃力が上がるってことなのか…。

 

 おっ、自分に搭載されている武装も確認できるのか。肩のホーミングレーザーにアンカーユニットによる動作妨害兼ハッキング処理。確実に殺せるように、みたいな殺意マシマシの武装だ。…えーと、設計者はミツヒロ・バートランド。この人、フェストゥムにどれだけ殺意抱いてんだよ、設計されてる側から見ても怖えーよ。

 

 

 一旦、情報の読み取りを止めよう。頭が痛くなってきた。頭が痛いというか、体全体が熱い。ちょっと冷まさなければ…。

 

 ん?胸のあたりがそわそわする。エンジニアたちが胸の部分の整備を始めたようだ。

 

 

 

 

 

 あっちょっと、もうちょっと丁寧に胸のパーツを取り外し…痛っだぁ!?

 

 

 

 

 

 

 …。

 

 

 

 

 

 うん…。

 

 

 

 なんだか自分が機体になってる感覚が普通になってきたが、俺は人間に戻れるのだろうか。戻れるなら早く戻りたい。戻ったらやらなければならないことがたくさんあるしな。

 

 

 

 

 

 

 





次回


突撃!隣の竜宮島~ミツヒロを添えて~
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