ゴトランドさんは指輪が欲しいようです。(初期艦縛り) 作:島国住み
青葉(記者クラブ代表):えー、一部の艦娘から『大きい艦娘ばかり贔屓している』と批判の声が上がっております。ソウダソウダー
…………………………オホン。これについて提督、どうお考えですか?
提督:私は『艦娘総活躍時代』の実現を目指して艦種にとらわれない人材採用に取り組んでいます。潮や村雨といった駆逐艦も秘書官に登用している実績もあります。そのような指摘は全くの事実無根であり、ご指摘には当たらない。
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主な登場人物
電:暁型 4番艦 駆逐艦
初期艦。初期艦。(大事なことなので二度言いました)
そろそろ練度が最大になる。
最近妙にソワソワしてて姉たちに心配されている。
ゴトランド:Gotland級 1番艦 軽(航空)巡洋艦
遂に肩書が発言に追いついた。
有言実行の人。不正を憎み、真実を愛する模範的艦娘。
朝は何事もなくやってきて、予定通り作戦が発令された。
あまりにも滞りなく作戦が進むから世界が変わった気がしない。
確認しないと安心できないわ。
「提督」
「どうしたんだ、ゴト?」
「初期艦は誰かしら?」
「初期艦?電に決ま……?あれ?あれ?」
「私の目を見てもう一回。初期艦は、誰?」
「…………………………オモイダシタ。ショキカンハ、ゴトランドダ」
「そうよ♪」
一瞬ヒヤッとしたけどちゃんと成功してたわ。
残る障害は練度だけ。これさえクリアすれば……
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私はあとちょっとで、本当にあとちょっとで練度が最大になるのに、どうしてイナヅマが一番先に練度が最大になるのよ……
ああ、もどかしいわ。とはいえちゃんと入渠して傷を治さないと……
ん?イナヅマが一人で……執務室の方向に行こうとしてる。絶対何かある。後をつけよう。この期に及んで抜け駆けされるわけにはいかないわ!
コンコン
「電です。その……は、話があってきたのです!」
「いいぞ」
「しつれいしますなのです……」
バタン
む。中に入ってしまったわ。仕方ない、聞き耳を立てるのはあんまり褒められた行為じゃないけど……今は非常時。やるしかないわ。
「私、練度が最大になったのです」
「ああ。おめでとう。本当は記念にちょっとしたパーティの一つや二つは拵えたい気持ちはあるのだが……あいにくまだ作戦中だからな。今は少し我慢してくれ。それで、話というのは?」
「司令官さんは察しが悪いのです。
「約束?」
「はいなのです。私、この日をずっとずっと待ってたのです……」
「えっと、何の約束だ?」
「と、とぼけないで欲しいのです!そ、その……ケッコンカッコカリの相手は……」
「ああ!もちろん覚えているぞ。忘れるはずがないじゃないか。ケッコンカッコカリの相手は初期艦にする。ずっと前からこの考えは変わらない」
「そうなのです。だから……」モジモジ
「だから?」
「は、恥ずかしいのです……こういうのは司令官さんのほうからぷ、ぷろぽーずするものだと思うのです……」テレテレ
「俺が?プロポーズ?……電。約束の内容はちゃんと分かってるよな?」
「分かってるのです。……その、どうしてじらすのですか?待ちきれないのです。いじわるは嫌なのです……」
「分かってないじゃないか。俺は初期艦とケッコンカッコカリするつもりなんだぞ」
「だから私……」
「何言ってるんだ?俺の初期艦は
「…………………………へ?」
「なんでそんな驚いてるんだ?ゴトが初期艦なんてみんな知ってるはずだと思ってたんだが……別にお互い隠してたわけでもないしな……」
「……笑えないのです」
「あんまりなのです」
「そんなの、そんなのってないです……」
「酷いのです。なんでそんなに酷いことを言えるんですか。私がこの日のためにどれだけ頑張ってきたか司令官さんは知ってるはずなのです。知ってて、そうやってとぼけるんですか最悪ですなんで理由があの女になるんですか信じられないのです信じられないのですそんなことありえないのです」
「お、おい!本当にどうしたんだ。俺は冗談を言ってるわけじゃないぞ。電、君は思い違いをしてる。落ち着いて、落ち着いて考えてくれ。俺の初期艦はゴトランドだ。そうだろう?信用できないなら他の艦娘に聞いてみてもいい」
「……………………………………………………」
「どうだ?落ち着いたか?」
「…………その前に、ひとつ、聞きたいことがあるのです」
「おう。いいぞ。何でも聞いてくれ」
「私は、電はいつ頃着任したのですか?」
「電か?……えっと……割と最近だったと思うけどなぁ……」
「…………………………分かったのです。」
「大丈夫か?」
「はいなのです。確かに初期艦はゴトランドさんなのです。私が初期艦だと思い違いをしてしまっただけなのです。……きっと最近の激務で疲れていたせい、だと、思うのです……」
「…………俺は妄想に囚われるまで電を働かせてしまったのか」
「ち、違うのです!司令官さんは悪くないのです!悪いのは…………………………私なのです」
「いや。俺の責任だ。とりあえず2,3日休んでくれ。編成の変更については俺がなんとかするから電は何も心配しなくていい」
「本当に大丈夫なのです。さっきは取り乱してごめんなさいなのです。編成はこれまで通りでお願いするのです」ダッ
「あっ、電!」
まずい。こっちに来るわ。
バタン!
「……あ。ゴトランドさん」
「イ、 イナヅマ。その……ちょっと提督に用事があって。提督は今いらっしゃるかしら?」
「いらっしゃるのです。…………………………あの!」
「?」
「……少しゴトランドさんに聞きたいことがあるのです。いいですか?」
「いいわよ。何かしら?」
「司令官さんの初期艦は
「……ええ。そうよ。それがどうかしたの?」
「…………いえ。何でもないのです。やっぱり私、疲れてるのです……」
……行っちゃったわ。それにしてもイナヅマはかなり順応が遅いわね。今まで初期艦の座を不当に占拠してたからその名残が強いのかもしれないわね。
完全に記憶が修正されるんじゃなくて、世界を変えても変更前の記憶が残ったりするのね。
危なかったわ。あんな約束があったなんて……
でもこれは私が提督と運命の糸で繋がれてたっていうこの上ない証左だわ!
イナヅマじゃなくて
初期艦なのに遅れて着任してしまった私のために提督は約束を墨守してたのね。
私たちを妨げるものはなくなった。うふふふふふふふ……もうすぐ、もうすぐだわ。
ネタで書き始めたのになぜか雰囲気が重くなってしまった。
まるでゴトランドが不正を働いた悪者みたいじゃないか。手腕不足でギャグ調にできなかった……