ゴトランドさんは指輪が欲しいようです。(初期艦縛り) 作:島国住み
主な登場人物
ゴトランド:Gotland級 1番艦 軽(航空)巡洋艦
相変わらず自分の事を初期艦だと思っていること以外はいたって普通の艦娘。
通常時と中破時で提督の食いつき具合が違うことを最近発見し、複雑な心境に陥っている。
自然な感じであればスキンシップは大歓迎。
吹雪:吹雪型 1番艦 駆逐艦
威力110、命中70。 天候があられで必中になる。
ドジっ子だと言われているが、そんなにドジではないと本人は主張してる。
パンツにまつわるトラブルに巻き込まれやすい。
提督(司令官)
夏になると名取と五十鈴を重点的に運用し始める。
飽きっぽい性格である一方で自身の欲望には非常に忠実。
自然な流れで指のサイズを聞く方法が分からず悩んでいる。
「いやー、やっぱゴトは仕事が正確で助かるなぁ」
「うふふ。褒めても何も出ませんよ?」
今日は私が秘書艦♪
でもそれだけじゃない。今日は
コンコン
「戦績を見てくるように頼んでたし、吹雪かな?入ってきていいぞー」
フブキね……よし!
「司令官! 連絡が届きまs「フブキ。ちょっといい?」
「へ?」
この時、不思議なことが起こった。
執務室に入ってこようとするフブキはいなくなりドアも閉まった。一瞬で。
そしてなぜか
「な、なにが起こったんだ……?吹雪は消え、代わりにパンツが現れたぞ……」
ドアの向こうからも声が聞こえる。
「あれ?なんかスースーする…………えっ!?私、ちゃ、ちゃんと履いてたのに……??」
ひとまずは成功みたいね。でもこのままじゃ収拾がつかなくなるから正常な状態に戻さないと。
「フブキ、話の骨を折ってしまってごめんね。もう一回言ってくれるかしら?」
「え。で、でも……今ちょっと取り込み中で……」
「お願い」
「えっと……し、司令官、 連絡が届きました」
すると……
さっきまで白のパンツがあった場所にフブキが立っていた。
「あ、あれれ?私、さっきまで廊下に……?」
「うわっ!……吹雪だ。パンツじゃない……どうなってんだ?」
「と、とりあえず。これが報告書です……」
「……ありがとう。何か飲んでくか?」
「大丈夫です。なんか私、疲れてるみたいで……自室で休んでます……」
「そうか。ご苦労だった」
「はい。失礼します」
バタン
……成功だわ!
やっぱり私の思っていた通りだわ。私たちの行動の中には
ということは会話を無理やり中断すれば行動も無理やりキャンセルされるはず……
見立ては合っていた。
パンツだけが執務室に現れたのは予想外だったけど。フブキの本体はあのパンツなのかしら……?
フブキをフブキたらしめているのは何かという議論は置いておいて……
ここでの大きな発見は世界が安定した状態でもルールに介入できるってこと。
大規模作戦が近づけば世界がカクつく瞬間がきっとある。その時を狙えば世界を改編……もとい、修正することだってできるはず!
そのための場所にはもう目星はついている。資料室だ。
資料室には艦娘なら特に制限なく入れるし、資料も閲覧できる。
でも資料室にある
あそこがいわば裏側の世界の入り口なのだろう。
方法に目星は着いた。後はタイミングを見て実行するだけ。
「う~ん。吹雪をパンツだと誤認するなんて俺も疲れてるのかな……」
「提督は働きすぎなんですよ。限界まで資源を貯めて……大規模作戦の準備にこんなに熱心だった時ってありましたっけ?」
「いやぁ……今回は特別なんだよ」
「特別?」
「今回でやっと練度が……いや。なんでもない」
私のことだわ。
「…………よし!最終チェック終わり!備蓄はバッチリ。あとは発令を待つだけだ。……明日に備えて今日はここらで切り上げよう」
「はい♪」
大本営の予告では明日から大規模作戦が始まる。
大規模作戦の前日は大抵の場合、提督はこうやって仕事を早めに終わらせる。そして自室に戻って作戦が開始されるまで
普通に考えたら提督はただ寝てるだけなのだけど……世界がカクつくのはこの提督が寝ている間が一番多いのだ。
これは完全に憶測でしかないのだけど、世界が
提督も私たちもこの世界のルールに従ってる。だから準備中の間は、提督は起きてこない。
勝負は丑三つ時……提督が寝てる時に決まる。
まずは私もいつも通りここで提督とお別れして、自室で機会を待ちましょう。
■■■
……そろそろね。
さすがに作戦前とあってこんな時間まで飲んでる人はいないわね。
提督の私室には鍵がかかってる、か……
ま、合鍵を持ってるから問題ないけどね。そう遠くない将来私は提督のケッコン艦になるんだから同然よね?そもそも私、初期艦なんだし持ってないほうがおかしいわ。
カチッ
開いた開いた。さぁ寝顔を拝見……じゃなくてさっさと済ませないと。
「提督、起きて起きて」ユサユサ
「ん~~~~~??もう作戦の時間か……って真夜中じゃないか……」
今ね!
「作戦完了。艦艇、戻りました。ふぅ……よかった……」
「へ?ゴト、今出撃してないんだから帰投できな───」
世界が一度カクっと大きく動いた後、止まった。
そう。私は出撃してない。
セリフと行動がセットになっているならセリフを言えば対応した行動をとったことにもなるはずだ。でも今は準備中の世界。艦娘が帰投するなんてありえない。
ただでさえ不安定な世界にカオスを追加でトッピングすれば……ソリトンは破られる。
この状態がいつまでもつか分からない。さっそく編纂室に行かなくちゃ。
編纂室は……開いた。
普段は鍵がかかっているのに不思議ね。
編纂室は全体的に埃っぽかった。棚という棚にはこの鎮守府に在籍してる艦娘の名前が刻印された紐とじ製本が並べられてあった。きっとここに書いてあることを変えればいいのだろう。
えーっと……ゴトランド、ゴトランド……あった!これって着任順に並んでるのかしら?後ろの方にあったわ……
それも今日まで!さっそく
備考欄のところに『初期艦』っと……
こっちはオッケーね。次はイナヅマだわ。多分一番最初にあるはず……
ん?なんか所々埃が薄い所があるわ……あっ、これ……『大和』って……
どういうことかしら?ヤマトはいなかったはず……
開いてみたらギョッとした。全ページ真っ赤な色で執拗に×印が乱雑に書かれていて、しかもビリビリに破られている。元々どんなことが書かれていたのかも分からない。
気味悪いわ……どうしてこうなってるのか気になるけど、時間もないしとっとと用事を済ませなきゃ
あった。イナヅマ。備考欄には……初期艦。しれっと書いてあって本当にムカつくわ。
二重線を引いて……ハンコどうしよう。拇印でいっかな?エイッ!
私の製本を一番最初に置いて、これで完了!
扉をちゃんと閉めて部屋に戻りましょ。
歴史はきちんと正された。あとは大規模作戦を成功に導くだけ!
ゴトランドは真理省の職員に向いてると思う(誉め言葉)