冥府神ハデスさんここに参上! 作:やられちゃった
ユグドラシル。
日本なDMMO-RPGの中でも特に人気なゲーム。
DMMO-RPGといえばユグドラシルという程のものだ。
色々同じジャンルのゲームはあれどこれには叶わない。
かく言う俺もこのゲームに魅了された1人と言える。
キャラを作り込み、仲間たちと極め合い、腕を磨く。
このゲームだからこそと言えるだろう。
だが、その楽しい時間も永遠には続かない。
12年続いたこのゲームもそろそろ幕を閉じようとしている。
まぁ、仕方の無いことだとは思ってはいるが、この12年間注ぎ込み続けたお金が戻ってこないかと思うと少々痛い気持ちになる。
楽しければ問題ない、とどこかで思ってはいるけどね。
ん、あぁそうそう、自己紹介がまだだったね。
俺の名前は…リアルの名前はいいか…。
仕切り直して、俺の名前はハデス。
気軽にハデスさんとでも呼んでね。
ロールプレイ重視にやっていたのだが、少々キャラを作りこみすぎたようでね、このキャラクターのモデル、新・光神話パルテナの鏡のラスボス、ハデスさん…、冥府神ハデスさんが誕生したと言うわけよ。
ま、それも今日で終わりみたいだし?
モモンガきゅんに挨拶でもしておこうかねぇ。
モモンガきゅんとはギルド、アインズ・ウール・ゴウンのギルド長。
死の支配者にして最強のマジックキャスターだ。
彼はまだ円卓の間にいるだろうか、それとも玉座の間?
まぁ、迎えば住むことだ。
最近仕事が忙しく、月に1回のログインとなっていたが、モモンガきゅんは1人でギルド維持費を稼ぎ続けていたのだ。
そんな彼を待たせることなど出来ないしね。
「やあ、モモンガきゅん。ギルド武器がどうかしたのかな?」
こちらに気付いていないのか、彼はギルド武器を手に何かを考えているかのようだった。
「…!ハデスさん?来てくれたんですね!」
さっきまでの暗い雰囲気はどこ行ったのよ。
モモンガきゅんは驚いたかのように、こちらを確認し、驚きを示す絵文字を浮かびあがらせる。
「今日は最後でしょ?ならば最後らしく、そこら辺のプレイヤー達に冥府神のお遊びの手伝いをしてもらってたのよ。」
そう、お遊びだ。
俺こと、ハデスさんは気まぐれで他ギルドを襲撃、またはプレイヤー達にお遊びと称し奇襲を仕掛けている。
大手のギルドは狙わず、あまり強くないギルドに。
「ははは、最後にハデスさんに狙われるだなんて可哀想だなぁ。」
「あれれ?モモンガきゅん。ハデスさんは遊んであげてるだけだよ?勘違いしてもらっちゃ困るよー。」
苦笑いの絵文字を送って返答するモモンガきゅんにいつもの、楽しいノリ…ハデスさんロールプレイをする。
初めこそ、このハデスさんのノリに着いていけていないモモンガきゅんだったが、12年も一緒にゲームすれば、すっかり慣れて、手網を引かれている感じもする。
「あと10分くらいしかないですし、玉座の間で最後を迎えませんか?」
「当然。…あ、モモンガきゅんもロールプレイしたら?」
彼は楽しそうな雰囲気で「そうですね」と返してくれる。
今から二人で…いや、執事のセバスや、戦闘メイドプレアデスを連れ玉座の間へと移動する。
玉座の間には守護者統括アルベドというNPCが配置されている。
彼女はサキュバスであり、製作者であるタブラさんによってビッチ設定をつけられた者だ。
サキュバスにビッチってそのままだと思っている俺はまだまだタブラさんには及ばないのだろう…何がとは言わないが。
そんなこんな考えていると魔王様が玉座に座るところだった。
うん。悪の大魔王様って感じだ。
「うわぁ、見てくださいよ、アルベドの設定文もう長すぎて全部読む暇なんてないくらいです。」
「あはは、タブラさん凝り性だからねぇ。…あ、そうだ、最後の1文変えちゃいなよ。」
この一言に酷く驚いた様子のモモンガ。
「そんな…、タブラの作ったNPCに俺なんかが勝手に変更を加えることなんてできないですよ。」
「そうかねぇ。タブラさんはそんなこと気にしなさそうだし、モモンガきゅんは最後までギルドを守り続けたんだ。そのくらいの権利はあると思うけどねぇ。」
少し考え込んでいる様子のモモンガだったが、意を決したのかなにかを打ち込んでいるかのようだった。
さてさて?何て書き換えたのかなっと。
…?これは…。
「『モモンガを愛している』か。いいんじゃない?いやぁモモンガきゅんも隅に置けないなぁ、こんな美人に愛されて羨ましいなぁーもー。」
「あぁ、やってしまった…。タブラさんのNPCを汚してしまった…。」
「あはは!そんなの気にしないと思うよって言ってるじゃない。」
打ち込んでからと言うもの、モモンガきゅんまた少し、沈んでしまっているかのようだった。
まぁ、彼は真面目ちゃんだしねぇ。
人の物に手を付けたりできない人なんだろうなぁ。
そこからと言うと、落ち込んだモモンガきゅんをハデスさんが元気づけ、魔王ロール、俺は
冥府神と魔王は時間も忘れて、笑顔で会話を続ける。
思い出話、これからのこと、魔王が少々悲しそうな雰囲気になるが、冥府神の明るさが、それを打ち消す。
彼らが異変に気付くのはそう遅くはない…。