起きたら虚無の申し子   作:一億年間ソロプレイ

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~重要なお知らせ~

端的に言いますと内容の変更をしました。
理由は自分の力量不足と考えの甘さ、ファフナーにおける知識不足です。
久しぶりの更新がこのような形になってしまい誠に申し訳ございません。
内容の変更は◇の下から行っております。
読者様方には、これからの展開を暖かく見守っていただければと思います。




第10話 俺と鳴き出したクジラ ※お知らせ

 陸に出れば空から謎の視線を感じ、人類軍が来る。

 そういったことで、移動は常に海中で行っている。

 海の中へ潜ればその視線が消えるし、人類軍の追跡もやって来なくなるからだ。

 

 しかし、クジラと海中水泳を楽しむのは嫌いではないが、ずっと海中に潜っているのも如何なものかという理由でたまに陸へ出ることがある。

 とある無人島の浜辺であったり、空を飛んでみたり、結晶で出来た土地で少し休んでいたりしていると、人類軍は姿を現すようになった。

 

 まぁ…順当に考えれば謎の視線が俺の位置を把握し、何らかの手段で人類軍に位置情報を送っている、ということなのだろう。

 元々北極大戦は新国連が衛星奪還の為に行っていたものだ。もしかすると北極大戦で目当ての人工衛星が手に入って、俺の位置を確認しているとも考えられる。

 どちらにしても位置を特定されるというのは、とても厄介だ。あの視線がある限り、俺の位置情報は丸わかりだ。とはいっても、上空に雲や何かしらの物があると認識を手こずるらしい。島に生えている密林や、曇りだった時はあまり上空からの視線を感じなかった。

 では曇りの日に海から出れば?と言われても地域によって天候は変わりやすくなる。出た当初は曇りだったが急に晴れて人類軍が突撃してくる、なんて自体は何回か起きている。

 

 …それから個人的な感情だが、曇り空よりもやはり、晴れ空の方が空を飛んでいる心地がするからな。晴れている時に空を飛びたいと思ってしまう事が多々あり、何度も襲撃を受ける羽目になってはいる。俺の落ち度だな、うん。

 追跡してくる人類軍のファフナーの足を壊して武装解除させるのは大変面倒だが、人命を落とさせるよりはいいだろうと思う。今も作業が終わって海に潜るところだ。さらば晴れ空。

 

 

 

 

 海に潜り、クジラと並走する。

 

(…この前陸へ出た時は凄かったな。ここで休もうと思った場所がフェストゥムの巣だった。)

 

 見渡す限り金色、金色、金色で一瞬同化されることを覚悟した。こんな一斉にやられたら回避も出来そうにない、と思っていた。

 しかし、そこのフェストゥムは俺に一切攻撃をしてこなかった。クジラのように寄ってくることは無かったが近寄ってみても同化されたりなんてことは無かった。

 

 その時は人類軍が連続でやってきて疲労が溜まっていたので、少しばかり場所を拝借して休ませてもらった。クジラは海から顔を出しながら海上を回るフェストゥムと戯れていた。

 

 正に、平和といった様子だった。

 自由にフェストゥムは浮き、ミールらしき物体の周辺を様々なタイプが浮遊している。

 フェストゥムの生態をちらりと覗き見したような感じだった。

 そして、クジラを見て感じていたことが少し立証されたような気もしていた。

 

 フェストゥムが人間の感情を学び始めた。

 

 きっかけはやはり、あの北極大戦だろうか。一体誰が学ばせたのかなんてことは、蓬莱島のミールの元に退散していた俺には知る術がない。そのようなことを考え、休ませてもらった場所から俺は去った。

 

 

 そこからは海中で移動し、たまに陸へ出て日干し、後に人類軍を対処して…の繰り返しだ。途中クジラと同じ形のフェストゥムがいたが、そのタイプをクジラは積極的に食べた。いや、同化したという言葉が正しいか。一瞬で見つけて丸呑みし合って、同化し合った末にクジラが残っていたが…ともかく、クジラのお陰でフェストゥムと戦わずに済んでいた。

 

「お前も…結構、いや大きくなったな……。」

 

 隣を泳ぐ金色の巨体を見る。

 同化を繰り返したクジラはとても大きくなった。甘噛み(らしい)行為が、丸呑みになる位には大きくなった。

 クジラはどうだ凄いだろう、と言わんばかりに体を揺らした。クジラにとって些細な揺らしであってもその巨体によって隣を泳ぐ俺はぐらぐらと揺れる。

 

(いずれは小さな島なんて一飲み出来てしまいそうな程大きくなったりして。)

 

 そうなった場合、もう隣で泳ぐよりかはクジラの胴体に乗って移動した方が早いかもしれない。いつぞやか見た漫画みたいなことが出来たりしてな…。

 蓬莱島で見ていた鮫と意思を疎通できる少年の漫画をふと思い出した。

 

「いや、クジラでやるには些か表面がつるつるとし過ぎか。」

 

 それに掴める背びれも無いし。

 

 ん?何だクジラ。急に口を開けて…。

 

 

 あっ。

 

 

 クジラの内部は凄かった。

 内部でアンカーユニットを総発射したら出してもらえたが、クジラにも感情があるということがこの件でよぉく分かった。

 

「分かったからもう丸呑みはやめてくれ。な?」

 

 新たに見つけたフェストゥムの巣でそう弁明した。

 

 

 

 

 クジラの成長は留まることを知らずにぐんぐん大きくなった。それから不思議な鳴き声らしきものを出すようになった。俺には言語化できない類の音声で、ひとしきり鳴き終わるとぐるっと振り返って俺を見る。

