起きたら虚無の申し子   作:一億年間ソロプレイ

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ここら辺大幅に修正するかもしれません(血涙)

とても文字書くのが難しいです。大人達の口調も合ってるのかが不安らぁ…!


「ねぇさかき。今度はどんな話を聞かせてくれるの?」
「今日は…これにするか」



第5話 守れたもの、失敗したもの

 第一アルヴィスの医務室。

 白いベットにて、抱き合う影が二つあった。

 

 「道生っ!良かった、無事で良かった…!」

 「おいおい、泣くなよ弓子。

 言っただろ?生きて帰るって。」

 「でも…!あのまま戦い続けていたらと思うと私、私…!」

 

 あのまま、あの機体が道生を殺してしまうんじゃないかと出そうになった言葉を飲み込んだ。

 

 活動限界を迎えて同化現象を起こす前に、あの機体に殺される前に、道生が生きて帰ってきてくれて良かったって心の底から思う。

 そうやって泣きじゃくる私を、道生はそっと抱きしめてくれた。

 …上の方から聞こえてきた、鼻をすする音は聞こえなかったことにした。

 

 

 「ねぇ、道生。私ね……」

 

 

 二人だけの、幸せな時間。

 弓子は思い切って、自分の体に起きていることを伝えるのだった。

 

 

 ◇

 

 

 夜中のアルヴィスの医務室。

 豊かな薄茶色の髪の女性と無愛想な顔をした男性が向かい合って座っていた。

 女性がデータの記載されたボートを男性に渡す。そのボートを興味深そうに男性は見つめた。

 

 「真壁司令。例の島から解析できたデータですが…すみません。

 詳しい説明は全て破壊されていて復元不可能でした。」

 

 そこに説明文は無く、例の島から持って帰ったデータの一部を解析し、出現した単語を記述してあるだけの物であった。

 しかし、そこに引っかかる単語があった。

 史彦は、その単語を指でなぞった。

 

 「リディル・モデル…これは一体。」

 「はい。恐らくですが、蓬莱島はティターン・モデルに代わる新型モデルを開発していたのではないかと。」

 「…そうですか。」

 

 ティターン・モデル。竜宮島にとって苦い思い出であり、決して忘れてはならない者達が使っていたモデルだ。機体に直接ジークフリード・システムを搭載し、パイロット同士の連携を強めてフェストゥムの読心能力を防ぐことができる。

 しかし、現在使用されているノートゥング・モデルよりパイロットの負担は多く、同化現象も比にならない程の早さで起きる代物であった。

 

 史彦は瞬きをし、思考を切り替えた。

 

 「…他にもファフナーに使用できるコアの生成技術もありますね。」

 「えぇ。蓬莱島が今の私達よりも高度な開発をしていたのは明確です。

 医療関係のデータは復元できましたが、ファフナーに関するデータはこの有様です。」

 

 そういって千鶴は声を暗くした。

 頭を軽く振り、史彦は言った。

 

 「いいえ、そう気を落とさないでください。貴方のお陰で、あの子たちは生きていられるのですから」

 

 蓬莱島から得られた医療技術は先進的であった。可能な限り同化現象を抑える同化抑制剤の改良データ。同化現象の末期症状段階での肉体の結晶化を可能な限りに抑える研究データなど。それらのデータを利用し、第一アルヴィスの医療技術を進歩させ、パイロットの生存に繋げている。

 

 

 二人は暫し話した後、解散した。

 

 

 ◇

 

 

 吹雪く北極にて、座り込む影が一つ。

 

 

 「私は…何故このようなことを?」

 

 

 青年はフェンリルを解放したコアと分かたれた我々と共に北極へと移動していた。

 

 

 

 自らがあのコアと話したがった。

 

 

 

 その事実に震えながら、青年は傍らに落ちているコアを見つめた。無機質に転がる姿に、懐かしさを感じる僧服を着た姿は見えない。

 

 自分自身でも理解の出来ない行為をしている。それが理解できない。

 アルヴィスの子に対してこのような行為は起こさない。

 

 それでも目の前で落ちているコアに対しては、自分が理解の出来ない行為を起こす。

 

 …このコアの肉体はフェンリルと共に消え去ったが、核であるコアと、マークニヒトを同化した際に構造も理解した。マークニヒトの増産は容易い筈だが、何故だか増産したくないと感じている。

 

 そう感じた事の理由すら分からずに、青年は行動を起こす。

 

 アルヴィスの子をミールと接続させ、人類を滅ぼす戦法を学ぶために。

 

 

 ◇

 

 

 火照るように淡く薄紅の色を反射する竹林。有象無象に生えた竹林のその一つ。中心部にある、一際大きな竹の根本に寝込む影が一つ。

 笠を付けた僧服の男が寝込んでいた。

 

 暫くすると、その男が目覚め大きく溜息を吐いた。

 

 「まーだ、生きてんのか…」

 

 解放されたフェンリルと共に死ぬべきであった身が、またもや竹林に存在している。自己意識が存在していることに憂鬱だと言わんばかりに項垂れた。項垂れた際に、一つに結ばれた黒髪が垂れて首を擽った。

 

 通常、ファフナーに人の遺志は残らない。それでも何故か、俺は未だに生きている。遺志を持った、意思を持っている。

 だからこそ、フェンリルを解放する道を選んだ。俺と諸共、あの可哀想で、純粋であったコアを消し去るために。

 

 

 しかし、この現状は何だ。

 

 片手で顔を覆った。失敗だ。これは失敗した。竜宮島に伝えられた意思も成し遂げられなかった。

 

 (酷い失敗だ。これでまた、フェストゥムに余計な物を学ばせてしまった感が強い。)

 

 とはいえ、俺にフェストゥムと会話する能力はない。竜宮島のコアの言ったことなんて半ば無理なことだった。

 

 

 「フェストゥムに悲しみを伝えろとかさぁ…。

 俺には自爆一択しかないのになぁ…」

 

 

 無理言ってくれるぜ。

 

 つらつらと自分のやってきたことを思い返せば返す程、後悔が募るばかり。

 それでも、ふっとした瞬間にあの人の言葉が浮かんでくる。

 

 

 どれが答えかも分からない。それが人生である。

 何も整備されていない道を進む。迷い続けて進む道である。

 

 

 そのようなことをあの人は言っていた。

 

 

 青年は覆った片手を戻し、体を立ち上がらせる。

 

 

 

 「どこにも無いのに、探すしか無くて、進むしか無いのかよ」

 

 

 

 身長を軽く超す竹林を、歩く影が一つ。

 




次回


拝啓、教えてくれた君へ


「なんでその子だけは死んじゃったの?」
「なんでだろうな?」
「他の四人は生きてるのに…」
「…そうだなぁ。」
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