 それに「何をやっているか分からない」という意味を込めて肩を竦めれば丸呑み。拍手すると体を揺り動かして激しく喜ぶ。その際にも何かの鳴き声を上げるようになった。

 

 何となくクジラが音声でコミュニケーションを取ろうとしているのは伝わってくるんだが…。

 

(何か言おうとはしてるんだが、俺には何言ってんのか分からないんだ…)

 

 肝心の言語が分からない。英語でも無いからなんか海洋生物かフェストゥム独特の音声だと思う。俺は学校へ行って教育を受けてはいないから英語は軽くでしか読めないんだが。

 

「-----!ーー----------!」

 

 …それにクジラが鳴くと大抵のフェストゥムが反応してやってくる。知り合いなのか他人なのか、それをクジラが丸呑みして強制的に同化してまたクジラの体格が大きくなるの繰り返しだ。

 おかげでクジラの上に寝そべりながら快適な旅行を楽しんでいる。まぁ機体の俺を日向干ししていると高確率で人類軍がやってきて撃退しなければならなくなる。

 最近人類軍関係で笑えたのは網を持ってきたことだな。特殊な素材でも使っているのか日干ししている機体の俺に網を被せて機体の俺を持って行こうとしていた。しかし、日向干ししている地面はクジラだ。勝手に上に持って行かれる俺を網ごと食い千切って海中に潜った。折角の日干しがパァになったが、「網持ってくるのか」と機体の俺の内部で俺は笑い転げていた。

 

 そんなこんなでクジラと快適に旅行している訳だが…。何やら見覚えのある島が目前に見える。

 

(もしかしなくても、竜宮島じゃないか?)

 

 アルヴィスは周囲から見えないようにヴェルシールドが展開されている筈なのに奇妙だ。そんな丸見えだったらすぐさま人類軍が突撃してきている筈だ。

 竜宮島から少し離れたところに見覚えのない艦隊が見える…が、フェストゥムの巣だ。フェストゥムの反応が大勢ある。一部反応が弱いのか緩く点滅もしている。ファフナーの反応も数機見られる。

 

(ヴェルシールドの剥がれた竜宮島にフェストゥムの巣…もしかして敵襲でもされたのか?)

 

 だったら助けた方が良いのか…?それにしては両者とも動いていないから何らかのことでも起きたのか。

 

 紫色を帯びた雲の合間合間から頭上からの視線を感じる。このままヴェルシールドを未展開のままだと人類軍でもやってきて攻撃そうだな…って。

 

(言った側から来やがったあいつ等!)

「ーーーーーー」

 

 絶対碌な事しない。蓬莱島を破壊したんだから絶対あいつ等は竜宮島だって破壊する。

 その証拠に遥か上空に飛行船ならぬ爆撃機が飛んできている。

 

「ごめんクジラ。ちょっと潜っていてくれ。

 …、それから人と応戦しても決して殺すな。」

「----」

 

 推進ユニット、アンカーユニットの調子も万全。とはいえ、最近はまったく動かしてなかったから軽く動かして…よし、大丈夫そう。

 

(おっしゃ、飛ぶぞ)

 

 推進ユニットを起動させて空を飛ぶ。ガソリンは無料で無限だ。かっ飛ばしていく。

 クジラから見た時は粒状だった人類軍の飛行船がはっきりと見える。大きい飛行船の周りを小さい飛行船で囲んでいる。取り合えずデカい方からハッキングしてみる。明らかに何か積んでる大きさだ。

 

 無防備な背中に降りてアンカーユニットを一本ぶっ刺す。

 途端にコクピット内に利用者権限でアクセス出来ないという表示が出るがこのマークニヒトには関係ない。アンカーユニットからウォール機能を無効化するウィルスを流しこめば勝手に開けてくれる。なんて親切な設計なんだろう。

 

 画面上に浮かぶ機体情報から渡航記録、積まれた爆弾の情報まで脳内に記録されていき人類軍のやりそうなことだと思った。

 

「好きだよなぁ…核を使うの」

 

 それで母の様な日本人たちは人も土地も半分以上が消え去った。日本人が人類軍とフェストゥムの追撃を逃れるために作った楽園がアルヴィスだった。

 作られたアルヴィスは三つ。その内二つは消滅。残りは竜宮島だけだ。純粋に日本人と言える人たちも、アルヴィスを作った人たちが守りたかった人たちも。

 

「壊させる訳にはいかないんだよ」

 

 蓬莱島はもう滅んでしまった。確かに俺の故郷だった場所を滅ぼされたからだとしても、他の島まで滅んでしまえと願う程俺は傲慢じゃない。

 

 核の使用権限を奪う。ボタン一つでも遠隔操作も出来ないように、確実に発射させないようにシステムを凍結。それから他の爆撃機にもアンカーユニットを伸ばし、同じことをする。

 おまけで全ての爆撃機の操作をオート操作に変更しておく。流石人類軍、爆撃機にもオート操作なんて物を使ってらっしゃる。おかげで平和的に戦線離脱させる手間が省けた。

 

「てことで、数時間の旅行を楽しんで来い」

 

 アンカーユニットを引き抜いて最寄りの人類軍基地にまで飛ばさせて終了。二度と核を使ってくるな。手間がかかる。

 

 空から見下げればフェストゥムの巣はどこかへ離れていっていた。何だったんだアレ。

 俺もクジラの所に戻るかと思い、海上へ近付けばファフナーの反応がいくつも集まっている。

 

(って、クジラァ!)

 

 何という事だ、クジラがファフナーの攻撃から逃げ回っているところだった。

 

 

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